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日めくり汀女俳句 №81 [ことだま五七五]

八月二十五日~八月二十七日

   俳句・中村汀女・文  中村一枝

八月二十五日
晩涼やひとりは去りぬいさざよく
          『芽木威あり』 晩涼=夏
 この夏に別荘地の中でカモシカに出逢った。この辺は昔は野生動物が数多くいたが、今では、狐、狸、兎、鹿も折々見かけるが、カモシカは珍しい。
 犬を連れて歩いていると傍らの草原の中に何かが仔んでいる。一瞬剥製(はくせい)が置いてあるのかと思った。モミアゲがぼさぼさっとしていて鹿ではない。犬は少しも気がつかない。
 彼女(?)はほんの少し私と目を見交わした後くるりと踵を返しより深い森の方に歩いていった。
 あっ、カモシカだと思った途端不思議な感動が胸をつつんでいった。

八月二十六日
子供等が露を叩いてやって来し
           『汀女句集』 露=秋
 子どもの頃、私は世の父親たちが毎朝、白いワイシャツにカバンを提げ、決まった時間に家を出ていく姿をとても羨ましく眺めていた。
 私の父(尾崎士郎)は朝からドテラだの浴衣の裾を引きずって、酒だと言うこともある。玄関には客がきていて、朝ご飯も慌ただしい。
 父はほとんど毎日、机の前で原稿用紙を広げきびしい顔で小説を書いている。それでわが家の暮らしが成り立っているなど考えたこともなかった。ひたすら、背広を着て全社に通うお父さんに憧れた。いつかそういう人と結婚したいと、ずっと思っていた。

八月二十七日
晩涼や運河の波のややあらく
          『汀女句集』 晩涼=夏
 汀女の句の中でも秀句の評判が高い。汀女は随筆にこう書いている。
 ……私は車窓から見えたことを書きたくても句帳を出すことが気がひけ、又こんなに揺れてゐては書けさうになくて、やっと今出来た空席に腰をおろした主人にそっとたのみました。「波たかくでせうか、あらくでせうか」
 「たかくなんていはないよ。あらくだね」…‥
 汀女と重喜は、決して仲のいいばかりの夫婦ではなかったと思うが、こういう光景はほほ笑ましい。この頃重喜は、妻の俳句の才能をひそかに誇りにもし嬉しくもあったはず、只男尊女卑の肥後の男は表向きは渋い顔だった。

『日めくり汀女俳句』 邑書林


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草木塔 №87 [ことだま五七五]

旅心 3

       俳人  種田山頭火

   宇平居

 石に水を、春の夜にする


   福沢先生旧邸

 その土蔵はそのままに青木の実

 ひつそり蕗のとうここで休まう

 人に逢はなくなりてより山のてふてふ

 ふつとふるさとのことが山椒の芽

 どこでも死ねるからだで春風


『草木塔』 青空文庫

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読むラジオ万能川柳 №110 [ことだま五七五]

   読む「ラジオ万能川柳」プレミアム☆ 4月14日、21日、28日放送分

       川柳家・コピーライター  水野タケシ

川柳家・水野タケシがパーソナリティーをつとめる、
読んで楽しむ・聴いて楽しむ・創って楽しむ。エフエムさがみの「ラジオ万能川柳」、
2021年4月14日放送分です。

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久しぶりの雨。。。

「ラジオ万能川柳」は、エフエムさがみの朝の顔、竹中通義さん(柳名・あさひろ)が
キャスターをつとめる情報番組「モーニングワイド」で、
毎週水曜日9時5分から放送しています。
エフエムさがみ「ラジオ万能川柳」のホームページは、こちらから!
https://fm839.com/program/p00000281
放送の音源・・・https://youtu.be/X18R8Gx37tQ

【お知らせ・その1】
エフエムさがみでは、5月9日(日)の母の日に、
特別番組「お母さんありがとう」を放送します!!
この番組では今、「お母さんありがとう」の気持ちを込めた川柳を大募集中です!!

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https://youtu.be/X18R8Gx37tQ

(みなさんの川柳)※敬称略  今週は232句の投稿がありました!
・川おとを聴きたくなって春の土手(名人・重田愛子)
・ 4割も支持が有ったとホッとする(名人・キャサリン)
・FMいーにわ短歌の番組(恵庭弘)
・誕生日ごとに一つ外れる蝶番(翔のんまな)
・シワたるみプチ整形じゃ収まらず(くろぽん)
・ジイと呼び返事しないのうちのパパ(名人・六文銭)
・わこりんの10倍書いても句は載らず(美ら小雪)
・朝一番大谷選手見て楽し(模名理座)
・何もしてないのにゴキブリたたかれる(名人・わこりん)
・新学期みんなマスクで自己紹介(名人・やんちゃん)
・春なのに北の空にはなごり雪(ぶたのはなこ)
・手術より心配になる入院費(大名人・フーマー)
・ぽんぽんとたんぽぽ踊る散歩道(芭南南)
・新入りの人柄を見るマスク柄(せきぼー)

☆タケシのヒント!
「『メガネは顔の一部です。(実は私の叔父が作った)』というキャッチコピーがありましたが、今ならマスクですね。「新」がつく季節ならではのお見事な一句でした。」

・本当にうまいものには声が出ず(おむすび)
・思い出は心へ残す記憶術(大名人・ポテコ)
・赤福は賞味期限が短すぎ(柳王・平谷妙子)
・さあこれでCM殺到松山に(味野素子) 
・三度目の正直になれ禁足令(パリっ子)
・眠気飛ぶ感動くれた英樹君(クッピー)
・手を合わせさいごのおねがい言う園児(じゅんじゅん)
・シケタ賞シケているからこそ嬉し(辰五郎)
・美智子さまお元気ならばそれだけで(桐山榮壽)
・現状に満足したら光見え(名人・はる)
・プールにもゴルフ場にも神がいた(柳王・春爺)
・布団から起き出す前に詠む一句(soji)
・沖縄の風を感じるわこりん句(大柳王・ユリコ)
・社の愚痴をタケシ師匠にぶちまける(しゃま)
・諦めぬ心が大事いつの日も(柳王・けんけん)
・相模原夜に増えそう県跨ぎ(大名人・アンリ)
・春眠やマスクはみ出す大あくび(名人・マルコ)
・花粉症治まりホントの春到来(のりりん)
・そのうちに「お釣り」も死語になるんだね(咲弥アン子)
・人脈は広く友達ないタイプ(柳王・荻笑)
・ 5時だけどめざまし嬉しホーホケキョ(名人・ペンギン)
・たんぽぽの飛べぬ綿毛もやがて咲く(柳王・入り江わに)

☆あさひろさんのボツのツボ
「ラジオ万能川柳。アベマTVの見方を教わり「川柳居酒屋なつみ」を見ることができるようになりました。最近はタケシ師匠も松也さんやゲストからいじられているようですねぇ。師匠も、常連客の雰囲気で早く画面に登場してもらいたいものです!今週のボツの壺『居酒屋の師匠の出番少な過ぎ』居酒屋たつみ。」

◎今週の一句・新入りの人柄を見るマスク柄(せきぼー)
◯2席・思い出は心に残す記憶術(大名人・ポテコ)
◯3席・赤福は賞味期限が短すぎ(柳王・平谷妙子)

【お知らせ・その2】
 絶好調、アベマTVの「川柳居酒屋なつみ」、
 おかげさまで、「川柳居酒屋なつみ」も3年目に入りました!!ありがとうございます!!
 女性お笑い芸人、ヒコロヒー&吉住前編、ご覧いただけましたか? 

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【放送後記】
前にもお話ししましたが、4月5月と大きなイベントが続きます。
発表できるようになりましたら、当ブログでも告知させていただきますので、
どうぞ見逃さずにチェックしてくださいね!! (タケシ拝)

◆4月21日放送分です。 
 
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終わったらテレビ朝日に行きます〜す(汗)

放送の音源・・・https://youtu.be/fvhPtoHYS_M

(みなさんの川柳)※敬称略  今週は203句の投稿がありました!
・電子音に返事しながら台所(名人・重田愛子)
・返納し徒歩で健康無公害(まご命)
・いい加減この世におさらばしてコロナ(浮世っ子)
・ピッカピカ祖父の頭とランドセル(東孝案)
・Gなんか札幌地下街居るらしい(恵庭弘)
・マスターズアナまで泣いたその瞬間(初投稿・ぽこにゃん)
・ワクチンの接種できるか不安だな(模名理座)
・阪神が勝つと野球が盛り上がる(おむすび)
・タンポポの畑渡っているゴジラ(バレリア)
・ヨシとジョー成果おそろの黒マスク(柳王・光ターン)
・コロナでもめげずご主人会いに行く(名人・龍龍龍)
・素朴だがタケノコ飯は祖母の味(名人・やんちゃん)
・脛はかじらぬが遺産は考える(たごティ)
・メール句会頭がさがるまとめ役(大名人・東海島田宿)
・Amazonに指一本で本を出す(柳王・入り江わに)
・耐える日が強さになる日来ますよに(ワイン鍋)

☆タケシのヒント!
「実感そして大共感の一句。今日の日が、強さになると信じて、前向きに生きていきましょう。川柳でつながりましょう。」

・おばさんも頭撫でられたい時が(柳王・平谷妙子)
・木を見たら桜が咲いた春が来た(ぶたのはなこ)
・孫自慢するから負けず倍返し(じゅんじゅん)
・マスクせず大きく泳ぐ鯉のぼり(名人・キャサリン)
・女子アナの出産ニュース要らんやろ(名人・どんぶらこ)
・コート脱ぎ鶯色のストールを(芭南南)
・赤福が気になりまして一週間(大名人・かたつむり)
・口角を上げる練習マスク内(名人 ・ぼうちゃん)
・無人販売 不快なカメラ(名人・不美子)
・フィリップの良さを夫に力説し(大柳王・ユリコ)
・小田急会師匠の票に超歓喜(しゃま)
・ゴールデンウィーク仕事しようかな(soji)
・打ってないワクチン打ってくれる医療者(ひと)(名人・ペンギン)
・朝は冬昼間は真夏体調変(のりりん)
・お食い初めたくさん呑むとはしゃぐ爺(大名人・アンリ)
・私の眼盗んで時計早まわり(柳王・けんけん)
・人間が飲めないものを海が飲む(咲弥アン子)
・フォローされラジオネームにキュンとする(恋するサボテンちゃん)
・イラストが万柳文庫載る予定(辰五郎)

☆あさひろさんのボツのツボ
「ラジオ万能川柳。コロナ禍でもZOOM句会がお盛ん。川柳子は(平均年齢の割に)IT技術を使いこなしておられます。今週のボツの壺『当たらずも遠からずでしょその顔は』おむすび。幼いころよくおふくろに言われました。さ~て そこで来週は久しぶりのお題です。 母の日にちなんで“母”。秀作期待してます。」

◎今週の一句・耐える日が強さになる日来ますよに(ワイン鍋)
◯2席・打ってないワクチン打ってくれる医療者(ひと)(名人・ペンギン)
◯3席・人間が飲めないものを海が飲む(咲弥アン子)

【お知らせ】
毎日新聞の万能川柳クラブ事務局がzoomミーティングを使ったイベントを考えてくれました!
5月22日(土)14時から開催の「仲畑流万能川柳zoomファンミーティング」です!
仲畑さんはもちろん世界中から参加されますよ!
zoom未体験の方もどうぞお気軽にご参加くださいね!

