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郷愁の詩人与謝蕪村 №19 [ことだま五七五]

夏の部 4

         詩人  萩原朔太郎

飛蟻(はあり)とぶや富士の裾野(すその)の小家(こいえ)より
 広茫(こうぼう)たる平原の向うに、地平をぬいて富士が見える。その山麓(さんろく)の小家の周囲を、夏の羽蟻(はあり)が飛んでるのである。高原地方のアトモスフィアを、これほど鮮明に、印象強く、しかもパノラマ的展望で書いた俳句は外ほかにない。この表現効果の主要点は、羽蟻という小動物。高原地方や山麓の焼土に多く生棲(せいせい)していて、特に夏の日中に飛翔(ひしょう)する小虫を捉(とら)えた着眼点にある。即ち読者は、羽蟻という言葉によって、そうした高原地方の、夏の日中の印象を与えられてしまうのである。次にその飛翔している空を通して、遠望に富士を描き出しているので、山麓の小屋と関聯(かんれん)して、平原一帯の風物が浮びあがって来るのである。蕪村はこの構成を絵から学んだ。しかし羽蟻は絵に描けない。絵の方では、この主題を空気の色彩やトーンで現すのだろう。

閑居鳥(かんこどり)寺(てら)見ゆ麦林寺(ばくりんじ)とやいふ

 夏の日の田舎道、遠く麦畑の続いた向うに、寺の塔が小さく見える。空では高く、閑居鳥が飛んでるのである。この風物を叙するために、特に「麦林寺」という固有名詞を出したのである。こうした詩の技術。或る風物を叙する代りに、特に或る特殊な固有名詞を使用するのは、昔から和歌や俳句に多く見るところで、日本の詩の独特な技巧である。西洋の詩では、韻律上の美を目的として、特殊な固有名詞を盛んに使うが、日本の歌や俳句のように、内容(情想)のイメージにかけて、表象上の効果に用いるものは、一般に見て尠(すくな)いようである。

卓上の鮓(すし)に目(め)寒(さむ)し観魚亭(かんぎょてい)

 「卓」という言葉、また「観魚亭」という言葉によって、それが紫檀(したん)か何かで出来た、支那風の角ばった、冷たい感じのする食卓であることを思わせる。その卓の上に、鮮魚の冷たい鮓が、静かに、ひっそりと、沈黙して置いてあるのである。鮓の冷たい、静物的な感じを捉とらえた純感覚的な表現であり、近代詩の行き方とも共通している、非常に鮮新味のある俳句である。なお蕪村は、鮓について特殊な鋭どい感覚を持ち、次に掲出する如く、名句を沢山作っている。

『郷愁の詩人与謝蕪村』 青空文庫



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読む「ラジオ万能川柳」プレミアム №173 [ことだま五七五]

    読む「ラジオ万能川柳」プレミアム☆11月22日、29日放送分

         川柳家・コピーライター  水野タケシ

川柳家・水野タケシがパーソナリティーをつとめる、
読んで楽しむ・聴いて楽しむ・創って楽しむ。エフエムさがみの「ラジオ万能川柳」
11月22日の放送です。

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25日の深夜0時はぜひテレビ朝日を!!

「ラジオ万能川柳」は、エフエムさがみの朝の顔、竹中通義さん(柳名・あさひろ)が
キャスターをつとめる情報番組「モーニングワイド」で、
毎週水曜日9時5分から放送しています。

エフエムさがみ「ラジオ万能川柳」のホームページは、こちらから!
放送の音源・・・https://youtu.be/2PmbqjIS6nk

 あさひろさんのボツのツボ
「年号で時代感じる日本人」(おむすび名人)

(皆さんの川柳)※敬称略
※今週は204句の投句がありました。ありがとうございます!
・薄髪で歳を感じる季節来る(ふうれんもうろう)
・裏がある清く正しく美しく(東孝案)
・着膨れて熊と間違えられそうで(カラリ)
・白菜がお安くなったか今日も鍋(とんからりん) 
・付け届け盆・暮れ・五輪はせ参じ(せ・ら・び)
・ラジ川で消えていないよウクライナ(名人・バレリア) 
・容赦なく病院爆破狂ってる(柳王・東海島田宿)
・鍋つつき本音がポツリまたポツリ(大名人・やんちゃん) 
・空高く輝くイチョウウクライナ(シゲサトシ)
・この星が宝と言える人になる(大名人・せきぼー)
・ゴジラさんなにか日本に恨みでも(名人・おむすび)
・川柳を詠めて安眠できる幸(大和三山) 
・足場組む投げて受けとる好プレー(じゅんちゃん) 
・稲光蚊帳に逃げ込む昭和人(名人・まご命) 
・新幹線運転してた頃が華(名人 ・高橋永喜)
・全米が愛する無邪気犬と人(大柳王・入り江わに) 
・ウチ来れば俺のハダカは見放題(全裸川柳家・そうそう) 
・日めくりの薄さに今年悔いている(名人 ・翔のんまな)
・人生の終着駅は無人駅(柳王・恋するサボテンちゃん) 
・納得がいかぬ大学いもと髪(大名人・美ら小雪) 
・もらうグミ食べることない潔癖症(柳王・アンリ) 
・ゴキが出て来なくなったのお嫁ちゃん(柳王・かたつむり) 

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朝乃山関

・今置いた所に物がない不思議(柳王・すみれ) 
・離婚にえっ!?離婚理由を聞いてええ〜っ!?(大名人・ワイン鍋)

☆タケシのヒント!
「『いい夫婦の日』の放送にぴったりの秀逸、というのは冗談ですが(笑)。秀逸と二席、本当に悩んだのですが、ラジオ的な「音」の面白さもあり、ワイン鍋さんの句を選びました。」

・盛り上がる川柳9会待ち遠し(大柳王・里山わらび)
・半年で飽きてしまった新婚さん (大柳王・平谷五七五) 
・多分だがナンパ名人超硬派(くろぽん) 
・予定ある時に限ってお誘いが(大名人・はる) 
・靴下の片方どこで何してる? (柳王・荻笑) 
・支持率のように物価も下げてくれ(ナンパも名人・soji) 
・天国であるんだろうか歌謡祭(大柳王・ユリコ) 
・何だろう私にもまだ出来る事(大柳王・けんけん) 
・新たなる記録作った羽生クン(名人・のりりん) 
・一呼吸置いて2杯目ご飯止め(大名人・じゅんじゅん) 
・寄り道のおかげ惣菜3割引き(柳王・ぼうちゃん) 
・別れちゃう理由(わけ)もいろいろあるもので(名人 ・居酒屋たつみ) 

◎今週の一句・離婚にえっ!?離婚理由を聞いてええ〜っ!?(大名人・ワイン鍋)
◯二席・支持率のように物価も下げてくれ(ナンパも名人・soji) 
◯三席・今置いた所に物がない不思議(柳王・すみれ)

【お知らせ】
以前からお知らせしていた
川柳9会 夜の部 、26日(日)の0時から(25日の深夜)
第3回目の放送があります!
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私も出演しますので、ぜひぜひご覧ください!!

【編集後記】
日記を見ると、去年の今頃は4回目のコロナワクチンを打っていました。
まだまだコロナ禍かどっぷり。それを思うと、なんだかものすごく昔のことのように思います。
まだまだ、マスクは外していないですけれど。(タケシ拝)

〇11月29日放送

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この寒暖差にカラダがついていけない~
放送の音源・・・https://youtu.be/MZ6l5zoTBo4

 あさひろさんのボツのツボ
「大谷の犬への憧れやめましょう」(のりりん名人)

(皆さんの川柳)※敬称略
※今週は203句の投句がありました。ありがとうございます!
・電気消す夫の辞書にないワード(カラリ)
・寒い日に食べるラーメン超美味い(白ポロ) 
・AIも予測できない復帰劇(名人 ・金星玉三郎) 
・雪の中で菊が咲いているウクライナ(初投稿・オルガ) 
・アサヒロ氏メン子の名前忘れたり(名人・メン子ちゃん) 
・新幹線リタイアいまや川柳家(名人・高橋永喜) 
・当たっても十億いらぬあとやっかい(柳王・東海島田宿) 
・真っ黒い墨で描いてた白い菊(名人・バレリア) 
・真っすぐに胸に刺さった愛は勝つ(シゲサトシ)
・調子いい今日もみかんが甘いこと(名人 ・せきぼー) 
・人生を賭けた恋にも飽きてゆく(大名人・マルコ)
・テレビよりラジ川のほうが楽しそう(大和三山) 
・追いつけずスマホとの距離あくばかり(初投稿・なつなつまーず) 
・生まれ出た時は悪魔もみな天使(大名人 ・美ら小雪) 
・犬好きの人にも居ます悪い人(大柳王・平谷五七五) 
・連敗を止めんと投句月曜日(柳王・フーマー) 
・ 行き場なく逃げてる熊に似てるぼく(柳王・恋するサボテンちゃん) 
・仲直り子供はすぐに出来るのに(大柳王・里山わらび) 
・ラジ川もお題が嫌の気がしちゃい(しゃま) 
・この次は羽織ハカマで出ませんか(柳王・荻笑) 
・ ミサ錦ライバル見付け九州に(遊子)
・理解してもらえず気付く話下手(大名人・はる) 
・妻も娘も俺の全裸は見飽きてる(全裸川柳家・そうそう) 
・秋がない妻はそう言い秋を喰う(初投稿・福良満) 

☆タケシのヒント!
「福良さん、初投稿初秀逸です。おめでとうございます。秋がないと言ってる口で、秋を食べているという矛盾が面白いですね。秋がなくなっても、食欲の秋は永久不滅です。」

・僕嫌いカレーライスが本当に(名人・居酒屋たつみ) 
・ああ嫌だテレ朝録画を消した夫(ヤツ)(大名人・不美子)
・そうそうさんコートの下は全裸かな(ナンパも名人・soji) 
・ここだけの話が好きね議員さん(大柳王・ユリコ) 
・どう撮るかあややさんなら今日の月(大柳王・けんけん) 
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けんけん大柳王と

・娘という宝をくれた息子(こ)のナンパ(柳王・咲弥アン子)
・新鮮だテレビ映りの良い師匠(大名人・じゅんじゅん) 
・冬支度出来ないまんまなった冬(柳王・アンリ) 
・きんぴらに大学イモはけんけんさん(柳王・かたつむり) 
・長生きに弾みをつける水曜日(柳王・すみれ)

◎今週の一句・秋がない妻はそう言い秋を喰う (初投稿・福良満)
◯二席・ 行き場なく逃げてる熊に似てるぼく(柳王・恋するサボテンちゃん)
◯三席・理解してもらえず気付く話下手(大名人・はる)

【お知らせ】
25日深夜の「川柳9会 夜の部ご覧いただけましたか?
TVerで再放送配信中(1週間ほど)ですので、ぜひご覧くださいませ!!

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※ユリコさんご提供

【編集後記】
真冬になったり晩夏(初秋)になったり、
この寒暖差にカラダがついていけません。
今年も残り1カ月、「食事」「休息」「適度な運動」を忘れずに、
皆さんもどうぞご自愛くださいね!!(タケシ拝)
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水野タケシ(みずの・たけし)
1965年生まれ。コピーライター、川柳家。東京都出身。
ブログ「水野タケシの超万能川柳!!」 http://ameblo.jp/takeshi-0719/ 


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こふみ会へGO七GO №125 [ことだま五七五]

「七五三」「神楽」「牡蠣」「短日」 
     ~久々のリアル句会~ 

                      俳句・こふみ会

幹事さんから、≪令和5年11月の句会≫の案内状が送られました。

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朝晩しっかり冷え込むようになってきましたが、
おかわりありませんでしょうか。

さてさて、11月のこふみ句会ですが、
久しぶりにリアルで開催したいと思います。
リモート参加もokです(zoomでの対応を考えています)。

11月25日(土)12時からTCCクラブハウスにて。
幹事は、私・尚哉と兎子さんが務めます。

●兼題2題
    七五三    神楽
七五三はちょうど今月半ば、
神楽は11月に行われることが多いようです

出席される方は、当日ご持参ください。
また、出席されない方も、兼題へのご参加はウエルカムです。
尚哉または兎子さんまで、事前にお送りくだされば、
責任をもって保管いたします。

※当日、11月25日(土)は、12時開場、12時半開始といたします。
※参加費は1,500円です(もちろん、弁当つきです)。
なお、以前行われていた天地人句への景品の授与は、
今回はしない、ということでご了承ください。
その場で席題2題も発表いたしますので、
楽しみにしていてください。
それでは、以前のような調子を取り戻せるか、
はなはだ不安ではありますが、
みなさまのお力もお借りして、
有意義なリアル句会にしていこうと思います。
よろしくお願いいたします。
                                11月幹事  岡田尚哉

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当日発表された席題は【牡蠣】と【短日】。
兼題のみの参加者もふくめて46句が集まりました。

【七五三】
・過疎の村そこだけ華咲く七五三 (兎子)
・七五三GAZAの子で何もできない (鬼禿)
・七五三きみらの明日とグーチキパー (矢太)
・祝詞(のりと)聞く五歳神妙七五三 (弥生)
・私ですセピアの写真の七五三 (紅螺)
・人鋏ごとに大人ぶ七五三 (蕃茄)
・呑め歌え着飾れ七十七五三  (尚哉)
・ヤアーダと草履をぐずる七五三 (孑孑)
・老禰宜の神さびて嬉し七五三 (一遅)
・遠い過去子ラいっぺんに七五三 (玲滴)
・何者かになる日もあるや七五三 (虚視)
・晴れ着より気になる吾子の七五三 (なつめ)
・脱ぎ捨てて仁王立ちたる七五三 (華松)

 【神楽】
・さんざめき人神となる神楽の夜 (虚視)
・親睦の葉も静まれり神楽かな(なつめ)
・若人の無心に捧ぐ神楽かな(華松)
・神酒一合あおり夜神楽楽興に入る(尚哉)
・薄れゆく意識の底の神楽笛(鬼禿)
・神楽舞ふあまりに遠きガザの子ら(矢太)
・夜神楽や鈴振る翁の足運び(紅螺)
・篝火に素戒鳴の息白く神楽の夜(一遅)
・争いを止めてと願う今神楽(兎子)
・神楽果て耳に残れるさんざめき(弥生)
・三年ぶり神楽みる目もたどたどし(蕃茄)
・巫女のふる鈴の音軽し里神楽(玲滴)
・お神楽の鬼に笑う子恐ろし子(孑孑)

【短日】
・痰実に急がされおどされ仕事する(兎子)
・日短や商店街のシャッター音(なつめ)
・痰実やそれでも人生長すぎる(矢太)
・短日やジムノペディーを弾く少女(紅螺)
・短日にキロ心せくくせ今も(玲滴)
・谷根千を歩きとおせば日短し(尚哉)
・日短か一木さんの家路かな(華松)
・死者生者記憶旅する短か日を(弥生)
・短日や家路に浮かぶ白き月(蕃茄)
・短日や布団はとうに冷えており(孑孑)

【牡蠣】
・牡蠣すする水平線を傾けて(矢太)
・おい牡蠣よいつまで口をつむぐのか(なつめ)
・指先に残るはカキか彼(か)の人か(華松)
・勇気出せ一つ残ったジャジフライ(孑孑)
・生牡蠣と発泡ワインで暮れてゆく(紅螺)
・熱々の海に溺れる牡蠣フライ(兎子)
・レモン絞る生牡蠣潮の匂ひして(弥生)
・焼き牡蠣や昭和の銀座これにあり(尚哉)
・牡蠣フライ塩かく間もなく空の皿(蕃茄)
・長引きぬ暑さにかき鍋出番なし(玲滴)

