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私の中の一期一会 №260 [雑木林の四季]

   山梨県道志村のャンプ場から行方不明になっていた美咲さんは死亡していた
  ~捜査関係者「道に迷って滑落したか?散々探したのに見つからなかった~

         アナウンサー&キャスター  藤田和弘

 少学1年生の女の子が神隠しに会ったように山梨県のキャンプ場から姿が消えたのは、2019年9月21日のことだった。
 千葉県成田市に住む小倉美咲さん(当時7歳)は、母と姉の3人で、その日の昼頃山梨県道志村のキャンプ地に到着した。
 「子育てサークル」で知り合った家族27人も一緒だった。
 美咲さんの父親は翌日に参加する予定だったという。
 皆で天ぷらそばを食べた後、子供たちはテントを張った広場近くで遊んでいた。
 午後3時半頃、友人たちはキャンプ場の西側にある沢に向かった。
 美咲さんは5分程遅れて、友人たちを追って沢へ行くため一人でテントを離れた。
 20分ぐらいして友人たちは戻ってきたが、その中に美咲さんはいなかったのである。
 山梨県警に家族が通報したのは5時ごろだったという。
 県警はすぐ捜索を開始したが、最初は「すぐ見つかるだろう」と思ったのに見つからない。
 地元の消防団や近くに住むボランティアが加わっていき、ついには自衛隊までが派遣されるという大捜索が行われた。
 警察犬や体温を感知するセンサーを搭載したドローンなども投入された。
 16日間に延べ1700人が参加した捜索にも関わらず、手掛かりになるようなものは一切見つからなかった。
 美咲さんが行方不明になって2年8カ月程が経った今年の4月23日、キャンプ場から600メートルほど離れた場所で人骨のようなものが見かって、警察が調べた結果“子どもの頭蓋骨の一部”と判明した。
 そこで、山梨県警は25日から改めて発見現場付近の捜索を開始した。
 すると美咲さんの履いていたものと同じ運動靴や靴下などが見つかった。
 5月に入ると、肩甲骨やシャツなどが見つかり、いずれも美咲さんと関係がありそうだった。
 山梨県警が肩甲骨の細胞核からⅮNAを採取し鑑定を行なっていたが14日、美咲さんとⅮNA型が一致したこと明らかにした。
 県警は「生命維持に欠かせない部位の骨で、美咲さんは死亡していると判断した」と説明した。
 そして、発見した骨を小倉美咲さんのものと特定したことを母親とも子さんに伝えたという。
 しかし、美咲さんの死因や行方不明後の足取りなど分からないことも多く、県警としては事故、事件の両面で捜査を続けていく。
 キャンプ場の近くに住む女性(85)は「行方が分からなくなってから、ずっと美咲ちゃんのことを気にかけてきた。お母さんの気持ちを考えると・・」と目を伏せた。
 また猟師をしている男性(76)は「現場の沢まで行く道は、子供には歩き難い筈なのに」と疑問を投げかけていた。
 県警は今後、美咲さんがどういう経緯で死亡するに至ったか解明を急ぐことになる。
 道志村の多くの場所では尾根や沢が入り組んでいて、地形の複雑さが捜索を難しくしているとも言える。
 ロープを使わないと立ち入れない急な崖、足場がもろい岩場は崩れやすく滑落の危険もある。 
 ある県警幹部は「道に迷ってキャンプ場に戻れなくなり、どこかに滑落してしまったのでは・・」と推測する。
 骨や靴などが複数の場所で見つかっていることについて「死後に野生動物が運んだ可能性がある」とも語った。
 4日に見つかった肩甲骨はキャンプ場の近くにある水の枯れた沢で堆積した落ち葉や腐葉土の中に埋もれていた。
 運動靴が見つかった周辺は沢が多く、大雨で流されてきた可能性も考えられる。
 人が遺体を埋めた可能性は低いという。
 15日も40人体制で捜索しているが発見はない。
 ジャーナリストの大谷昭宏さんは、「事故死や病死であればすぐ見つかる筈だ。誰かの手によって遺棄された事件の可能性が高い」と述べている。
 村でキャンプ場を経営する男性(76)は「事件か事故か。何故美咲さんは亡くなったのか。判明するまで終わらないだろう。しばらく平穏な状況は無理だろう」と語った。
 母親のとも子さんは「あの日一緒に行ってあげれば良かった.悔やんでも悔やみ切れない」と自分を責める言葉しか出てこない。
 親が子を失う悲しみは、失った者にしか分からない。
 運命も時には過酷なものであると思った。


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BS-TBS番組情報 №258 [雑木林の四季]

BS-TBS 2022年5月のおすすめ番組(下)

                            BS-TBS広報宣伝部

博物館の車、走らせます!

259博物館の車走らせます.jpg
想い出よ甦れ!名車が紡ぐ感動物語

2022年5月22日(日)よる9:00~10:54

☆あの頃憧れたあの名車…再び公道で走らせます!

山口智充
皆川玲奈(TBSアナウンサー)

子どもの頃に出会い、憧れ、いつかは手に入れたいと願った名車たち。
そんな車に今も出会える場所が「博物館」だ。
だが、展示されている名車たちは、普段は動くことはなく、ただ静かにたたずむのみ…。
「もう一度、公道を走っている姿が見たい!」
そんな名車を愛する人や、かつての所有者たちの願いを叶えるべく、博物館との交渉。
いざ動かそうとすると判明する不具合…。
それらを乗り越え、名車たちが博物館を飛び出し、公道を颯爽と走る姿は、まさに感動の一言。
MCをつとめるのは、旧車をこよなく愛する山口智充。
▽亡き夫が愛した名車「メッサーシュミット」
▽湯布院「九州自動車歴史館」に展示中の「ダットサンフェアレディ2000」
▽1964年東京五輪の聖火リレー伴走車「プリンス グロリア」

アドベンチャー魂

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毎週火曜 よる9:00~9:54

☆東野幸治が冒険家と“ガチ”なアドベンチャーを体験!

出演:東野幸治、岩垂かれん
我々の常識を遥かに超え、特別な経験を積んだ冒険家たち。彼らの生きざま、言葉、そして、人間力には思わず魅了されてしまう。そんな一流の冒険家たちと一緒に、都会では絶対に味わうことのない大自然を前に這いつくばってみませんか。東野幸治が完全ガチで冒険の旅に出る。
洞窟体験にトライアスロン、山登りからウィングスーツでの飛行体験まで、命知らずの冒険家となった東野幸治がガチで挑む全く新しいアドベンチャーバラエティ。

■5月17日(火)
#20「冒険家・海谷一郎:カヌー」
冒険家:海谷一郎
今回の冒険は、カヌーで極北を中心に単独行するカヌー冒険家の海谷一郎とともに、岩垂かれんが過酷なカヌーアドベンチャーに挑む!

■5月24日(火)
#14(再)「冒険家・関口裕樹:極地冒険」
冒険家:関口裕樹
最果ての地を一人、重いソリを引きながら氷の上を歩き続ける男。極地冒険家 関口裕樹(セキグチユウキ)。その冒険は、極地へ赴き人力のみで横断を目指す「極地冒険」。
「冒険をしてみたい」という漠然とした思いから高校卒業後、徒歩で日本縦断。
北海道宗谷岬(そうやみさき)から沖縄県最南端の喜屋武岬(きゃんみさき)まで109日間かけて2715kmを踏破した。
その後、舞台を海外へ移し、1400kmのアラスカ自転車縦断や、凍結したカナダ・マッケンジー川400kmを踏破など地球を相手に冒険を続けている。
過酷な極地と対峙する孤独な冒険その魅力とは?
今回はそんな関口と共に岩垂かれんが、氷雪上を人力で渡る「極地冒険」に挑む!
本当の自分と向き合う為の冒険…
一体、何を感じるのか…

裸のアスリートⅡ

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毎月第3・4・5日曜 ひる12:00~12:30

☆アスリートたちの等身大の姿に迫るスポーツドキュメンタリー。

見る者の魂を震わせる、アスリートたちの素晴らしいパフォーマンス。
その裏には、血のにじむ様な努力や過酷なトレーニング、数多くの失敗、苦悩の日々、そして選手たちを支える人々の存在があります。
この普段は見えない裏側、アスリートたちの「裸」の部分に番組はこだわり、丁寧に描くスポーツドキュメンタリー番組。
アスリートたちをより良く知っていただく事で、アスリートたちの一瞬のパフォーマンスに感じる、震えるほどの感動がより一層深まります。

■5月22日(日)
#238「バレーボール男子日本代表 高橋藍」
男子バレー界のニューヒーロー、高橋藍。
チーム最年少で出場した東京五輪。攻守に渡る活躍で29年ぶりに8強入りに貢献した。
生まれ故郷、京都で過ごしたバレーボールの原点、そして、さらなる飛躍を目指し挑んだイタリアリーグでの武者修行に密着した。

■5月29日(日)
#239「バレーボール女子日本代表監督 眞鍋政義」
2012年ロンドン五輪で銅メダルに輝いたバレー女子日本代表。その監督を務めた眞鍋政義が5年ぶりに帰ってきた。
「危機感を感じている」不退転の決意で、チーム再建へ動き出した名将に迫る。


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海の見る夢 №31 [雑木林の四季]

        海の見る夢
        -ドン・ジョバンニ~モーツァルトー
                澁澤京子

   ~おまえはおのれから逃げ去ることはできない~ゲーテ

 映画『アマデウス』で、「ドン・ジョバンニ」の最後に登場する石像(騎士団長)が、指揮しているモーツァルトには自分の亡くなった父親に見えるというシーンがある。まるで自分自身と現実から逃避するかのように性愛や美食の快楽を追及してきたドン・ファンの前に、ついに重く固い大きな石像が立ちはだかる。ドン・ファンは石像にがっしりと手につかまれて、いくら手を振り切ろうとしても振り切れない。『アマデウス』の、「石像=父性」は、世界というものを夢幻のように無責任に観照する人生を歩んできたドン・ファンの前に、いきなり現実の重さと厳粛さが立ちふさがる感じだろうか。 
昔、キルケゴールの『反復』を読んでも、さっぱりわからなかった。かつてキルケゴールには恋人がいたが、結婚直前になってなぜかキルケゴールのほうでいきなり婚約を解消する事件があった。『反復』というからには恋人と再会したのに違いない・・ではなく、キルケゴールの場合、婚約を解消したところで終わる難解な哲学小説になっている。

『反復』で重要になるキーワードは「想起」と「反復」。想起はプラトンの想起(イデア)であり、さらに「反復」。その二つが一体何を指すのか、さっぱりわからなかったのである・・

―エレア派の学徒たちが運動を否定したとき、周知のようにディオゲネスは反対者として歩み出た。彼は本当に歩み出た。つまり、一言も口をきかずに二,三度、右へ左へ行きつ戻りつしたばかりであった。―

冒頭に来るのがこの文章。エレア派のゼノンは、有名な「飛ぶ矢は飛ばない」で物質の運動を否定した。そこでヘラクレイトス「万物は流れる」の変化運動の流れをくむディオゲネスがそれに対して無言で反論したのである。エレア派の「静止した飛ぶ矢」がプラトンのイデア、つまり静止した一点だとすると、それに反論するディオゲネスの右往左往の運動が「反復」ということらしい。

―ギリシャ人はあらゆる認識は「追憶(想起)」であると教えたが、同じように新しい哲学は全人生は「反復」であると教えるだろう。この点にうすうす感づいていたのはライプニッツただ一人であるー

ライプニッツの瞬間は、過去にも未来にも依存するものであり、瞬間には過去も未来も含まれる「開かれた状態」で運動が起こる。ライプニッツのモナドは内側に外界の情報を抱合しながら(樹木に年輪があるように)世界と関係するものであり、個人の場合だと「各人の個体の概念はその人にいつか起こることを一度に含んでいる」(モナドロジー)、多様性を含んだ個人が、外側の多様な世界と関係(情報交換)する、ということになる。(ニュートンの普遍的な絶対時間に対し、ライプニッツの時間は存在個々の関係性によって決まる)

―まるで自分自身と話してるかのような、一つのイデアと話をしているかのような気がするのです・・-『反復』

キルケゴールの婚約者レギーナは非常に聡明な女性だった。話をするとまるでキルケゴールは自身の心の奥底の言葉を聴いているような気分になったらしい。相性がいいと相手の言葉は心の奥底まで届いて自覚につながる、御互いに心が開かれているからだ。キルケゴールは理想的な婚約者に対して、次第に臆病な気持ちを抱くようになる・・彼にとって、彼女は人間というよりもイデアに近いものだったからだ。キルケゴールは聖職者の道を選ぶため、彼女を永遠の存在(イデア)にするために、彼女の元を去った。