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【放送後記】
のりりんさんの句にもありますが、朝晩と日中の気温差がきついですね。
今日はほぼ一日中働き詰めなので、体調管理にはいっそう気を使おうと思います。(タケシ拝)

◆○4月28日の放送  

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明日からゴールデンウィーク

放送の音源・・・https://youtu.be/fL0y-6Gzpdk

【お知らせ・その1】
ライフルホームズでは昨日より
「おうち時間あるある」の川柳を大募集中!!
私も審査に参加しますよ!!
投稿はツイッターからのみ。

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(みなさんの川柳)※敬称略  
今週はお題「お母さんありがとう」で179句の投稿がありました!
・夢の中母の姿は若き日の(がんにんぼうず)
・まだ起きてもう起きていたおっかさん(翔のんまな)
・三世代の母マトリョーシカの如く(味野素子)
・お見合いで母の笑顔に惚れた父(名人・やんちゃん)
・ミシンふみ服を作るよ夜明けまで(ぶたのはなこ)
・大自然全てが母のように見え(美ら小雪)
・これ食べろあれ持っていてそれが母(大名人・荻笑)
・母想う自慢の息子なれたかな(金☆玉三郎)
・未使用の肩もみ券を捨てぬ母(東孝案)
・母さんの小言の意味が分かる歳(恵庭弘)
・嫌だった母の小言が欲しくなる(まご命)
・母の味再現出来ぬカジキ照り(パリっ子)
・母の日に健康感謝墓参り(くろぽん)
・雨が降る迎えの母の傘ひとつ(じゅんじゅん)

☆タケシのヒント!
「じゅんじゅんさん、これで3回目の秀逸、名人昇進です。おめでとうございます。映像が見えてきて、雨の音も聞こえてきて、しかもお母さんのやさしさまで伝わってきます。素晴らしい句です。おめでとうございます。」

・わたくしの介護に耐えてくれた義母(たごティ)
・旨いのは母の握りし塩むすび(模名理座)
・ありがとう句が浮かばない親不孝(柳王・入り江わに)
・夢に出た母と話をしてみたい(名人・六文銭)
・母ちゃんと用もないのに呼んでみる(柳王・春爺)
・今日だけはお仏壇にもカーネーション(名人・どんぶらこ)
・児がくれた紙の指輪は宝物(名人・はる)
・母親の愛を感じた反抗期(大名人・アンリ)
・母だって試行錯誤の日々だった(ワイン鍋)
・母美人娘(オラ)が似たのは大根脚(ふといあし)(メン子)
・パソコンもスマホモなしに母独居(大名人・フーマー)
・鼻歌にハモってくるのうちの母(柳王・光ターン)
・別れ際母の握手が長くなる(名人・マルコ)
・カーネーションごときじゃ足りぬありがたさ(大名人・龍龍龍)
・親孝行母より長く生きたこと(soji)
・お煮しめと洗剤のにおいの割烹着(司会者=名人・あさひろ)

☆あさひろさんのボツのツボ
「ラジオ万能川柳。お題【お母さん ありがとう】に179句。シルバー世代も母の句は半世紀前の子供目線に戻り、その頃の“味と小言”は身に染みているようですね。ボツの壺『母の日と気付き電話を切る詐欺師』雷作。尊敬・感謝の表現の中にこの言葉がこようとは。特番『お母さんありがとう』は9日AM11時~。」

・臥す母が苺の匂い嗅ぎ笑う(咲弥アン子)
・母がしてくれる耳掻き好きでした(大柳王・ユリコ)
・母の日に贈ったセーター今わが身(初投稿・ のん)
・マダムジュジュだけでも綺麗だった母(柳王・けんけん)
・千里眼持っていたのねお母さん(名人・ペンギン)
・まだ言えぬ実家の母に倒産を(恋するサボテンちゃん)

◯今週の一句・雨が降る迎えの母の傘ひとつ(じゅんじゅん)
◯2席・わたくしの介護に耐えてくれた義母(たごティ)
◯3席・別れ際母の握手が長くなる(名人・マルコ)

【お知らせ・その2】
絶好調「川柳居酒屋なつみ」、
今週金曜日夜0時50分から、テレビ朝日で、
いま日本で一番忙しいお笑い芸人、
マヂカルラブリー前編が放送されます!!
後編はすぐ、アベマTVで放送されます!!
川柳も大変盛り上がりましたので、ぜひご覧くださいね!!

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【放送後記】
本当に残念なことに二年連続の緊急事態のゴールデンウィークとなってしまいました。
来年こそは外でパーーッ!と楽しjくやりたいなあ(タケシ拝)
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水野タケシ(みずの・たけし)
1965年生まれ。コピーライター、川柳家。東京都出身。
ブログ「水野タケシの超万能川柳!!」 http://ameblo.jp/takeshi-0719/ 










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渾斎随筆 №79 [ことだま五七五]

相馬黒光といふ人

          歌人  会津八一

 中村屋の老夫婦といふものは、二人とも揃って、今の世の中には珍しいやうな、すぐれた人だった。旦那さんの愛蔵君の方は、知的に物を考へぬいて、科學的な見きはめをつけて、理ぜめにものをして行く人だった。しかるに黒光の方は、感情的で、いつも何かの観念を持ってゐた人。それがよく調和して今日の中村屋を築き上げてゐた。
 その愛蔵君は昨年物故し今また黒光が亡くなったが、黒光の一生は、その無鉄砲を許した偉大なる亭主のお陰で、幸福だつたと思ふ。よく世間でロシアの革命家エロシュンコを助けてやるために、自分の家を守ってゐたといふけれども、それはもちろん、愛蔵君の強い意思で時の警視廰と闘ったのだが、内部的には黒光が原動力であったのだ。その次には、印度の獨立運動を助けるため、運動の志士故ビバリ・ボースの日本亡命中あらゆる援助を惜しまなかったし、金だけでなく、自分の娘までボースに与えて興えて励ましてゐる。印度の獨立といふことは、支配者である英國にむかつて謀反させることなんだから、時の政府の顔色も良くない。それを實に烈しい感情と深い信念で押しとほしたのだ。
 もともと中村屋の若主人を中学で教へてゐた時、うんと叱って落第させたことがある。すると愛蔵君と黒光が夫婦して訪ねて来て禮をいった。いさざよく落第させて、それを非常な徳としてゐるのであった。現在、若主人は立派な人で私を親のやうに尊敬してくれるが、その両親のやうな態度は、ワイロ入学の横行する現在諸人の大いに範としてよいことだらう。それ以来、戦災で焼け出されて新潟へ引移った現在も、親交を続けてゐる。最後に會ったのは昨年十二月上京した時だが、老い果てたそのころでも、黒光は私にあふと、一時間でも二時間でも議論をし、いろいろなことを問うては議論して喜んでゐた。とにかく義侠的な人だし権威に負けず、思つたとほりにやりとげる人だつた。文章もうまかつた。
 昨年中國の李徳全がきた時、一個人が面會するプログラムはなかつたが、やかましく面會を申入れてそれを實現してゐる。黒光は李徳全のことを責任感を持つた大きい人物だと賞めてゐたが、これは新潟の人にはちよつとできない藝當だらう。その際、日本の贈物として私の書「泥土放光」の四字が入った皿を贈ったが「どうでせう?」といふから「それはよかつた」と答へたら喜んでゐた。いつか来た印度のパンディット女史にも同様面會してゐる。
 若いころの黒光はコチコチのクリスチャンだった。人間性といふか、人類愛のもととなつてゐるクリスチャニティーに徹してゐたが、晩年は佛数(浄土宗)に帰依して、佛数學者としての私によく質問を出した。毎日お経をあげてゐたし、戒名を私につけてくれと頼んだりした。年をとつてからは、人類愛とはちよつと違った「この國」といふ気特に依存してゐたが、その信念と力強さはちっとも變らなかつた。市川房枝や紳近市子などがよく訪ねてゐたが、時代が達へば代議士にもなった人だらう。晩年老夫婦が住んでゐた調布の自宅の門には、私の書いた「黒光庵」の文字がかかつてゐる。(『新潟日報』昭和三十年三月五日)

『会津八一全集』 中央公論社


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日めくり汀女俳句 №80 [ことだま五七五]

八月二十二日~八月二十四日

    俳句  中村汀女・文  中村一枝

八月二十二日
稲妻のゆたかなる夜も寝べきころ
           『春雪』 稲妻=秋

 昭和二十二、三年頃の話だろうか。汀女と、作家大谷藤子が、下北沢の路上でつかみかからんばかりの喧嘩をしていたというのを読んだことがある。富本一枝をめぐっての女の戦いという風に書かれていた。汀女が女の人、それも綺麗な人、才能のある人を好きだったことは間違いない。大腸がんの手術を執刀した女医さん宛ての手紙など、感謝と綿々たる愛情があふれていた。だからといって同性愛の傾向があったとは言い切れない。汀女のそれはいかにも熊本的、直情径行、おどろおどろしさがまったくない。

八月二十三日
休暇はや白朝顔に雨斜め
         『春雪』 朝顔=秋

 今年の夏はまさに猛暑だった。今日二十三日は処暑、そうこうしているうちに暑さもしのぎやすくなるということか。
 八ヶ岳と東京との間を時折往復した。新宿駅に降り立った瞬間、暑いよりも何ともいえない空気のよどみが鼻をついた。私はいつもこんな空気を吸っていたのか。
 熊本の夏は暑いというが、空気は清澄。暑さの質が違うだろう。空気と水。人間が生きるのに、一番必要なのに一番なおざりにされている。都会の人間の肺は真っ黒だろうというのは実感である。そこに生きている人の多いこと。

八月二十四日
来し方に人現はれぬ丘の秋
          『汀女句集』 秋=秋

 二十日を過ぎると、別荘地は急に閑散とし てくる。子供の自転車が軒下に放り出され、虫とりの龍が転がっていて夏の日は、はや過ぎたことを思わせる。私はこの土地が好きで半分永住したいくらいで家を持ったが、大方の人は夏の一時の避難場所としてやってくる。
 広壮な大きい家を建てた人ほど建てた年はにぎにぎしく車があふれ、人のさざめきも聞こえるが、二年、三年たつうちに、ほとんどこなくなる。
 セカンドハウスブームという。上っ面の風に乗って家を建てた者はまた、風の如く去る。

[『日めくり汀女俳句』 邑書林

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草木塔 №86 [ことだま五七五]

旅心 2

          俳人  種田山頭火

    行旅病

  霜しろくころりと死んでゐる

    
老ルンペンと共に

  草をしいておべんたう分けて食べて右左

  朝のひかりへ蒔いておいて旅立つ

  ちよいと渡してもらふ早春のさざなみ

  なんとうまさうなものばかりがシヨウヰンドウ


『草木塔」 青空文庫


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読む「ラジオ万能川柳」プレミアム №109 [ことだま五七五]

    読む「ラジオ万能川柳」プレミアム☆ 3月31日、4月7日放送分

       川柳家・コピーライター  水野タケシ

川柳家・水野タケシがパーソナリティーをつとめる、
読んで楽しむ・聴いて楽しむ・創って楽しむ。エフエムさがみの「ラジオ万能川柳」
2021年3月31日放送分です。
  
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明日からは新年度!