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米八のお弁当
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選句風景
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【天句の鑑賞】

牡蠣すする水平線を傾けて(矢太)
鑑賞短文=近景と遠景が連動するダイナミックさ。じつに爽快な句です。(尚哉)
観賞短文=小さな貝の世界と水平線の対比が強烈でした。(玲滴)
鑑賞短文=味でも香りでもなく、水平線とは上手い!としか言えません。(華松)
鑑賞短文=牡蠣を生んだ豊かな海を思わせる、視点の高さに驚かされました。(兎子)

●短日や帰路心せくくせ今も(玲滴)
鑑賞短文=子育てをしていた頃が思い出されます。心せくくせ、私も同じです。(なつめ)

●熱々の海に溺れる牡蠣フライ(紅螺)
鑑賞短文=溺れているのは、牡蠣なのか私なのか?もう分からなくなっちゃた。(矢太)

●遠い過去子らいっぺんに七五三(玲滴)
鑑賞文:孫らの七五三姿から、その親の七五三を思い起こす。数十年前の記憶と眼前の光景とが重なる瞬間を捉えた句だと感じました。(蕃茄)

●神酒一合あおり夜神楽興に入る(尚哉)
鑑賞短文=神と人とが酒食をともにし歌舞するという神楽の異空間のざわめきが伝わります。(弥生)

●私ですセピアの写真の七五三(紅螺)
鑑賞短文=私ですという気持ちに共感。人生の昔の一枚一枚にそういえる心のカラフルな素晴らしさですね。(孑孑)

脱ぎ捨てて仁王立ちたる七五三(華松)
鑑賞短文=行事を終えて家に帰り着いた少女は一刻も早く窮屈な晴れ着を脱いでしまいたい! 晴れ着を脱ぎ捨てて大きく息をした少女はあの日の私のよう…ノスタルジックな素敵な句です(紅螺)

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【今月の天地人】

天句34点:牡蠣すする水平線を傾けて (矢太)
地句18点:脱ぎ捨てて仁王立ちたる七五三 (華松)
人句12点:神木の葉も静まれり神楽かな (なつめ)
今月は矢太さんの牡蠣が圧勝でした。仁王立ちは、男児を思い浮かべた人、女児を思い浮かべた人と様々で、興味深かったです。

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天句の短冊を手に

得点天36点:矢太さん
得点地28点:華松さん
得点人24点:弥生さん
おめでとうございます!

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【幹事よりひと言】
リアル句会が久しぶりでしたので、やり方を忘れていて、ばたついてしまいました。けれども、お弁当を食べながら、お菓子を食べながら、お酒を飲みながらの句会、とてもゆったりと楽しい時間でした。ありがとうございました。
                                            大友兎子


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郷愁の詩人与謝蕪村 №18 [ことだま五七五]

夏の部 3

           詩人  萩原朔太郎

広庭(ひろにわ)の牡丹(ぼたん)や天(てん)の一方(いっぽう)に

 前の句と同じように、牡丹の幻想を歌った名句である。「天の一方に」は、「天一方望美人てんのいっぽうびじんをのぞむ」というような漢詩から、解釈の聯想を引き出して来る人があるけれども、むしろ漠然たる心象の幻覚として、天の一方に何物かの幻像が実在するという風に解するのが、句の構想を大きくする見方であろう。すべてこうした幻想風の俳句は、芭蕉始め他の人々も所々に作っているけれども、その幻想の内容が類型的で、旧日本の伝統詩境を脱していない。こうした雄大で、しかも近代詩に見るような幻覚的なイメージを持った俳人は、古来蕪村一人しかない。

たちばなの昧爽時(かわたれどき)や古館(ふるやかた)

 五月雨頃さみだれごろの、仄暗ほのぐらく陰湿な黄昏たそがれなどに、水辺に建てられた古館があり、橘たちばなの花が侘わびしげに咲いてるのである。「水茎の岡の館に妹(いも)と我と寝ての朝あさげの霜の降りはも」という古今集こきんしゅうの歌と、どこか共通の情趣があり、没落した情緒への侘しい追懐を感じさせる。

魚臭(うおくさ)き村に出(いで)けり夏木立

 旅中の実咏(じつえい)である。青葉の茂った夏木立の街道を通って来ると、魚くさい臭においのする、小さな村に出たというのである。家々の軒先に、魚の干物でも乾(ほ)してあるのだろう。小さな、平凡な、退屈な村であって、しかも何となく懐かしく、記憶の藤棚ふじだなの日蔭ひかげの下で、永く夢みるような村である。

『郷愁の詩人与謝蕪村』 青空文庫




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読む「ラジオ万能川柳」プレミアム №172 [ことだま五七五]

  読む「ラジオ万能川柳」プレミアム☆11月1日、8日、15日放送分

         川柳家・コピーライター  水野タケシ 


川柳家・水野タケシがパーソナリティーをつとめる、
読んで楽しむ・聴いて楽しむ・創って楽しむ。エフエムさがみの「ラジオ万能川柳」
11月1日の放送です。

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今年もあと2カ月!!

「ラジオ万能川柳」は、エフエムさがみの朝の顔、竹中通義さん(柳名・あさひろ)が
キャスターをつとめる情報番組「モーニングワイド」で、
毎週水曜日9時5分から放送しています。

エフエムさがみ「ラジオ万能川柳」のホームページは、こちらから!
https://fm839.com/program/p00000281
放送の音源・・・https://youtu.be/sL666a7ojtE

 あさひろさんのボツのツボ
「オレとラテ誰か教えてその違い」(刑事コロンダさん)

(皆さんの川柳)※敬称略
※今週は199句の投句がありました。ありがとうございます!
・今年こそ師走走らず過ごしたい(刑事コロンダ)
・秋と冬せめぎ合いする箪笥かな(桐山榮壽)
・深呼吸雪虫口に入るかな? (ぶたのはなこ)
・ストイック過ぎる自分に疲れ果て(カラリ)
・同じ神信じていても殺し合い(遊子)
・ハロウィンと空爆伝える午後7時(シゲサトシ) 
・「気合だ」のように経済連呼する(大名人・せきぼー)
・玉手箱を開けてないのにこの始末(すみれ)
・太ってるだけで相撲に誘われる(名人・おむすび) 
・空見上げ平和を祈る十三夜(大名人・ やんちゃん) 
・一度鍋したら一冬ずっとお鍋(大和三山) 
・ブランコがいつから怖くなったかな(名人・バレリア)
・指名漏れよくあることでボツと言う(新柳王・東海島田宿)
・効率を求めて人は変になる(名人・高橋永喜)
・豆苗とモヤシ輝く野菜高(大柳王・里山わらび)
・昼休み個性ばくはつ幼稚園(大名人・はる)
・貢がせ女子狙ってちょうだい俺のこと(名人・パリっ子)
・朝起きる責任感と義務感で(柳王・ぼうちゃん)
・白鳥の飛来する町住むアン子(大柳王・平谷五七五)
・あの雲の向こうに父母と姉がいる(辰五郎)

☆タケシのヒント!
「この季節にぴったりのちょっとセンチメンタルな句です。繰り返し唱えると胸の奥が温かくなりますね。」

・倍にして返せ言いそだこの減税(大名人・ワイン鍋)
・どうしようこれでもやしが上がったら(大柳王・入り江わに)
・師匠出るテレビ収録楽しみに(しゃま)
・えっ今年もう2ヶ月よ早いわあ(紗月めい)
・手が治りそろそろナンパ始めるか(ナンパも名人・soji)
・酒のアテ冷や奴から湯豆腐へ(とんからりん) 
・60年何のそのとすクラス会(大名人・じゅんじゅん) 
・母さんの「うまさひかえめポテサラダ」(柳王・荻笑) 
・そうそうが全裸でsojiは何だっけ? (名人・のりりん)
・じゃこ天は愛媛のスーパーフードです(大柳王・ユリコ)
・ LINEでは片言になる義理の父(全裸川柳家・そうそう)
・ありがとう皆々様のおかげです(大名人・美ら小雪)
・葉が落ちておとなりさんが近くなる(柳王・かたつむり)  

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・今年初いつになるのか鍋料理(柳王・アンリ)
・久しぶり行ったお店がみな値上げ(名人・居酒屋たつみ)
・岸田さん自分の言葉で話しましょう(せ・ら・び)

◎今週の一句・あの雲の向こうに父母と姉がいる(辰五郎)
◯二席・玉手箱を開けてないのにこの始末(柳王・すみれ)
◯三席・どうしようこれでもやしが上がったら(大柳王・入り江わに)

【お知らせ】
今週月曜日にテレビ朝日にて川柳バラエティー番組の収録に行ってきました!!
川柳居酒屋なつみ以来2年3カ月ぶりです。
番組のタイトルは「川柳9会、夜の部」。
9人のタレントさんが川柳を詠んで、それをタレントさんと専門家で採点して
順位をつける番組で、句会の句は9人の9なんですね。

【編集後記】
朝晩と昼との寒暖差が激しすぎますね。
蚊に刺されたと思ったら、洗濯物を干していたら静電気。
一日の中に夏と秋と初冬があるようで、体がついていきません。
皆様も、どうぞご自愛くださいね。(タケシ拝)

○11月8日の放送 
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暑い日もやっと終わり!!

放送の音源・・・https://youtu.be/6rKa0mkUA80

 あさひろさんのボツのツボ
「大好きよとっても広い意味だけど」(荻笑柳王)

(皆さんの川柳)※敬称略
※今週は208句の投句がありました。ありがとうございます!
・妻ネタで入選したらおかんむり(東孝案)
・年賀状買う気がしない昼暑い(刑事コロンダ)
・出会うより別れる方が難しい(大柳王・平谷五七五)
・物価高今年のおせちインスタで(深川宏栄)
・じゃこ天をからだを張ってPR (シゲサトシ)
・グーグルマップなれない操作グルグルマップ(初投稿・中島義文) 
・どこからが富裕層かな財布みる(柳王・東海島田宿)
・遺言のつもりで書いているレシピ(大名人・やんちゃん) 
・学祭で運命的な出会いした(名もなき天使) 
・減税か見まい聞くまい信じまい(じゅんちゃん) 
・やっぱ好き母の味噌汁具沢山(名人・まご命)
・孫画像を眺めて嫌なことを忘れ(名人・高橋永喜)
・松茸に憧れるのはやめましょう(大名人・せきぼー)
・いま地球笑ったように風が吹く(大和三山)
・もう二度と転ばない事誓う朝(柳王・アンリ)
・ケアハウス隣はメモリアルホール(名人 ・翔のんまな)
・阪神ファンじゃないが嬉しい日本一(名人・おむすび)
・失敗談川柳にして大笑い(柳王・恋するサボテンちゃん)
・お習字の「世界平和」がふるえてる(柳王・ぼうちゃん)
・4年ぶり友も私も老けました(大名人・ワイン鍋)
・大好きなアンパンお前痩せたなぁ(柳王・荻笑)
・夏の恋終止符打てぬアツい秋(大名人・不美子)
・柿みかん今日も嬉しやおすそ分け(新名人・くろぽん)
・俵万智さん相模原からおめでとう(大柳王・里山わらび)
・満を持す八十歳の歌手デビュー(大名人・じゅんじゅん) 
・番組の終わり訃報のように知る(辰五郎) 
・困ったな明るい話題アレだけだ(大柳王・入り江わに)
・まさかです川柳の師がナンパ師に(名人・居酒屋たつみ) 
・「継続は力なり」です川柳も(全裸川柳家・そうそう) 
・壁ドンは手首を折ってやめました(ナンパも名人・soji) 
・文化の日平和な日本いつまでも(ふうれんもうろう)
・はぐれずについておいでと親子雲(柳王・すみれ) 

☆タケシのヒント!
「先週の秀逸、辰五郎さんの『あの雲の向こうに父母と姉がいる』を思い出しました。こちらはより映像的。秋の空にも、いろいろなドラマがあるのですね。」

・初耳が7つもあった流行語 (名人・のりりん) 
・笑えるね鼻からちようちん救われた(柳王・かたつむり)   

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・人間はちっぽけだから愛おしい(大名人・マルコ)
・いい加減休みくれよと扇風機(柳王・鵜野森マコピィ) 

◎今週の一句・はぐれずについておいでと親子雲(柳王・すみれ)
◯二席・遺言のつもりで書いているレシピ(大名人・やんちゃん) 
◯三席・いま地球笑ったように風が吹く(大和三山)

【お知らせ】
以前からお知らせしていた
川柳9会 夜の部 、いよいよ放送がスタートします! 

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第1弾は、「夫婦・結婚」をテーマに芸能人が川柳バトル!
2023年11月12日(日) 0:30 〜 1:00です。
この回には私は出ていませんが、ぜひぜひご覧ください!!

【編集後記】
昨日は関東は夏のような暑さでしたが、
こんな気候も昨日でようやく終わりになるようです。
ここからは一雨ごとに寒くなっていくとか。
インフルエンザも流行っているようなので、笑って笑って免疫力アップ!!
おたがいに気を付けましょうね!!(タケシ拝)

○11月15日の放送  

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放送の音源・・・https://youtu.be/TG6fGrOhMcY

 あさひろさんのボツのツボ
「冷やし中華を始めたくなる気温」(ユリコ大柳王)

(皆さんの川柳)※敬称略
※今週は201句の投句がありました。ありがとうございます!
・投句脳毎週ラジオでストレッチ(せ・ら・び)
・さむいのかい?雪虫さんがご来店(ぶたのはなこ)
・親族の紹介妻の名が出ない(東孝案)

☆タケシのヒント!
「ありますね〜、こういうこと。加齢なのか、緊張なのか、どちらにしてもちょっとショック。でも大丈夫!まだ自分の名前は忘れていないですからね。」

・不機嫌な私追い越すつむじ風(カラリ) 
・プーさんと野生の熊は別物ね(名人・金星玉三郎) 
・揃いすぎてAI美人にない色気 (遊子)
・暗雲をキャンバスにして虹せつな(シゲサトシ) 
・婆ちゃんの肌若返る柚子の風呂(大名人・やんちゃん) 
・アイツから先にやめぬか年賀状(大和三山) 
・クマさんにあげたい木の実散歩道(柳王・すみれ)
・ストレスは仕事じゃなくて人なのだ(名人 ・おむすび) 
・書き留めず埋もれた秀句数知れず(名人・高橋永喜) 
・店長を呼ばれた俺はくせ者か(名人・せきぼー) 
・憧れて来た五能線母昼寝(初投稿・なつ) 
・その昔鍵を掛けずに寝た日本(大柳王・平谷五七五)
・あいさつもタイガースから始まって(名人・翔のんまな)
・好きすぎて期末テストも手につかず(名もなき天使)
・はけたって言うがあちこちはみ出ててる(名人・わこりん) 
・不気味だな公道走る戦車たち(大名人・美ら小雪) 
・責任を問いつつ悼む間の悪さ(大名人・マルコ) 
・収穫体験という名のお手伝い(柳王・ぼうちゃん) 
・久しぶり何ら変わらぬラジ川は? (ベルマーレあんちゃん)
・戻したい尖ったことば言う前に(大名人・じゅんじゅん) 
・しかたなく夫(つま)と腕組むほど寒い(大名人・ワイン鍋) 
・みーつけた!やっぱり来てた名古屋から(大柳王・里山わらび) 
・いつの世も空の青さは青いまま(大柳王・けんけん) 
・温める吐息がどこか酒臭い(名人・soji) 
・秋刀魚より今年の秋は細かった(大柳王・入り江わに) 
・日本一治安はイイが熊が出る(名人・のりりん) 
・チンポジがわかるらしいねレントゲン(大柳王・ユリコ) 
・9会出る師匠が早く見たいなぁ(しゃま) 
・飼い猫もシェアするノラの段ボール(大名人・はる) 
・どうなったニュースで消えたウクライナ(柳王・アンリ) 
・宝くじ思った時はユニセフへ(名人・くろぽん)
・4年ぶりちょっと戸惑う力水(柳王・かたつむり) 
・3人目この放送局は4人目だ(初投稿・ひろゆき) 

◎今週の一句・親族の紹介妻の名が出ない(東孝案)
◯二席・戻したい尖ったことば言う前に(大名人・じゅんじゅん) 
◯三席・ 秋刀魚より今年の秋は細かった(大柳王・入り江わに)

【お知らせ】
以前からお知らせしていた
川柳9会 夜の部 、19日(日)の0時から(18日の深夜)
題2回目の放送があります!
私が出演するのは2023年11月26日(日) 0:00〜 (25日深夜)ですが、
ぜひぜひご覧ください!!