人は己から逃れるためにはなんでもする。手っ取り早い方法として、読書、映画、音楽鑑賞や旅行、掃除や仕事に熱中する、SNSの書き込みなど気晴らしになるものだったらなんでも己から逃れる方法となるし、スピリチュアルや自己啓発、精神世界の本なども、一時的に(自分が変わったような)気分になる方法となる。レベルの高いものとして、芸術活動に専心するなどがあるが、坐禅や瞑想も己を忘れるための手段なのである。

つまり、星空を見上げて自分の小ささを知るように、誰でも簡単に人生を夢幻の様なはかないものとして鳥瞰図的に眺める視点を持っているのである。しかし、己から逃げるだけのこうした受動的・消極的な生は人生を(夢のようなものとして)ただの傍観者として終わるだけだろう。(ドン・ジョバンニのように)特にSNSのある今、生も死も軽いものとなり、ますます人生に傍観的、受動的ゆえに他人に影響されやすい人が増えているような気がする。他人志向が強く、人間関係でも個人で対峙することができず必ず他の人間を巻き込んで複数にして対峙する、流行のアニメを追い、自分の考えを持たず、他人の意見をうのみにし、自分と違う意見には相対主義者となってまったく耳を傾けず、結局(みんながいいと思うものはいい)という価値観を持つだけ。そのため言葉は表層的なものになり、自身に対しても表層的な言葉でごまかしていれば、それだけ他者とのつながりも稀薄になるだろう。

―愛の業は愛のない仕方で、利己的な仕方でさえなされることがあるー

見せかけにこだわる人間は(穏やかで優しく)他人に見えさえすればよいのであって、実は人間関係をギブアンドテイクや役に立つ・立たないでドライに割り切って考える人が多い。彼等にとって愛というのは他人に表面的に優しくするだけのことなのであり、陳腐な言葉で自分をごまかすことなのである。自我が未熟であると本気で他人と深い関わりを持つことができない(自己愛が強く傷つくのを恐れるから)自我が未熟であるのと、自我がないのとは全く違うことなのである。(いったん成熟した自我を消去するのが無我だろう)

―自己自身を理解することが、ほかのすべてを理解するための絶対条件であるー

能動的・倫理的に生きるためには、まず単独な個人としての自覚と自律が重要になってくる。「反復」はまさに厳粛な人生そのものなのである・・

―反復とは、何か新しいものになるだろうと何も期待しない人だけが幸福になることー『反復』

つまり幸福とは、自分から逃げずに自身を十全に生きる人だけに与えられるものなのである。ここで「ヨブ記」が出てくる。キリスト教の学校に通ってよかったと思うのは、宗教倫理が社会道徳とは(十戒とも)別のもので、自分で追及するものであるという事に気が付いたことだろうか。子供の時「ヨブ記」を読んでも(次々と災難がふりかかる可哀そうな善人の話)でしかなかったが、自分が困窮した時にはじめて「ヨブ記」がすごくリアリティのある話であることに気が付いた。失敗したり困窮した時に限って、お説教好きの人間が寄ってきて、お説教されて(善意ではあるが)ますます傷つくところも同じなのだ・・聖書や小説の言葉がはじめて(腑に落ちる)感じがキルケゴールの時間を超えた「反復」なのである。つまり、レギーナの言葉が彼の心の奥底にいつまでも生きていたように、書物の言葉が自分の経験として生き始める。ヨブの訴えの言葉に比べると、友人たちの(因果応報)などのしたり顔のお説教がどんなに偽善的な空々しい言葉に見えるだろうか?倫理とは、まず自分の心に正直になることなのであり(正直とはトランプのように己の下品な本性を暴露することではない)自分の怒り、苦しみや哀しみに正直に向かい合うことなのである。

受動的に流されて生きるだけでは決して平和を実現することはできないどころか、集団の価値観に巻き込まれて気が付かないうちに他人を排除したり、暴力的になることも往々にしてある。SNSによって、多くの人とつながりながら実は「孤独」な人がすごく増えたと思う。何も考えずに他人に表面的に同調するだけではますます孤独を深めるだけである。

『反復』は、個人個人がアトム化した閉ざされた世界で、あるいは表層的な死んだ言葉による浅いつながりしか持てない今の時代に、個人が自分自身を掘り下げて自律することにより、逆に他人に対して開かれた柔らかい心を持てるようになることを教えてくれる。他人に流されない成熟した自我を持たない限り、他者との本当のコミュニケーションも信頼関係も持てない。人と人は生きた言葉によってはじめてつながるのである。


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梟翁夜話 №111 [雑木林の四季]

「鶏たちが飛んだ!」

        翻訳家  島村泰治

わが庵には猫の何やらのやうな菜園、一間四方の花壇それに程々の鶏舎がある。葉物はほぼ自前で賄い、日によっては初夏を思わせる陽気に合わせるかのやうに、いまチューリップが競い咲き、鶏たちは日にいくつかの卵を産んでくれる。世にはまさに事もない。

畑の散水を済ませ、芝にスプリンクラーを仕掛けておいて、さて、鶏たちや如何にと鶏舎を覗く。二世代が左右に分かれて飼われており、姉御たちはやや広め、妹たちは狭めの遊び場に群れて、砂浴びやら地面を啄むやら、それぞれに忙しげだ。女房どのがピー太と呼び習わす老いた雄鶏は、今日は姉御たち側に混じって所在なく辺りを睥睨(へいげい)してゐる。

この鶏たちの面倒は女房どのの専科で、日々の給餌から採卵、鶏舎の管理まで仕切ってゐる。しげしげと眺めれば、鶏舎の地面は鶏たちの土掘りで起伏が激しい。鶏舎を建てた頃に備えた止まり木は、哀れ、或いは折れたり抜けたり、いまはすべて脇に追いやられて機能喪失だ。その結果、鶏たちは平面移動だけで飛び上がるものがない。そこで、はたと気付いた。陽気も良くなったいま、鶏舎の整地を兼ねて止まり木を新調してやらう。この二年ほど敷地内の樹々を伐採、整枝した折の枝木を生かして、一丁自然味豊かな止まり木を組んでやれば、鶏たちはさぞや喜ぶだらうと提案すれば、女房どのは一も二もなく乗り気、費用は厭わないとまで曰うではないか。

いや、何とか手持ちの自然木で賄うからと、早速に材料を物色、あれこれ仕組みを思い巡らす。空を飛び回らぬまでも鶏も鳥、一間ほどは楽に羽ばたき上がる。高さを変えて何種か考えてやらうか、何ならジャングルジム擬きの・・・。元来ものを拵えることが嫌いでないから止まり木づくりの構想は果てしなく広がった。

何年になるか、芝の広がりを企んで周囲の古樹から何本か葉陰がきついのを選って伐った折に、いずれ何かの役に立つべしと横枝などを取り揃えておいた。それらがいま、止まり木の材料になるから妙だ。田舎暮らしの余慶がこんな処にもある。横木用に格好な枝を二本、途中の余分の枝を払ってほぼ一間に切り揃える。それを両端で受けるY字状の枝が四本、これも高さを決めて鋸を入れる。これで高さ二尺ほどの止まり木がふた組できる。

鶏はどれほど飛び上がるものかと問えば、
鶏専科の女房どの曰く人の肩ほどか、と。ならばと、T字状の小高い止まり木をこれもふた組、雑木から選び抜いて切り揃える。さらにもうひと組ずつ考えてやりたいものだ。空かさず女房どの曰く、ブランコは如何。ぐらつく枝に止まれるものかどうか、それが楽しみ、と。これは若鶏たちに備えてやることに衆議一決。おば鶏たちにと思いついたのが鼎(かなへ)の三角止まり木、安定度抜群、あわよくば三方三羽で都合九羽が同時に止まるなどもありやなしや。

止まり木の取り付けには、天候などの都合で二日を要した。立木部分はそれぞれ裾に支え木を打ち込み、長めのビスでしっかり固定、Y字状の又には横枝を放り込んだままの自然を生かした。例のブランコは人の頭ほどの高さ、若鶏とはいえ地上からは無理か、T字状から飛びつくウルトラCを見せてくれるか、さて。鼎の三角止まり木は絶品だ。九羽止まりはさておき、この鼎はおば鶏たちの和みの場にはなるだらう。

折しもわが庵辺り、柿の葉たちが勢いよくそそり立ち、山椒の葉群れが賑やか、精魂込めて抜き去った雑草の影もなし。これで今年の芝はさぞや心地よく広がるだらう。北足立の初夏、真っ盛りである。

島村111.jpeg


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検証 公団居住60年 №112 [雑木林の四季]

XⅥ 規制改革路線をひきつぐ民主党政権、迷走の3年余

   国立市富士見台団地自治会長  多和田栄治 

6.国土交通省「都市機構改革の工程表」

 2010年4月の行政刷新会議による都市機構の事業仕分け評決、それをうけての国交省の機構あり方検討会の10月4日の報告書、この報告書内容を事業仕分け評決の線に巻きかえしをはかる12月7日の閣議決定「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」をならべてみると、方針の実施にむけての進捗、具体化というより、行きつ戻りっの迷走ばかりが目立つ。迷走の背熟こは、消費税増税のまえに「身を切る改革」を演出してみせたい、とくに岡田克也行政刷新担当大臣のあせり、利権を手放したくない国交省官僚たちの思惑、その綱引きが見られる。しかし迷走のなによりの原因は、公団住宅廃止・民営化方針に大義はなく、方針そのものの矛盾、反国民的な本質にあり、くわえて閣僚の一角、与党議員をも巻き込んでの居住者自治会・自治協のねぼりづよい運動が立ちはだかっていたからといえる。
 検討会報告書についてコメントした際、馬渕国交大臣は「都市機構の事業・組織の見直しについては、年度内に工程表を策定し、より具体的な道筋を明らかにしたうえ、機構改革を不可逆的に進めていきたい」と語った。工程表策定は、年度末の3月11日に東日本大震災が起こって延びのびになったせいもあろう。11年7月1日に国交省は「独立行政法人都市再生機構の改革に係わる工程表」を発表した。
 迷走はとどまらない。工程表は、国交省の検討会報告書とその後の閣議決定にもとづくとしながらも、機構の改革は「検討会報告書で示された方向に沿って行うものとする」と言いきり、民主党政権の「政治主導」とは名ばかり、官僚丸投げの実体をうかがわせた。
 機構改革の工程表は、賃貸住宅部門「改革」の基本を「機構の役割はすでに終わった。賃貸住宅ストックは縮小していく。公的部門の役割は民間市場の補完である」におき、既存ストックの活用に民間資本、経営方式を導入し、市場家賃化をすすめるとして、つぎの事項をあげる。

①「UR賃貸住宅ストック再生・再編方針」は着実に実施していく。
 あわせてPPP(公共・民間共同)手法を活用して団地の収益力の維持・向上につとめる。
②都心部の高額家賃物件は、機構財務の改善につながる価格で売却する。
③4大都市圏の地方公共団体について、順次、買い取りや借り上げ等の意向を確認し協議をおこなう。
④家賃は近傍同種の住宅の家賃の額と均衡を失しないよう定め、家賃減額措置については国 費投入の理由と投入対象を明確化する。
⑤定期借家契約は、建て替え予定の団地以外においても新規入居に導入する。

 この工程表は、居住者を住みなれたコミュニティから追いだす「団地再生・再編」、収入実態を無視した「収益本位の市場家賃化」、居住の権利をうばう「定期借家契約の導入」をならべる。公共住宅としての公団住宅解消の工程表にはかならない。しかし、そう列記したあとでも、具体的な方策は示さないまま、「居住者の居住の安定を害することがないよう配慮するものとする」と書く。団地居住者自身の主張と運動は政府も認めざるをえない存在であることの証しである。

『検証 公団居住60年』 東信堂



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私の中の一期一会 №259 [雑木林の四季]