「ラジオ万能川柳」は、エフエムさがみの朝の顔、竹中通義さん(柳名・あさひろ)が
キャスターをつとめる情報番組「モーニングワイド」で、
毎週水曜日9時5分から放送しています。
エフエムさがみ「ラジオ万能川柳」のホームページは、こちらから!
https://fm839.com/program/p00000281
放送の音源・・・https://youtu.be/SPestZoFL14

【お知らせ・その1】
エフエムさがみでは、5月9日(日)の母の日に、
特別番組「お母さんありがとう」を放送します!!
この番組では今、「お母さんありがとう」の気持ちを込めた川柳を大募集中です!!

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(みなさんの川柳)※敬称略 今週は198句の投稿がありました!
・風が何ささやいたのか花が散る(名人・重田愛子)
・ポテコさん遅くなったけどおめでとさん(恵庭弘)
・一人もの自由な暮らし気も引ける(くろぽん)
・無理に聖火を燃やしても気持ち燃えないな(柳王・ 雷作)
・漫画には名言だらけで救われる(金武太郎丸)
・ありがとうありがとうしか言えないが… (名人・和こころ)
・幸福の底にも何処かある不安(バレリア)
・それぞれの子に夢があり卒業式(名人・やんちゃん)
・マンボウを人の流れに放す国(せきぼー)
・パソコンがメンテひねもすのたりかな(大名人・龍龍龍)
・トーチキス初体験です聖火消え(大名人・東海島田宿)
・三四郎突然の死に絶句した(ベルマーレあんちゃん)
・引退も復活も皆モンゴルか(soji)
・ミャンマーの市民を思いつつ花見(大名人・荻笑)

☆タケシのヒント!
「荻笑さん、7つ目の秀逸で柳王昇進です。おめでとうございます。弾圧が続くミャンマーを憂う作者です。コロナ禍ですがお花見ができる日本は幸せですね。」

・打てなくて辞めた選手がなるコーチ(名人・グランパ)
・ゆったりとサンシン響くお豆腐屋(美ら小雪)
・掘って舗装掘って舗装の年度末(ワイン鍋)
・腰痛く何も頭に入らない(大名人・平谷妙子)
・映像がスローモーションしてこけた(じゅんじゅん)
・やめようと思ったことがない川柳(模名理座)
・叱られて手術血圧190(大名人・フーマー)
・春はおしゃべり花も小鳥も人間も(翔のんまな)
・沿道に密密密の警備員(柳王・光ターン)
・花びらを追いかけ風になる園児(柳王・けんけん)
・モノクロは色が無いから鮮やかだ(名人・ペンギン)
・縁側の猫の長さは温度計(名人・不美子)
・嬉しいな!今年もヤモリ現れて(のりりん)
・気になるわ沖縄のぬれちんすこう(大柳王・ユリコ)
・生きているテレビの中で志村けん(大名人・アンリ)
・sojiさん見つけ!とフォローツイッター(しゃま)
・見る度に髪型違う菅田将暉(咲弥アン子)
・パンジーがそろって私のほう見てる(名人・ぼうちゃん)
・黄砂来て桜並木の色を奪う(名人・マルコ)
・お月様きれいよ!電話くれる友(大名人・かたつむり)
・失恋のおかげラッキー今の妻(名人・どんぶらこ)

☆あさひろさんのボツのツボ
「ラジオ万能川柳。大相撲春場所は優勝した照ノ富士よりも向こう正面の端正な座り姿が素晴らしい妙齢の女性に注目が。そして先週はスマホ用語を北九州のマルコさんに教えてもらいました。“スクショ”!という語。ジュクジョならわかるんだけどね~。ボツの壺『ツイキャスとインスタライブの違い何』恵庭弘」

◎今週の一句・ミャンマーの市民を思いつつ花見(大名人・荻笑)
◯2席・春はおしゃべり花も小鳥も人間も(翔のんまな)
◯3席・マンボウを人の流れに放す国(せきぼー)

【お知らせ・その2】
絶好調、テレビ朝日の「川柳居酒屋なつみ」、
今週2日は、夜9時からアベマTVで放送されます!!
今回のゲストもミュージカル俳優で歌手の山崎育三郎さんです。

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松也さんと親しいんですね。親友同士ということで大いに盛り上がりました!!
もちろん、川柳もたっぷり紹介しますので、こちらもお楽しみに!!

【放送後記】
明日から新年度、
私のまわりでもいろいろと新しいことがスタートします!!
体調に気をつけて楽しくがんばります!! (タケシ拝)  

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◆4月7日の放送です 

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花冷えの相模原。。。

放送の音源・・・https://youtu.be/OZwXU63jCcA

(みなさんの川柳)※敬称略 今週は223句の投稿がありました!
 ・一番を狙った投句8時5分(パリっ子)
・金持ちに限ってケチな人多い(模名理座)
・どんな世も花は季節を忘れない(名人・重田愛子)
・お祭りをエアーで楽しむ839 (まんじゅうこわい)
・ウグイスの声はすれども姿見ず(東孝案)
・同句載り才能ありと錯覚し(くろぽん)
・4月から短歌のラジオ番組す(恵庭弘)
・シーサーと目が合い私にらまれる(名人・わこりん)
・マスクなら歯に青のりも分かるまい(ぽこにゃん)
・優勝旗さがみに見事ホームイン(せきぼー)
・同じ酒今夜も同じ味安堵(大名人・龍龍龍)
・日本中璃花子と泣いた夕餉どき(柳王・光ターン)
・北国はさくらはまだまだ咲きません(初投稿・ぶたのはなこ)
・カレンダー2枚はがしたよな気候(柳王・雷作)
・断捨離を決めた次の日服を買う(芭南南)
・シーフード料理と思うちくわ天(名人・ぼうちゃん)
・詠んでみて出す句寝かす句消しちゃう句(ワイン鍋)
・悩みます謙虚に自信持て言われ(じゅんじゅん)
・春の月揺れて音する午前ニ時(柳王・平谷妙子)
・蝶とまる少し開いてる鰐の口(柳王・入り江わに)

☆タケシのヒント!
「映像的で想像がいろいろと広がる句です。あなたはこの句から何を感じますか。」

・休みたい日もあるだろう冷蔵庫(新柳王・荻笑)
・春制覇地元相模が盛り上がり(つや姫)
・ひと雨ごとにせまりくる山(大名人・かたつむり)  

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・春だからつい買っちゃうの桜味(大柳王・ユリコ)
・お役所の書類にクセで歳サバし(名人・不美子)
・橋田さん沢山名作ありがとう(ベルマーレあんちゃん)
・窓からはサクラつまみはホタルイカ(soji)
・春なのに目覚めないまま青大将(柳王・けんけん)
・漫画さえ白旗あげるオオタニサン(クッピー)
・返り咲く不撓不屈の泳ぐ華(黒耀舎)
・また「おしん」じっくり見たくなってきた(のりりん)
・入籍日芸人らしく四月馬鹿(大名人・アンリ)
・テーズより強いと思ったサワムラー(大名人・フーマー)
・満開のラジオにお茶と桜もち(里山わらび)
・空気まで洗ってくれたような雨(名人・ペンギン)
・名優が北の国から天国へ(よっきゅん)

☆あさひろさんのボツのツボ
「ラジオ万能川柳。独特な存在感のある俳優の田中邦衛さんの訃報。追悼句も多数。今週、タケシ師匠が入選に選んだ句はいづれも春本番の季節が感じられる映像的な句でした。ボツの壺『お隣へ回覧なのに要るマスク』翔のんまな。翔のんまなさんのラジオネームの意味が判明!愛する者たちへのオマージュ?。」

◎今週の一句・蝶とまる少し開いてる鰐の口(柳王・入り江わに)
◯2席・断捨離を決めた次の日服を買う(芭南南)
◯3席・春の月揺れて音する午前ニ時(柳王・平谷妙子)

【お知らせ・その2】
絶好調、アベマTVの「川柳居酒屋なつみ」、
山崎育三郎さん後編、ご覧いただけましたか?
おかげさまで、「川柳居酒屋なつみ」も3年目に入りました!!
ありがとうございます!!
というわけで、先日また収録があって、テレビ朝日本社に行ってまいりました!!
今回のゲストは今注目の女性芸人、吉住さんとヒコロヒーさんでした!!  

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 【放送後記】
少しずつ、少しずつではありますが、ワクチンの話を聞くようになってきました。
4月5月6月と、スムーズに行き渡るといいのですが。 (タケシ拝)
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水野タケシ(みずの・たけし)
1965年生まれ。コピーライター、川柳家。東京都出身。

ブログ「水野タケシの超万能川柳!!」 http://ameblo.jp/takeshi-0719/ 










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往きは良い良い、帰りは……物語 №93 [ことだま五七五]

往きは良い良い、帰りは……物語
こふみ会通信 №93 (コロナ禍による在宅句会 その8)
「若鮎」「水温む」「東風(こち)」「3・11」
                俳句・こふみ会同人・コピーライター  多比羅 孝

当番幹事さん(舞蹴&下戸氏)から連名で≪令和3年3月の句会≫の案内が届きました。

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●日程:本日(3月1日)出題
    ・3月8日(月)~10日(水)の間で投句を。
    ・14日頃、投句リストを返信。
    ・15日(月)~17日(水)の間で選句を。
     天句にはコメントをお願いします。
    ・3月21日(日)午後1時に、結果発表予定。
●兼題:  ①【若鮎】
      ②【水温む】
      ③【東風(こち)】
      ④【3.11】 無季。季語を選んで作句を。
●投句先:マイケル(nagai@paradisetokyo.com〉                   
          下戸〈kisoji2025@gmail.com〉

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【通知によって作成・投句された今回の全作品】 17名  68句

<若鮎>
若鮎がくるりと跳ねて山は晴れ(一遅)
堰(せき)挑む若鮎の背虹かかる(茘子)
空青し川青し風青し鮎青し(矢太)
釣り上げし若鮎を流れに返す人(孝多)
若鮎の宙を飛びゆく調布堰(すかんぽ)
若鮎の食み跡薄し岩の苔(可不可)
パシャーッ!若鮎が・璃花子が跳ねる
若鮎や背越しに抜ける京の風(小文)
若鮎よ食べ頃というおそろしさ(兎子)
若鮎のカステラが好き求肥も好き(尚哉)
群れるほど若鮎たちの美しき(下戸)
魚道のぼる若鮎命きらめかせ(弥生)
若鮎やすでにはらわたほろ苦き(虚視)
若鮎は息を溜めつつ跳ぶを待ち(華松)
若鮎を汲みし川面に水光る(玲滴)
若鮎のぱしゃぱしゃ跳ねて姿無し(舞蹴)
若鮎は右に左に水草の川(紅螺)

<水温む>
寝続けて許されるよに水温む(兎子)
足かけて甕のぞく猫水温む(弥生)
犬と猿どっちもどっち水温む(下戸)
人々の噂話や水温む(舞蹴)
水温む金魚よタンゴを踊ろうよ(茘子)
水温みザブザブ音立て濯ぎたり(華松)
水温む・・北極海の薄氷(鬼禿)
水温む天地に万物育ぐくまる(孝多)
水ゆるむ体の森をゆるゆると(矢太)
水温む柱時計のボーンボン(虚視)
水温む日ごと延びるや散歩道(小文)
ぬか漬けを切る朝楽し水温む(一遅)
太陽をぐるり一周水温む(すかんぽ)
水温み理系男子も薄化粧(紅螺)
水温み一週分の髭を剃る(可不可)
水温む今日猪苗代のあたりまで(尚哉)
閉園の昭和の池も水温む(玲滴)