【編集後記】
寒くなり、一気に年末感が出てきましたね。
交通費を記録しているのですが、今の時点で去年を大幅に超えています。
コロナ禍が明けたことが大きいでしょう。
来年もこんな調子で飛び回れるといいな。(タケシ拝)
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水野タケシ(みずの・たけし)
1965年生まれ。コピーライター、川柳家。東京都出身。
ブログ「水野タケシの超万能川柳!!」 http://ameblo.jp/takeshi-0719/ 



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郷愁の詩人与謝蕪村 №18 [ことだま五七五]

夏の部 2

          詩人  萩原朔太郎

夏の部愁ひつつ丘に登れば花茨(いばら)

 「愁ひつつ」という言葉に、無限の詩情がふくまれている。無論現実的の憂愁ではなく、青空に漂う雲のような、または何かの旅愁のような、遠い眺望への視野を持った、心の茫漠(ぼうばく)とした愁(うれい)である。そして野道の丘に咲いた、花茨の白く可憐かれんな野生の姿が、主観の情愁に対象されてる。西洋詩に見るような詩境である。気宇が大きく、しかも無限の抒情味に溢あふれている。

絶頂(ぜっちょう)の城たのもしき若葉かな

 若葉に囲まれた山の絶頂に、遠く白堊はくあの城が見えるのである。若葉の青色と、城の白堊とが色彩の明るい配合をしているところに、この句の絵画的のイメージがあり、併せてまた主観のヴィジョンがある。洋画風の感覚による構成である。

地車(じぐるま)のとどろと響く牡丹(ぼたん)かな

 牡丹という花は、夏の日盛りの光の下で、壮麗な色彩を強く照りかえすので、雄大でグロテスクな幻想を呼び起おこさせる。蕪村の詩としては
  閻王(えんおう)の口や牡丹を吐(は)かんとす
が最も有名であるけれども、単なる比喩(ひゆ)以上に詩としての内容がなく、前掲の句の方が遥かに幽玄でまさっている。句の表現するものは、夏の炎熱の沈黙(しじま)の中で、地球の廻転する時劫(じこう)の音を、牡丹の幻覚から聴いてるのである。

『郷愁の詩人与謝蕪村』 青空文庫



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読む「ラジオ万能川柳」プレミアム №171 [ことだま五七五]

   読む「ラジオ万能川柳」プレミアム☆10月18日、25日放送分

         川柳家・コピーライター  水野タケシ


川柳家・水野タケシがパーソナリティーをつとめる、
読んで楽しむ・聴いて楽しむ・創って楽しむ。エフエムさがみの「ラジオ万能川柳」、
10月18日の放送です。

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川柳ニュースが盛りだくさん!!

「ラジオ万能川柳」は、エフエムさがみの朝の顔、竹中通義さん(柳名・あさひろ)が
キャスターをつとめる情報番組「モーニングワイド」で、
毎週水曜日9時5分から放送しています。
エフエムさがみ「ラジオ万能川柳」のホームページは、こちらから!
https://fm839.com/program/p00000281
放送の音源・・・https://youtu.be/HLTnnlUItL4

 あさひろさんのボツのツボ
「七草は春は言えるが秋言えず」(のりりん名人)

(皆さんの川柳)※敬称略※今週は172句の投句がありました。ありがとうございます!
・ふところの寒さ補うニ割引(とんからりん)
・プーチンもうなされる事あるのかな (遊子)
・アサちゃんの声を聴こえてHOTする(名人・メン子)
・病室にボトル持ち込み匂い嗅ぐ(東孝案)
・久々の病気にアイス夫から(カラリ)
・詐欺なんか怖くないお金無いもん(桐山榮壽) 
・お風呂場でひょいと五七五浮かぶ幸(名人・翔のんまな) 
・あさひろさん覚えていただき光栄です(シゲサトシ) 
・すぐカネの話になってしまう党(大柳王・平谷五七五)
・新幹線遠い記憶のシウマイ弁当(柳王・すみれ)
・新米に祖母の梅干しまた美味し(大名人・やんちゃん)
・ヨタヨタでズブズブなのに白々しい(せ・ら・び)
・講義にて暴走せぬか心配だ(大和三山)
・学祭に女子が来るんだ楽しみだ(名もなき天使)
・空いているなのに隣に座られる(名人・高橋永喜)
・つり革を握るのキツイ五十肩(久しぶりの全裸川柳家・そうそう)
・墓参りいつまで続く墓じまい(初投稿・辻村裕美子)
・小走りで年を感じる交差点(大名人・マルコ)
・譲り合う心を削る物価高(大名人・美ら小雪)
・猫が先ならば猫かきだったのか(名人・わこりん)
・朝ごはん食べながら見る殺し合い(柳王・アンリ)
・ヤなことは句して今日も機嫌良く(大名人・ワイン鍋)
・のど自慢うまいばかりじゃつまらない(名人・おむすび)
・耳ダンボ横須賀だより聞きたくて(大柳王・里山わらび)
・早すぎる待ってください早すぎる(柳王・かたつむり) 
・週中にエナジーチャージラジ川で(大名人・不美子) 
・ちょっとだけ自分変えたら楽になり(くろぽん)

☆タケシのヒント!
「くろぽんさん、これで3回目の秀逸です。名人昇進おめでとうございます。この句、個人もそうですが、国と国もですね。やられたら、やり返す、では、世の中いつまでたっても変わりません。」

・TOTO2席さすが魅惑のsojiさん(しゃま)
・恋をしてダイエットする健康法(大名人・じゅんじゅん) 
・チャンピオン歌えライラライライラライ(柳王・荻笑)
・エロトーク最高でしたチンペイさん(大柳王・ユリコ)
・おしゃべりの姿がみえてきた三歳(大名人・東海島田宿) 
・写真見て市民大学ぶったまげ(名人・のりりん) 
・イスラエルウクライナとも庶民泣く(名人・パリっ子) 
・マスク越し鼻にガツンの金木犀(柳王・フーマー) 

◎今週の一句・ちょっとだけ自分変えたら楽になり(くろぽん)
◯二席・久々の病気にアイス夫から(カラリ) 
◯三席・学祭に女子が来るんだ楽しみだ(名もなき天使)

【ご報告】
横須賀市市民大学「横好き句会」のメンバーの皆さん、聴いていますか?
10月16日(月)、横須賀市市民大学「やさしい!楽しい!川柳入門」ついに始まりまして、
秋晴れの横須賀に行ってきました!!

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【編集後記】
10月に入って忙しい。ばかに忙しい。
リアルに人に会う機会も増えてきました。
というわけで、久しぶりに、本当に久しぶりに名刺を新調。
コロナが明けたことを実感する日々です。(タケシ拝)

○10月25日の放送
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来月はもう11月!!

放送の音源・・・https://youtu.be/F0201aLha6g

 あさひろさんのボツのツボ
「蟹よりもカニらしい姿カニカマ」(春爺柳王)

(皆さんの川柳)※敬称略※今週は178句の投句がありました。ありがとうございます!
・もう来たの嬉しくもない誕生日(東孝案)
・雪虫がお散歩してる雪降るの? (ぶたのはなこ)
・追い越していく風追いかけ鬼ごっこ(カラリ) 
・常連の壁は高くて厚みあり(刑事コロンダ)
・少年は昴を目指しまだここに(シゲサトシ) 
・ 二人には大きくなりしおでん鍋(柳王・すみれ) 
・孫の掘るお芋の味は2割増し(柳王・かたつむり) 
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・脳トレはいつも水曜午前9時(大柳王・里山わらび)
・優しさに触れて優しくなれた秋(大名人・やんちゃん) 
・ベストセラー年賀ソフトが平積みに(名人・キジバト交通) 
・昨日まで日陰見つけて歩いてた(とんからりん) 
・マナーある人に化けましょハロウィーン(大名人・せきぼー) 
・骨折った腸のポリープ取った秋(名人・ soji) 
・つぶやきに込めた本音を犬が聴く(名人 ・翔のんまな) 
・スーパーを視察しないと分からぬか (大和三山) 
・気がつけば悲しい歌ばかり好きで(桐山榮壽) 
・紛争は家庭内でも収まらぬ(大柳王・入り江わに) 
・長寿化で国も家庭も悩み居り(名人・高橋永喜)
・また一人兄貴のような人が逝き(柳王・アンリ) 
・買ったままほぼ満足し読まぬまま(大柳王・平谷五七五) 
・選挙民よほどのバカと思うらし(大名人・ワイン鍋) 
・山野草の小径で一人反省会(柳王・ぼうちゃん) 
・横須賀の人に嫉妬の埼玉人(大名人・不美子) 
・ズレているパンツのゴムと減税論(大名人・東海島田宿) 

☆タケシのヒント!
「くろぽんさん、これで3回目の秀逸です。名人昇進おめでとうございます。この句、個人もそうですが、国と国もですね。やられたら、やり返す、では、世の中いつまでたっても変わりません。」

・横須賀の顔顔顔が句で笑みに(しゃま) 
・床につく575575で日が変わり(新名人・くろぽん)
・親介護がんばり過ぎないのが大事(大名人・じゅんじゅん) 
・人気取り所信表明嘘だらけ(じゆんちゃん) 
・「ぜ」と打てば「全裸」出てくる川柳家(久々の全裸川柳家・そうそう) 
・若者に絶対勝てる朝起床(名人 ・まご命) 
・小顔です物価高のお菓子たち(柳王・恋するサボテンちゃん) 
・熊よけにラジオ効果があるらしい(大柳王・ユリコ) 
・いい時代に生きてんだろな私達(大柳王・けんけん) 
・ほうれい線コレさえ無けりゃ30代(名人 ・のりりん) 
・タケモト伝説孫にやったが駄目だった(柳王・フーマー) 
・もういっそメガネ変えたらどうですか?(大名人・美ら小雪)

◎今週の一句・ズレているパンツのゴムと減税論 (大名人・東海島田宿)
◯二席・優しさに触れて優しくなれた秋(大名人・やんちゃん) 
◯三席・スーパーを視察しないと分からぬか (大和三山)

【お知らせ】
夏の間に募集していた川柳コンテストの結果が次々発表されています!!
まずは第19回TOTOトイレ川柳!!
そして、毎日新聞西部版の「仲畑流万能川柳全国大会」。
こちらは昨日と今日、新聞で大発表されていますが、3600句もの投句があり、
ラジセンファミリーが大活躍でした!!

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【編集後記】
上でもご紹介しましたが、
どこの川柳コンテストでもラジセンファミリーが大活躍。
うれしいかぎりです。
やはり日々の楽しく厳しい鍛錬がこうして結実するのでしょうね。
みなさんに大拍手!!8888888888(タケシ拝)
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水野タケシ(みずの・たけし)
1965年生まれ。コピーライター、川柳家。東京都出身
ブログ「水野タケシの超万能川柳!!」 http://ameblo.jp/takeshi-0719/




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こふみ会へGO七GO №124 [ことだま五七五]

こふみ句会へGO七GO  №124
「蜻蛉」「朝顔」「案山子」「稲妻」 

                                俳句・こふみ会

幹事さんから、≪令和5年9月の句会≫の案内状が送られました。

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 こふみ句会の、みなみなさま

十月のこふみ句会は、TCCでリアルで。と、先月予告しましたが。
コロナの成り行きがまだまだ怪しく、一ヶ月延ばすことにしました。
リアル句会の言い出しっぺ矢太が、責任取って九月幹事を努めます。どうぞよしなに。
という次第で、今月も「こ網句会」です。
いつものように、メールでご投句ください。

<兼題>
●蜻蛉(とんぼ)
●朝顔
●案山子
●稲妻

<〆切>十月十六日(月曜)矢太に送投句され度。
<選句〆切り>十月二十五日
                     10月幹事  矢太

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
【当日寄せられた全作品】は下記のとおり。15名60句

【蜻蛉】
01 もののけの首を咥へて鬼やんま (すかんぽ)
02 里山に赤蜻蛉追いし日は遠く(玲滴)               
03 蜻蛉舞う機械仕掛けの羽揺らし  (尚哉)
04 屋根越えてすっすと行くよ蜻蛉たち  (兎子)
05 赤とんぼ群れ来る小さき水溜り  (虚視)
06 登校放棄とんぼ眺めて日が暮れる  (弥生)
07 そうなのか一緒に行く気か赤トンボ  (孑孑)
08 あてもなき風のまにまに蜻蛉行く  (なつめ)
09 電柱の陰で蜻蛉に肩を貸し  (蕃茹)
10 とんぼすら後ずさりするイスラエル  (華松)
11 赤とんぼペペロンチーノとテラス席  (一遅)
12 白帽子だれに停まるの赤とんぼ  (下戸)
13 秋茜悩み多き日懐かしむ  (茘子)
14 複眼数万で睨む宇宙や赤蜻蛉  (矢太)
15 指まわし向き合う蜻蛉に物言う子  (紅螺)

【朝顔】
16 朝顔の日除けとなりて夫偲ぶ  (玲滴)
17 にじませて藍き朝顔描きにけり  (すかんぽ)
18 朝顔は正午に死すと決めており  (茘子)
19 母撒きし朝顔今日も咲き急ぐ  (蕃茹)
20 夕闇の迫り首垂れし朝顔  (虚視)
21 したたかや異国朝顔深き青  (弥生)
22 朝顔の蔓枯れ果てて気力果て  (兎子)
23 朝顔は青ばかりなり空仰ぐ (尚哉)
24 朝顔や垣越え隣りの顔となり  (なつめ)
25 お婆ちゃんになったねと朝顔が言い  (下戸)
26 朝顔ら咲くや女子校の登校時  (孑孑)
27 校庭の柵にもたれし朝顔や  (華松)
28 昨夜のことはわすれたような朝顔です  (矢太)
29 朝顔の奈落へ歩く蟻ひとり  (一遅)
30 気まま旅無人の駅に朝顔の咲く  (紅螺)