   行動制限なしの大型連休は3年振り、連休明けのリバウンドはあるのか?
    ~新変異株も出現、「第6波」がこのまま収束するとは考えにくい~

           アナウンサ&キャスター  藤田和弘-

 昨年の年末頃から始まったオミクロン株による「第6波」は、ピークを越えたと聞いてから久しいが収束への見通しは霧の中である。
 東京都は28日、5394人の感染を確認したと発表した。
 先週の木曜日より1319人減り、17日連続で前の週の同じ曜日を下回っている。
 地域によってバラつきはあるが、現状では感染者数が減少傾向にあるのは確かだろう。
 この傾向を受けて都は、3カ月半ぶりに感染状況の警戒レベルを1段階下げることになった。
 だが、「感染者数はまだ高い水準にあり。下がりきっていない」として警戒を緩めてはいない。
 29日から始まった今年のゴールデンウィークは、5月2日(月)と6日(金)に休みを取ると最大で10連休になり、文字通りの大型連休となる。
 さらに今年は3年ぶりに“緊急事態宣言”や“まん延防止措置”などの行動制限がない。
 帰省や家族旅行など、人の流れが活発になることは必至とみていいだろう。 
 小池都知事は「開放的な気分を味わうことも出来ると思いますが、そんな時こそ“いつもの感染対策”を忘れないでください」とクギを刺すことを忘れなかった。
 羽田空港は連休初日の29日、朝から搭乗客で大混雑だったという。
 出発便は軒並み満席で、全日空は29日だけで12万人が搭乗したと伝えた
 連休中は、来月8日までの旅客数が昨年の凡そ2倍になるとみている。
 東京駅でも朝早くから、大きな荷物を抱えた家族連れなどで混雑した。
 構内の土産物店も人で溢れていたという。
 午前6時発の“のぞみ1号”は自由席の乗車率が140%だったと聞くと、何だかやりきれない気分になった。
 連休中は都県境をまたぐ人の移動が普段より大幅に増えることが予想される。
 都は主要5駅に無料の抗原検査所(事前予約制)を設け感染拡大を防ごうとしているというが効果のほどは分からない。
 国立感染症研究所の脇田所長は27日夜の会見で、大型連休での人の移動や接触の機会が増えることが見込まれるとして「ゴールデンウィークが感染を増加させる要因になることは間違いない」と指摘した。
 厚労省の調査によれば、今年1~3月に自宅で亡くなった人や入院待機中に亡くなった人を集計したところ男性 が352人、女性が203人の555人であることが分かった。
 自宅で死亡した感染者の約4割はワクチン2回接種済みの人だった。
 昨年夏の第5波では、自宅での死者は202人だったから、第6波では倍以上になっている。
 年代別では。9割が60歳以上だったという。
 未報告の自治体もゼロではないので、実際の死者数は更に増える可能性が残っている。
 コロナは、封じ込めによって一部の地域で部分的に収束したとしても、人の動きを前提にしたグローバル資本主義社会では、他の地域からの持ち込みによって リバウンドするリスクを常に抱えていると言えるのである。
 最近、ワシントンでコロナ感染が拡大しているというニュースがあった。
 ホワイトハウスのべディングフィールド広報部長(女性)がコロナに感染していることが29日に判明した。
 症状は軽いので自主隔離し、自宅から業務を続けているらしい。
 バイデン大統領は27日にこの女性と同席する機会があったが、大統領はマスクをしていたしディスタンスも維持されていたので濃厚接触者と見なされていない。
 他に、ハリス副大統領,サキ報道官、ペロシ下院議長などの陽性も判明している。
 アメリカでは、すでにマスク着用は珍しい状況になっているようだ。
 フロリダ州の連邦地裁が18日に“交通機関におけるマスク着用義務は違法”という判決を出した。
 今や航空会社、鉄道、配車サービス業などが、次々にマスク着用義務を解除しているとのこと。
 イギリスでは、すでに1月の公共施設などのマスク着用義務が撤廃されている。
 ロンドンでは多くの市民が、当たり前のようにマスクなしで出歩き、パブで楽しんでいる。
 フランスでも、ほぼみんなマスクなしになっている、
 感染者は数万人という日が毎日続くし、1日100人以上が亡くなっているというのに・・である。
 日本医師会の中川会長は「ウイズコロナで、マスクを外す時期が日本に来ると思わない」と発言していたが、常にマスクをしたほうがいいと言っているわけではないと釈明して「熱中症には十分気を付けて欲しい。屋外など人と距離があるときはマスクを外す対応もありだ」と述べた。
 この発言がきっかけかどうかは分からないが、専門家の何人かがマスクを外すタイミングなどについて語った。
 まとめてみると以下のようになる。
 インフルエンザに感染すると、症状が出てから咳などでウイルスが周囲に飛散する。
 だから咳エチケットやマスクが有効な感染対策だった。
 しかし、コロナは感染して症状が出る前にウイルスを飛散させるため咳エチケットだけでは感染を防げない。
 感染して症状のある人だけでなく、周囲の健常者もマスクをするという感染対策が必要になる。
 マスクをしてウイルスを吸い込まない効果を期待する訳だが、感染者がウイルスを飛散させない効果を主な目的にしていると言っていいだろう。
 もともと四六時中マスクをしている必要はないのだ。
 屋外で人が密でない場所にいたらマスクをしなくても構わない。
 問題は、屋内でいつマスクを外せるかではないだろうか?
 例えば、混んだ電車内や大声を出すイベント会場ではマスクをしていたほうが無難だろう。
 密で人と距離がない場所はコロナが収束するまでマスクを外さないほうがいいかも知れない。
 日本人は義務的な強制が無くても自主的にマスクをする素晴らしさを持っているが、3年も続けばさすがにマスク生活に嫌気がさしてきても不思議ではない。
 夏、マスクをしていると“喉の渇きに気付きにくい”とも聞いた。
 もうすぐ熱中症の季節がやってくる、水分補給をするときはマスクを外すことにしよう・・・ 


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BS-TBS番組情報 №257 [雑木林の四季]

BS-TBS 2022年5月のおすすめ番組

       BS-TBS広報宣伝部

中村勘九郎親子のよくわかるSDGs
~地球世直し!未来を守る知恵~ 第3弾

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2022年5月8日(日)よる6:00~6:54

☆シリーズ第3弾!今回は次男・長三郎も加わり、親子3人共演ナレーション!
  「日本全国SDGsの旅」をテーマに、各地のSDGsの取り組みを旅気分でご紹介。

ナレーション:中村勘九郎、中村勘太郎、中村長三郎 / 山本里菜(TBSアナウンサー)

2021年元日、2021年11月に続く「中村勘九郎親子のよくわかるSDGs」の第3弾!
「地球の未来を明るくするチャレンジ」として、日本各地のSDGsの取り組みを紹介してきたこちらの番組。今回はゴールデンウィーク中の放送ということで、「日本全国SDGsの旅」をテーマに、「旅気分」も味わって頂きながら日本各地のSDGsの取り組みをご紹介していく。
そして、過去2回のナレーションを担当した中村勘九郎、勘太郎(11歳)親子に加えて、今回は次男・長三郎(8歳)も参加!親子3人共演のナレーションでお届けする。
▽温泉を活用したSDGsな街(大分県別府市)
SDGsな料理法「地獄蒸し」って?/暖房も電気いらず、フルーツも温泉栽培で。/湯治文化の根付くまちで進む「温泉ワーケーション」
▽森の恵みを生かしたまちづくり(岐阜県 高山市・飛騨市)
地域の森林の7割を占める「広葉樹」の可能性が地域を活性化!/「サスティナブルツーリズム」って?/廃線を利用したアクティビティ/獣害から森を守り 命をありがたく頂くジビエ料理
▽海を守るための取り組み(京都府与謝郡伊根町)
湾に沿って約230軒の「舟屋」が並ぶ美しい景観/無駄にしない伝統の「もんどり漁」って?/昭和平成の後継者不足を経て、いまUターンの若者が町の危機を救う!/宮津市と共同で「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟。世界に認められる海へ。

憧れの地に家を買おう~住んだ気になる世界紀行バラエティ~

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毎週月曜 よる11:00~11:54

☆いつか住んでみたい国内外の憧れ物件を、不動産案内人がおススメする世界紀行バラエティ。
  物件購入を本気で考える武井壮が、世界移住を夢見るゲストと夢を語ります!

MC:武井壮

貴女はどこでどんな家での暮らしに憧れますか?
「ビーチまで徒歩1分!カリフォルニアの夕日絶景プール付き物件」?
あるいは「パリの街角カフェがお向かい!エッフェル塔ビューのレトロアパルトマン」?
はたまた「ライン川沿いにそびえる王家伝来秘密の古城」?
この番組は、いつかきっと住んでみたい国内外の憧れ物件を、不動産案内人がリアルにおススメしちゃう前代未聞の世界紀行バラエティ。
番組MCは、海外物件購入を本気で考える「人生を楽しむ達人」武井壮!
世界移住を夢見るゲストとともに、さまざまな国の家と暮らしをめぐり、共に夢を語ります!

■5月2日
#12(再)「ニューヨークに家を買おう」
ゲスト:市川紗椰

■5月9日
#19「ノルウェー・オスロに家を買おう」
ゲスト:赤江珠緒

美しい日本に出会う旅

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毎週水曜 よる9:00~9:54

☆ボクたちと一緒に、出かけましょう。

旅の案内人・語り:井上芳雄、瀬戸康史、松下洸平

井上芳雄、瀬戸康史、松下洸平。3人の気ままな旅人が、あなたを美しい日本にいざないます。
花咲く春。青葉が繁る夏。紅葉に色づく秋。雪景色の冬。移ろう季節とともに表情を変えるふるさとの海や山。一度は見たい絶景と美食を堪能しましょう。
どこか懐かしい町並やかわいい手仕事。日本が誇る世界遺産に国宝の数々。大興奮の祭りに、温泉めぐり。美しくて美味しい日本を楽しくご案内します。
お気に入りのおやつとお茶を用意したら…ボクたちと一緒に、出かけましょう。

■5月4日
#369「穴場だらけ!桜色の鳥取 幸せの麒麟獅子と日本一の絶壁国宝」
語り:井上芳雄
井上芳雄さんが案内する鳥取県の旅。市場で見つけた春のハタハタ。絶品!脂の乗ったトロハタとは?自由で個性的な鳥取民芸。黒白緑の釉薬が創り出す美しい陶芸に感動!鳥取市内に点在する麒麟のベンチ。麒麟獅子舞のナゾを大調査!ローカル線・若桜鉄道で倉吉へ。伝統工芸・倉吉絣は美しい。三朝町はSDGs温泉の街。浸かる・飲む・吸う・寝るが体験できる木屋旅館で一泊。旅の最後は日本一危険な絶壁国宝“投入堂”へ!

■5月11日
#360(再)「ストーブ列車で雪深い青森へ 雪見風呂とかわいい冬雑貨がいっぱい!」
語り:松下洸平
松下洸平さんが案内する真冬の青森・津軽の旅。大間のまぐろと並ぶ絶品の三厩まぐろを堪能したら津軽鉄道のストーブ列車に乗車。車内ではダルマストーブで焼いたスルメとお酒をグイっと!弘前では洋館めぐり。雑貨屋で見つけた「こぎん刺し」や「津軽系こけし」。カワイイ雑貨がいっぱいです。ねぷたの山車を再利用。オシャレな灯篭作りにも挑戦。宿は黒石温泉郷。天然温泉とあんこう鍋で温まります。


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海の見る夢 №30 [雑木林の四季]


    海の見る夢
        -薔薇色の人生―
               澁澤京子

 昔、経済的にも精神的にもかなりどん底の状況にあった時、ラウル・デュフィの「薔薇色の人生」の絵の小さなポストカードを、お守りのように持っていたことがあった。薄い薔薇色の壁紙、テーブルの上に赤い薔薇の花の飾ってある室内の絵。ピンク、赤、黄色など、下手すると悪趣味にもなりやすい色の組み合わせだけど、デュフィのその絵はとても温かく上品。デュフィの抜群の色彩感覚もあるが、何よりもこの絵は、彼が最も経済的に困窮している時に描かれた絵。困窮のどん底にある時にこうした明るい幸福な絵を描く・・その気持ちはとてもわかる。

人はどん底の状況にある時、暗いニュースや、他人の不幸話のような重い話は聞きたくなくなるものだ。まるで暗がりにいる虫が灯りを求めて探すように、不幸な状況にいると人は、とにかく明るくて軽いもの、それがたとえ他人の幸福であっても幸福を観ていたくなる。中途半端に不幸な人間は、他人にケチをつけて自分を慰めることが多いが、本格的にどん底の状況にいると、誰を見ても自分よりはまともそうに見えるし、まさに不幸とは孤独なのである。本当に不幸になると、人は案外それを誰にも話せなくなるものだ。

あのデュフィの「薔薇色の人生」の小さなポストカードはいつの間にかどこかにいってしまった。今はその頃に比べるとずっと状況は改善されたが、時々、「幸福」について考えると、私が「幸福」の本質というものを一番よくわかっていたのは、デュフィのポストカードをお守りにしていた、あの最もどん底の時期だったんじゃないかという気がする。不幸な状況になって初めて人は、ごく普通の平凡な日常がどんなに輝いて幸福かという事に気が付く・・

エディット・ピアフの『薔薇色の人生』は、彼女が恋人と別れた後に書かれた歌といわれている。

生後三か月で母親に捨てられ、祖母の働く売春宿で育ち、栄養失調のため失明寸前までいったエディット・ピアフ。(ルルドの奇跡で治ったという)

歌手としての才能が認められてからも、貧しい時代に裏社会の人間と関わりがあった事から殺人の濡れ衣まで着せられ、苦しい恋を何度も経験し、やっと巡り合った最愛の恋人(ボクサー マルセル・セルダン)も、幸せの絶頂期に飛行機事故で失ってしまう。死んだ恋人と会話したいために怪しげな霊媒師に莫大なお金を使ったり、アル中、ヘロイン中毒と、身も心もズタズタになって47歳の若さでこの世を去った。