<東風(こち)>
東風吹けば山軽々と降りてくる(矢太)
朝東風をぐいぐい進むおさげ髪(すかんぽ)
強東風に襟かきあはす逢瀬かな(弥生)
東風に載せ届けやりたきふれ太鼓(尚哉)
天神の杜(やしろ)の絵馬の東風の梅(孝多)
東風ぬける湯島天神男坂(鬼禿)
東風吹けば礼拝堂の風見鶏(紅螺)
おかえりと風鈴鳴らす東風の家(下戸)
人絶えし雑踏の街東風の吹き(虚視)
朝東風や襟元押さえ駅急ぐ(小文)
東風吹いてさっちゃんそろそろ三輪車(一遅)
東風の色花粉をまぶして薄黄かな(華松)
東風吹きて錆つきし胸ギイと鳴る(茘子)
東風吹いて今年は孫も高校生(玲滴)
石を捨て枯れ草を焼き東風がくる(兎子)
東風吹くや天婦羅さらっと軽く揚げ(可不可)
東風吹いて式終えし子の安堵かな(舞蹴)

<3・11>
振り返る十年振り返れぬ十年3.11(一遅)
3月や神はいまだに現れず(矢太)
海底(みなそこ)へ許せ許せと桃の花(茘子)
春だっちゃ? 春が来たっちゃ3.11(尚哉)
トモダチを3.11 忘れない(下戸)
生き延びし婆は種蒔く丘の上(すかんぽ)
3・11 拾ふ記憶の桜貝(小文)
10 年の日曜大工か3.11(華松)
憐むな3.11 地虫出づ(兎子)
3・11 今なお癒えず春の雨(孝多)
すがた無き人行き交いて春浅し(虚視)
逝きし人まだここにおわす3・11(紅螺)
黒い波帰れぬ故郷三一一(舞蹴)
3・11 あの日から雪降り止まぬ水の底(鬼禿)
コロナ禍に3・11を生きる春(玲滴)
悲しみの色は鈍色春の海(可不可)
余震なほ3.11 傷深きかな(弥生)

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【天句鑑賞】

●強東風に襟かきあはす逢瀬かな【弥生】
・色っぽい!和服の似合う美しい女性。逢瀬羨ましいな〜。故・安西水丸さんの句のようで好きです!(舞蹴)
・色気のある句。東風が吹いているときに、なにをしてるの、と思われても止まらない逢瀬かな。(下戸)

●東風吹きて錆びつきし胸ギイと鳴る【茘子】
・さまざまなものを目覚めさせる東風。作者もまた、遠い日の何かが心の中に目覚めたのでしょうか。中七下五が絶妙と感じました。ただ、投句は半角空けになっていますが、意図なき文字間空けは本来無用と存じます。(すかんぽ)

●水温む金魚よタンゴを踊ろうよ【茘子】
・大胆な視線で意表をついた。なんともアナーキーでいいなあ。(矢太)
・翻る金魚の裳裾からタンゴへの飛躍。窓辺の金魚鉢は光煌めくクリスタルのホールに。素敵だ。(虚視)
・見事な擬人法です。「水」は空気、「金魚」は赤いドレスを着た美人。佳句をお示し頂き、誠に有難うございました。(孝多)

●すがた無き人行き交いて春浅し【虚視】
・図らずも整理番号311。この句を筆頭に上位5句すべて「311」から選びました。この兼題は実にタイムリーで作句時期いやでも被災の現場に追いやられました各人のあの時の実感を直に表現されたいい句多かったようです。中でもこの天句は今回私が見た「現場取材の映像」の奥に必ず居た『すがた無き人々』の実像(霊?)でしょう。「悲しく切ないなんとも優しい寒春の詩」をありがとう。(鬼禿)

●水温む今日猪苗代のあたりまで【尚哉】
・修辞の面白さ、作者のおおらかな行動範囲、ロードムービーならぬロード俳句の名作だと感じました。(一遅)
・水を張った田んぼが見えるようです。[苗代]の選択に脱帽です。(華松)

●生き延びし婆はタネ蒔く丘の上【すかんぽ】
・映像が大きく広がります。この10年過ごした婆の心が、生き延びしの言葉で引き出されてきます。背を丸めてタネを蒔く、婆の背景の空の色まで感じさせてくれる。深い、深い句だと思います。素晴らしい!(茘子)
・私の知人は亡くなられましたけれど、この方は助かって本当によかった。種蒔いて明るい未来を感じます涙が出そうないい句です(紅螺)

●東風ぬける湯島天神男坂【鬼禿】
・東風というと誰でも「東風吹かば…」の歌と道真、天神様が浮かぶと思いますが、そこに男坂をもってきたことで句がしまり、格調高くなったのではないでしょうか。音読した時のリズムも美しいと思います。(弥生)

●若鮎やすでにはらわたほろ苦き【虚視】
・「若さ」は全てがポジティブで肯定されるべきものであると描かれがちだけれど、そこにはやはり、現在と未来に対する憂いがある。そのことを思いおこしました。(兎子)
・いかにも鮎好きの人の句だなぁーと。(可不可)
●海底へ許せ許せと桃の花【茘子】
・帰らぬ人を助けられなかった自責の念。それでも何事も無かったかのように四季は巡り
春は来る。人間は無力である。(小文)

●水温み一週分の髭を剃る【可不可】
・無為自然の境地。漢詩の世界にも通じます。(尚哉)

●空青し川青し風青し鮎青し【矢太】
・青をたたみかけることで、爽やかな季節の到来を感じます。(玲滴)

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【今月の成績一覧】
トータルの天=茘子・54点
    代表句=水温む金魚よタンゴを踊ろうよ
トータルの地=虚視・48点
    代表句=すがた無き人行き交いて春浅し
トータルの人=可不可・45点
    代表句=若鮎の食み跡薄し岩の苔
トータルの次点=すかんぽ・39点
    代表句=朝東風をぐいぐい進むおさげ髪
  ◆秀句沢山! 皆さん、おめでとうございました。◆

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ところで先日、面白い記事を、某俳句雑誌で読みました。その句は、このブログ上では伏字ですが、漢字まじりの≪△△の△△の△△△の△≫という句です。つまり、一句中に「の」が三つ。あとは名詞のみで、形容詞も動詞も無いという一句。勉強になります、という紹介。
そこで申しあげますが、実は、私・孝多の今月の「東風」の句には「の」が四つです。はっきりと意識して創りました。
何か、汲むところ、ありましたでしょうか・・・。          (孝多)
 

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日めくり汀女俳句 №79 [ことだま五七五]

八月十九日~八月二十一日

    俳句  中村汀女・文  中村一枝

八月十九日
ややあれば茂'(しげり)離るる風の筋
             『紅白梅』 茂=夏

「外にも出よふるるばかりに春の月」汀女の句の中でも評判が高い。私も大好きな句だ。
初めてこの句を見た時私は何だか、食べられそうに大きい柔らかな月が、手の届く所にあ
る気がしたものだ。
 汀女がこれを作った昭和二十一年は、きびしい食糧難のさなか。汀女はとうもろこし粉
で作るドーナツ型のパンを焼くのだけは得意だったそうだ。戦前は高級官僚で何不自由な
い暮らしだった中村家も、公職追放でヤミ米の買い出しにも行った。日常のひもじさとは
まったく別の所で、豊かに生きている汀女に驚く。

八月二十日
夕蝉のいつほどとなく日のつまる
           『春雪』 蝉=夏

 涼しい所に住んでいると、夏の暑さのしのぎやすさは格別だが、秋が目に見えぬ速さで
近づいてくるのも、山の上ならではの事だ。
 風立ちぬ、ではないけれど、ある日頬をなぶる風の中に微妙な何かが通り過ぎる。高地
とは言え、戸外の気温は三十度近く強烈な紫外線が肌にちりちりする。その日光の中に一
抹の秋の匂いが。朝、夕の気温がある日ぐんと下がり始めれば、それはもう確実、山に秋
がきたのだ。長く厳しい冬に比べて何と短かく華やかな夏の日々、木々の葉が黄ばんでく
る。
 ほんの束の間の夏だからこそ、寒い所に住む人々は盛夏の輝きを人一倍大事にするのだ。

八月二十一日
雨の日は夏寒ざむと巴里の路地
          『薔薇粧ふ』 夏寒=夏

 汀女がヨーロッパ旅行に行ったのは四十四年の初夏、六十九歳の時である。出発するま
での過労が集ったのか、途中倒れて、パリのパッシー病院に入院した。そこでの待遇はま
さに貴婦人扱いで、院長先生ほうやうやしく汀女の手をとり、手の甲にキスをして礼をつ
くした。そのとき、パリ在住の私の友人が案内をした。靴屋さんがたくさんあるのね、と
目を丸くし、みんな靴をはいている、とこれまた素直な感想。ケーキ屋さんがいっぱいあ
るとまた目を見張る。年齢を超えた新鮮な好奇心にびっくりしたそうだ。

『日めくり汀女俳句』 邑書林


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草木塔 №85 [ことだま五七五]

旅心 1

          俳人  種田山頭火

 葦の穂風の行きたい方へ行く

 身にちかく水のながれくる

 どこからともなく雲が出て来て秋の雲

 飯のうまさが青い青い空

 ごろりと草に、ふんどしかわいた

 をなごやは夜がまだ明けない葉柳並木

 秋風、行きたい方へ行けるところまで

 ビルとビルとのすきまから見えて山の青さよ

 朝の雨の石をしめすほど


『草木塔』 青空文庫

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読む「ラジオ万能川柳」プレミアム №108 [ことだま五七五]

     読む「ラジオ万能川柳」プレミアム☆ 3月17日、24日放送分

          川柳家。コピーライター  水野タケシ

川柳家・水野タケシがパーソナリティーをつとめる、
読んで楽しむ・聴いて楽しむ・創って楽しむ。エフエムさがみの「ラジオ万能川柳」
2021年3月17日放送分です。11  

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桜が咲き始めました!!