【案山子】
31 今様の案山子JKポケモンも  (虚視)
32 働いて働いて尽く捨て案山子  (尚哉)
33 ユニクロの赤きフリース母案山子  (すかんぽ
34 古アロハ稲穂の波漕ぐシャレ案山子  (茘子)
35 はざがけに役割終えたる案山子かな  (玲滴)
36 妻笑ふユニクロかぶりの案山子指し  (蕃茹)
37 今どきの案山子ボーダーラガーシャツ  (弥生)
38 案山子耐えイエスのごとく首を垂れ  (孑孑)
39 こんにちは挨拶したら案山子ちゃん  (兎子)
40 ギャルソンを着こなす山の案山子かな  (なつめ)
41 帰り道ふと目が合うや捨て案山子  (下戸)
42 我は誰への字で思いつ案山子立つ  (一遅)
43 案山子達人口減を補いて  (華松)
44 晴天の霹靂に立つ案山子かな  (矢太)
45 役終えて案山子やれやれ小屋の隅  (紅螺)

【稲妻】
46 きゃ〜などと私は言わぬ稲光  (すかんぽ)
47 眠り猫稲妻の音に二度寝せり  (蕃茹)
48 稲妻よベッドに堕ちよ独裁者の  (孑孑)
49 稲妻や学生寮でカレと会う  (下戸)
50 稲妻を掴めば指の骨透けて  (虚視)
51 稲妻は五秒のシネマ大画面  (茘子
52 稲妻だ孫の前では父強がる  (兎子)
53 稲妻に濡れてかたぶく萩の花  (玲滴)
54 稲光雷神の子が初舞台  (尚哉)
55 稲妻や闇夜が闇にのまれけり  (なつめ)
56 稲妻や繋ぐ小さな手がおののく  (弥生)
57 稲妻や闇夜の空に雲を見る  (華松)
58 稲妻は一閃大地に射精する  (矢太)
59 稲妻や魔物目覚める閻魔堂  (一遅)
60 半衿の白稲妻に白々と  (紅螺)

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
【天句の鑑賞】
「天」に選んだ句とそれに関する鑑賞短文を簡潔に書くというこふみ句会の約束事。

稲妻を掴めば指の骨透けて(虚視)
【華松天鑑賞】大好きな雷ですのに、私は掴むという発想が全くありませんでした。次の雷で試してみます。鋭いのにどこか艶っぽさを感じる句です。
【矢太天鑑賞】ぜったい虚視の視線だ。すごい。怖い
【すかんぽ天鑑賞】稲妻を掴むだなんて、発想が大胆。でも、そんなロゴマークがどこかの国にあったような。

衿の白稲妻に白々と(紅螺)
【玲滴天鑑賞】なんとなまめかしい、白が鮮烈です。

朝顔は青ばかりなり空仰ぐ(尚哉)
【なつめ天鑑賞】朝顔の青と空の青がリンクしていて爽やかでもあり、澄み切った祈りのようにも感じます。
【一遅天鑑賞】朝顔の青と空の青さが重なり、なんとなく韻を踏んだ言葉選びも声に出して心地よい。

朝顔や垣越え隣りの顔となり(なつめ)
【茘子天鑑賞】「朝顔やつるべ取られてもらい水」のような生活感と暖かさを感じます。
【孑孑天鑑賞】お隣さんと親近感。われらが句会ではこんな気楽なお洒落があってもいいなぁと思います。

そうなのか一緒に行く気か赤トンボ(孑孑)  
【虚視天鑑賞】田舎道なのだろうか、昔はこんなふうにトンボがついて来た事が良くあった。懐かしい光景。
稲妻や闇夜の空に雲を見る(華松)
【紅螺天鑑賞】『鮮やかに情景が浮かびます、一瞬の美しい光!』
【兎子天鑑賞】隠されていたものを明らかにする。その稲妻の潔さと、明らかにされた景色の鮮やかさに胸を打たれました。
【弥生天鑑賞】稲妻が光った一瞬に漆黒の空に雲がみえたことが確かにありました。一瞬のドラマ。

白帽子だれに停まるの赤とんぼ(下戸)
【蕃茄天鑑賞】とんぼにフォーカスしながら、子供の運動会を見つめる親や祖父母が表現されているように思いました。秋空のようなさわやかな一句。

もののけの首を咥へて鬼やんま(すかんぽ)  
【下戸天鑑賞】最初の一瞥。このインパクトを超える句が見つからなかった。

稲妻や闇夜が闇にのまれけり(なつめ)
【尚哉天鑑賞】・・・・「闇」を繰り返しているにもかかわらず、稲妻のホワイトアウトが見えるような。フシギな句です。

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【今月のご報告】当番幹事矢太から。

今月の最高天句は、華松さんの「稲妻や闇夜の空に雲を見る」でした。
地句は虚視さんの「稲妻を掴めば指の骨透けて」。人句はなつめさんの「稲妻や闇夜が闇にのまれけり」と。尚哉さんの「朝顔は青ばかりなり空仰ぐ」でした。
得点天は、38得点の虚視さん
得点地は、36得点の華松さん
得点人は、32得点の、なつめさんとすかんぽさん
でした。おめでとう!
来月は久々リアル句会です@TCC。尚哉さんと兎子さんが幹事やってくださいます。ぜひ、全員で顔合わせましょう!


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郷愁の詩人与謝蕪村 №17 [ことだま五七五]

夏の部 1
          詩人  萩原朔太郎

うは風に音なき麦を枕(まくら)もと

 嵯峨(さが)の田舎(いなか)に、雅因(がいん)を訪ねた時の句である。一面の麦畑に囲まれた田舎の家で、夏の日の午睡をしていると、麦の穂を渡った風が、枕許(まくらもと)に吹き入れて来たという意であるが、表現の技巧が非常に複雑していて、情趣の深いイメージを含蓄(がんちく)させてる。この句を読むと、田舎の閑寂な空気や、夏の真昼の静寂さや、ひっそりとした田舎家の室内や、その部屋の窓から見晴しになってるところの、広茫(こうぼう)たる一面の麦畑や、またその麦畑が、上風(うわかぜ)に吹かれて浪(なみ)のように動いている有様が、詩の縹渺(ひょうびょう)するイメージの影で浮き出して来る。こうした効果の修辞的重心となってるものは、主として二句の「音なき」という語にかかっている。これが夏の真昼の沈黙や、田舎の静寂さやを、麦の穂の動きにかけて、一語の重複した表象をしているのである。また「上風に」のに、「音なき麦を」のをが、てにをはとしての重要な働きをして、句の内容する象景を画(えが)いてることは言うまでもない。
  俳句の如き小詩形が、一般にこうした複雑な内容を表現し得るのは、日本語の特色たるてにをはと、言語の豊富な聯想性(れんそうせい)とによるのであって、世界に類なき特異な国語の長所である。そしてこの長所は、日本語の他の不幸な欠点と相殺(そうさい)される。それ故に詩を作る人々は、過去においても未来においても、新しい詩においても古い詩においても、必須的(ひっすてき)に先(ま)ず俳句や和歌を学び、すべての技術の第一規範を、それから取り入れねばならないのである。未来の如何(いか)なる「新しい詩」においても、和歌や俳句のレトリックする規範を離れて、日本語の詩があり得るとは考えられない。

柚(ゆ)の花やゆかしき母屋(もや)の乾隅(いぬいずみ)

  土蔵などのある、暗くひっそりとした旧家であろう。その母屋(おもや)の乾隅(西北隅)に柚の花が咲いてるとも解されるが、むしろその乾隅の部屋――それは多分隠居部屋か何かであろう――の窓前に、柚の花が咲いていると解する方が詩趣が深い。旧家の奥深く、影のささないひっそりした部屋。幾代かの人が長く住んでる、古い静寂な家の空気。そして中庭の一隅には、昔ながらの柚の花が咲いているのである。この句の詩情には、古い故郷の家を思わせるような、あるいは昔の祖母や昔の家人の、懐かしい愛情を追懐させるような、遠い時間への侘(わび)しいノスタルジアがある。これもやはり、蕪村の詩情が本質している郷愁子守唄(こもりうた)の一曲である。ついでに表現の構成を分析すれば、「柚の花」が静かな侘しい感覚を表象し、「母屋」が大きな旧家――別棟や土蔵の付いてる――を聯想させ、「乾隅」が暗く幽邃ゆうすいな位置を表象し、そして「ゆかしき」という言葉が、詩の全体にかけて流動するところの、情緒の流れとなってるのである。

『郷愁の詩人与謝蕪村』 青空文庫


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読む「ラジオ万能川柳」プレミアム №170 [ことだま五七五]

?   読む「ラジオ万能川柳」プレミアム☆10月4日11日放送分

        川柳家・コピーライター  水野タケシ

川柳家・水野タケシがパーソナリティーをつとめる、
読んで楽しむ・聴いて楽しむ・創って楽しむ。エフエムさがみの「ラジオ万能川柳」、
10月4日の放送です。

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今週もあさひろさんはお休み。。。

「ラジオ万能川柳」は、エフエムさがみの朝の顔、竹中通義さん(柳名・あさひろ)が
キャスターをつとめる情報番組「モーニングワイド」で、
毎週水曜日9時5分から放送しています。

エフエムさがみ「ラジオ万能川柳」のホームページは、こちらから!
放送の音源・・・https://youtu.be/VkzcjHwZnuQ

(皆さんの川柳)※敬称略
・推し活と言うがテレビを見てるだけ(柳王・すみれ)
・日常のそっと隣にいる病気(名人・翔のんまな)?
・小田急会求むワタシの介護役(名人・soji)
・オオタニの体は何で出来てるの? (大柳王・平谷五七五)
・竹中様体の一部いや全部(柳王・かたつむり)?
・味噌汁を作るコロナをおんぶして(大名人・美ら小雪)?
・母よりも指示が多いよ予報官(在郷衆)?
・扇風機しまう頃には冬支度(名人・キジバト交通)?
・月末はお腹が空いたと冷蔵庫(じゅんちゃん)
・小田急会指折り数え待つ日々に(しゃま)?
・入門書渡して友のデビュー待つ(大名人・はる)
・昔はね刺される前に仕留めた蚊(カラリ)?
・テレビ見てすごく良かった相模原(名もなき天使)
・頻尿で夜中お月見できました(大名人・ワイン鍋)?
・ただ一人改心させりゃ平和賞(大柳王・里山わらび)
・夕陽受けすすきほほ笑む黄金色(大名人・じゅんじゅん)?
・カラリさん予約しましたクレイジーホース(名人・パリっ子)?
・秋の風私の刻み海苔返せ(大柳王・ユリコ)?
・Jアラートなった気がした妻のメール(柳王・恋するサボテンちゃん)?
・先週のタケシ師匠の鼻の下(名人 ・のりりん)
・落ち着かん行ったり来たり秋と夏(大和三山)?
・アイドルは橋本環奈だけ分かる(名人・おむすび)?
・秋風にまだ温かいピザの箱(バレリア)?

☆タケシのヒント!
「バレリアさん、これで3回目の秀逸、名人昇進です。おめでとうございます。イタリア在住ウクライナ人のバレ
リアさん、外国の方で名人昇進は初めてです。まさに快挙!イタリアと日本の距離は1万キロ、それでも、このピザの箱の温かさはしっかり伝わってきますね。」

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・愛されて愛して愛は深くなる(大名人・やんちゃん)
・無駄なカネばかり使ったこの2年(名人・高橋永喜)
・出し物は笑顔ばかりの文化祭(大名人・せきぼー)
・温かいお茶が美味しいやっと秋(桐山榮壽)?

◎今週の一句・秋風にまだ温かいピザの箱(バレリア)
◯二席・頻尿で夜中お月見できました(大名人・ワイン鍋)?
◯三席・夕陽受けすすきほほ笑む黄金色(大名人・じゅんじゅん)

【お知らせ】
何回もお知らせしました、横須賀市市民大学での川柳講座、
申し込み締め切りの9月25日が過ぎました!!
定員が80名ということで、受講生が集まるのか、皆さんにもご心配をおかけしていたんですが、
結果、申し込みしてくださった人数は、私の予想を大幅に裏切り、何と定員の80名を上回る81名!!
私が一番びっくりしています。本当にありがとうございます!!

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【編集後記】
いつもなら金木犀が香る季節だと思うのですが、
今年はまだ香り出さないですねえ。
この夏の異常な暑さが金木犀にも影響しているのでしょうか。
実は私、あの匂いはそんなに好きではないのですが、
でもちょっと待ち遠しい。(タケシ拝)

◆10月11日の放送
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[祝]あさひろさん復帰!!

放送の音源・・・https://youtu.be/YSU5-jahRDE

?あさひろさんのボツのツボ
「骨折もナンパに活かす名人芸」(大和三山)

(皆さんの川柳)※敬称略
・節約し遺産増やせと言う娘(東孝案)
・新作のモンブラン見て秋を知る(初投稿・なつ)
・いい奴もきっといるだろロシア兵(シゲサトシ)?
・遊んでるように仕事をしてみたい(鈴木麻美)?
・太陽の日差し暖か夏恋し(名人・金星玉三郎)?
・過去生を味わうみたい米と味噌(新名人・バレリア)?
・間違える人間どこか愛おしい(大柳王・平谷五七五)?
・エアコンも冷から暖に忙しい(遊子)?
・婆ちゃんのシミとシワにもある歴史(大名人・やんちゃん)?
・ラジ川のパワーに元気勇気出る(名人・翔のんまな)?
・講義後にラジ川バブル来る予感(大和三山)
・ネギ抜きの鍋で家計もあたためる(大名人・せきぼー)?
・茶番劇さすがジャニーズ名演技(名人・高橋永喜)?
・しゃまさんの介護が嬉し小田急会(名人・soji)?
・4年ぶり大綱引きもインフルも(大名人・美ら小雪)?
・褒められて川柳趣味と言いました(柳王・恋するサボテンちゃん)?
・あさひろさん休めば師匠泣き笑い(大名人・じゅんじゅん)?
・松茸を今年見てない買わんけど(大名人・ワイン鍋)
・空腹の熊もつらいよ親子連れ(大柳王・里山わらび)
・僕たちの地球と言われ地球イラッ(柳王・荻笑)?
・風立ちぬマスクをすると温いのよ(とんからりん)?
・ 人の世の儚さ映し彼岸花(大名人・はる)?
・席替えを兼ねる2次会3次会(柳王・ぼうちゃん)
・sojiさん短冊さらりと左手で(くろぽん)?
・待ってたよ朝の爽やか生放送(大名人・ポテコ)

☆タケシのヒント!
「ポテコさん、7回目の秀逸で柳王昇進です。ご夫婦で柳王になるのは初めてですね。おめでとうございます。喉の不調でお休みされていたあさひろさんの復帰を祝う句。モーニングワイドファン、ラジ川ファンの皆さんが共感されたのではないでしょうか。」

・名物は「けんぴらごぼう」小田急会(しゃま)?
・半袖にダウンベストを着る夫(大柳王・ユリコ)
・小田急会朝の脈拍99 (大柳王・けんけん)?
・ラジ川の魅力やっぱりタイムリー(名人・のりりん)?
・NGのリストで加速ジャニ排除(柳王・フーマー)?
・手を繋ぎ歩くカップル増えた道(柳王・アンリ)?
・特売の銀杏剥きに疲れ果て(大名人・マルコ)?
・人間はどこかで道を間違えた(名人・おむすび)?
・受けない句わかっていても書いている(カラリ)
・名前変え所属も変えて廃業へ(刑事コロンダ)?
・ 一ミリの刺と戦う秋の夜(柳王・すみれ)

◎今週の一句・待ってたよ朝の爽やか生放送(大名人・ポテコ)
◯二席・手を繋ぎ歩くカップル増えた道(柳王・アンリ)?
◯三席・一ミリの刺と戦う秋の夜(柳王・すみれ)

【お知らせ】
この「ラジオ万能川柳」は、あさひろさんの「モーニングワイド」のコーナー番組ですが、
「モーニングワイド」が終わった後は10時から「とれたてランチBOX」という番組が
13時まで放送されます。水曜日のパーソナリティーは、年末のラジセン特番でも
パートナーをつとめてくれたことがある藤田かおりさん、かおりんです。

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顔を隠し気味なのが、かおりん
【編集後記】
3週間ぶりにあさひろさんとの放送が復活!!
うれしい限りです!!
暑くなったり寒くなったり、ジェットコースターのような陽気ですね。
インフルエンザもコロナも増えているみたい。
皆さんもどうぞご自愛くださいね!!私も気をつけます。(タケシ拝)
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水野タケシ(みずの・たけし)
1965年生まれ。コピーライター、川柳家。東京都出身。
ブログ「水野タケシの超万能川柳!!」 http://ameblo.jp/takeshi-0719/?