エディット・ピアフの出演している映画『9人の合唱団・心はひとつ』をアマゾンで観た。貧しい合唱団と歌手(エディット・ピアフ)にクリスマスの夜、奇跡が起こるという他愛のない話なのだけど、エディット・ピアフの歌と魅力に思わず惹きこまれてしまった。小柄で猫背、それほど美人でもないのに、彼女のいかにも正直な、純真な可愛らしさに思わず魅入られてしまう。

ディートリッヒからプレゼントされた金の十字架を、ピアフは死ぬまでお守りとして、肌身離さず身に着けていたという。

贅沢でエレガント、女神のようなディートリッヒと、その名の通り小雀のように可憐で純真なピアフ。正反対の二人だけど、レジスタント運動に協力したりする「反骨」なところも、困窮している人たちに手を差し伸べるなど、常に「与える人」であり「愛する人」であったところも、二人はそっくりなのである。ピアフのアメリカ公演で出合って以来、二人は無二の親友となる。ディートリッヒは表面的なものにとらわれないで人を視る事のできる、頭の良さそうな女だけど、彼女にはピアフが自分と同類の人間であることが瞬時にわかったんじゃないだろうか。ヒットラーを拒絶しアメリカに亡命したディートリッヒにとって、ピアフは心から信頼できる友人だっただろう。

二人は全く違うタイプでありながら、自由奔放なところも、勇敢で利他的なところも、そして、全身全霊で恋をするところも、似ていた。(ピアフが最愛の恋人を飛行機事故で失ったときも、ディートリッヒは傍らに付き添っていた)

ピアフは極貧の育ちと壮絶な人生を送ったのにもかかわらず、お金に無頓着で人を疑わなかったらしい。スケールの大きさとおおらかさは生まれつきのものなのか、どこか世俗を超越したようなところがあって、ピアフには舞台装置のようなパリの街の灯、夜空に浮かぶ、つくりものの月や雲など、おとぎ話のような風景がよく似合う。もしかしたら、娼婦たちに囲まれて育った幼い頃、あるいは大道芸人の父親に連れられて巡業していた貧しい子供時代、現実から逃れるためにいつも歌や空想の世界に没頭していたのだろうか。そうした豊かな想像の世界を持っていたからこそ、彼女はどんなに傷ついても、無防備に生きることができたのかもしれない。

ディートリッヒがどんな衣装をまとっても何をしても、あたりにエレガントな空気を漂わせてしまうように、ピアフは歌い出した途端、目の前に恋の物語の風景を繰り広げることができる。ディートリッヒが「夢の女」とすると、ピアフは「夢見る女」かもしれない。極めて人間らしく生きた、強い個性を持つ二人。ファシズムの吹き荒れる暗い時代(ファシズム体制にとって、ほとんどの映画、音楽、芸術は役に立たないただの気晴らし、退廃と見なされただろう)、彼女たちは、どんなに人々に生きる力を与えたことだろうか? 

チルチルとミチルは夜の国で、輝きながら夜空に飛び交う青い鳥を夢中になって捕まえるが、捕まえた途端に青い鳥は死に、青く輝いていた羽根はみるみるうちに輝きを失い、黒ずんでしまう。暗い夜空を背景にして青い鳥が光輝くように、本当の幸福がわかるのは、苦しみや悲しみのわかる人間だけなのかもしれない。




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梟翁夜話 №110 [雑木林の四季]

「聡太君の入れ知恵」

            翻訳家  島村泰治

例へ数へでも米寿と聞けば心穏やかならず、立ち居振る舞ひも人並みに老爺らしくおっとりとして来るから妙だ。煎じ詰めれば、たしかに足腰は弱体化してゐるし物忘れも人ほどではないが無くはない。周りがしきりに歩けと急かし、自分でもさうかと折々に出陣するがそれは一日二日、長くは続かずに歩かぬ日が続く。そんな日々にある日、一片の朗報が届く。

朗報とは他でもない、例の将棋の天才、藤井聡太竜王(二十歳を待たずにすでに五冠、A級に上り詰めて名人位も指呼の身だ)は散歩について何とも味のある感想を述べたとの報道だ。盤を前に駒を並べまくる日々、周りが散歩を勧めるのは当然で、ならばと聡太君、ある日散歩を試みたと云ふ。どこをどう歩いたか、散歩から帰っての感想に曰く、「往きはとまれ帰るのが億劫だからこれを最後にもう歩かぬ」、と。

私は庵近くのグリコ工場を周回して三千五百歩を目掛けて歩くのだが、その無作為性が嫌いで滅多に出向かぬ。そこに聡太君の名言が飛び出し、遥か年若のこの天才が将棋のみならずレトリックにかけても並々ならぬ才を潜ませてゐることに、驚きかつ感心した。グリコを周回する無意味さは、彼の帰路が辛いとの感覚と並行しており、散歩など何たるものぞ、の依怙地に通じてをる。

散歩の虚しさを紛らす手立てと、私はウオークマンにデータを仕込んで聞きつつ歩くことにしてをる。データの量を加減して近道を選び遠道も試みる。それはそれで歩く動機付けにはなるのだが、帰るのが億劫だからほどのズバリ感はない。あれを聞いて以来、私の散歩はめっきり減った。行きはよいよいとはよくぞ申された。何ぞが見たいからと散歩に出たまではいいが、それが遠道だったら帰るのがきつい、見たければ車でいけばいいまでだから、取り敢えず不毛な散歩は辞めとこう、となる

実は私の散歩観もどうやら遠からずで、散歩するからには先で見たいものがあるか否かが励みになる。重い腰を上げて歩くからには、歩くごとにその励みが欲しい。運動のために散歩する曰くや道理は判っても、グリコ周りのやうに、見るものとて何も無いまま只管《ひたすら》ひたひた歩く単調が何とも耐へ難い。ウオークマンとて、そんな人間のうさを晴すには限度があると云ふものだ。

帰るの億劫だから散歩は止すと喝破する聡太君の潔さが何とも眩しい。眩しいのだが、ほいほいと追随するには流石に躊躇する事情もあるのだ。聡太君が将棋盤なら私には文机、ほぼ四六時中座《ざ》して過ごす場所である。動き回ることは稀で、勢ひ脚の萎えること夥《おびただ》しい。時折の畑仕事でも二十分ほど毎に座り込む情けなさ、側の目にもさぞ痛々しからう。それを思えば脚力は何とかせねばならぬ。室内サイクルもあるが効果は知れてゐる、やはり実地の歩行訓練が地味だが効率がよいとは知らぬではない。懊悩《おうのう》が尽きぬ道理だ。日頃から私の散歩を促す仕草を絶やさぬ女房どのの気掛かりも分かるだけに、聡太君の一件に動揺する私を咎める目付きが一際厳しい。

となれば、折角の彼の啓示(?)を活かすに何か他の手立てを考えねばならぬ。気を引き締めて考える。運動に散歩は格好だ、遠くへ行き過ぎて帰りが億劫になった、散歩は懲りた・・・情報はここまでだ。散歩は懲りたが運動をせぬ、とは聞き及んでおらぬ。まだ十代とはいえ聡太君は並みの人物ではない。将棋盤に張り付いた生活の不健康は十分すぎるほど知ってをられやう。だからこその散歩の試みだったはずだ。

はたと思ひ当たる。聡太君には常人にない特異脳があるではないか。他ならぬ読みの力、将棋の手を探り尽くす読みの力だ。AIをも凌ぐと云ふ「手を読む力」、散歩は止めたと決める裏にこの力が働いてゐたら、「歩かぬ代わりにこの手を打つ」との読みがあるとしたら・・・。さうだ、聡太君は散歩を凌ぐ対策を読み切ってゐたと考えるのが至当だ。もう歩かぬと云ひながら、きっと他の手立てを考えてをる筈だ。室内サイクル然り、水泳然り、若さで試みる手立てが豊富だらう。ならば、聡太君の入れ知恵を幸便に散歩を止めるのは拙速の極み、読みにせよそれは文字通り勝手読みだ。

と気づいた私は、聡太君に肖《あやか》って自分なりの読みを深めることにした。コロナでスポーツクラブを中断、好きな水泳をできなくなって健康維持の手手立てがぐんと減ってゐる。室内サイクルか所詮は散歩か、それとも新機軸の運動を企てるか。ここ一番、将棋こそ手は読めぬが、聡太君に倣《なら》って奇策を練ってゐる。いずれ何やらの思ひつきをご報告する所存だ。

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検証 公団居住60年 №111 [雑木林の四季]

XⅥ 規制改革路線をひきつぐ民主党政権、迷走の3年余

   国立市富士見台団地自治会長  多和田栄治 

5.民主党内閣を動かした自治協の家賃値上げ反対運動

 都市機構は2010年9月、2年間先送りした継続家賃改定を2011年4月1日に実施する計画をしめした。機構が09年度に予定していた第10次改定は、国土交通大臣の要請により「当面延期」していた。そのため09年度の家賃収入ははじめて前年度実績を下回わり、①09~10年度の見送りによる減収見積額約30億円については行政刷新会議の事業仕分けでも指摘された。またその間、②市場家賃と継続家賃との禾離がひろがり、「全76万戸のうち、約13%にあたる約10万戸が近傍同種家賃より低い家賃で入居している。近傍同種家賃の方々との家賃負担の格差是正を早期に図る必要がある」という。くわえて、③株価の上昇、大企業の景気指数を例に「経済状況は改善された」と、家賃値上げの3つの理由をあげる。
 大企業の景気は考慮しても、家賃を払う居住者の経済状況には見向きもせず値上げをする機構の方針は論外として、「市場家賃との承離」から「負担の不公平」をとなえる筋立てもひどい暴論である。
 機構のいう「市場家賃」は、すでに述べたように、機構が査定を日本不動塵研究所に丸投げして得た結果でしかなく、それをもとにした家賃設定が空き家を増大させている現状が証明するように、客観的な市場性のない価格といわなければならない。空き家発生の原因は第一に高家賃であり、全国平均で機構の空き家率は11%をこえ、2割、3割の空き家もめずらしくない。空き家による家賃減収は数百億円にのぼるはずである。空き家を解消しうる家賃水準にもどしてこそ市場家賃といえよう。
 したがって「市場家賃との禾離」も「約30億円の減収」も、実体的な根拠のない作り話でしかない。約30億円の増収目標が先にあり、そのための理由づけとして考え出したのが「市場家賃との承離」であり「負担の不公平」論である。また「市場家賃との承離」論はそれだけでなく、引き下げるべき継続家賃を高止まりのまま据えおく理由、論拠にもしている。2009年度決算では家賃収入5,622億円から純利益634億円をあげ、10年度は空き家の増大等による減損損失315億円を計上し、家賃収入は5,567億円に減、それでも純利益276億円を上げている。
 家賃のくりかえし値上げによる退去、空き家増大の現状を、「空き家入居は定期借家契約で」「高額家賃物件は売却、処分を」の閣議決定と重ねあわせると、たんに市場家賃との格差是正ではなく、ねらいは居住者追い出しではないかと言いたくなる。定期借家契約の入居者がふえ、借家契約の終期を調整しておけば、機構の思惑どおりに団地処分もできる。

 全国自治協が、とくに与党民主党の旧公団居住安定化推進議員連盟にたいし家賃値上げ中止の働きかけをねばり強く要請したことはいうまでもない。2010年統一行動をしめくくる12月8日の全国公団住宅居住者総決起集会には全国から160団地1,068人が参加し、269団地約13.2万世帯、25.6万人の統一署名が集約された。集会では民主、自民、公明、共産、社民の5党から10人の議員が自治協の要求支援を表明し、野党から家賃値上げ中止は「民主党の決断しだい」をうながした。
 11年1月早々には機構は家賃値上げ通知の準備を終えていたが、発送を見合わせた。1月14日には管直人首相の内閣改造により国交大臣は馬渕澄夫から大畠章宏にかわった。この機をとらえて全国自治協はなんとしても値上げ実施をくい止めようと、通常国会召集日の翌日の1月25日、「家賃値上げ反対!団地自治会代表者国会要請集会」を衆院第2議員会館で急きょ開いた。
 集会は大きくもりあがった。92団地自治会の役員約150人が参加、与野党5党の国会議員18人と代理15人も出席、こぞって4月の家賃値上げ見送りをとなえた。機構の家賃改定方針を馬渕前大臣がすでに容認した経過はあるが、この国会集会のパンチは大畠新大臣に一定の影響をあたえたにちがいない。2月10日夜、大畠大臣は全国自治協役員と会見、そこには民主、自民の議連役員も同席した。要請をうけて大臣は「馬渕前大臣の方針を踏襲したい」とのべたうえで、「要望は十分に受けとめるべき」と都市機構に伝ぇると明言した。全国自治協は2月22日に機構本社に家賃値上げ実施の見合わせを申し入れた。
 都市機構は11年3月2日になって「UR賃貸住宅の継続家賃改定(家賃の格差是正)及び負担軽減措置について」と題し、7万8,000戸を対象に4月からの家賃値上げを発表した。ただし9月までは値上げ分「全額免除」、10月から12年3月までは「2分の1免除」、翌年4月から全額値上げを実施するという。
 全国自治協は同日これに抗議し、見解を表明した0値上げ世帯に通知をしたのは実施日のわずか20日前、3月11日であった。社会通念に反するばかりか、あまりにも強権的である。東日本大震災がおきたのは、その日であった。
 前回改定期の09年から2年間の家賃値上げ延期にくわえ事実上6か月さらに延期させるまでの自治協運動とその成果をどう評価するかはともかく、11年4月値上げにかんする馬渕、大畠両国交大臣の発言における変化は注目に値する。機構賃貸住宅の「市場家賃部分は民間へ移行」等の実施を10年12月7日に閣議決定した馬渕大臣は12月24日、当然のように機構の家賃値上げを容認した。しかし、年があけ1月25日の国会集会をヤマ場にした自治協の波状的な要請行動、各党議員の国会質問をうけて大畠新大臣の自治協役員との会見、機構への再要請となった。機構は大臣要請にこたえ、準備した値上げ通知発送を中断し、「措置」内容の再検討をせまられた。
 値上げ分の一時的免除という「負担軽減措置」が、「2011年4月実施」の実績づくりのための姑息な手法であるにしても、自治協運動と国会勢力等の支援なしには実現しえず、機構がよぎなくされた事実上の値上げ延期であることは明らかである。