「ラジオ万能川柳」は、エフエムさがみの朝の顔、竹中通義さん(柳名・あさひろ)が
キャスターをつとめる情報番組「モーニングワイド」で、
毎週水曜日9時5分から放送しています。
エフエムさがみ「ラジオ万能川柳」のホームページは、こちらから!
https://fm839.com/program/p00000281
放送の音源・・・https://youtu.be/6ouhEBrGaLs

【質問】
いつも有り難うございます。今日は些細な質問ですがお願いできますか?
添削の例句に「今朝も又叱られちゃった鏡から」という句がありました。
「叱られちゃった 」 のように「行っちゃった」「 見ーちゃった 」「 ちょっとだけ」 と、
私はよくこの小さい「  っ 」 を使ってしまいますが、
こういう時は何か他の言葉を探した方がいいのてしょうか?(けんけんさん)
https://youtu.be/6ouhEBrGaLs

(みなさんの川柳)※敬称略 今週は182句の投稿がありました!
・シャトルバスVIP待遇俺1人(まご命)
・しゃまさんの一日俺のニ年間(パリっ子)
・コクられて相思相愛孫と俺(東孝安)
・「うっせえ」と言われた頃が懐かしい(名人・重田愛子)
・川柳と歩いてく何処に住もうとも(美ら小雪)
・周り見ずにおしゃべりしてた観覧車(模名理座)
・ふるさとは近くて遠き春彼岸(名人・やんちゃん)
・青リボン胸ですっかり色が褪せ(翔のんまな)
・腹をポン音で体重ピタリ当て(くろぽん)
・訳もなく涙流るる時もある(恵庭弘)
・辛いわあヘンな自分とお付き合い(大名人・平谷妙子)

☆タケシのヒント!
「平谷さん7つめの秀逸で見事、柳王に昇進です。おめでとうございます!ヘンじゃない人の方がよっぽどヘン。早く気づいてよかったですね!みんなヘンなんですから、そのヘンさを愛していきましょう。」

・会議では決まり後から出る文句(おむすび)
・しみじみと校歌を歌う卒業式(大名人・荻笑)
・伝わらない早口小声多い父(大名人・ポテコ)
・スーパーでよそ見運転するカート(大名人・アンリ)
・祝杯のグラス合わせる音恋し(ワイン鍋)
・いちご咲くケーキ屋通過ダイエット(初投稿・芭南南)
・7億のギャラに見合った大爆露(大柳王・ユリコ)
・眠れない夜にそなえて昼寝する(じゅんじゅん)
・これ息子母も女だホワイトデー(柳王・入り江わに)
・「けんけんに会いたかった」と年下が(柳王・けんけん)
・ヒトの身が花粉ごときに蝕まれ(名人・不美子)
・気がつけば両手に花の準大賞(soji)
・去年の巣下見にやって来たツバメ(名人・はる)
・仕事まで雪崩なんです年度末(しゃま)
・使途不明ウチじやあ1000円大問題(のりりん)
・えええええ?真っ正面にワンピース(大名人・かたつむり)
・人間も花粉も散歩する弥生(咲弥アン子)
・朝一番病院行けば帰り2時…入院へ(大名人・フーマー)
・コロナ前の社会を知らぬ0歳児(名人・ぼうちゃん)
・目が合うとついて来るけどよその猫(里山わらび)
・高級なホテルでおいしいカップめん(名人・わこりん)
・もう待てぬさぁこれに貼って半額シール(まんじゅうこわい)
・怒られてもマスクの中であっかんべー(がんにんぼうず)
・コロナより文春怖い議員たち(クッピー)
・絶対に守りたいことあるこの世(バレリア)

☆あさひろさんのボツのツボ
「ラジオ万能川柳。相模原市消防局では市独自の「開花宣言」を16日に出しました。平年より10日、去年より2日早い開花。チェックする標準木は東京は“靖国神社” 相模原市は消防局近くのソメイヨシノ。基準は5~6輪が開花だそう。そこでボツの壺『4輪じゃダメだと帰る気象台』つや姫。FMHOT839の標準木。

◎今週の一句・辛いわあヘンな自分とお付き合い(大名人・平谷妙子)
◯2席・しみじみと校歌を歌う卒業式(大名人・荻笑)
◯3席・眠れない夜にそなえて昼寝する(じゅんじゅん)

【お知らせ】
私が今、東京・竹橋の毎日文化センターで主宰している句会は、
「仲畑流万能川柳句会」「はじめて川柳句会」「Zoom仲畑流万能川柳句会」の3つあります。
非常事態宣言が伸びてしまったので実際に教室で行う句会は
3月はステイホーム句会になってしまったのですが、
1月からスタートしたZoom仲畑流万能川柳句会は、通常通りそのまま行いますよ!!  
           
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【放送後記】
暑さ寒さも彼岸まで、といいますが、
暑くも寒くもなく、今が一番いい季節なのではないでしょうか。
早くコロナが収束して、何の憂いもなくお花見(酒)を楽しみたいのものです。(タケシ拝)

◆3月24日放送分です。 

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緊急事態が解除されてもまだ用心!!

放送の音源・・・https://youtu.be/5H_X6_w2B6o

【お知らせ・その1】
緊急事態宣言もあけまして、少しずつ日常を取り戻してる感じですね。
やっと対面も打ち合わせもOKになり、
明日も東京で打ち合わせがあります。
私のまわりでは4月から、それから5月くらいから新しい企画が2つぐらい決まっています。
その他にも皆さんをワクワクさせる刺激的な企画も目白押しですので、
川柳の最新情報はぜひ私のブログ、水野タケシの超万能川柳をチェックしてください!
https://youtu.be/5H_X6_w2B6o

(みなさんの川柳)※敬称略 今週は236句の投稿がありました!
・むつかしい話は要らん花の下(翔のんまな)
・ワンパクも注射のときはおとなしい(名人・グランパ)
・マンスリーならばホテルに住めるかも(おむすび)
・つつがなく過せた一日幸思う(くろぽん)
・子育ては「こうするのよ」とクロネコが(名人・重田愛子)
・誤解されたままに別れた友想い(模名理座)
・ボクなんか120句を6時間(恵庭弘)
・お花見は歩きながらのワンカップ(名人・六文銭)
・太陽に春が来るよと言われている(名人・和こころ)
・苦みにも甘さがあると分かる時(バレリア)
・九十の母にせがまれ美人の湯(名人・やんちゃん)
・ドラ1がもはや助っ人やん阪神(せきぼー)
・栃若が聞けば激怒のまた休場(大名人・東海島田宿)
・感染で観戦できぬ夏五輪(初投稿・ぽこにゃん)
・クラス会薬博士の談話会(まご命)
・情報があちこち漏れるLINEかな(居酒屋たつみ)
・安倍マリオ見たときからヤな予感した(ワイン鍋)
・カナリアも歌を忘れて自粛中(じゅんじゅん)
・あなただけはずっとマスクで黙ってて(恋するサボテンちゃん)

☆タケシのヒント!
「マスクいつまで?って記者に感じ悪く逆質問したあの人を詠んだ句です。もうすぐ選挙がありますから、選挙区の皆さん、よ〜〜く考えて投票してくださいね。」

・ヘンな人いなきゃこの世に進歩ない(柳王・光ターン)
・落ち着なぁホテルの人も訛ってる(美ら小雪)
・おいしいな宿題しながらちんすこう(名人・わこりん)
・暁にジョギングシューズの紐しめる(芭南南)
・北の富士ときどき力士の名を違え(新柳王・平谷妙子)
・地震あり揺れ方違うZoom句会(soji)
・五輪意義あったいろんな膿が出た(大名人・荻笑)
・褒められて総理会見上手くなる(柳王・けんけん)
・晴れの日に参列できぬじじとばば(柳王・入り江わに)
・ひさびさのメイクやだわぁ厚くなり(紗月めい)
・春の日にまぶしすぎますユニフォーム(大名人・かたつむり)  

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・おもろないダジャレも暴露された人(大柳王・ユリコ)
・セルフレジ未だに並ぶ勇気ない(りんご)
・期待より不安の多い花が咲き(大名人・アンリ)
・Zoom会ある方からのサプライズ(大名人・ポテコ)
・今週はタイムアップの轍踏まん(名人・ペンギン)
・夢の中名句できたがメモできず(咲弥アン子)
・合格のスクショ孫から届く春(名人・ マルコ)  

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☆あさひろさんのボツのツボ
「ラジオ万能川柳。今週も政治経済、スポーツ、ゴッシプから身近な話材まで、236の投句でした。マスクは何時までするの?「家に帰るまで」と誰かが。ボツの壺『正月の冷凍カズノコ今日食べた』のりりん。先日 あさひろ家も冷凍庫から去年夏収穫したインゲンが出てきました。冷蔵庫の隅何かが出てきます。」

◎今週の一句・あなただけはずっとマスクで黙ってて(恋するサボテンちゃん)
◯2席・九十の母にせがまれ美人の湯(名人・やんちゃん)
◯3席・五輪意義あったいろんな膿が出た(大名人・荻笑)

【お知らせ・その2】
好調、テレビ朝日の「川柳居酒屋なつみ」、
今週26日は、24時50分からテレビ朝日で放送されます!!
今回のゲストはミュージカル俳優で歌手の山崎育三郎さんです。

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松也さんと親しいんですね。親友同士ということで大いに盛り上がりました!!
もちろん、川柳もたっぷり紹介しますので、こちらもお楽しみに!!

【放送後記】
緊急事態は解除されましたが、じつはこれからが本当の「自粛」なのかも。
何はともあれ、ワクチンを受けるまでは(受けても)、まだまだ油断禁物ですね!(タケシ拝)
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水野タケシ(みずの・たけし)
1965年生まれ。コピーライター、川柳家。東京都出身。
ブログ「水野タケシの超万能川柳!!」 http://ameblo.jp/takeshi-0719/ 






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日めくり汀女俳句 №78 [ことだま五七五]

八月十六日~八月十八日

    句  中村汀女・文  中村一枝

八月十六日
踊唄やむとき塘は藻の匂ふ
        『汀女句集』 踊=秋

 お盆になると、江津糖は広場になったという。「寄進奉る」と墨で書いた行灯を男の子のいる家庭から一つずつ出した。普段糖は真っ暗だが、行灯の灯がともされるとばっと明るくなる。
 女の子は十五、十六歳。
 「あのや おハマさんはご器量だとてさぞや親ごはごほよだろ・・・
 三つ歩いて手をたたくという素朴な踊り。盆踊り歌に人の名が歌いこまれた。
 真っ暗な糖の上に並んだ行灯の火が湖面に映え、時々魚のはねる音がした。

八月十七日
月下美人灯影は闇を深うする
        『薔薇粧ふ』 月下美人=夏

 本棚でリリアン・ヘルマン著「ジュリア」を見つけた。汀女が好きだった本である。
 リリアンは劇作家だが、「ジュリア」は七つの短編から成る小説の一編。少女時代の親友ジュリアが恵まれた境遇を投げ捨て、反ナチスの運動にのめり込み殺されるまで、リリアンは「マルタの鷹」で知られるハードボイルドの始祖、ダシル・ハメットとずっと暮らしていた。
 汀女は映画も見、本も読み、ジュリアにのめり込んでいた。女が女を愛する、その妖しくも切ない情念を汀女は理解できる人だったと思ひつつ。

八月十八日
おいて来し子ほどに遠き蝉のあり
           『春雪』 蝉=夏

 最近の若いお父さん達の家族への奉仕ぶりは、涙ぐましきものがある。
 ソフトクリーム四つを両手にかけ込んできた父親。妻と子に一つずつ手渡し、残る一つを口に。垂れ下がる寸前のクリームをなめてほっとしていた。車の運転はお父さん。渋滞をかいくぐって避暑地の妻子の元へ。着くやいなや虫取り、買い物、庭仕事、喜々とこなしている。
 「よくやるねえ」。かつての若い父親、いまや爺様たちの歎息と羨望の入り混じった目。活力と可能性にあふれていた違い日。とてもたまらんと思いつつどこか淋しげである。

『日めくり汀女俳句』 邑書林


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草木塔 №84 [ことだま五七五]

孤寒 9

           俳人  種田山頭火

   自嘲

 初孫がうまれたさうな風鈴の鳴る

 雨を受けて桶いつぱいの美しい水

 飛んでいつぴき赤蛙

 げんのしようこのおのれひそかな花と咲く

 また一日がをはるとしてすこし夕焼けて

   更に改作(昭和十五年二月)

 草にすわり飯ばかりの飯をしみじみ

   行乞途上(改作追加)

 草にすわり飯ばかりの飯


『草木塔』 青空文庫


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詠む「ラジオ万能川柳」プレミアム №107 [ことだま五七五]

           読む「ラジオ万能川柳」プレミアム☆ 3月3日、10日放送分

        川柳家・コピーライター  水野タケシ

川柳家・水野タケシがパーソナリティーをつとめる、
読んで楽しむ・聴いて楽しむ・創って楽しむ。エフエムさがみの「ラジオ万能川柳」
2021年3月3日放送分です。
  
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花粉が舞う舞う相模原(涙)