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郷愁の詩人与謝蕪村 №16 [ことだま五七五]

春の部 13

       詩人  萩原朔太郎

白梅(しらうめ)に明ける夜ばかりとなりにけり

 天明(てんめい)三年、蕪村臨終の直前に咏えいじた句で、彼の最後の絶筆となったものである。白々とした黎明れいめいの空気の中で、夢のように漂っている梅の気あいが感じられる。全体に縹渺ひょうびょうとした詩境であって、英国の詩人イエーツらが狙らったいわゆる「象徴」の詩境とも、どこか共通のものが感じられる。しかしこうした句は、印象の直截鮮明を尊ぶ蕪村として、従来の句に見られなかった異例である。かつどこかスタイルがちがっており、句の心境にも芭蕉風の静寂な主観が隠見している。けだし晩年の蕪村は、この句によって一ひとつの新しい飛躍をしたのである。もしこれが最後の絶筆でなかったならば、更生の蕪村は別趣の風貌ふうぼうを帯びたか知れない。おそらく彼は、心境の静寂さにおいて芭蕉に近づき、全体としての芸術を、近代の象徴詩に近く発展させたか知れないのである。そしてこの臆測おくそくは、蕪村の俳句や長詩に見られる、その超時代的の珍しい新感覚――それは現代の新しい詩の精神にも共通している――を考え、一方にまた近代の浪漫ろうまん詩人や明治の新体詩人やが、後年に至って象徴的傾向の詩風に入った経過を考える時、少しも誇張の妄想でないことを知るであろう。

『郷愁の詩人与謝蕪村』 青空文庫


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読む「ラジオ万能川柳」プレミアム №169 [ことだま五七五]

     読む「ラジオ万能川柳」プレミアム☆9月20日放送分

         川柳家・コピーライター  水野タケシ

川柳家・水野タケシがパーソナリティーをつとめる、
読んで楽しむ・聴いて楽しむ・創って楽しむ。エフエムさがみの「ラジオ万能川柳」
9月20日の放送です。
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明日から涼しくなる……って信じていいの??

「ラジオ万能川柳」は、エフエムさがみの朝の顔、竹中通義さん(柳名・あさひろ)が
キャスターをつとめる情報番組「モーニングワイド」で、
毎週水曜日9時5分から放送しています。
エフエムさがみ「ラジオ万能川柳」のホームページは、こちらから!
放送の音源・・・https://youtu.be/bTp1s_8uhBM

【あさひろさんのボツのツボ】
先週ご紹介できなかった句から、あさひろさんイチ推しの句をご紹介!!
「大相撲下げる笑点視聴率」(アンリ柳王)

(皆さんの川柳)※敬称略  今週は211句の投稿がありました!
・パンティの捨て時がまだワカラナイ(大柳王・平谷五七五)
・ラジ川でボツ万柳で秀逸句(東孝案) 
・妻こそが大黒柱我が家では(名人・どんぶらこ) 
・値は上がり収入上がらず音を上げる(初投稿・佐藤徳子) 
・始発乗る冬の三角眺めつつ(刑事コロンダ)
・もう少し明るいニュース欲しい日々(カラリ)
・アン子さんお題ください湘南会(辰五郎) 
・ 2学期が終わればそこにクリスマス(名もなき天使)
・適材を適所のはずがまた改造(せ・ら・び)
・ 4週目そろそろおぼえて竹中さん(シゲサトシ)
・アレとソレ言ってるうちに優勝し(遊子) 
・艶を増す秋ナスまるで私でしょ(大名人・やんちゃん) 
・あれあれーワクチン接種又届く(じゅんちゃん) 
・阪神のアレノミクスに期待する(大名人・せきぼー)
・新米を刈り取る祖父は光ってる(名人・まご命)
・もう二度と逢えないかもとクラス会(名人 ・翔のんまな)
・どこへ行く二つの心夜汽車の灯(大柳王・けんけん)
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・うれしくて一人で全裸でビールかけ(大和三山)
・川柳のアレをめざして投句する(柳王・荻笑)
・巨人ファン忘れてしまう程のアレ(柳王・かたつむり)
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・骨格を維持も内閣骨もろそ(大名人・東海島田宿)
・レースより買い食い楽しむ競馬場(りんご)
・牛タンにピンからキリを教えられ(柳王・アンリ)
・句を聴いて作者想像するの好き(柳王・すみれ)
・夏の果て少しお休みオオタニも(柳王・恋するサボテンちゃん)
・パリパリで始まりゃ近い雷は(大名人・ワイン鍋)
・バスダイヤ編成する度減っていく(とんからりん)
・あの着物名古屋場所かと勘違い(新大柳王・里山わらび)
・ファンブック梯子禁止と注意報(しゃま)
・母料理うまいと言えぬ妻のまえ(くろぽん)
・汗かくと包帯の下痒くて(名人・ soji)
・俺たちのクライマックスこれからだ(大柳王・入り江わに)
・今場所もついみさ錦探すクセ (名人・のりりん)
・ 18年ぶりにアレをと誘われる(大柳王・ユリコ)

☆タケシのヒント!
「タイガース18年ぶりの『アレ』で、今週のラジセンも大いに盛り上がりました。中でもさすが大柳王・ユリコさん!ヒネリが違いますね。18年ぶりのアレ、どうでしたか、ユリコさん?」

・ファンブックまず自分の句確かめる(大名人・不美子)

◎今週の一句・ 18年ぶりにアレをと誘われる(大柳王・ユリコ)
◯二席・艶を増す秋ナスまるで私でしょ(大名人・やんちゃん)
◯三席・新米を刈り取る祖父は光ってる(名人・まご命)

【お知らせ】
以前もお知らせしました、横須賀市市民大学での川柳講座、
申し込み締め切りの9月25日が迫ってきました!!/
不肖・水野タケシ、ご縁があって、10月16日(月)から、
横須賀市市民大学で川柳講座をスタートすることになりました!!(毎月第三月曜日、全5回)
受講料(全回分3000円)安い!申し込み締切、9月25日(月)

【編集後記】
ラグビーワールドカップ、皆さん、観ていますか?
ルールーもよく知らん、にわかファンですが、
楽しんでいます!!


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こふみ会へGO七GO №123 [ことだま五七五]

こふみ句会へGO七GO  №123
「新涼」「秋雨」「新蕎麦」「草の花」 
                            俳句・こふみ会

幹事さんから、≪令和5年9月の句会≫の案内状が送られました。

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東京で35℃が当り前の8月が終わりました。
そういえば熱帯夜も連日のことでしたね。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
残暑とはいえ空にはもう秋の雲が。
この9月は、こあみ句会の幹事をすかんぽが勤めさせていただきます。
どうぞよろしくお願いします。

【九月の兼題】
①新涼、涼新た、秋涼し
②秋の雨、秋雨、秋霖
③新蕎麦、走り蕎麦
④草の花

【スケジュール】
●投句締切:16日(土)24時までに
 俳名を添えてすかんぽのアドレスにお願いします。
 iguana@love.email.ne.jp
●選句締切:25日(月)を予定しています。

移りゆく季節の詩情を愉しみましょう。
                               9月幹事 梶浦道成

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【当日寄せられた全作品】は下記のとおり。16名64句

【新涼】
01 ゆうまぐれ幽けき月や秋涼し   (虚視)   
02 酔い覚めの水のうまさや今朝の涼 (鬼禿)            
03 新涼の朝ひとり茶を濃く淹れる  (一遅) 
04 秋涼しだあれもいないテラス席  (弥生)   
05 ギブスとれ降り立つ庭に涼あらた (玲滴)   
06 新涼を探し探して夜の街     (兎子)   
07 前髪を切り揃えたり秋涼し    (なつめ)  
08 新涼や影の長さを競いつつ    (矢太)   
09 新涼やコムデギャルソン出番待ち (紅螺)   
10 この宵はハイフェッツ聴かむ涼新た(尚哉)   
11 カーテンの喜びようや秋涼し   (孑孑) 
12 涼新た青ストライプの伊達男   (下戸)  
13 街も人も優しくなりぬ秋涼し   (茘子)   
14 新涼に肩の力を抜いてみる    (華松)   
15 夜なべ置き撫でる猫の背秋涼し  (蕃茄)   
16 踊りだす街のスカート涼新た   (すかんぽ) 

【秋雨】
17 秋の雨三尺の顔を枕にす     (蕃茄)
18 秋雨や海賊船が湖をゆく     (すかんぽ) 
19 秋の雨時計の音に気づく夜    (茘子) 
20 秋雨や天から真っすぐ降りてくる (下戸)  
21 秋雨も無沙汰の友の声に晴れ   (孑孑)  
22 秋の雨今宵はどんな嘘にしよう  (尚哉)  
23 幕切れはあの決め科白秋雨降る  (紅螺)   
24 秋雨や長い道草喰ったもんだ   (矢太)  
25 秋の雨熱めのお湯に浸かりをり  (なつめ)  
26 通勤に潤い添える秋の雨     (兎子)
27 病院に友見舞う朝の霖雨かな   (玲滴)   
28 三叉路に別れがたくて秋の雨   (弥生)   
29 義足なで無い足かゆし秋の雨   (鬼禿)   
30 街の灯の車窓に流れ秋の雨    (虚視)   
31 秋の雨木々嬉しげに滴れリ    (一遅)
32 懐かしき声は空耳秋の雨     (華松) 

【新蕎麦】
33 時刻表にらみつつ食う走り蕎麦   (茘子)  
34 新蕎麦を指でつまむや若社長    (下戸)
35 ほそ川の新蕎麦食べに橋渡る    (紅螺)  
36 新蕎麦を求めて走る中央道     (兎子)  
37 新蕎麦や愚痴や悩みはさておいて  (弥生)  
38 新蕎麦をたぐってさぁまだまだ生きる(一遅)
39 欲張つて世にはばかつて走り蕎麦  (すかんぽ)
40 覚醒す塩新蕎麦にひとつまみ    (虚視)  
41 駆けめぐる七賢甲斐駒走り蕎麦   (鬼禿)  
42 新そばの香楽しむ今だけの贅    (玲滴)
43 待つ客の今か今かと走り蕎麦    (なつめ) 
44 ほろ酔いに未だ日暮れぬ走り蕎麦  (尚哉)  
45 新蕎麦や音でいただく国やよし   (孑孑)  
46 後悔を重ねて香る走り蕎麦     (矢太)  
47 新蕎麦や妻を誘いて一人酒     (蕃茄)  
48 三口分重ねて盛りし走り蕎麦    (華松)

【草の花】
49 土道は地図にない道草の花     (尚哉)
50 島の子や色とりどりの草の花    (下戸)
51 草の花俺より広い空を見る     (蕃茄) 
52 気まぐれな風に揺られし草の花   (なつめ) 
53 育ちすぎ穫り残されて草の花    (玲滴)  
54 草の花ひょいとしゃがんでかくれんぼ(華松)  
55 草の花バス待つ人はひとり     (一遅)  
56 名を呼べぬごめんなさいね草の花  (孑孑)  
57 ゆるゆると歩きて見ゆる草の花   (虚視)
58 マグカップひとつは摘んだ草の花  (すかんぽ)
59 我が一世草の花なる一世かな    (茘子)  
60 ビーグルのおしっこ笑ふ草の花   (矢太)  
61 廃業す更地一面草の花       (兎子)
62 孫9人 個性色々草の花      (鬼禿)
63 草の花摘めばどこかで爆ぜる種   (弥生)  
64 草の花瓶に活けてる老いた父    (紅螺)

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天句の鑑賞】
「天」に選んだ句とそれに関する鑑賞短文を簡潔に書くというこふみ句会の約束事。

◆我が一世草の花なる一世かな(茘子)
鑑賞短文=花の一世、名もなき一世、兎にも角にもやれやれ一世。(孑孑)

◆マグカップひとつは摘んだ草の花(すかんぽ)
鑑賞短文=山頂近くでしょうか、風の音が聞こえて来る様です。草の花を生ける句を作りたかったのですが、出来ませんでした。視点が素晴らしいですね。(虚視)

◆秋の雨今宵はどんな嘘にしよう(尚哉)
鑑賞短文=秋の雨は、人の心を不穏にする。苦い青春を思い出して、切なく寒い。(矢太)

◆新蕎麦をたぐってさぁまだまだ生きる (一遅)
鑑賞短文=新蕎麦の香り、勢い良くすする音、初物を味わう情景がパッと脳裏に広がりました。(審茹)

◆新涼の朝ひとり茶を濃く淹れる(一遅)
鑑賞短文=新涼にふさわしい清々しい一句。今朝の涼しさに、濃い目のお茶を淹れたくなりました。(下戸)
鑑賞短文=猛暑にあえいでいた夏のあいだ、ペットボトルの麦茶ですませていたのが、ふっと涼しくなった朝、久し振りにお茶をいれたくなりました。一人でも丁寧に・・・そんな気持ちに寄り添う句だと思います。(玲滴)

◆土道は地図にない道草の花(尚哉)
鑑賞短文=舗装路の照り返しになやまされたこの夏。土の道の優しさが見に染みます。
草の花が咲いていたらなおのこと。(弥生)
鑑賞短文=地図にない道、名を呼ばれない草花。どちらも儚く弱々しいイメージですが、実は強かに存在しているのです。(なつめ)

◆酔い覚めの水のうまさや今朝の涼(鬼禿)
鑑賞短文=一瞬の感覚で季節の変化を捉えていて素晴らしい!(茘子)

◆蕎麦や音でいただく国やよし(孑孑)
鑑賞短文=食べる音で季節を感じる日本の文化。蕎麦を知り尽くした作者の、なんと素晴らしい着眼点でしょう。(一遅)

◆島の子や色とりどりの草の花(下戸)
鑑賞短文=選句は自句と極めて違う句か似ている句を選んでしまいます。今回は後者私は孫9人でしたが、島の子の方がいい。明るいいい句です。(鬼禿)

◆新蕎麦や妻を誘いて一人酒(蕃茄)
鑑賞短文=・・・イキでオツです。焦点が「蕎麦」に結ぶのがいい。(尚哉)

◆秋雨や天から真っすぐ降りてくる(下戸)
鑑賞短文=まっすぐに降る雨は、向こう側に渡った人と、糸電話のように繋げてくれそうです。(華松)

◆秋の雨時計の音に気づく夜(茘子) 
鑑賞短文=外は静かな雨、物思う人、気づけば時計の針もすすんでいる。こんな夜、ありますよね。(紅螺)
鑑賞短文=秋の雨の穏やかなこと、ひそやかなこと、季節が変わったと実感できること。静かな句です。(兎子)