『検証 公団居住60年』 東信堂

 

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BS-TBS番組情報 №256 [雑木林の四季]

BS-TBS 2022年4月のおすすめ番組(下)

        BS-TBS広報宣伝部

ノジマチャンピオンカップ箱根シニアプロゴルフトーナメント

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2022年4月21日(木)よる9:00~10:54 「1stラウンド」<録画>
2022年4月22日(金)よる9:00~10:54 「Finalラウンド」<録画>

☆シニアツアーを代表するトッププロが集結!第6代チャンピオンは果たして誰だ!?

2022年PGAシニアツアー第2戦。第6回「ノジマチャンピオンカップ箱根 シニアプロゴルフトーナメント」。前半戦からスタートダッシュを決めるシニアプロは誰なのか?50歳以上の男子プロ選手が今年も箱根の難コースに挑む。
戦いの舞台は、神奈川県足柄下郡箱根町の富士箱根国立公園内に位置する「箱根カントリー倶楽部」。全長は7036ヤード、PAR72。箱根の大自然に囲まれ、360度絶景が広がる雄大なコース。
倉本昌弘をはじめ、尾崎直道、深堀圭一郎、寺西明、秋葉真一、加瀬秀樹、伊澤利光、井戸木鴻樹、篠崎紀夫などシニアツアーを代表するトッププロが集結。シニアプロ達の熟練された匠の技に注目!
トッププロの意地とプライドをかけた戦い。第6代チャンピオンは果たして誰なのか?

サンド伊達のコロッケあがってます

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2022年4月16日(土)夕方5:30~6:00

☆サンドウィッチマン伊達が各地のコロッケを食べ尽くす!

出演:伊達みきお(サンドウィッチマン)、口笛なるお(わらふぢなるお)

サンドウィッチマン伊達が、大大大好きなコロッケを食べ歩く企画。
お供は、後輩芸人「わらふぢなるお」の口笛なるお。伊達の食べるコロッケのおいしそうな音をひろう音声さんとしてもサポートします!
#2「戸越銀座商店街」
東急池上線の「戸越銀座駅」に接する、全長約1.3kmにわたる関東有数の長さを誇る商店街。平成21年に地元の立正大学との協働事業で、商店街を「コロッケのまち」にしようというプロジェクトがスタートしたそうです。ユニークなコロッケから王道のコロッケまで。まさにコロッケの街、戸越銀座。こだわりのコロッケ、あがってます!

Style2030 賢者が映す未来

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2022年4月17日(日)午前10:00~10:54

☆ジャーナリスト龍崎孝と各界の賢者が対談!新しい生き方を提案する。

出演:龍崎 孝(ジャーナリスト/流通経済大学副学長・教授)、皆川玲奈(TBSアナウンサー)
ゲスト:坂 茂(建築家)

SDGsの目標達成期限2030年に私たちの社会や暮らしはどうあるべきか?ジャーナリストの龍崎孝が、建築家・坂 茂氏との対話を通じて、新しい生き方のヒントを探る。 
今回のゲストは建築家の坂茂氏。
紙の管を使った建築やコンテナを使った仮設住宅など、マイノリティや弱者の住宅問題にこれまでにない手法で取り組み続け、2014年には建築における最高峰とされるプリツカー賞を受賞した坂氏。その活動の原点は「建築家は社会の役に立っていないのではないか」という問いだったという。また、建築が長く利用される“パーマネント”な存在になるかどうかは、建築方法ではなくその建築が人々に「愛されるかどうか」にかかっているという。坂氏が求める建築、そして暮らし方とは。
番組内で「グラフィックレコーディング(グラレコ)」という手法をつかって、対談内容をリアルタイムで「見える化」する過程にも注目!坂氏の活動の先にある2030年の社会を、色彩豊かに描き出す。

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海の見る夢 №29 [雑木林の四季]

                    海の見る夢
          -スクリャービンのエチュード(悲愴)-
                    澁澤京子

ウクライナ生まれホロヴィッツの演奏するスクリャービンのエチュード(悲愴)。もしもホロヴィッツが今のウクライナの状況を天上から眺めたら、こんな気持ちなんじゃないだろうか、と思ってしまう。

~ロシア人は爆弾を製造し続けています。合衆国だって、同じように爆弾を作り続ければ貧しくなるでしょう。ロシアではみんな怯えています。通りを歩いただけでそれがわかります・・~ウラディミール・ホロヴィッツ(1986年のモスクワ公演の後で)『ホロヴィッツの夕べ』D・デュバル

「日本も核武装を!」という声が高まっているけど、核って本当に抑止力になるんだろうか?銃規制のないアメリカで、時々、銃乱射事件が起こったり事故があるように、核も、攻撃的な人間の手に握られるリスクがあるし、また、情報の錯綜やミスによる事故がいつ起こってもおかしくはない。軍需産業がなくならない限り、戦争はなくならないという事を考えても、ひょっとすると核による抑止が幻想になる時代がやって来るかもしれないではないか。(考えたくないが)ロシアのウクライナ侵攻以来、そういう危機感を持つようになってしまった、

戦争はおそらく人の弱さから起こるのだと思う。誰でもミスをするし、思い込みや偏見を持つが、自分は正しいと思ってしまう。しかも、理性もそれほど頼りにならないのであって、人は他人の間違いはよく見えても自分の事には大概盲目となる。今のプーチンの行動は、激しい思い込みによる暴走じゃなくてなんだろう?

と、ここまで書いていたら、今日の東大入学式での河瀬直美さん(映画監督)のスピーチが大学関係者に波紋を呼んでいるというニュースが。

問題になっているのはこのスピーチらしい。

「例えば「ロシア」という国を悪者にすることは簡単である。けれどもその国の正義がウクライナの正義とぶつかり合っているのだとしたら、それを止めるにはどうすればいいのか。なぜこのようなことが起こってしまっているのか。一方的な側からの意見に左右されてものの本質を見誤ってはいないだろうか?誤解を恐れずに言うと「悪」を存在させることで、私は安心していないだろうか?人間は弱い生き物です。だからこそ、つながりあって、とある国家に属してその中で生かされているともいえます。そうして自分たちの国がどこかの国を侵攻する可能性があるということを自覚しておく必要があるのです。そうすることで、自らの中に自制心を持って、それを拒否することを選択したいと想います。」~河瀬直美氏

河瀬直美氏に対する反論。

「侵略を悪と言えない大学なんて必要ないでしょう」東京大学・池内恵教授
あと、複数の大学教授の非難も似たようなものばかりなので割愛する。

もちろん、侵略戦争は悪に決まっているが、河瀬氏のスピーチは、「どっちもどっち」とか、今のロシアのやっている残虐非道を擁護しているものではなく、(今のこの状況で、ロシアを悪として糾弾したところで私たちにいったい何が解決できるんだろうか?)という事を、ごくふつうの一般市民として言いたかったのでは?さらに、「一方的な側からの意見に左右されてものの本質を見誤ってはいないだろうか?」と述べていて、戦争がなぜ起こるかを根本的に考えてほしいと学生に向かって促している。河瀬直美氏の「(悪)を存在させることで、私は安心していないだろうか?」の発言の裏には、NATOとアメリカとロシアの関係といきさつ、そして、かつてアメリカがイラクを悪の枢軸国と決めつけ、でっち上げの口実から始まったイラク戦争も念頭にあったんじゃないかと思う。「侵略戦争は悪」と国際法の是非を言うのであれば、ウクライナ侵攻では自民党はこぞってウクライナ侵攻を「戦争犯罪」と糾弾しているが、かつて、日本も加担したイラク戦争も国際法違反。「戦争犯罪」に加担したとして反省した政治家っていただろうか?

また、何か自分の外部にあるものを悪として非難・糾弾することが、正義であるかのように安心するのは危険であるという事を述べている。自分の外部に悪を設定して「自分は正しい」とするのは、政治的な常套手段であるが、プーチンもまったく同じ事をしているのである。私たちがいくらプーチンを糾弾しても無力なのであって、むしろ、彼女は戦争の原因は私たちの中にも潜んでいるんじゃないか、という事を問題提起したかったんじゃないかと思う。

もちろん、やり場のない怒りでイライラしている人が多いのはとてもわかるし、そこであの反論があったのだろう・・戦争の映像は人を傷つける。イラク戦争でも、イスラエルのパレスチナ攻撃の時も、ネットでリアルに配信される悲惨な映像に、私はやり場のない怒りとストレスをためたし、今はウクライナ侵攻の悲惨な映像を見て、やりきれないのである。

芸術家というのは、絶えず自己の内面に向かっていくが、河瀬直美さんはウクライナ侵攻を見ておそらく内省的になったのだと思う。人間そのものが変わらない限り、戦争は決してなくならない・・ウクライナ侵攻で見られる人間の残酷と悲惨は私たち人間の姿ではないか。

ゼレンスキー大統領はグラミー賞でのズーム演説で「戦争の対極にあるのは音楽だ」と述べた。バッハの対位法を聴くと、まるで違う意見を持つ人同士が議論しているようで、音楽では異質な組み合わせがむしろ生き生きと輝き美しい。御互いが対等で誠意さえあれば、たとえ、意見がぶつかっても調和するのに。

コロナ、不況、ウクライナ侵攻と続いて、心の余裕を失っている私たちは今、とても危険な状況にあると思う。心のゆとりをなくせば、私たちはホロヴィッツの言う「貧しい人間」になってしまう。要するに、「貧しさ」とは、精神というもの、個性、心のゆとりや美意識というものを持たない画一化された人間のことなのである。

最後のロマン派と言われたホロヴィッツが、革命後のソ連にも、移住した先のニューヨークにも、時代の変遷にもなじめなかったのはよくわかる。ロマン主義で重要なのは「個人・個性」や「優雅・回顧」だからだ。ホワイトハウスに招かれて演奏したホロヴィッツにとって政治家とはただの「音楽のわからない人々」でしかない。芸術も宗教も、政治的に利用されればロクなことにならないので、芸術家も宗教家も、政治批判できるように距離を置くのがいいのではないだろうか。かつて、ロマン主義はドイツでも日本でも政治に利用されたが、ロマン主義の「個人・個性」「自律」に重点を置くところはむしろファシズムとは対極にあるのだ。

85歳になったホロヴィッツは「人生は短すぎる」と言ったという。国家・権力ではなく、芸術という永遠を前にした時だけ、彼は絶えず自身をちっぽけな人間に感じ敬虔であったのだろう・・


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梟翁夜話 №109 [雑木林の四季]