「ラジオ万能川柳」は、エフエムさがみの朝の顔、竹中通義さん(柳名・あさひろ)が
キャスターをつとめる情報番組「モーニングワイド」で、
毎週水曜日9時5分から放送しています。
エフエムさがみ「ラジオ万能川柳」のホームページは、こちらから!
https://fm839.com/program/p00000281
放送の音源・・・https://youtu.be/Fu5cuz5OZ_A

【話題】
先週ポテコさんが「日南のコップ一杯氷だけ」「日南のコップ一杯氷だけ」
という句を詠んでくれました。
この句、のりりんさんがお勤めの宮崎は日南の井上酒造の
芋焼酎「飫肥杉」を詠んだものなんですね。
この井上酒造さん、じつはすごい会社なんです!!
http://www.obisugi.co.jp/
https://youtu.be/Fu5cuz5OZ_A

(みなさんの川柳)※敬称略 今週は202句の投稿がありました!
・幸せははいつも便座が温かい(模名理座)
・バレるまで記憶がないと言い逃れ(東孝案)
・安倍は嫁菅は息子がかき回す(初投稿・チャム)
・大柳王ユリコがさらに遠くなり(パリっ子)
・いつまでも老兵去らぬ永田町(おむすび)
・会食を広報してよ広報官(大名人・東海島田宿)
・足利の火傷を冷やす冬木立(外科系)
・歯が4本ぬけてとうとう10才に(名人・わこりん)
・7万でひと月食べる人もいる(柳王・雷作)
・使用済みティッシュでゴミ箱てんこもり(名人・キジバト交通)
・何故だろう俺の過ち時効なし(まご命)
・春だ春花粉だ花粉こりゃ辛い(まんじゅうこわい)
・晴天の琵琶湖最後に新記録(つや姫)
・嫁ぐ娘の幸せ願うお姫様(名人・やんちゃん)
・川柳が愚痴・ウツ・老いを蹴散らかす(翔のんまな)
・枡酒を呑むのがうまい外国人(柳王・入り江わに)  

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枡酒を飲むバレリアさん

・青アザを見つけたとたんに痛くなる(じゅんじゅん)
・目じゃないわ息子なんてと言っている(ワイン鍋)
・ココアってあま〜いアプリだったのね(soji)
・ATMおなかをこわさないだろうか(しゃま)
・マスクしたままで本人確認し(名人・ぼうちゃん)
・剣山で掻きむしりたい目の痒み(名人・不美子)
・アイドルのトイレ事情に驚愕し(大柳王・ユリコ)
・ポテコさん飲兵衛の句をありがとう(のりりん)
・福島は強いワタシは弱いけど(柳王・けんけん)
・いつまでも子供の寝顔みていたい(初投稿・ネガティブかあちゃん)
・狭すぎる掃除する時広すぎる(バレリア)
・婚活を諦めてない61 (恵庭弘)
・一億円残念だけど期限切れ(大名人・アンリ)
・合格発表やたら働くばあばです(大名人・かたつむり) 
 
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・Welcomeを下げてる家の無愛想(大名人・平谷妙子)
・流行ってもうっせーわとは言えません(恋するサボテンちゃん)
・日本新1億よりもあの笑顔(里山わらび)
・虫たちも動きはじめたもーいいかい? (ペンギン)

☆タケシのヒント!
「ペンギンさん、これで3回目の秀逸、名人昇進です。おめでとうございます。啓蟄に合わせて、緊急事態宣言を詠みました。もーいいかい?が可愛らしい。ペンギンさんならではの表現です。」

・入院をさせない罪とさせる罪(咲弥アン子)
・この春で卒業したいよコロナから(よっきゅん)

☆あさひろさんのボツのツボ
「ラジオ万能川柳。今週は、雛祭り、啓蟄など春本番の句材も多くありました。七万円接待関連句は今週も。さて確定申告のシーズン。今年から変更点もあり、複雑怪奇な手引書と格闘する人も。ボツの壺『パズル解くような手引書申告書』重田愛子。同感。あさひろも老眼鏡に拡大鏡を片手に謎解きに悪戦苦闘!」

◎今週の一句・虫たちも動きはじめたもーいいかい? (ペンギン)
◯2席・福島は強いワタシは弱いけど(柳王・けんけん)
◯3席・狭すぎる掃除する時広すぎる(バレリア)

【お知らせ】
絶好調!アベマtvの「川柳居酒屋なつみ」、
3月5日金曜日夜21時から
お笑いタレント&モノマネタレント&ユーチューバーの
丸山礼さん前編が放送されます。
ぜひご覧くださいね!!

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【放送後記】
去年はあまり飛んでいなかったので油断していたら、
あっという間に花粉症になってしまいました。
私は目のカユミだけなのですが、さっそく「マスクをしても曇らない」メガネを買いました。
これが優れモノ。ひどくなる前に買っとけばよかった(苦笑)。(タケシ拝)

◆3月10日放送分です。
 
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暖かくなってきました!!

放送の音源・・・https://youtu.be/zrMW7ZqCn9E

【話題】
毎日新聞の朝の顔、仲畑流万能川柳、2020年の年間各賞が3月6日に発表されました!!
万能川柳愛好者にとってはこの日がお正月なんですね。
ttps://youtu.be/zrMW7ZqCn9E

(みなさんの川柳)※敬称略  今週は207句の投稿がありました!
・見栄はって買ってみたチョコ我が口へ(初投稿・くろぽん)
・自粛中緊急事態体脂肪(花がえる)
・ふと思う夫婦ってのもミステリー(名人・重田愛子)
・深くなるマスクの下のほうれい線(恵庭弘)
・送別の握手交わした手を洗い(おむすび)
・キスしたいコロナ明けるのを待っている(大名人・平谷妙子)
・縁あって家族になった拾い犬(名人・やんちゃん)
・しゃまの意味特別賞の記事で知り(離らっくす)
・笑い方黄門さまの痔の娘(たごティ) 
・湯につかり眉間のしわをストレッチ(せきぼー)
・友に書く手紙に一言ありがとう(名人・わこりん)
・ATM春の便秘を引きおこす(大名人・東海島田宿)
・ポンと音立てて咲き出すようなコブシ(柳王・光ターン)
・さくら餅道明寺化が半端無い(ベルマーレあんちゃん)
・春先はなぜか食べたい苦いもの(大名人・アンリ)
・税金は今は納めず貰うべき(柳王・入り江わに)
・近づいたコロナ感染友の友(じゅんじゅん)
・浮かんだ句セールスが来て飛んじまい(ワイン鍋)
・4知事のムカデ競走を見てみたい(柳王・鵜野森マコピイ)
・トリプルでラジ川ファミリー花咲いた(咲弥アン子)
・二位はラク東京タワー思ってる(大名人・荻笑)
・春日和国会中継のように寝る(恋するサボテンちゃん)
・出世には飲み会隠ぺい忘れること(司会者=名人・あさひろ)

☆あさひろさんのボツのツボ
「ラジオ万能川柳。今週も200を超える句、ありがとう!。今朝はタケシ師匠から「毎日新聞仲畑流万能川柳 年間大賞」の話題が。大賞、準大賞、特別賞の三冠をラジ川のリスナーが。さて今週のボツの壺『筋肉は裏切らないが関節は』とまた荻笑さん。あさひろも階段の昇り降りの際には膝に裏切られっぱなし。」

・こりゃ勝てぬわこりんさんは絵も上手い(soji)  /
・10年もたって戻れぬ町がある(名人・ぼうちゃん)
・気をつけよぉコロナに花粉ママ友に(のりりん)
・わこりんの川柳センス抜群ね(名人・不美子)
・東北に春が又来る花は咲く(柳王・けんけん)
・無観客なのかないのか強運会(しゃま)
・解除って安全という勘違い(名人・はる)
・お月様毎日違う顔を見せる(パリっ子)
・良かったよゴチされる程偉くない(居酒屋たつみ)

☆タケシのヒント!
「官僚の接待問題への痛烈な皮肉です。でも、総理の息子さんから誘われたら断れないだろうなぁ。高級官僚も大変ですねw」

・ふるさとの記憶のなかで咲くさくら(新名人・ペンギン)
・あの雲の向こうに父と母と姉(辰五郎)
・給付金出してきそうな選挙前(クッピー)
・ひきこもりバスの乗り方どうだっけ(相模のおふみ)

◎今週の一句・良かったよゴチされる程偉くない(居酒屋たつみ)
◯2席・ふるさとの記憶のなかで咲くさくら(名人・ペンギン)
◯3席・送別の握手交わした手を洗い(おむすび)

【お知らせ】
コロナ禍にも負けずに12月の終わりから編集作業を行ってきた
毎日新聞の「仲畑流万能川柳ファンブック」110号(3月号)、
おかげさまで予定通りに完成しました!!皆さんお手元にも届き始めているかと思います。

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 【放送後記】
桜のつぼみが日に日にふくらんできました。
来週の今ごろにはもう咲いていそうです。桜といえば、
私が子供ころは4月の花でした。今は3月の花ですね。
あと20年もすれば2月の花になつてしまうのではないでしょうか。心配。(タケシ拝)

======================================
水野タケシ(みずの・たけし)

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1965年生まれ。コピーライター、川柳家。東京都出身。
ブログ「水野タケシの超万能川柳!!」   http://ameblo.jp/takeshi-0719/ 




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日めくり汀女俳句 №77 [ことだま五七五]

八月十三日~八月十五日

    俳句  中村汀女・文  中村一枝

八月十三日
日盛を盆提灯の売れてゆく
        『都鳥』 盆=秋

 「私、どうも背中にリュックってあのスタイル嫌いなの」。その年齢にしては、きわ立ったベストドレッサーであるSさんの言葉だった。とうに八十を超えているはずなのに、いつ逢っても、どこで逢ってもあれっと思うほど若い。小柄だが均整のとれた体に足のきれいなこと、彼女はいつも小さいショルダーを小粋に肩から。でも荷物が重いとこぼすので、ついリュックをすすめたらそういう返事だった。
 気がつくと、リュックは今やおばさんの必需品。大抵まるくなった背中にこんもりとリュックだ。かく言う私もリュック愛用者。鏡に出逢う度にさりげなく背中を映してみる。

八月十四日
窓の外(と)に燃え果てざりし流れ星
            『汀女句集』 流れ星=秋

 別荘地で小さな講演会があった。講師は窪島誠一郎氏。信州・上田にある美術館「信濃デッサン館」「無言館」の館主、戦争や病気で天折(ようせつ)した不運な画家を発掘し収蔵している。信濃デッサン館には、日系二世の画家野田英夫の作品も収められている。野用の父母は熊本県人で、その縁で平成元年県立美術館で展覧会を開いた。
 講演会は二時間近い熱演で、深い感動を聞者に与えた。骨っぽい語り口の中に彼の生き方への真筆(しんし)な問いかけ、心悩みし者、傷つきし者への共感がひしひしと胸を打った。

八月十五日
草いきれ秋より滋(しげ)き昼の虫
          『花影』 昼の虫=秋

 八月十五日を知らない若者が増えている。先の戦争を正当化する声も聞こえてくる。戦争についてはっきりしたケジメをつけずにきた五十五年。つけは今、確実に回ってきている。
 その朝、ひとしきり仏壇の前で泣いた後、私は母と町へ行った。男が「戦争は負けたんだ。もうモンペなんかはくな」と叫んでいた。家に帰って、押し入れから取り出した白い夏服、手を通すと足の間を風が抜けていく。さっきまでの悲しみが少しずつ解放感に。明日から空襲がない。電気も明るい。嬉しかった。

『日めくり汀女俳句』 邑書林


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草木塔 №83 [ことだま五七五]

孤寒 8

            俳人 種田山頭火


  春が来たいちはやく虫がやつて来た


  啼いて二三羽春の鴉で


  咳がやまない背中をたたく手がない


  窓あけて窓いつぱいの春


  しづけさ、竹の子みんな竹になつた


  ひとり住めばあをあをとして草


  朝焼夕焼食べるものがない


『草木塔』 青空文庫

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読む「ラジオ万能川柳」プレミアム №106 [ことだま五七五]

         読む「ラジオ万能川柳」プレミアム☆ 2月17日、24日放送分

      川柳家・コピーライター  水野タケシ

川柳家・水野タケシがパーソナリティーをつとめる、
読んで楽しむ・聴いて楽しむ・創って楽しむ。エフエムさがみの「ラジオ万能川柳」、
2021年2月17日放送分です。

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これからテレビ朝日にいきま~す!