◆カーテンの喜びようや秋涼し(孑孑)
鑑賞短文=クーラーを切って久々に窓を開けた。カーテンが踊るように翻った。涼風の到来をカーテンで見事に表現した一句。「喜びようや」の擬人化も効果的です。(すかんぽ)

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≪今月の天地人≫

天=茘子さん 37点
  代表句=秋の雨時計の音にいづく夜
地=遅さん 35点
    代表句=新涼の朝ひとり茶を濃く淹れる 
人=孑孑さん 28点
    代表句=カーテンの喜びようや秋涼し
人=尚哉さん 28点
    代表句=土道は地図にない道草の花

≪今月の天地人句≫

【天句】秋の雨時計の音に気づく夜  (茘子)23
【地句】新涼の朝ひとり茶を濃く淹れる (一遅)21
【人句】酔い覚めの水のうまさや今朝の涼(鬼禿)18
【人句】カーテンの喜びようや秋涼し  (孑孑)18
【客句】廃業す更地一面草の花   (兎子)17

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≪幹事より、ひと言≫

今月は選が割れ、皆さんの句に万遍なく点が入りました。
そんな中で茘子さん・一遅さんの句が天を2名ずつ獲得、天句・地句に輝きました。
高得点者は茘子さん。天地人の選を6つも獲得し、安定した力を発揮。
一遅さんも天地人の選を6つ獲得したものの「秋雨」の句が天と地の差になりました。


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郷愁の詩人与謝蕪村 №15 [ことだま五七五]

晴の部 12

        詩人  萩原朔太郎

女倶(ぐ)して内裏(だいり)拝まん朧月(おぼろづき)

 春宵の悩ましく、艶(なまめ)かしい朧月夜の情感が、主観の心象においてよく表現されてる。「春宵怨(しゅんしょうえん)」とも言うべき、こうしたエロチカル・センチメントを歌うことで、芭蕉は全く無為(むい)であり、末流俳句は卑俗な厭味(いやみ)に低落している。独り蕪村がこの点で独歩であり、多くの秀(すぐ)れた句を書いているのは、彼の気質が若々しく、枯淡や洒脱を本領とする一般俳人の中にあって、範疇(はんちゅう)を逸(いっ)する青春性を持っていたのと、かつ卑俗に堕さない精神のロマネスクとを品性に支持していたためである。次にその類想の秀句二、三を掲出しよう。

  春雨や同車の君がさざめ言ごと
  筋すじかひにふとん敷しきたり宵の春
  誰たが為ための低き枕まくらぞ春の暮
  春の夜に尊き御所(ごしょ)を守もる身かな

 注意すべきは、これらの句(最後の一句は少し別の情趣であるが)を見ても解る如く、蕪村のエロチック・センチメントが、すべてみな主観の内景する表象であって、現実の恋愛実感でないことである。この事は、彼の孤独な伝記に照して見ても肯(うな)ずけるし、前に評釈した「白梅(しらうめ)や誰(た)が昔より垣の外(そと)」や「妹(いも)が垣根三味線草(さみせんぐさ)の花咲きぬ」を見ても、一層明瞭(めいりょう)に理解され得るところであろう。彼のこうした俳句は、現実の恋の実感でなくして、要するに彼のフィロソヒイとセンチメントが、永遠に思慕し郷愁したところの、青春の日の悩みを包む感傷であり、心の求める実在の家郷への、リリックな咏嘆(えいたん)であったのである。

『郷愁の詩人 萩原朔太郎』 青空文庫



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読むラジオ万能川柳 №168 [ことだま五七五]

   読む「ラジオ万能川柳」プレミアム☆9月6日、13日放送分

      川柳家・コピーライター  水野タケシ

川柳家・水野タケシがパーソナリティーをつとめる、
読んで楽しむ・聴いて楽しむ・創って楽しむ。エフエムさがみの「ラジオ万能川柳」
9月6日の放送です。
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台風が来つつあります

「ラジオ万能川柳」は、エフエムさがみの朝の顔、竹中通義さん(柳名・あさひろ)が
キャスターをつとめる情報番組「モーニングワイド」で、
毎週水曜日9時5分から放送しています。
エフエムさがみ「ラジオ万能川柳」のホームページは、こちらから!
放送の音源・・・https://youtu.be/sirCLwHGQSc

【あさひろさんのボツのツボ】
先週ご紹介できなかった句から、あさひろさんイチ推しの句をご紹介!!
「クーラーの部屋で見ている節料理」(重田愛子柳王)

(皆さんの川柳)※敬称略  今週は248句の投稿がありました!
・4年振り義父世話放棄旅に出る(大名人・ポテコ)
・投句終え週末のんびり過ごしたい(せ・ら・び)
・高田橋花火の後に真夏来る(刑事コロンダ)
・不美子嬢若尾文子のような人(東孝案)
・スズメバチ巣の駆除頼み6万円(カラリ)
・品薄はたまごの次は氷かよ(ぶたのはなこ)
・喜寿過ぎて不治の病に抱っこされ(名人・どんぶらこ)
・おじいちゃん生前贈与金歯くれ(柳王・鵜野森マコピィ) 
・目につくな介護終活お墓迄(遊子)
・5年後のボスはAIかも知れず(名人 ・おむすび) 
・夏ボケかついつい本音「汚染水」(大名人・東海島田宿) 
・向こうから好きと言うまで好き言わぬ(あおちゃん) 
・好きな子にやっと会えたよ新学期(名もなき天使) 
・温暖化こういう事と気付かされ(名人・高橋永喜) 

☆タケシのヒント!
「共感の一句!「温暖化」の響きにやや甘く考えていました。まさに「沸騰化」だったのですね。」

・ケチくさい俺が払うよかなペイで (大名人・せきぼー) 
・赤い糸引っ張り愛を確かめる(大名人・やんちゃん) 
・葬儀参列人生の棚卸し(名人 ・パリっ子) 
・百年の叡智を集めし訓練日(シゲサトシ)
・Tシャツをスギちゃんにして耐えた夏(たごティ) 
・色っぽい顔の林檎に嫉妬する(大名人・ 美ら小雪) 
・今ならばセクハラ言われそうな歌詞(名人 ・わこりん) 
・レシートが短くなってゆく暮らし(新名人・翔のんまな) 
・ドローンに知らずなってた段ボール(大和三山) 
・ダイエット特効薬に恋心(大名人・じゅんじゅん) 
・ストレスを日本の放出してる国(大名人・ワイン鍋) 
・パソコンの待機の間どう生きる(大名人・ぼうちゃん) 
・タケシさんついに不美子を半裸にし(大名人・不美子) 
・逢える日のあとひと月を待つ長さ(大柳王・けんけん)
・水野氏のヨコスカストーリー始まるヨ(大柳王・平谷五七五)
・10年後よりも10歳若い今(大柳王・里山わらび)
・じゅんじゅんとデートしました日高屋で(ナンパも名人・soji) 
・横須賀の市民大学行きたいなぁ(しゃま) 
・面白くないとやだなぁ言い訳も(風歌) 
・生活のレベル同じで大親友(大柳王・ユリコ)
・アンドレを基準に見てるバスケット(柳王・フーマー) 
・名人位取れば全裸の名人か(全裸川柳家・そうそう) 

◎今週の一句・温暖化こういう事と気付かされ(名人・高橋永喜)
◯二席・レシートが短くなってゆく暮らし(新名人・翔のんまな)
◯三席・赤い糸引っ張り愛を確かめる(大名人・やんちゃん)

【お知らせ】
不肖・水野タケシ、ご縁があって、10月16日(月)から、
横須賀市市民大学で川柳講座をスタートすることになりました!!
(毎月第三月曜日、全5回
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受講料(全回分3000円)安い!
申し込み締切、9月25日(月)
申し込み先、046-822-4873
会場、まなびかん「横須賀市生涯学習センター」※JR横須賀駅から徒歩5分
横須賀市市民大学は、どなたも受講できます。(定員オーバーの場合は、市内の方を優先)

【編集後記】
9月に入ったというのにまだまだ暑い日が続いています。
「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますから、さすがにお彼岸には涼しくなるでしょう。
でも今年は、彼岸過ぎても暑いかも!?。(タケシ拝)

◆9月13日の放送
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早いとこと涼しくなりなさい!!(怒)
放送の音源・・・https://youtu.be/c1zqUPA9WYo

【あさひろさんのボツのツボ】
先週ご紹介できなかった句から、あさひろさんイチ推しの句をご紹介!!
「夏風邪かそれともコロナか七度五分」(刑事コロンダさん)

(皆さんの川柳)※敬称略  今週は190句の投稿がありました!
・荷造りはワクワク気分はかどって(大名人・ポテコ)
・鏡みていつも驚く「わぁ婆ちゃん」(カラリ) 
・ダンボール使い道増え兵器にも(遊子)
・セクハラが軽く聞こえる性加害(せ・ら・び)
・句会に顔出せば女と驚かれ(とんからりん)
・どこよりも早く秋風吹く財布(シゲサトシ)
・期限切れまだ大丈夫妻の鼻(大名人・やんちゃん) 
・ドリブルで夫は家事をすり抜ける(大名人・美ら小雪)
・決まるまで信じないのが阪神ファン(大和三山) 
・飲み会は切り上げ時が難しい(名人・おむすび) 
・給食で食べれなくなる業者さん(名人・居酒屋たつみ) 
・国技館ハッとするよな可愛い娘(大名人・東海島田宿)
・黙殺のメディアも謝罪しましょうね(名人・高橋永喜) 
・小さな秋見つけぬままに冬が来る(柳王・すみれ) 
・川柳のネタを拾いに散歩する(名人・翔のんまな)
・災害を訛りで聞くは耐えがたし(柳王・かたつむり)
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・どこ食べる?みたいなサンマ並んでる (大名人・ワイン鍋)
・名句だがトイレ川柳出し忘れ(柳王・恋するサボテンちゃん) 
・老眼鏡ずらす仕草の意味体感(柳王・ぼうちゃん) 
・関心はメジャーを見ずにラグビーへ(じゅんちゃん) 
・サプリより推し活が効く肌の艶(大名人・マルコ) 
・テレビ前こちらもハダカ大相撲(柳王・里山わらび)

☆タケシのヒント!
「里山わらびさん、これで10回目の秀逸、大柳王昇進です。おめでとうございます。大共感の一句です。千秋楽までには少し涼しくなっているとよいのですが。」

・つなぐ手のぬくもりなんと心地よい(くろぽん) 
・手首折り初めて介護体験す(名人・ soji) 
・七色のナンパ句作るsojiさん(しゃま) 
・その顔であんな事したジャニーさん(大柳王・けんけん) 
・ファンミーティングかおカオ顔が笑ってる(大名人・じゅんじゅん) 
・うまかっただろウチの桃食べた虫(柳王・荻笑) 
・孝案さん内山理名もいいですね(大名人・不美子)
・目覚ましを聞いたらもっと眠くなり(秀クリーム) 
・歳バレる若尾文子を知っていて(名人・のりりん) 
・イノッチに見る演出の丸メガネ(柳王・フーマー) 
・今やっと蚊が活動をする気温(大柳王・ユリコ)
・フライングしたか独りの赤とんぼ(柳王・アンリ) 
・うれしいな「クラスで一人」言う響き(名人・わこりん) 

◎今週の一句・テレビ前こちらもハダカ大相撲(柳王・里山わらび)
◯二席・災害を訛りで聞くは耐えがたし (柳王・かたつむり) 
◯三席・どこ食べる?みたいなサンマ並んでる(大名人・ワイン鍋)

【お知らせ】
6月末から編集作業を行ってきた
交流誌「仲畑流万能川柳ファンブック」120号(9月号)、現在、絶賛配本中です!!
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今号の目玉は、なんといっても、もちろん、ヒットメーカー対談!!
お相手は、かうぞうさん(高槻市)!!
かうぞうさんは、「書き初めに勇ましい字が出ぬように」で2017年年間大賞を受賞されました!!

【編集後記】
電車に乗ってもマスクを外している方が多くなってきました。
とはいえ、コロナがまた流行りつつあるとのこと。
知り合いでもコロナの方が増えてきました。
ということで、電車の中などでは、まだマスクをしている私です。
もちろんラジオの放送中も。(タケシ拝)
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水野タケシ(みずの・たけし)
1965年生まれ。コピーライター、川柳家。東京都出身。
ブログ「水野タケシの超万能川柳!!」 http://ameblo.jp/takeshi-0719/ 


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郷愁の詩人与謝蕪村 №14 [ことだま五七五]

春の部 11

       詩人  萩原朔太郎

骨拾ふ人に親しき菫(すみれ)かな

 焼場に菫が咲いているのである。遺骨を拾う人と対照して、早春の淡(あわ)い哀傷がある。

春雨や暮れなんとして今日も有(あ)り

「暮れなんとして」は「のたりのたり」と同工風[#「同工風」はママ]。時間の悠久を現(あらわ)す一種の音象表現である。

梅遠近(おちこち)南(みんなみ)すべく北すべく

「遠近(おちこち)」という語によって、早春まだ浅く、冬の余寒が去らない日和(ひより)を聯想(れんそう)させる。この句でも、前の「春雨や」の句でも、すべて蕪村の特色は、表現が直截明晰(めいせき)であること。曲線的でなくして直線的であり、脂肪質でなくして筋骨質であることである。そのためどこか骨ばっており、柔らかさの陰影に欠けるけれども、これがまた長所であって、他に比類のない印象の鮮明さと、感銘の直接さとを有している。思うに蕪村は、こうした表現の骨法を漢詩から学んでいるのである。古来、日本の歌人や俳人やは、漢詩から多くの者を学んでおり、漢詩の詩想を自家に飜案化している人が非常に多い。しかし漢詩の本質的風格とも言うべき、あの直截で力強い、筋骨質の気概的表現を学んだ人は殆(ほと)んど尠(すく)ない。多くの歌人や俳人は、これを日本的趣味性に優美化し、洒脱化(しゃだつか)しているのである。日本の文学で、比較的漢詩の本質的風格を学んだ者は、上古に万葉集の雄健な歌があり、近世に蕪村の俳句があるのみである。

『郷愁の詩人与謝蕪村』 青空文庫


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読む「ラジオ万能川柳」プレミアム №145 [ことだま五七五]

    読む「ラジオ万能川柳」プレミアム☆8月16日、23日、30日放送分

        川柳家・コピーライター  水野タケシ

川柳家・水野タケシがパーソナリティーをつとめる、
読んで楽しむ・聴いて楽しむ・創って楽しむ。エフエムさがみの「ラジオ万能川柳」
8月16日の放送です。
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夏休みもなく生放送!!
「ラジオ万能川柳」は、エフエムさがみの朝の顔、竹中通義さん(柳名・あさひろ)が
キャスターをつとめる情報番組「モーニングワイド」で、
毎週水曜日9時5分から放送しています。

エフエムさがみ「ラジオ万能川柳」のホームページは、こちらから!
放送の音源・・・https://youtu.be/2Kv3iCt6eUE

【あさひろさんのボツのツボ】
先週ご紹介できなかった句から、あさひろさんイチ推しの句をご紹介!!
「温暖化という言葉が生温い」(東孝案さん)
 