「弘くん、学校行こ」

      翻訳家  島村泰治

どうやら私は、幼い頃から群れを好まぬ質だったやうだ。南六郷で過ごした九歳までの日々、連(つる)んで遊んだともだちをさほど覚えてゐない。ヤンと云ふ名の大将格の年長の子やそいつに連む二、三のこどもたちがゐたにはゐたが、どの家の誰ともいまは思ひ出せない。それでも、近所の道筋や店の佇まいは結構覚えてゐるから、どうやらひとり歩きを手広くしてをったやうだ。
少ないともだちのひとりが右隣りの中嶋さんの弘くんで同い年、出雲国民学校の同級生だったはずだが級が違ったのか机を並べた記憶がない。
「ひーろしくん、がっ・こい・こ」
登校時などは、玄関先でさう言って私が彼を誘った。六拍で刻むリズミカルな呼び掛けは粋な旋律に聞こえた。「は・あ・い」と応へるのは大抵お姉さんの艶(つや)ちゃん、ややあって弘くんは背中を押されて玄関から出て来たものだ。艶ちゃんが艶子かお艶かは知らない。母が日頃からさう呼んでゐたからで、自分が面と向かってどう呼んだかもとんと記憶がない。
弘くんは控えめの子どもで、家の中にゐることが多く、近所の遊び仲間とも馴染まず連んで遊ぶことはなかった。私は艶ちゃんに乞はれて中嶋さんちに行き、弘くんの遊び相手を務めた。遊びとは言へその頃流行りのべーゴマをするでもなく、メンコに興じることもなかった。そもそもそんな遊具は中嶋さんちにはなかった。大抵は幼年倶楽部の読みっこか紙飛行機作りで、宿題のある時は机に向き合って無言で勉強することもあった。
同い年ながら時代感覚に違ひがあったやうで、飛行機や戦艦の話を仕掛けても乗ってこないのが、子どもながら少国民然としてゐた私には弘くんが食ひ足りなかったのを覚えてゐる。お姉さんの艶ちゃんは明るいのに、どうしてだらう。学級にも似たやうな子がゐたから、弘くんもそんなだらうと思ふことにした。
二年生頃のこと、弘くんとのそんな時間がある日突如途絶えた。
弘くんちにはお婆ちゃんがゐた。子どもの目には年恰好は分からないが、白髪混じりの髪を結ひ上げ、ゆらゆらと歩く姿が目に浮かぶ。外出をしないのだらう、日に焼けたことのない白っぽい皺肌(しわはだ)だった。いつも艶ちゃんが寄り添ってなにくれとなく世話をしてをり、親孝行なお姉ちゃんだなとの印象があった。
ある日、そのお婆ちゃんが騒動を起こし、それを切っ掛けに私は弘くんちに行くことが無くなった。何曜日だったか、真昼時に家にゐたのだから土曜か日曜だったらう、私はたまたま玄関先の掃除か何かしてゐた時、弘くんちの家の中で女の人の金切り声が上がった。
「お婆ちゃん!何してんの、お婆ちゃん!」
艶ちゃんの声だ。何かが起こってゐる。私は家に入り母を呼んだ。これこれと様子を告げると、只事でないと察した母は、小走りに弘くんちへ。玄関を開けるや、どうしたのと声を掛けて上がり込んだ。艶ちゃんと母の声が交錯して様子が定かでないが、言葉尻からお婆ちゃんが便所でひと騒動起こしたらしい。
金隠しから入って座り込んじゃったのよおばさん、と半泣きの艶ちゃんの声。
どうやらお婆ちゃんが尋常じゃない。子どもながら私は咄嗟に気づいた。いつものふらついた歩きかたや、付かず離れずに気を配る艶ちゃんの様子、弘くんの言葉少なさと控へめな態度など、あれもこれもがお婆ちゃんの只事じゃない振る舞ひに繋がってゐるやうに思えたのだ。弘くんちは家中がお婆ちゃんを気遣ってゐるんだ、だから弘くんはああなんだ、可哀想だな、思った。
騒動が収まって帰宅した母の話から、お婆ちゃんの精神異常は近所でも周知なことを初めて知った。母は艶ちゃんの気遣ひが痛々しいと云い、それを聞いて私は艶ちゃんがときに殊更に明るく振る舞ふ事情を読み取った。事情を呑み込むや、母は日頃の手際を発揮してお婆ちゃんを抱え込み、艶ちゃんを励まして汚れを拭いてことは収まった、と。
弘くんの気まずさと恥ずかしさは如何ばかりだったか。私は弘くんに掛ける言葉が見つからぬまま、ふたりの間に隙間が生まれた。子どもは子ども、互いにその隙間を埋める手立ても見つからずに、弘くんと私は自然と遠ざかった。登校の誘ひもしなくなり、一緒に勉強することも無くなった。艶ちゃんはあれこれ口を聞いてくれても、幼い私は弘くんはどうと聞く才覚もなく、これも縁遠くなった。大人同士の隣付き合ひには何の変わりもなく、母はむしろその後中嶋さんへの関わりが増えたやうな様子が、子どもの私には不可解としか見えなかった。
南六郷には国民学校の三年までで、戦中の最中、慌ただしく埼玉の母の実家に引っ越したから、その後の弘くんのことは知らない。お婆ちゃん事件を最後に、弘くんちの記憶はぽつんと切れてゐる。今はもう弘くんの面影も薄れて、瞑目しても姿を思ひ描けない。了


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検証 公団居住60年 №110 [雑木林の四季]

XⅥ 規制改革路線をひきつぐ民主党政権、迷走の3年余

   国立市富士見台団地自治会長  多和田栄治 
 
4.国土交通省「都市機構あり方検討会」報告と閣議決定

 国交省の都市機構あり方検討会は2010年10月1日に報告書を公表し、検討結果として機構組織の見直し案、ABCの3案をしめし、共通認識としてつぎの4点をあげた。

① 公団住宅本来の役割は終わった。高齢者向け住宅も民間が供給促進すべきである。
② 最大の急務は債務の圧縮、繰越し欠損金の早期解消である。そのため機構は家賃収益の増大とともに、コストの削減、業務の効率化に努めよ。
③ 都市再生部門はひきつづき民間事業、都市整備を支援する(事業収支の欠損には賃貸住宅部門の収益を充てる)
① 高齢者・低所得者の居住の安定に配慮する。ただし家賃減額措置など既存入居者への過大な既得権的優遇はおこなうべきではない。

機構組織見直しのABC案は、この基本認識に立ってつくられている。

 A案:都市機構を完全民営化する案
 B案:政府100%出資の持ち株会社にする案
 C案:新しい公的法人(公的機関)にする案

 これらは、いうまでもなく個別の3案ではなく、本来の目標はA案とさだめ、Aにいたる段階としてC案、つぎにB案がセットで提起された。ただし、国交省がいう「完全民営化」とは具体的に何を意味するかは明らかにしていない。
 報告書のねらいを馬渕澄夫国交大臣は、10月5日に端的にのべた。

 機構改革の最重要課題は14兆円にものぼる債務の縮減である。そのためにコストを削減し収益を拡大せよ。事業廃止か民営化か、いずれにせよ障碍になる累積赤字をなくし、債務をへらせ。機構総資産の8割をしめる賃貸住宅団地を極力売って現金に換えよ。なぜ独立行政法人を新しい公的法人にかえる必要があるかといえば、いまのままでは収益を最大化する動機に欠けている。

 そのために、まず機構を改革して新法人にかえ、つぎに特殊会社化する、つまりC案、B案の順を想定し、機構見直しの工程表を2010年度内に策定するとコメントした。
 行政刷新会議による事業仕分け結果をうけて機構のあり方を検討した会の報告ではあるが、仕分け結果と検討会報告とには明らかに「対立」がみられ、国交省の「抵抗」をうかがわせる。それは、仕分け現場における仕分け人と国交省官僚とのやりとりからも察せられた。仕分け第1弾のあとすぐ国交省は検討会をたちあげ、国交省の「基本的立場」を確認し、その結果が、仕分け評決の方向には沿わない検討会の報告内容となった。
 事業仕分けの評決には法的拘束力はなく、与党内にも仕分けへの異論が出はじめ、批判の動きがあった。行政刷新会議は巻き返しをおそれてか、11月になって「独立行政法人の業務・事業見直しの基本方針」をまとめ、12月7日に機構賃貸住宅については、検討会報告ではなく、事業仕分け評決どおりに民間および自治体または国への移行の「2011年度から実施」を閣議決定した。
 実施すべき主な事項として、①都心部の高額家賃物件から民間への入札を実施し、その結果をみて民間への移行を積極的に進める、②団地の用途転換・集約化を急ぎ、余剰地の売却を図る、③自治体への移行について譲渡等にむけた協議に努めることを改めて確認した。しかし、これは「政治」判断による内閣のアピールでしかなく、都市機構も面従腹背、本気にしたとは思えない。
 政府、機構にできることは力づくの弱者いじめだけ。居住者の苦しい家計に追い討ちをかける家賃値上げを、10年12月24日に馬渕国交大臣は容認し、機構は11年4月1日に実施した。

『検証 公団居住60年』 東信堂



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台湾・高雄の緑陰で №32 [雑木林の四季]

                    ウクライナ戦争と台湾

     コラムニスト・在台湾  何 聡明
 
 ロシアのプーチン大統領はウクライナ政府が旧ソ連邦から独立する時、西側と同盟を結ばない約束を破ったのが今回の懲罰戦の理由の一つであるとと言うが、ロシアは昔から約束破りの名人である。第二次世界大戦中の1941年に締結した日ソ中立条約は太平洋戦域で日本軍の敗退が現実になると1945年4月5日一方的に日ソ中立条約を破棄し、同年8月8日対日宣戦を布告するや満州と南樺太、千島列島に進攻を始めた。またソ連崩壊後、日本の固有領土である北方4島の返還を拒絶し、その後4島中の2小島の返還を考慮すると言いながら20数年が経った今でも全く無作為である。
 今年2月下旬に始まったロシアのウクライナ侵略戦争は今でも激戦が続いているが、世界第二位の軍事力を誇るロシアが目標とする戦果は上がっていない。それはウクライナ人が健闘していることと欧米が現代兵器の補給を続けているからであろう。だがロシア軍の無差別攻撃を受けて死傷したウクライナ平民は少なからず有り、多くの都市も戦禍で荒れ果てている。ロシアがウクライナを侵略するのはプーチン政権が今は無き旧ソ連邦時代の宏大な領土の恢復を武力で実現を図っているからであろう。それはまた脱ソ連後のロシアが今では中華人民共和国と名乗る中国と同様の共産極権国家であること意味する。
 プーチン氏は柔道の愛好者で、ロシアの大統領ゆえに柔道9段が贈られ、世界柔道連盟の名誉会長に任じられたが、今回のウクライナ侵略は「自衛のため小良く大を制する柔道の精神」にもとるとして、國際柔道連盟から追放されたのは尤もである。ロシアのウクライナ侵略戦争はプーチンが直接ストップを掛けなければ長引くであろう。
 中共政府が50年不変を決めた中英条約を勝手に破棄した時、その次は台湾侵略だと言われた。今回もウクライナ戦争の次ぎは台湾だと言われているが、米国の高官は米台関係は【台湾関係法】を基礎に磐石であると公言した。台湾人は「自助者、人助之(己から助くる者は、他人もそれを助く)」の金言を肝に銘じ、常に自衛力の強化を計らねばならない。
  最近日台で台湾有事は日本有事だとよく言われているが、台湾有事の時台湾軍が自力で数日持ちこたえれば、米海空軍より支援が来ることは考えられるが、日本は憲法第9条が修正されない限り台湾への支援は米軍へ軍事物資の補給だけになろう。また、仮に中国解放軍(解放とは笑止千万)が尖閣列島や沖縄列島へ進攻を始める有事の時、日本に条件付きのない国防力を持つ修正された憲法第9条が無ければ、中国軍の進攻を未然に防ぐことはできない。
  戦後、日本には過去シナ事変で日本が中国大陸で罪悪を重ねたことを反省する親中の日本人が少なからずいるが、今の共産中国は長らく日本、台湾、欧米の農水産、商工業、科学技術の援助を受けて、今では米国に次ぐ世界第二位の経済大国であり、核兵器を有する軍事大国でもあるので、日本を侵略する力があることを日本人は無視してはならないと思う。
  台湾人は脱中華民国の努力を続けているが、野党中国国民党は今でも中華民国の国名を尊重する2つの中国の信者であり、台湾憲法制定によって中華民国に取って代わる台湾共和国が誕生すると生存できなくなるのを恐れ、極力反対している。ウクライナに親ロシア派の存在同様、台湾にも親中国派が存在するが、現在執政党である与党民進党は米国が中華民国と断交した後、台湾との関係を維持する目的で「台湾関係法」を立法、施行して今日に至っていることを銘記し、万難を排して台湾憲法の制定を急がねばならぬ重責があることを忘れてはならないのだ。

2022年4月11日

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読むラジオ万能川柳 №133 [雑木林の四季]

       読む「ラジオ万能川柳」プレミアム☆ 3月16、23、30日放送分

     川柳家・コピーライター  水野タケシ 
                                      

川柳家・水野タケシがパーソナリティーをつとめる、
読んで楽しむ・聴いて楽しむ・創って楽しむ。エフエムさがみの「ラジオ万能川柳」
川柳家・水野タケシがパーソナリティーをつとめる、
3月16日放送分です。  

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寒暖差がカラダにこたえます。。。。

「ラジオ万能川柳」は、エフエムさがみの朝の顔、竹中通義さん(柳名・あさひろ)が
キャスターをつとめる情報番組「モーニングワイド」で、
毎週水曜日9時5分から放送しています。
エフエムさがみ「ラジオ万能川柳」のホームページは、こちらから!
https://fm839.com/program/p00000281
放送の音源・・・https://youtu.be/F-WKNwAKUiQ