ラジオ万能川柳」は、エフエムさがみの朝の顔、竹中通義さん(柳名・あさひろ)が
キャスターをつとめる情報番組「モーニングワイド」で、
毎週水曜日9時5分から放送しています。
エフエムさがみ「ラジオ万能川柳」のホームページは、こちらから!
放送の音源・・・https://youtu.be/I08etABSXGs

【話題】
森さんが五輪組織委員会の会長を辞めましたね。
森さんというのはある意味凄い人で、2000年に総理になったんですけれども、
その後20年以上ずっと川柳のネタを提供し続けてきた人なんですね。

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(みなさんの川柳)
※敬称略 今週は217句の投稿がありました!
 ・会長を今からする人居らんやろ(名人・どんぶらこ)
・返信の字の乱れから見る不安(模名理座)
・まだ騒ぐ血がある春のスニーカー (名人・重田愛子)
・どんな危機にもスーチーの耳飾り(翔のんまな)
・作り行く川柳ばかりで元気出る(初投稿・川柳大好きっ子)
・木ばかりで森が見えない元総理(初投稿・ 一号)
・受験生番号見つけ風光る(外科系)
・お粗末なココアがダメならカフェオレで(司会者=名人・あさひろ)

☆あさひろさんのボツのツボ
「ラジオ万能川柳。季節を感じさせる暖かい句も。新型コロナのワクチン接種が今日から始まりました。とは言えまだ緊急事態宣言発令中。句会や勉強会それに飲み会も早く顔を合せて行えるようになるといいですね。ボツの壺『スカイプで帰らんちゃよかと言う母』東考案。故郷への帰省も、もうしばらく我慢。」

・おい背中お前もギックリしちゃうのか(パリっ子)
・済ませたよPCRねえ抱いて(大名人・平谷妙子)
・日曜日チョコをもらえぬ理由でき(おむすび)
・アラエイトみんなあんなじゃありません(柳王・雷作)
・10万キロ車と長寿競い合い(名人・龍龍龍)
・頼むからラジ川やって!休刊日(離らっくす)
・正座してエフエムさがみ聴く水曜(じゅんじゅん)
・10年かまだ10年かあの地震(がんにんぼうず)
・ボツかなと思った週の確かなボツ(ワイン鍋)
・コロナ禍に豪雨大雪大地震(名人・はる)
・東北はまた眠れない夜を過ごす(柳王・光ターン)
・たしなむと言う奴かなりやっている(柳王・入り江わに)
・生ラジ川なのに苛つく宅配便(大名人・フーマー)
・いらねえいらねえいいらねえわ宿題(名人・わこりん)
・楽しみです辰五郎さん第2句集(名人・ぼうちゃん)
・春近しそこまで来てるワクチンも(恋するサボテンちゃん)
・川淵氏ヤル気マンマン肩透かし(金☆玉三郎)
・喋り過ぎたのは男の方でした(柳王・ユリコ)

☆タケシのヒント!
「ユリコさん秀逸10個目で大柳王昇進おめでとうございます。次は秀逸15個の師範代めざして楽しく頑張ってください。『女性は話が長い』といった森前会長への強烈な皮肉ですね。新会長候補の川淵さんも喋り過ぎてしまいました。」

・停電をしてませんかにほろほろり(大名人・かたつむり)
・ひと騒動絶対あるぞワクチンで(のりりん)
・あっ地震妻に被さるほどの愛(咲弥アン子)
・淵野辺の上司に海老名バカにされ(しゃま)
・ディスタンスとっても絆忘れない(soji)
・むずかしい貧乏クジは誰が引く(大名人・アンリ)
・春の海ひねもすヴィヴァルディヴィヴァルディかな(バレリア)
・禁止令孫に接近ぺットだけ(大名人・ポテコ)
・アラートから揺れが始まるまでの鼓動(ペンギン)
・手を胸にオレの中にも森さんが(里山わらび)

◎今週の一句
・喋り過ぎたのは男の方でした(柳王・ユリコ)
◯2席・手を胸にオレの中にも森さんが(里山わらび)
◯3席・どんな危機でもスーチーの耳飾り(翔のんまな)

【お知らせ】
絶好調!アベマTVの「川柳居酒屋なつみ」、
2月12日金曜日21時からの「ぺこぱ」さん後半編ご覧いただけましたでしょうか?
ネットニュースにも上がっているくらい話題になりましたね!
19日まで見逃し配信中ですのでどうぞご覧くださいませ!

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【放送後記】
春めいてきて花粉症の症状が出てきました。
耳鼻科に行って驚いたのは、患者さんの少なさ。
毎年この時期には席なくなるほどの患者さんだったのに……。
こんなところにもコロナ禍の影響が出ているのかもしれませんね。(タケシ拝)

◆24日の放送です
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寒い日が戻ってきてしまいました~~(涙)
放送の音源・・・https://youtu.be/eDX0ygg6ijM

【質問】
タケシ先生、私には日本語の575のリズムが一番難しいです。
何か外国人に向けたアドバイスがありませんか?どうぞ教えてください。
ありがとう!(バレリアさん)

(みなさんの川柳)
※敬称略 今週は194句の投稿がありました!
・ペンを持つとおしゃべりになる話し下手(名人・重田愛子)
・よく効くな貧乏神と湿布薬(がんにんぼうず)
・宿題がはち切れそうなランドセル(翔のんまな)
・ぼけてると落ち込むうちはぼけてない(りんご)
・席替えをするよに就いた同じひと(黒耀舎)
・家庭的そんな体のうちの猫(桐山榮壽)
・詠みたいなコロナ時代もあったよね(まご命)
・貴女しかいないと言われ栗拾い(司会者=名人・あさひろ)

☆あさひろさんのボツのツボ
「ラジオ万能川柳。今週は、日中の気温が20℃を超え、大型連休期間の頃の気温になった日も。春らしい題材句も多数。このコロナ禍に花粉症の方にはつらい季節。マスク、手洗いは欠かせません。ボツの壺『もう5店入口出口手を洗い』龍龍龍。そしてこんな事にも。『手が荒れて指認証にはねられる』東孝案。」

・次々に禍起きるこの世かな(模名理座)
・できるかな腹の内まで透明化(大名人・東海島田宿)
・街中がマスク美人でメロメロに(恵庭弘)
・フルメイクしてパソコンでミーティング(じゅんじゅん)
・豪邸に住んでいたよなゴミの量(美ら小雪)
・背景が生活感を出すZoom(おむすび)
・かんたんに言うんじゃないよゲーム無し(名人・わこりん)
・ラジ川で笑顔溢れる水曜日(名人・やんちゃん)
・日本語で句をひねてみるリルケ道(バレリア)
  (添削例)川柳ひねる リルケの小道

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・日南のコップ一杯氷だけ(大名人・ポテコ)
・あの父とあの母を持つこのロン毛(ワイン鍋)
・春陽気されど政治はいまだ冬(柳王・光ターン)
・7万円何を食わせた菅息子(大名人・フーマー)
・幸せだな妻のパンツを干すときが(辰五郎)
・2月でも何この暑さ異常かな?(ベルマーレあんちゃん)
・スイッチON寒くないのに手が伸びる(柳王・けんけん)
・久しぶりスカートはいた四温の日(名人・ぼうちゃん)
・指を折り創り出したら句は我が子(大名人・かたつむり)
・Lサイズ履いてるうちにLL化(新大柳王・ユリコ)
・「うっせーわ」つい面談で言いかける (しゃま)

☆タケシのヒント!
「大人気のAdoさんの「うっせぇわ」を活かした句です。コロナ禍ならではの流行歌、「うっせーわ」とつぶやくとなんとなくスカッとした気分がしますね。」

・AIよ月が綺麗と訳せまい(パリっ子)
・祝日が入ると締切り混乱す(のりりん)
・陽だまりの猫によく似た祖母の顔(soji)
・いつだって風を読んでる小池さん(大名人・アンリ)
・コロナ禍で見た目わからぬ花粉症(クッピー)
・贅沢はいい人たちに囲まれる(大名人・平谷妙子)
・形容詞副詞ばかりの討論会(名人・マルコ)
・アウトかな男のくせに思うのも(咲弥アン子)

◎今週の一句
・「うっせーわ」つい面談で言いかける(しゃま)
◯2席・スイッチON寒くないのに手が伸びる(柳王・けんけん)
◯3席・指を折り創り出したら句は我が子(大名人・かたつむり)

【お知らせ】
絶好調!テレビ朝日の「川柳居酒屋なつみ」、
2月26日金曜日0時50分から
「ももいろクローバーZの百田夏菜子」さん編が放送されます。
テレビ朝日が終わり次第今度はアベマTVで後半編が配信されます!!
テレビ朝日&アベマTV、どちらもぜひご覧くださいね!!