(皆さんの川柳※敬称略  今週は196句の投稿がありました!
・青空に夏雲どんと物価高(桐山榮壽)
・樹が枯れた暴かれた闇いかれてる(初投稿・影無者) 
・昭和かなかまぼこ板を貯めて居る(遊子) 
・ボツになり怒りでラジオ直したよ(名もなき天使) 
・万札を見つけ掃除が好きになる(カラリ) 
・ヌーディスト公園予約しましたよ(名人・パリっ子) 
・ほんとうの自分を出すのコワイもの(柳王・平谷五七五)
・没続く暑さのせいにしてしまおう(柳王・すみれ) 
・キラキラの汗と名前の甲子園(あおちゃん) 
・唇を蜂に刺されてスネ夫君(たごティ) 
・燃油高老いるショックの高齢者(名人・まご命) 
・メモとペン準備万端句が出ない(名人・高橋永喜) 
・戦争の話ゆっくり聞けた盆(大和三山) 

☆タケシのヒント!
「4年ぶりに帰省された方も多いのではないでしょうか。敗戦から78年。今のうちに当時の話を聞いておいて、それをまた後世に語り継いでいかないといけませんね。」

・これからも元気でいてねアサヒロ氏(名人・メン子) 
・夕立ちでモネの絵になる古い池(バレリア) 
・爺ちゃんの遺影の前でハイチーズ(大名人・やんちゃん)
・颯爽と髪なびかせて甲子園(大名人・はる) 
・買い物は空を見上げて雲チェック(大名人・ポテコ) 
・人が消え独り不気味な盆休み(大名人・じゅんじゅん) 
・孫に会うただそれだけで湧く元気(柳王・里山わらび)
・居るだろな蝉の中にもクレーマー(風歌) 
・解説に丸山桂里奈呼ぶ英断(大名人・ワイン鍋) 
・泣き止まぬ赤ちゃん今日も熱帯夜(大柳王・けんけん)
・ナンパネタ千手に負けず頑張って(くろぽん) 
・抜け殻も脱いで熱波でセミ倒れ(秀クリーム) 
・パリっ子さん空けときますよ不美子婆(大名人・不美子) 
・紙上会あれよと迫る締め切り日(しゃま) 
・そこにいる日々が尊い甲子園(大柳王・入り江わに) 
・くっつくと離れ離れりゃくっつく子(大名人・美ら小雪) 
・眠いとき赤ちゃんなんで泣くのかな (名人・わこりん) 
・台風で溜まった洗濯カップ麺(名人・のりりん) 
・師匠にもあげてちょーだい盆休み(全裸川柳家・そうそう)
・立秋が来ても飽きないナンパネタ(ナンパも名人・ soji) 
・盗撮を働きバチにさせるとは(大柳王・ユリコ) 
・夏休みなくて嬉しいラジ川ファン(柳王・咲弥アン子)
・台風だ諦め早くなりました(柳王・恋するサボテンちゃん) 

◎今週の一句・戦争の話ゆっくり聞けた盆(大和三山)
◯二席・そこにいる日々が尊い甲子園(大柳王・入り江わに) 
◯三席・解説に丸山桂里奈呼ぶ英断(大名人・ワイン鍋)

【お知らせ】
毎年北九州で行われてきた仲畑流万能川柳全国大会、今年も新聞紙上で開催します!!
【お題と選者】
宮本佳則先生、「ページ」
お鶴さん、「自由」。「自由題」ではなく「自由」をのものを詠んでください。
朝川渡さん、「うまい」。朝川さんは、昨年の年間大賞受賞者です。
そして、不肖タケシのお題は「脱ぐ」!

【編集後記】
関西からの参加者もいるラジオ万能川柳ですが、
皆さん、台風7号は大丈夫だったでしょうか。
これからが台風シーズン本番、皆様くれぐれも安全第一で
まいりましょう!!

○8月23日の放送  
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いつまで続くこの暑さ。。。
放送の音源・・・https://youtu.be/WPzXz46buYg

【あさひろさんのボツのツボ】
先週ご紹介できなかった句から、あさひろさんイチ推しの句をご紹介!!
「ひも付けの言葉に見えるアナログ感」(せ・ら・びさん)

(皆さんの川柳)※敬称略  今週は178句の投稿がありました!
・朝起きて孫のトマトに水を遣る(東孝案)
・蝉鳴いて親も泣きたい夏休み(鈴木麻美)
・鏡見る眉毛鼻毛に白髪増え(名人・金星玉三郎) 
・不美子婆ニューグラウンドでランデブー(名人 ・パリっ子) 
・ラジ川は実は心の日記帳(カラリ)
・孫に飯洗濯干して聞けばボツ(柳王・フーマー) 
・昭和ですかまぼこ板でスマホ立て(たごティ)
・アルプスは避暑地じゃないぜ甲子園(大名人・せきぼー)
・彼岸まで待てぬ残暑は厳しすぎ(大名人・やんちゃん) 
・諦めぬ事を学べる甲子園(名人 ・高橋永喜)
・ハーレーはオヤジの方がよく似合う(名人 ・おむすび)
・暑すぎて蚊取り線香用はなし(名人・キジバト交通)
・ヒンヤリと秋を感じる便座かな(遊子) 
・昼に寝て夜に活動する未来(大和三山)
・抱き枕抱きつつ母を探す足(大名人・美ら小雪)
・岸田さん寄り添わないで暑いから(柳王冠・平谷五七五)

☆タケシのヒント!
「平谷さん、これで10回目の秀逸です。大柳王昇進です。おめでとうございます。ズバッと斬り込む平谷さんの良さが出た一句です。岸田さんも苦笑いするしかないですよね(笑)。」

・同じものを食べて夫は夏痩せし (大名人・ワイン鍋)
・行きたいが行けぬ暑さの特売日(柳王・すみれ)
・命かけナンパしている夏のセミ(ナンパも名人 ・ soji)
・酷暑など師匠の歌がぶっ飛ばす(大名人・じゅんじゅん)
・フードロス子供の頃に廻せたら(くろぽん)
・地元愛古里愛の決勝戦(柳王・かたつむり)
・応援はされてもしても元気出る(柳王・荻笑)
・秋刀魚焼く匂いここまでお金持ち(大柳王・けんけん)
・暑し夏今年も残り4ヶ月(刑事コロンダ)
・師匠の句だけよく出来ぬ紙上会(しゃま)
・下着より先に身に着けます湿布(柳王・ぼうちゃん)
・一〇〇台分ガソリンあってあの火災(大柳王・ユリコ)
・宿題は終わったのかねわこりんは(全裸川柳家・そうそう) 
・負けず嫌い地球ますます暑くなる(柳王・恋するサボテンちゃん) 
・Dカップ(あれ)以来柳友会うと胸を見る(大名人・不美子)
・ラジ川が生んだ全裸の川柳家(名人・のりりん) 
・元通りコロナの不安残しつつ(大名人・はる)
・キャバクラの評判悪くした芸人(柳王・アンリ) 
・湘南賞カトンボさんとアン子さん(辰五郎)
・あの台風最初は小さな卵なの(柳王・・鵜野森マコピィ) 

◎今週の一句・岸田さん寄り添わないで暑いから(柳王・平谷五七五)
◯二席・下着より先に身に着けます湿布(柳王・ぼうちゃん) 
◯三席・負けず嫌い地球ますます暑くなる(柳王・恋するサボテンちゃん)

【お知らせ】
さあ、8月も23日になりました!
毎年夏の風物詩、TOTO「第19回トイレ川柳」、ただいま川柳を募集しています!!
8月25日(金)必着ですよ!!あと2日!!一昨年はご存じ、すみれ柳王が、
「フタ開いて後ずさりして感心す」「フタ開いて後ずさりして感心す」で、2席!!

【編集後記】
初孫の1歳の誕生日祝いに行ってまいりました。
ケーキを食べたり(初めて!)、一升餅を背負ったり、  
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大活躍の初孫でした。
来年の誕生日は歩いて、もうお喋りできるようになっているのかな?
今から楽しみです!!(タケシ拝)

○8月30日の放送  
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来週は9月
放送の音源・・・https://youtu.be/nF8M61mg3QY

【あさひろさんのボツのツボ】
先週ご紹介できなかった句から、あさひろさんイチ推しの句をご紹介!!
「始末書にいっぱいあった誤字・脱字」(全裸川柳家・そうそうさん)

(皆さんの川柳)※敬称略  今週は215句の投稿がありました!
・猛暑日は首輪保冷が活躍日(大名人・ポテコ)
・見ると負け言う人多くないですか(遊子)
・ひさしぶりおばあちゃん家はたのしいよ(うさぎ) 
・宿題はもちろん終わるわけがない(名人・わこりん)
・水曜のラジ川ちょっと笑える日(カラリ)
・睨み合い蝉の抜け殻ハッケヨイ(名人 ・パリっ子)
・暑すぎて学校休校新学期(ぶたのはなこ)
・自分にもキャッチフレーズ欲しいなぁ(名もなき天使)
・夏バテの猫の手相を褒めちぎる(桐山榮壽)
・夜明け前オリオン見えるお盆過ぎ(刑事コロンダ)
・馬鹿な人自分がバカと知らぬまま(新大柳王・平谷五七五)
・夏服を洗濯籠にダンクする(大名人・せきぼー) 
・AIも調子悪いか炎天下(柳王・恋するサボテンちゃん)
・道産子が避暑に沖縄出掛けます(柳王・鵜野森マコピィ) 
・脳だけは夏バテ知らずラジオ川(大名人・やんちゃん) 
・エンジョイはいいね野球も川柳も(大和三山)
・今の世に何かいうてるセミしぐれ(翔のんまな)

☆タケシのヒント!
「翔のんまなさん、これで3回目の秀逸、名人昇進です。おめでとうございます。実はセミ、暑いのが苦手なんだそうです。これ以上暑くなったら、セミも鳴かなくなってしまうかも?!」

・4kg痩せ赤ちゃんほどもあった肉(たごティ) 
・白い歯がちょこちょこ光る決勝戦(大名人・東海島田宿)
・せっかくのソロキャンプにもナンパされ(大名人・マルコ) 
・かおるちゃん福島魚使ってよ (名人・まご命)
・飽きるのよ認知テストを3回目(大名人・じゅんじゅん)
・谷底に希望の梯子降りてきた(くろぽん)
・あの御仁ジェット機落とし始末される(大柳王・入り江わに)
・四季でなく二季おりおりの国となり(名人・おむすび)
・大昔ヒトは地球に住んどった(柳王・荻笑)
・処理という言葉がとても奥深い(ナンパも名人・soji)
・昨年はトイレ二百句sojiさんと(しゃま)
・産むでしょう幸せ保証できるなら(大柳王・けんけん)
・また妻のパンツだったよハンカチが(全裸川柳家・そうそう)
・歓声と球音残し夏がゆく(初投稿・シゲサトシ)
・少しだけ浴衣はだけて月光浴(大名人・不美子)
・他人(ひと)んちの孫の写真に癒される(明治2 ・のりりん)
・あるんですかまぼこ板の美術展(大柳王・ユリコ)
・台風の進路にもある多様性(柳王・アンリ)
・近所「しーん‥‥」みんな宿題してるのか(大名人・ワイン鍋)

◎今週の一句・今の世に何かいうてるセミしぐれ(翔のんまな)
◯二席・大昔ヒトは地球に住んどった(大柳王・荻笑)
◯三席・エンジョイはいいね野球も川柳も(大和三山)

【編集後記】
まだまだ暑い日が続いて、さすがの私も夏(秋)バテ気味です。
この暑さで一つ良かったのは、蚊が出てこないこと。
35℃くらいになると蚊も活動しなくなるとのこと。
とはいえ習慣で、蚊取り器はつけているのですが(笑)。(タケシ拝
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水野タケシ(みずの・たけし)
1965年生まれ。コピーライター、川柳家。東京都出身。
ブログ「水野タケシの超万能川柳!!」 http://ameblo.jp/takeshi-0719/ 


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こふみ会へGO七GO №122 [ことだま五七五]

こふみ句会へGO七GO  №122
「秋を待つ」「昆布」「雨ごい」「夏桃」 
                                 俳句・こふみ会

幹事さんから、≪令和5年8月の句会≫の案内状が送られました。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
うだる暑さが続きますが、皆さまお元気でお過ごしでしょうか。
夏バテ対策にはエアコンが一番ですが、一晩エアコンを回しても28円との記事に出会い、連日連夜エアコン回している下戸が幹事を務めさせていただきます。何卒よろしくお願いします。

【今月の兼題】
1、秋を待つ
2、昆布
3、雨ごい
4、夏桃
※夏桃(なつもも)、早桃 (さもも) でも可。

【スケジュール】
・投句締切:15日(火)
・投句一覧の配信:18日(金)
・選句締切:25日(金)
・結果発表:28日(月)

【投句ルール】
天1句(寸評コメントをお願いします)
地1句、人1句、客5句
天句7点、地句5点、人句3点、客句1点で集計します。

【送り先(今月の幹事)】下戸 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
【当日寄せられた全作品】は下記のとおり。16名64句

【秋を待つ】
1.降る蝉の声遊歩道に秋を待つ(玲滴)     
2.秋待ちてふとそらんじるヴェルレーヌ(弥生) 
3.秋待つやひとり卵かけごはんです(矢太)   
4.秋を待つそろそろ例のひやおろし(孑孑)   
5.苦しみに 蒸される夜は 秋を待つ(兎子) 
6.火の星や森羅万象秋を待ち(一遅)      
7.電柱の影に潜んで秋を待つ(下戸)      
8.独り身は無聊がよろし秋を待つ(尚哉)    
9.ケント紙の無垢なる白よ秋を待つ(虚視)   
10.繋がれて秋待つスワンボートかな(すかんぽ)  
11.あいつまで待つ秋待たず先にいく(鬼禿)  
12.アスファルト踵の跡や秋を待つ(華松) 
13.稜線の緩けし風や秋を待つ(なつめ)     
14.日本晴れ曾祖父見果てぬ秋を待つ(蕃茄)  
15.枡席がとれた知らせや秋を待つ(紅螺)   
16.柿の実の親指ほどの秋を待つ(茘子)

【昆布】
17.昆布干す御婆の腰や利尻富士(すかんぽ)   
18.昆布着て利尻の海で踊りたや(尚哉    
19.昆布採る漁師の親子は黙々と(一遅)    
20.昆布干し最果てに老ゆる一生(ひとよ)あり(弥生)
21.氷海のしぶきの出汁か利尻昆布(鬼禿)   
22.利尻昆布母の残せし料理メモ(茘子    
23.予定なき朝から昆布で出汁をとり(なつめ)  
24.お前もか労い昆布の母を食む(蕃茄)    
25.浜を曳く背丈の倍の昆布かな(華松)    
26.夜が更けて 到来物の 昆布煮る (兎子)   
27.昆布ひきずる女の子しゃがんだ(孑孑)   
28.袋めん羅臼の昆布載せにけり(下戸)    
29.出汁とった後の佃煮昆布よし(玲滴)     
30.蝉時雨聞きつつ母と昆布茶漬け(紅螺)   
31.まちがいない昆布は闇夜に伸びている(矢太)  
32.傾きつ沈みつ戻る昆布舟(虚視)      