【質問】
人はなぜ川柳を詠むのでしょうか?
人に自分の気持ちを理解してもらいたいのでしょうか?つぶやきたくなるのはなぜ?
(平谷妙子さん)
https://youtu.be/F-WKNwAKUiQ

(皆さんの川柳)※敬称略 今週は164句の投稿がありました!
・卒業後二度と行かない保健室(東孝案)
・ゴメンナサイ呑気に川柳書いてます(カラリ)
・まず撫でてそれから開くファンブック(柳王・かたつむり)
・値上げ春食べるの減らしダイエット(名人・グランパ)
・同窓会普段は着ない服を着る(おむすび)
・園児らはもうプーチンで笑わない(柳王・雷作)
・いつの間にこんな年に誰がした(初投稿・宮尾美明)
・震災の悲しみはまだ消えぬ春(名人・やんちゃん)
・こっちは涙そっちは血血血(バレリア)
・お祝いの言葉皆様ありがとう(柳王・アンリ)
・春場所も溜席みて癒やされる(大名人 ・東海島田宿)
・さあ何を食べておこうか値上げ前(名人・せきぼー)
・キティちゃんバッグ手に持ち避難民(柳王・光ターン)
・鏡見てホクロができたシミだった(柳王・平谷妙子)
・億の民たった一人を止められず(ぽこにゃん)

☆タケシのヒント!
「今週もウクライナ関連の句が多く寄せられました。中でも共感したのがこの句です。核を持った裸の王様。誰でもいいから早く止めてほしいものです。」

・初無痛胃カメラ鼻で快適に(大名人・ポテコ)
・ツボ実から笑顔忘れず華咲かせ(メン子) 

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・支援するマックにスタバユニクロに(名人・じゅんじゅん)
・恐ロシアプーチンプッツンパーキンソン(初投稿・猪瀬勇)
・桜かな梅かなファンブックのピンク(名人・ワイン鍋)
・初夢のラジ川名人正夢に(名人・まご命)
・桜餅気分だけはとピンクマカロン(パリっ子)
・六地蔵ハモッてそうな田んぼ道(柳王・荻笑)
・空襲を知る母が見るウクライナ(柳王・入り江わに)
・ベージュごとワクワク詰まるファンブック(しゃま)
・川柳のおかげで平常心持てる(大名人・咲弥アン子)
・テレビ消すニュースを見るの辛すぎて(名人・不美子)
・ 25℃予報ハズレて28℃(名人 ・ のりりん)
・一ケ月前には存在した命(大柳王・ユリコ)
・見たくない言いつつ視線行く股間(そうそう)
・忘れましょ書いて破いて捨てました(柳王・けんけん)
・バカ殿様みたい言われた洗顔中(名人・ぼうちゃん)
・ガス代を気にし始めたしずかちゃん(たごティ)
・目に見えぬ人の心に春の雨(新大名人・重田愛子)
・やめなさい空はこんなに青い(名人・美ら小雪)
・母さんの卵9割われている(名人・わこりん)

◎今週の一句・億の民たった一人を止められず(ぽこにゃん)
◯2席・テレビ消すニュースを見るの辛すぎて(名人・不美子)
◯3席・忘れましょ書いて破いて捨てました(柳王・けんけん)

【お知らせ】
仲畑流万能川柳ファンブック114号、
刊行しました!!現在、絶賛販売中です!! 

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【放送後記】
3月は別れの季節。ということで、
私のまわりでも移動や卒業があります。
コロナとも共に闘ってきた戦友たち。
4月からのさらなる活躍を祈っています。

○3月23日の放送 

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辛すぎるニュースに気が滅入ります。。。。

放送の音源・・・https://youtu.be/-nPUonpJWS0

【お知らせ・その1】
来週31日は月末の木曜日、
ということで、タウンニュース相模原南区版では月末バラエティ「タケシの万能川柳」の
3月入選作の発表があります。
このタケシの万能川柳は、私が万柳文庫を出したのと同時にスタートしました。
当時の南区版編集長、齊藤明さんの肝いりでした。
というわけで、この4月でおかげさまで10年目に入ります。
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(皆さんの川柳)※敬称略 今週は154句の投稿がありました!
・密避けてイイね!でガマン春便り(初心者)
・九州が夏日?こちらは氷点下(恵庭弘)
・心配をしていたつもりされていた(柳王・かたつむり)
・散骨にしてよね逢いに行けるから(名人・どんぶらこ)
・怖かった想定外の震度6 (名人・やんちゃん)
・バラバラとお金まきそう選挙前(大名人・東海島田宿)
・検索じゃ和平の仕方わからない(大名人・恋するサボテンちゃん)

☆タケシのヒント!
「「検索」と「和平」の組み合わせがいかにも今の時代です。便利な検索ですが、和平の仕方は教えてくれません。誰か教えて!」

・今の子はみんな持ってる光る板(そうそう)
・大クシャミ生きているのねお隣さん(大名人・龍龍龍)
・雪とけた元気なバイク走り出す(ぶたのはなこ)
・熱戦は高校野球という平和(soji)
・揺れる度読めない地名あふれ出る(ぽこにゃん)
・11年前より揺れたと里の母(名人・ワイン鍋)
・新聞で妻の視線をよけるボク(翔のんまな)
・色々な別れと出会い増える時(柳王・アンリ)
・誰にでもプーチン的な心ある(柳王・平谷妙子)
・見ないのも返事とライン閉じました(名人・じゅんじゅん)
・雑草じゃなくってそれは仏の座(名人・ぼうちゃん)
・テレビなど信じちゃだめとロシア見せ(柳王・光ターン)
・句が詠めぬときはわこりん句題にし(柳王・入り江わに)
・身を賭してロシアテレビの鶴彬(名人・里山わらび)
・今きくと泣いちゃう曲は反戦歌(柳王・荻笑)
・この暮らし感謝を込めて墓参り(くろぽん)
・あと少しあと少しだね開花まで(柳王・咲弥アン子)
・春なのにコロナに地震ウクライナ(名人・はる)
・有り難い桜開花がニュースの世(名人・不美子)
・相撲より気になる今日のワンピース(大柳王・ユリコ)
・あと10日思いは小笠原旅館(柳王・けんけん)
・春場所は行司さんまで桜色(名人 ・のりりん)
・イヤホンを外して春の風を聴く(大名人・マルコ)
・倒れてはいけない今日はボロ下着( たごティ)
・一番は命だなんてだれ言った(初投稿・深川宏栄)
・わくわくする何かが欲しい春だもの(大名人・重田愛子)
・踊り出す合格した!の孫の声(かずさん)
・こんな日もあるさな〜んも浮かばない(名人・美ら小雪)

◎今週の一句・検索じゃ和平の仕方わからない(大名人・恋するサボテンちゃん)
◯2席・熱戦は高校野球という平和(soji)
◯3席・身を賭してロシアテレビの鶴彬(名人・里山わらび)

【お知らせ・その2】
間もなく4月です。コロナのまんえん防止も21日に解除されました。
まだまだコロナには要注意ではありますが、春になったら何か新しいことを始めたくなりますね。
ということで、今朝は句会のお知らせです!!  

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【放送後記】
このラジオ万能川柳には、ウクライナ出身の方、ロシア出身の方、
双方から投稿があります。
戦地から離れた日本人でさえこんなにショックなのですから、
彼女たちの心境を思うと胸が張り裂けそうです。
一日も早く戦火のない日常が戻るように祈るばかりです。

○3月30日の放送

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3月もいよいよ終わり。。。。

放送の音源・・・https://youtu.be/_2a6DDQLoBM

【話題】
先週の里山わらびさんの句に、
「身を賭してロシアテレビの鶴彬「身を賭してロシアテレビの鶴彬」
という句がありました。
キャスターの後ろで「戦争反対」のプラカードを掲げたロシアテレビのデレクター、
マリナ・オフショニコワさんの勇気をたたえた句ですが、今朝はその鶴彬のお話です。

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(皆さんの川柳)※敬称略  今週は187句の投稿がありました!
・節電や酒の量迄指図され(名人・六文銭)
・川柳を詠めるこの国守り抜く(初投稿・高橋栄喜)
・夜書いた川柳を消す恥ずかしさ(カラリ)
・プーチンを連れて行ってと拝む孫(初投稿・夕日)
・デパ地下はいっぱい上はガーラガラ(名人・グランパ)
・花見する気分になれず団子買う(深川宏栄)
・お婆ちゃんオッパイにまだ張りがあり(名人・やんちゃん)
・プードルのシッコ横目に土筆摘む(柳王・鵜野森マコピイ)
・始まった世にも奇妙なハム野球 (名人・せきぼー)
・簡単に言ってくれるな殺処分(柳王・平谷妙子)
・作句する日本語忘れないために(パリっ子)
・春場所の風は福島向いて吹き(名人・はる)
・人生は逢って別れて又逢って(柳王・けんけん)
・大統領柔の心を身に付かず(ぽこにゃん)
・草むしり筋肉痛が5日間(名人・じゅんじゅん)
・抜き抜かれ桜の下の散歩道(柳王・アンリ)
・殺意すら覚える夫の無頓着(名人・ワイン鍋)
・風に色つけてはらはら桜降る(大名人・重田愛子)

☆タケシのヒント!
「今年はお花見の気分じゃなかったのですが、この句に出合えてよかった。「風に色をつけて」とはなんと美しい表現でしょう。この句をもって、今年の私のお花見とさせていただきます。」

・マイカーがドライブをするアカデミー(外科系)
・そういえば笑うてまへん声出して(翔のんまな)
・ロシア兵の親もたまったもんじゃない( たごティ)
・キャッシュレスぼくはもともと金がない(おむすび)
・湯豆腐か冷奴かで悩んてわる(大柳王・ユリコ)
・ポイ捨てのマスクが何か言いたそう(柳王・光ターン)
・来年も花見が出来る世であれと(名人・不美子)
・Zoomでの送別会も集まらず(soji)
・懐は寒いまんまで春になる(名人・のりりん)
・コメディアン色々アメリカウクライナ(柳王・入り江わに)
・先を行く夫を探す後頭部(初心者)
・ビッグボツなめているのかプロ野球(大名人・フーマー)
・ネグリジェは着て寝られない時申告(大名人・咲弥アン子)
・プライドが邪魔してティッシュもらえない(名人・ぼうちゃん)
・脳トレもサービスのよなセルフレジ(名人 ・里山わらび)
・高安で詰めの大事を句でも知り(しゃま)
・いくらでもおかし入るが飯はムリ(名人・わこりん)

◎今週の一句・風に色つけてはらはら桜降る(大名人・重田愛子)
◯2席・人生は逢って別れて又逢って(柳王・けんけん)
◯3席・先を行く夫を探す後頭部(初心者)

【放送後記】
人との別れもつらいのですが、
いつも見ていた、聞いていた番組との別れもつらいものです。
特にいつも聞いていたラジオとの別れはつらい、つらい。
ラジオってつくづく身近な、友達みたいなメディアなんだなあ。

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水野タケシ(みずの・たけし)
1965年生まれ。コピーライター、川柳家。東京都出身。
ブログ「水野タケシの超万能川柳!!」 http://ameblo.jp/takeshi-0719/ 


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私の中の一期一会 №258 [雑木林の四季]

‍        大相撲春場所は関脇若隆景が初優勝、新関脇の優勝は86年振りの快挙
    ~「西郷真央のゴルフ頭脳はプロの中でもトップではないか」とジャンボ尾崎~