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【放送後記】
早いものですねえ……。
2月の放送もこれで終わり。次回からは3月です!!
3月は皆さんにじかにお会いして句会できたらいいのですが。
さて、どうなりますか。(タケシ拝)

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水野タケシ(みずの・たけし)
1965年生まれ。コピーライター、川柳家。東京都出身。
ブログ「水野タケシの超万能川柳!!」 http://ameblo.jp/takeshi-0719/ 


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日めくり汀女俳句 №76 [ことだま五七五]

八月十日~八月十二日

     俳句  中村汀女・文  中村一枝

八月十日
夏草の花や一途にかかはれば
          『汀女句集』 夏草=夏

 汀女の俳誌「風花」の創刊は昭和二十二年 の四月だった。
 創刊号には武者小路実篤、本多顕彰、河盛好戒、室生犀星と、そうそうたる顔ぶれの寄稿が並んだ。
 段取りをつけ、編集を担当したのが富本一枝だった。富本一枝との女の友情というか、あるいはもう少し濃密なものがあった気もするが、その二人三脚で「風花」の基礎はできた。二号には佐藤春夫、渡辺一夫さらに虚子も五句を送っている。八号には上林暁が江津湖のボートレースのことを細かに書いた。個人誌として、これだけの人材を集め得た汀女の器量に、雷本一枝の才覚を思う。

八月十一日
ガソリンと街に描く灯や夜半の夏
          『春雪』 夏の夜=夏

 掃除機を買った。これがややこしい。何だかんだと新機能がついている。老眼鏡で説明書と首っ引きだ。簡単な昔の機種がなつかしかった。山の家では雷で電話器がだめに。新しいのが、これまたさまざまな仕掛けがついていて、うっかり押すと何が出てくるか分からないびっくり箱。
 年々日本の電化製品、機能はよくなる一方なのに、使用法はどんどん複雑になってきている。これを使いこなせないと二十一世紀には生き残れないなら、まあ仕方ないか。老兵は消え去るのみ、という言葉が妙に現実的に聞こえてくる。

八月十二日
流灯の焦ぐるばかりに面照らす

          『春暁』 流灯=秋

  月遅れのお盆はまた民族大移動の季節、東京の町も商店もがらがらになる。故郷というものを持たない私には、地方独特の思い込みというか、入れこみというのがいまだに理解できないところがある。私の父尾崎士郎は愛知県吉良町の出身。実家が投落し、石もて追われる心境で兄弟二人田舎を出た。
 伯父は以後も一度も吉良へ帰らず、父は私が中学生の時三十年ぶりに故郷の土を踏んだ。小学校の同級生である白髪のおじさんたちが「シロさん、シロさん」となつかしそうに呼ぶ姿を、不思議なものに眺めていた。

『日めくり汀女俳句』 邑書院




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草木塔 №82 [ことだま五七五]

孤寒 7
          俳人  種田山頭火
   
  其中一人いつも一人の草萌ゆる
  枯枝ぽきぽきおもふことなく
  つるりとむげて葱の白さよ
  鶲また一羽となればしきり啼く
  なんとなくあるいて墓と墓との間
  おのれにこもる藪椿咲いては落ち

『草木塔』 青空文庫

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読む「ラジオ万能川柳」プレミアム №105 [ことだま五七五]

         読む「ラジオ万能川柳」プレミアム☆ 2月3、10日放送分

      川柳家・コピーライター  水野タケシ

川柳家・水野タケシがパーソナリティーをつとめる、
読んで楽しむ・聴いて楽しむ・創って楽しむ。エフエムさがみの「ラジオ万能川柳」
2021年2月3日放送分です。 
 
105-1.jpg
立春大吉!!

「ラジオ万能川柳」
は、エフエムさがみの朝の顔、竹中通義さん(柳名・あさひろ)が
キャスターをつとめる情報番組「モーニングワイド」で、
毎週水曜日9時5分から放送しています。
エフエムさがみ「ラジオ万能川柳」のホームページは、こちらから!
放送の音源・・・https://youtu.be/ydXVewGorcg

【お知らせ1】
私が今、東京・竹橋の毎日文化センターで主宰している句会は、
「仲畑流万能川柳句会」「はじめて川柳句会」「Zoom仲畑流万能川柳句会」の3つあります。
非常事態宣言が伸びてしまったので実際に教室で行う句会は
2月はステイホーム句会になってしまうと思うのですが、
1月からスタートしたZoom仲畑流万能川柳句会は、通常通りそのまま行いますよ!!
2月は20日(土)の15時から開催します!!随時参加者を募集していますよ!!

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(みなさんの川柳)※敬称略 今週は229句の投稿がありました!
・河津桜画面に春が来たように(模名理座)
・かと言ってポストまでなら許されよ(名人・重田愛子)
・戸惑っていないフリだけ苦手です(野添まゆ子)
・本当に無い時無いと言えぬ金(翔のんまな)
・マスク付け迫力がない鬼の面(東孝案)
・川柳で国境渡る妙子さん(うさぎの小雪)
・君やっと夢に出てくる二月の夜(大名人・平谷妙子)
・二階から目薬でなく喝がくる(金☆玉三郎)
・節分の豆を二階にぶちまける(せきぼー)
・コロナ禍で現状維持の夫婦仲(名人・やんちゃん)
・罰則が必要なのはそっちだろ(司会者=名人・あさひろ)
☆あさひろさんのボツのツボ
「ラジオ万能川柳。今週は229の投句、河津桜の開花写真が添えられた句も。今日は二十四節気の立春。2月3日の立春は124年ぶりとのこと。立春や節分を読み込んだ、春を感じさせる句も多数。そこでボツのツボ『えっ!昨日だったんですか鬼呆然』ユリコ。コロナ禍にこんなとぼけた春を感じさせる愛すべき鬼!」
・「しまった」と足が叫んだ勇み足(大名人・東海島田宿)
・おうち時間意外とひまな妻を知り(おむすび)
・ローマから日本橋までヤナギガワ(バレリア)
・よく来たな密になるから俺帰る(がんにんぼうず)
・やってない宿題多すぎマジオワタ(名人・わこりん)
・雪国に分けてあげたいこの晴天(柳王・雷作)
・宣言下一枚めくるカレンダー(名人・あまでうす)
・孫抱いて三日後にくる筋肉痛(大名人・アンリ)
・コンビニにおでんの匂いしない冬(ワイン鍋)
・東北にマー君春を連れて来る(大名人・フーマー)
・リモコンとスマホと私かくれんぼ(じゅんじゅん)
・閉店が悲しい徳光再放送(辰五郎)
・あと二年暦が還り若返る(柳王・入り江わに)
・ケンカするために換気の窓を閉め(柳王・ユリコ)
・感染の数字が減ると出る元気(柳王・春爺)
・朝は冬昼は小さな春になり(しゃま)
・あるんだよ箸転んでも泣けるとき(大名人・荻笑)
・あぁ遂に今年も雪を見ないまま(のりりん)
・ 「ヨッ柳王」なんて院長言うんです(柳王・けんけん)
・集会か路地の日だまり猫集い(名人・不美子)
・大寒に恋の句を聴くラジ川で(咲弥アン子)
・鳥もにぎやか猫もにぎやか(大名人・かたつむり)  

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・恵方巻き今年もテレビを向いて食う (よっきゅん)
☆タケシのヒント!
「タイムリーな節分ネタ、恵方巻きの句でした。共感される方も多いのでは?とぼげた味わいの句で思わず笑ってしまいました。」
・逃げちゃダメひねりラジ川送るまで(黒耀舎)
・真っ青な空に紅梅嗅いで春(里山わらび)

◎今週の一句・恵方巻き今年もテレビを向いて食う(よっきゅん)
◯2席・本当に無い時無いと言えぬ金(翔のんまな)
◯3席・マスク付け迫力がない鬼の面(東孝案)

【お知らせ2】
絶好調!テレビ朝日の「川柳居酒屋なつみ」、

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さて私、今週に入って、またテレビ朝日に収録に行って参りました!
今回は今いちばん売れっ子のお笑いコンビ
ぺこぱの松陰寺さんとシュウペイさんが来店!

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【放送後記】
かるいギックリ腰になったと思ったら、連続してギックリ腰。
寒いとどうしても腰に来ますねえ。
本当に久しぶりに鍼を打ってもらいました。
皆さまもどうぞご自愛くださいね!!(タケシ拝)

◆10日の放送です

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バレンタインチョコに喜ぶあさひろさん!
放送の音源・・・https://youtu.be/p8C7C0fabJA

【話題】
今朝はこの前、ZOOmの句会で体験した面白い話をしたいと思います。
Zoom句会中に、二人の方から同じ質問されたんですね。
それは1月29日の仲畑流万能川柳に掲載された、100点招待席の句、東京の恋し川さんの
「歓談の穴場でしたね時間割」

(みなさんの川柳)※敬称略 今週は184句の投稿がありました!
・少しずつ光も音も水も春(名人 ・重田愛子)
・オレオレを笑う手元に詐欺メール(初投稿・さるはし)
・恥知らぬ顔がテレビにまた映り(翔のんまな)
・また失言女性蔑視でモリ下げる(よっきゅん)
・コロナ禍も子の成長に待ったなし(名人・和こころ)
・それだけで1日終わる家探し(うさぎの小雪)
・なつみ観た月に一度じゃ見逃しそう(模名理座)
・地球をば川柳にするもの凄さ(名人・六文銭)
・美しいものを見てなぜ気が晴れる(バレリア)
・締め切りが夢の中でも仕事して(初投稿・日向鳴山)
・やっぱりなあ森えひめまる座礁(アルキメデスの眼)
・同世代だけど森さん旧いねエ(柳王・雷作)
・気を遣う女の友だち欲しくない(大名人・平谷妙子)
・唇を奪われましたとちおとめ(外科系)
・陽だまりのオオイヌフグリ誇らしげ(柳王・光ターン)
・日々一句目標超えて今日三句 (つや姫)
・摩訶不思議当選無効手当有効(司会者=名人・あさひろ)
☆あさひろさんのボツのツボ
「ラジオ万能川柳。タケシ師匠のオープニングが恋し川さんの句から渋谷の喫茶店“時間割”の話題に。懐かし~い!30年以上前小生にとっては歓談の穴場と言うよりデートの穴場でした。今週のボツの壺『得意気を得意にしてくれる拍手』せきぼーさん。解りますよ。あさひろも「誉められて伸びるタイプ」です。」
・忖度がなくてホッとす世界の目(大名人・龍龍龍)
☆タケシのヒント!
「大共感の一句です。黒船もそうですが、日本て外からの力がないと変われないんですよねえ。そこがちょっと情けなくはあるのですが。」
・ミュート解除してると知らず本音でる(おむすび)
・雪掻きがなけりゃ北国天国さ(恵庭弘)
・年金日銀行ロビーは敬老会(じゅんじゅん)
・履歴書にほぼほぼ詐欺の写真貼る(名人 ・マルコ)
・森さんもマダム相手で逃げられぬ(パリっ子)
・あきれたと妻のため息春一番(恋するサボテンちゃん)
・辞めなくていいさ五輪も止めるから(柳王・春爺)
・祭り好き命を賭けるパンまつり(柳王・ユリコ)
・今日もまた地球と人の世話になり(名人・ぼうちゃん)
・義理ゆえに不義理出来ずに配るチョコ(しゃま)
・辰句集ダサいイラスト味を出し(のりりん)
・今日あった良いことだけを言う終礼(柳王・けんけん)
・眠ってた失言王が目を覚ます(大名人・アンリ)
・痛感と撤回で済むご職業(咲弥アン子)
・わきまえよ言ってる人はわきまえず(ペンギン)
・今日もいただくつまんでごらん(大名人・かたつむり)
・ホチキスしかキスの経験ないの僕(辰五郎)
◎今週の一句・忖度がなくてホッとす世界の目(大名人・龍龍龍)
◯2席・あきれたと妻のため息春一番(恋するサボテンちゃん)
◯3席・コロナ禍も子の成長に待ったなし(名人・和こころ)

【お知らせ】
絶好調!アベマTVの「川柳居酒屋なつみ」、
2月5日金曜日21時からの「ぺこぱ」さんご覧いただけましたでしょうか?
ネットニュースにも上がっているくらい話題になりましたね!
今週の12日にはアベマTVで「ぺこぱ」さん、後編をお送りしますので、
どうぞご覧くださいませ!

【放送後記】
92年2月3日に毎日新聞の隅の隅だった「仲畑流万能川柳」に初掲載されてから、
何と29年たちました。あの日から、第2の人生が始まったのだと思います。
あっという間の29年でしたが、
とにかく川柳を続けてこれたことに感謝しかありません。
これからもがんばります。よろしくお願いいたします!!(タケシ拝)
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水野タケシ(みずの・たけし)
1965年生まれ。コピーライター、川柳家。東京都出身。
ブログ「水野タケシの超万能川柳!!」


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