【雨ごい】
33.雨ごいの撥持つ若衆の力こぶ(紅螺)    
34.雨乞いも呪いに変わる熱 疾風(ハリケーン) (鬼禿) 
35.雨乞いや空缶ひとつアスファルト (虚視) 
36.應援團雨ごいとなれ五回裏(蕃茄)     
37.雨ごいの祈りこめたる藁の竜(玲滴)    
38.雨乞ひを聞いてぜんまい伸びてゆく(矢太)  
39.雨乞いも今は昔の太陽光(下戸)     
40.足らざるも嘆き八大龍王雨乞いす(弥生)  
41.雨ごいやでんでん太鼓を鳴らす吾子(なつめ) 
42.一億の雨乞いしたる豪雨かな(華松)    
43.土手破れ雨乞い地蔵黙し立つ(孑孑)     
44.雨乞いの巫女の素足の淡き桃(茘子)    
45.雨ごいの巫女なまめかし杜の古社(一遅)  
46.雨乞いの呼べる線状降水帯(尚哉)     
47.雨乞ひや令和の少女たちんぼう(すかんぽ)   
48.雨ごいを 欲した日々も 遠い過去 (兎子)   

【夏桃】
1.夏桃は丑三つ時に熟れてゆく(矢太)    
50.うすぎぬをスルリと甘し夏の桃(一遅)  
51.やはらかに掌(て)に充実の早桃かな(弥生)  
52.夏桃甘し乳飲み子の頬の産毛(茘子)    
53.早桃だよ食細き人に次の匙(孑孑)     
54.夏桃が あの日に戻れと 惑わせる(兎子) 
55.夏白桃 先っぽほんのり十二才(鬼禿)    
56.夏桃を剥く少年の長い指(紅螺)      
57.ささくれと舌下に舐る早桃汁(蕃茄)    
58.唇に早桃滴る君を見る(華松)       
59.隣家より両手に貰いし早桃かな(なつめ)   
60.夏ももに涼を求めし夕餉かな(玲滴)    
61.桃を剥く彼の日焼の肩みたく(すかんぽ)    
62.夏桃の柔肌ガブと歯を立てる(虚視)   
63.思案して饐えた夏桃えらびけり(下戸)   
64.夏桃をかたじけなしと吸い尽くす(尚哉)  

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【天句の鑑賞】
「天」に選んだ句とそれに関する鑑賞短文を簡潔に書くというこふみ句会の約束事。

◆桃を剥く少年の長い指(紅螺))
鑑賞短文=二文字にやられた。夏のヰタ・セクスアリス。【矢太】
鑑賞短文=誌的でエロティック、こういう俳句読める人は限られている…。【下戸】
鑑賞短文=金子國義の絵画のエロスな世界を想起しました。【すかんぽ】

◆ケント紙の無垢なる白よ秋を待つ(虚視)
鑑賞短文=夏の光に艶やかな紙は尚更眩しい。目に痛い白さを無垢と表現する潔さにひかれました。【華松】
鑑賞短文=秋は色にたとえれば白なんですね。白秋と言いますものね。無駄な言葉がなくリズムのよいお洒落な句。【弥生】

◆枡席がとれた知らせや秋を待つ(紅螺)
鑑賞短文=秋場所といえば大相撲の本場所。その枡席が取れたとなればこの暑さも何のその。【なつめ】
鑑賞短文=「秋を待つ」そのウラには喜びがなくてはならない。うれしさや楽しみが、五七五の中に見事に内在しています。【一遅】

◆繋がれて秋待つスワンボートかな(すかんぽ)
鑑賞短文=誰も乗ってくれないスワンたちは、確かに身を寄せ合って秋よ早くと話し合っているようです。あまりの暑さに池から去って行く親子連れを寂しそうに見ている姿が思い浮かびました。【蕃茄】

◆昆布干す御婆の腰や利尻富士(すかんぽ)
鑑賞短文=遠く利尻富士をのぞむ海辺の風景の中に昆布を干す御婆の姿、一幅の絵を見るようです。【玲滴】

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≪今月の天地人≫

天=虚視さん 65点
  代表句=傾きつ沈みつ戻る昆布舟
地=紅螺さん 45点
     代表句=枡席がとれた知らせや秋を待つ 
人=すかんぽさん 31点
     代表句=昆布干す御婆の腰や利尻富士

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≪幹事より、ひと言≫

いやー暑い夏です。8月のこふみ句会も熱い戦いが繰り広げられました。
今月の天は3句で4人から天を得た虚視さん63点でした。地を20点引き離し独走となりました。地は45点で紅螺さん、人は31点ですかんぽさんが続きました。
おめでとうございます。大きな拍手を贈らせていただきます。
●俳句とは「きもちの栞」かもしれない。皆さんの句を鑑賞させていただくうちに、そう思うに至りました。人生という何万ページの本のなかで、今このときの感情をブックマークする。「きもちの栞」です。五七五17文字でまとめられた栞は、元のコトバの守備範囲を越えて、広大な世界へ連れて行ってくれたり、深い、深い、洞窟を探検させてくれたり、忘れかけていた心の筋肉をストレッチしてくれたりもします。詠み人の「きもちの栞」に触れることで、視野が広がっていくのは楽しいことです。(下戸)
2023.8.28


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郷愁の詩人与謝蕪村 №13 [ことだま五七五]

晴信 10
       詩人  萩原朔太郎

閣(かく)に座して遠き蛙(かわず)をきく夜哉(かな)

 「閣」というので、相応眺望の広い、見晴しの座敷を思わせる。情感深く、詩味に溢あふれた名句である。

これきりに径(こみち)尽きたり芹(せり)の中

 塵芥に埋れた径(こみち)。雑草に混(ま)じって芹が生えているのだろう。晩春の日の弱い日だまりを感じさせるような、或る荒寥(こうりょう)とした、心の隅の寂しさを感じさせる句である。

古寺(ふるでら)やほうろく捨てる芹(せり)の中

 荒廃した寺の裏庭に、芥捨場(ごみすてば)のような空地がある。そこには笹竹(ささだけ)や芹などの雑草が生え、塵芥にまみれて捨てられてる、我楽多(がらくた)の瀬戸物などの破片の上に、晩春の日だまりが力なく漂っているのである。前の句と同じく、或る荒寥とした、心の隅の寂しさを感じさせる句であるが、その「寂しさ」は、勿論厭世(えんせい)の寂しさではなく、また芭蕉の寂びしさともちがっている。前の句やこの句に現われている蕪村のポエジイには、やはり彼の句と同じく人間生活の家郷に対する無限の思慕と郷愁(侘(わ)びしさ)が内在している。それが裏街の芥捨場や、雑草の生える埋立地(うめたてち)で、詩人の心を低徊(ていかい)させ、人間生活の廃跡に対する或る種の物侘しい、人なつかしい、晩春の日和(ひより)のような、アンニュイに似た孤独の詩情を抱かせるのである。
 因(ちな)みに、この句の「捨てる」は、文法上からは現在の動作を示す言葉であるが、ここでは過去完了として、既に前から捨ててある意味として解すべきでしょう。

『郷愁の詩人与謝蕪村』青空文庫


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読むラジオ万能川柳 №166 [ことだま五七五]

       読む「ラジオ万能川柳」プレミアム☆8月2日、9日放送分

         川柳家・コピーライター  水野タケシ

川柳家・水野タケシがパーソナリティーをつとめる、
読んで楽しむ・聴いて楽しむ・創って楽しむ。エフエムさがみの「ラジオ万能川柳」、
8月2日の放送です。
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暑い、暑い、暑い!!

「ラジオ万能川柳」は、エフエムさがみの朝の顔、竹中通義さん(柳名・あさひろ)が
キャスターをつとめる情報番組「モーニングワイド」で、
毎週水曜日9時5分から放送しています。

エフエムさがみ「ラジオ万能川柳」のホームページは、こちらから!
放送の音源・・・https://youtu.be/WVt03bWPMN4

【あさひろさんのボツのツボ】
先週ご紹介できなかった句から、あさひろさんイチ推しの句をご紹介!!
「豊昇龍涙と笑顔でチト好きに」(のりりん名人)

(皆さんの川柳)※敬称略 今週は199句の投稿がありました!
・辰句集残り5冊よあげちゃうよ(辰五郎)
・レコードに針置く時が好きなんだ(遊子) 
・イーロンよ逃しましたね青い鳥(大柳王・入り江わに)
・訪問着脱いで着替えるアッパッパー(カラリ)
・特番の電話出演待ってます(名もなき天使)
・逆ナンパどんどんしたれアン子姫(柳王・平谷五七五) 
・夏休み短くしてよママ本音(名人・まご命) 
・嫁さんとコロナすんでもディスタンス(初投稿・小松秀行)
・婆ちゃんの梅酒飲みたい孫が来る(大名人・やんちゃん) 
・もうどこも逃げるとこないこの暑さ(翔のんまな)
・孫を抱く年下キラーの孫が抱く(柳王・恋するサボテンちゃん)
・暑くても涼しい顔でするナンパ(名人・ナンパ川柳家・soji) 
・サウナから出たら屋外またサウナ(全裸川柳家・そうそう) 
・寒い寒い言ってるんだね半年後(柳王・咲弥アン子)
・あさひろさんお願いします没のツボ(名人 ・のりりん) 
・食料危機アフリカだけのことじゃな(名人・おむすび) 
・Xがアイコン達を驚かす(大名人・せきぼー) 
・ノルマなどあったらいい句作れない(大和三山) 

☆タケシのヒント!
「過剰なノルマが問題になっている昨今です。川柳は、こころ遊び。ノルマなどなくて自由な風が吹く中だからこそ、さまざまななヒラメキが生まれるのですね。」

・親よりも早く多くを学ぶ子ら(大名人・はる)
・没の句も自分史だから保存する(名人・高橋永喜)
・慣れた頃一番怖い熱中症(柳王・アンリ)
・ 8月の空の向こうにウクライナ(柳王・里山わらび)
・久喜投句師匠ちらつきまだ出せず(くろぽん)
・ケンカあと句を褒められて仲直り(大名人・ワイン鍋)
・ナンパよりされてみたいなラヴ・ハント (大名人・不美子) 
・ママゴトが男の操縦OJT(名人・パリっ子)
・ 千手様うちわを持って久喜川に (大名人・じゅんじゅん)
・わたしには師匠が豪華ゲストです(しゃま) 
・ああ今日もいい天気だね困ったね(大柳王・けんけん) 
・水分を摂ってトイレに起きる夜(大柳王・ユリコ) 
・女性局研修の名の空騒ぎ(柳王・フーマー)
・どの街も浴衣短い外人さん(風歌) 
・水遊びですよ真夏の皿洗い(柳王・ぼうちゃん)
・甲子園決まって嬉し寄付辛し(大名人・美ら小雪)
・友達のママの車はなぜ酔わぬ(名人・わこりん)
・好物がうなじだなんてヤバクない? (柳王・かたつむり) 
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◎今週の一句・ノルマなどあったらいい句作れない(大和三山)
◯二席・ああ今日もいい天気だね困ったね(大柳王・けんけん)
◯三席・友達のママの車はなぜ酔わぬ(名人・わこりん)

【お知らせ】
毎年北九州で行われてきた仲畑流万能川柳全国大会、今年も新聞紙上で開催します!!
【お題と選者】
「ページ」宮本佳則さん。
「自由」お鶴さん。「自由題」ではなく「自由」をのものを詠んでください。
「うまい」朝川渡さん。朝川さんは、昨年の年間大賞受賞者です。
そして、不肖タケシのお題は「脱ぐ」! 
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【編集後記】
まもなく1歳になる初孫が、昨日から保育園に行っています。
自分の子供のときはそうでもなかったのですが、
はじめて親元を離れる初孫のことを思うと、なんとも切ない。
お友達ができて、早く保育園になれるといいなあ。(タケシ拝)

○8月9日の放送  
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皆様、台風に気を付けましょうね!!
放送の音源・・・https://youtu.be/-crxe2Q82xM

【あさひろさんのボツのツボ】
先週ご紹介できなかった句から、あさひろさんイチ推しの句をご紹介!!
「夏の昼冷たい麺のローテーション」(ユリコ大柳王)

(皆さんの川柳)※敬称略  今週は187句の投稿がありました!
・締め切りが過ぎて名句が出来上がる(刑事ゴロンダ)
・夏休み川柳ひねり暇つぶし(名人 ・キジバト交通) 
・本当にヒョウで車が凹むんだ(柳王・春爺) 
・不美子嬢日本行くとき空けといて(名人 ・パリっ子)
・一句でき次が浮かんで消えている(遊子)
・全裸句に触発されてバレ句でき (せ・ら・び)
・生きている元気なうちに金遣え(柳王・平谷五七五)
・健康は恋とラジ川二刀流(名人・まご命) 
・消えるまでずっと見ていた朝の露(バレリア)
・有識者まず自転車にのらないよ(大名人・東海島田宿) 
・スマホより充電切れの我が夫婦(大名人・やんちゃん) 
・人生の73(波)に乗ってるあさひろ氏(柳王・かたつむり) 
・国会でシロアリ議員税を食む(渡辺治道)
・本当に外遊してた女性局(大和三山)
・ 一匹の蚊がふらふらぼくのよう(柳王・恋するサボテンちゃん) 
・かりそめの恋に似ている海の家(大名人・マルコ) 
・「そうめんでいいよ薬味はたっぷり」だあ!?(大名人・ワイン鍋)
・のろのろと進む台風夏バテか(じゅんちゃん)
・台風で帰れないまま一週間(大名人・はる)
・地元校地元の球児ごく僅か(名人・高橋永喜)
・プーさんにやきもちを焼き悲鳴あげ(柳王・アンリ) 
・眠れない暴風に家飛びそうで(名人・わこりん) 
・スーパーも金もすっからかんになり(大名人・美ら小雪)
・水分補給睡眠不足夜しっこ(柳王・里山わらび)
・ユヅ結婚ごめん相手はオラじゃない(名人・メン子)
・熱い句で師匠久喜会盛り上げる(大名人・じゅんじゅん) 
・貧乏と夏のエアコン暇がない(名人・おむすび) 
・ぜい肉を集めて重しDカップ(大名人・不美子)
・ゲスト来るよかった句会また久喜に(くろぽん)
・ クキセンでナンパしましたアン子さん(ナンパも名人・soji)
・会社こそヤだが一番避暑地かも(しゃま) 
・川柳の研修しましょパリっ子さん(全裸川柳家・そうそう)
・画面から飛び出し3年ぶり会えた(柳王・咲弥アン子)

☆タケシのヒント!
「コロナが明けて、久しぶりの再会を詠んだ句です。『飛び出し』の躍動感が良いですね。喜びがひしひしと伝わってきます。

・蚊に刺され慌てて塗ったアンメルツ(名人・のりりん) 
・納涼祭行けば真逆の人熱れ(柳王・フーマー)
・不要不急コロナ以外で聞いた夏(柳王・ぼうちゃん)

◎今週の一句・画面から飛び出し3年ぶり会えた(柳王・咲弥アン子)
◯二席・かりそめの恋に似ている海の家(大名人・マルコ) 
◯三席・蚊に刺され慌てて塗ったアンメルツ(名人・のりりん)

【お知らせ】
さあ、8月も9日になりました!
毎年夏の風物詩、TOTO「第19回トイレ川柳」、ただいま川柳を募集しています!!
今年こそはラジセンの常連さんから20万円の大賞が出るのではないかと
今から大いに楽しみにしていますので、ぜひぜひ頑張ってください!!  
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【編集後記】
先週末、埼玉県の久喜に行き、
句会に参加してきました。33名。4年ぶりでした。
ラジセン・ファミリーにもたくさんあってきましたよ。
泣いて喜んでくれる方もいて、こちらも感激してしまいました。
このままスッキリ、コロナが明けてくれるといいのですが。 
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水野タケシ(みずの・たけし)
1965年生まれ。コピーライター、川柳家。東京都出身。
ブログ「水野タケシの超万能川柳!!」http://ameblo.jp/takeshi-0719/ 


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