      アナウンサー&キャスター  藤田和弘

 大相撲春場所千秋楽は新関脇若隆景と平幕の高安が12勝3敗で並び、優勝決定戦になった。
 どちらが勝っても初優勝という決定戦だったが、若隆景が身体の大きい高安に土俵際まで押し込まれた時テレビを見ていた私は「ああ、ダメだ」と思わず声を出した。
 ところがダメではなかったのである。
 若隆景は態勢を崩しながらも驚異の粘りを発揮していた。
 左手で高安の左腕を引っぱり右から上手投げを打つと高安は土俵の外に飛んでいった。
 新関脇の初優勝は昭和の大横綱・双葉山以来で86年振りだそうだが、スポーツ紙はこぞって“快挙だ”と書いている。
 翌日、オンラインで記者会見した若隆景は「実感が少しずつ湧いて来た。優勝は自分でもビックリしたが、“下から前に出る自分の相撲”を取りきることが出来たのがよかった」と話した。
 今場所を振り返ってみると、「13日目の大関御嶽海戦には敗れたが、14日目の大関貴景勝戦に勝ったことが一番大きかった」と続けた。
 13日目は優勝を少し意識して堅くなって負けてしまった。
「でもそこで負けたことで気が楽になった。明日は思い切って自分の相撲を取ろうと切り替えた」と語る。
 負けを引きずらないメンタルの強さが若隆景にはあるように思う。
 千秋楽で琴ノ若、高安が続けて敗れ“勝てば優勝”という正代との対戦は何も出来ず完敗だった。
 しかし決定戦では表情一つ変えず、心の乱れを顔に出さなかったのには感心するしかない。
 早くも大関という話が出ているが「大関は番付で1つ上。当然目標にしている」と語り、「来場所からが大事になる。しっかり稽古して自分の相撲を取れるようにしたい」と気を引き締めていた。
 若隆景は栃若時代に活躍した元小結若葉山の孫にあたる。父は元幕下の若信夫、長兄が幕下の若隆元で弟若隆景の付き人であり、次兄は幕内の若元春という相撲一家で育った。 
 小学校1年生から地元の道場で兄の後を追って相撲を始めたという。
 体が小さくて弱かったが、負けん気だけは兄たちより強かった。
 常に口にする“下から、下から・・”という取り口は幼少期から培ったものだと東洋大の浜野文雄監督が語っている。
 福島県出身で、あの東日本大震災も経験している。
 ちゃんこ店を経営している父の店も大きな被害を受けた。
 若隆景は「震災から11年。一生懸命相撲を取って、いまだに厳しい生活を送る故郷の人たちに勇気を届けたい」と語り地元の人たちを喜ばした。
 祖父若葉山の師匠は双葉山だったそうで、86年振りの快挙を「祖父も喜んでいると思う」と若隆景は微笑んだ。
 相撲解説でおなじみの元横綱北の富士さんは、自身のコラムに次のように書いている。
「私は若隆景が千代の富士にだんだん似てきたような気がしてならない。
 千代の富士は小兵のわりに頭を下げることを嫌って、上手を引いて投げばかりを打っていた。
 そんな彼が左上手を浅く引き、投げを打たずに前に出る相撲を覚えて一気に強くなった。
 力士は、ある時大変身することがある。
 若隆景も入門したころは目立たない存在だった。
 ただ足腰はしぶとく、細身なのに力は強かった。
 左からの攻めが上手い力士で、その頃から千代の富士と重なるところがあった。
 若隆景には千代の富士を目指してもらいたい」・・・
 若隆景は身長182センチ、体重130キロで、大型化した今の大相撲界では小兵とみられる。
 小さくても強かった横綱千代の富士の相撲は“小気味良かったという印象”が私の胸にある。
 若隆景が初優勝をきっかけに大変身してくれたら、近年活気を欠く大相撲の世界に明るさが戻って来るような気がしている。
 国内の女子ゴルフツアーがますます面白くなってきている。
 27日の日曜日、女子ゴルフ・アクサレディースは最終日だった。 
 単独トップの鈴木愛を2打差で追って、3位からスタートした西郷真央(20)は終始安定したゴルフを見せて5バーディ、1ボギーで回り、スコアを4つ伸ばしての逆転でツアー2勝目を飾った。
 ジュニア時代からジャンボ尾崎の下で腕を磨き、高校3年生の時に受けたプロテストは一発合格。
 西郷真央は、プロデビューの2020~21年シーズンに50試合の出場を果たした。
 見事だったのは通算成績で、トップ10入りが21試合、うち7試合で2位になっている。
 優勝はなかったのに賞金ランク4位という結果は、大半の試合を上位で戦った証である。
 西郷真央の初優勝は、22年シーズンの開幕戦ダイキンオーキッドレディースで実現した。
 最終日はトップを5打差で追う8位からのスタートだったが、トップが伸びていなかったので、後半取りこぼしをしないようにしたい」と思っていたという。
 終盤の16,17番をバーディとして単独首位に立ち、18番のピンチもパーセーブで切り抜けて初めて優勝カップを手にした。
 師匠ジャンボ尾崎からの祝福のコメントが表彰式で読み上げられた。
「西郷どん(せごどん)優勝おめでとう。
 何と言ってもゴルフに対する考え方や取り組み方が優等生で、プロの中でも“ゴルフ頭脳はトップではないか”と思う時がある。
 今回の優勝で、2位にはない副賞がたくさん貰える喜びを知っただろう。
 早め目の2勝目を期待する」
 西郷真央は今季4戦して優勝、10位、2位、優勝という好調さだ。
「“2勝目は難しい”と言われていたので、アクサレディースでは緊張してプレーしていた。
 1年前に、もし勝っていたら調子に乗っていたかも知れない。
 ミスが出ても気持ちを切り替えて、次のショットに集中するようにしている。
 去年のたくさんの経験、悔しい思い出をこれからに生かしていきたいと思います」
 “せごどん”こと西郷真央は、昨年6月の「宮里藍サントリーレディース」以来、26試合連続アンダーパーを継続中である。
 新関脇で初めて重たい優勝賜杯を手にした若隆景関・・
 初優勝で覚醒した20歳の西郷どん・・
 今後の飛躍に期待したい。


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BS-TBS番組情報 №255 [雑木林の四季]

BS-TBS 2022年4月のおすすめ番組(上)

        BS-TBS広報宣伝部

関口宏の一番新しい古代史

255関口宏の一番新しい古代史.jpg
2022年4月2日スタート
毎週土曜 ひる12:00~12:54

☆謎多き日本古代史。
関口宏が知の巨人たちをパートナーとし、これまでの歴史学の枠を超え“日本の始まり”を解き明かす。

出演:関口宏
      松岡正剛(編集工学研究所所長・角川武蔵野ミュージアム館長))
      吉村武彦(明治大学名誉教授・日本古代史専攻)

いま新発見や最新技術により古代史は次々と塗り替えられている。
かつて学校で習った常識は今や通用しない。
そんな一番新しい古代史を2人の専門家の鋭い着眼点から学ぶ。

わたしたち日本人は、どのような選択を重ね、歴史を刻んできたのか。
そしてその選択は、世界の歴史にどのような影響をもたらしたのか。
当時の一つ一つの選択に意味があり、令和の日本につながっている。
これまで、人名・年号・事件などの切り取られた単語を、ただ教わるがままに暗記してきた人も少なくないのではないだろうか。
そこで、関口宏が現代の知の巨人たちと共に、日本の歴史に新たな光をあて、縄文から令和までの日本の歩みを、現代につながる視点や最新情報を加えてわかりやすく紐解いていく。
かつて知っていた古代史とはガラッと異なる風景が見えてくることになるに違いない。

■2022年4月2日(土)
#1「旧石器時代~縄文時代 人類はどうやって日本列島に来た?」
第1回は、次々と塗り替えられている「古代史の今」を具体的に見ていく。縄文時代の常識を変えた「三内丸山遺跡」、2021年に一部発掘調査が行われた世界遺産「仁徳天皇陵」、約50mに及ぶ高層建築の可能性が高まった「出雲大社」をモデルケースに一番新しい古代史とはどういうものかを考える。さらに人類が日本列島に到達したところから、日本という国がどのように始まったかを時系列で追っていく。旧石器時代の人骨から最新技術によって2021年に判明した「日本人のルーツ」とは?縄文時代に誕生した「縄文土器」は「火焔型土器」など劇的な変ぼうを遂げる。そこにどんな「物語」があったのか…?

ゴルフONE~賞金総取りバトル~

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2022年4月2日スタート
毎週土曜 夕方5:00~5:30

☆ゴルフはスコアだけじゃない…スーパープレーでポイントを稼げ!唯一無二のポイント制ゴルフバトル!最高のテクニックを披露し、賞金を手にするのは!?

出演:髙橋大輔(フリーアナウンサー)、秋山真凜(タレント・スポーツキャスター)

スーパープレーでポイントを稼げ!唯一無二のポイント制ゴルフバトル!
ライバルたちとの真剣勝負、賞金獲得は優勝者のみ!
ゴルフはスコアだけじゃない…最高のテクニックを披露し、賞金を手にするのは!?
ゴルフ界の新たなポイント制バトル「ゴルフONE」が開幕。
バーディーやパーのほか、チップインやロングパットでポイントが加算されたり、バンカーや池ポチャで減らされたり…、より難易度の高いプレーほどポイントも高いため、一気に大逆転を狙えることも!
自分で積み上げたポイントが獲得賞金に直結する為、通常ラウンドでは見せないコース戦略と選手たちの「攻めのゴルフ」に注目!

■2022年4月2日(土) #1
レギュラー初回は、男子シニアプロ3人による対決!
加瀬秀樹プロ、篠崎紀夫プロ、宮瀬博文プロという熟練のシニアプロたちが、賞金を目指してラウンド!はたしてどんなスーパープレーが飛び出すか。

■2022年4月9日(土) #2
男子シニアプロ3人による対決、後半戦!
加瀬秀樹プロ、篠崎紀夫プロ、宮瀬博文プロという熟練のシニアプロたちが、賞金を目指してラウンド!ポイントを最も稼ぎ、賞金をゲットするのは果たして…。

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インスタントラーメンアレンジ部はじめました。

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2022年4月7日(木)スタート
毎週木曜 よる11:00~11:30

☆インスタントラーメンのアレンジレシピを考案する若者の日常ドラマ!

監督・脚本:松本花奈、竹内里紗

出演:佐藤流司、紺野彩夏、松本享恭、永田崇人、ロン・モンロウ、yukino、団長安田(安田大サーカス  ※スピンオフ)

WEBライターの仕事をはじめた諒太(24)の唯一の楽しみは、学生時代からの仲間である有紗・恭一・翔・メイリンに、妹の葵を加えた6人で続けている部活動「インスタントラーメンアレンジ部」。1週間ローテーションで、メンバーが “映える” インスタントラーメンのアレンジレシピを考案し、SNSや動画でアップしてシェアしている。メンバーによって作られる趣向の違うレシピは、毎回、新たな発見と驚きを与えてくれる。いつもの味に一手間加えて、手軽で美味しくヘルシーなおしゃれ料理に。さて、今日は誰の番かな?
インスタントラーメンの新たな魅力が詰まった至福の一杯を召し上がれ。

■2022年4月7日(木)
第1話 <1杯目 生姜麺であっさり!野菜たっぷりあんかけラーメン>
大学時代、「インスタントラーメンアレンジ部」の部長だった諒太(佐藤流司)は、当時の仲間である榊原有紗(紺野彩夏)、福井恭一(松本享恭)、山口翔(永田崇人)、リウ・メイリン(ロン・モンロウ)に妹の葵(yukino)を加えた6人で、現在もオンラインで集まりアレンジレシピを考案する活動を続けている。ある日、諒太の元に実家で収穫した野菜が届いた。諒太は、同居する人参嫌いの妹・葵でも美味しく食べられるような、野菜をたっぷり使ったアレンジレシピを作ろうと試みる。個性豊かなメンバーたちが織りなす飯テログルメドラマのスタート!!

■2022年4月14日(木)
第2話 <2杯目 彩り豊かなフレッシュスプリングロール麺>
スチールカメラマンの夢を追いかけて8年目の有紗(紺野彩夏)は、憧れの女性カメラマンJ.Fのアシスタントについて6年が過ぎた。写真の奥深さを知るほど、彼女のようにはなれない」とスランプに陥り、自分には写真の才能がないのだと思い詰めていく。インスタントラーメンアレンジ部のメンバーに悩みを打ち明けながら、有紗は自分が手がける色鮮やかな写真のように、エディブルフラワーを使ったアレンジレシピを完成させていく。鮮やかなアレンジレシピを作るなかで有紗が気づいた、自分の目指すべき道とは…。



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海の見る夢 №28 [雑木林の四季]

       海の見る夢
          -ショスタコーヴィチのワルツー
                     澁澤京子

 「日本の桜はほとんど実がつかないけど、ロシアの桜は実がなるんです。」庭のライトアップされた桜の花をぼんやり眺めているときに、隣から話しかけてきたのはロシア人女性Tさん。いつも坐禅するお寺の『花見の会』の夜。Tさんは大学の先生で日本文化に造詣が深い。琵琶語りがとても好きでよく聴きに行くという。(平家物語の滅亡の話は、革命、スターリン体制、ペレストロイカといった困難な歴史を経てきたロシア人にとって、何か訴えるものがあるのだろうか?)ロシアでは季節になると市場はサクランボであふれ、日本よりも安価に手に入るので各家庭ではキロ単位で買うのだそうだ。食べきれなかったぶんはジャムにするという・・丸いテーブルに赤いチェックのテーブルクロス、天井近くが煤けたようになっている漆喰の壁、レースのカーテンのかかった窓と古い時計・・私は山盛りのサクランボの大皿の置いてあるロシアの温かな家庭の食卓を夢想したのだった・・

ロシアにもウクライナにも、私たち日本人によく似た、滅びゆくものに対する美意識と情緒があるのだろうか。

テレビで観たプーチンの側近たちとの会見。やたらと広い、白い大広間に赤いじゅうたん。側近たちと玉座に座るプーチンとの間は、子供が徒競走できるくらいの距離がある・・権力を誇示するためには距離というものが必要なのかもしれない。プーチンの孤独が際立っていた。

ロシア革命で皇帝が倒され、社会主義革命を起こした側が権力を握ってから、今度はトップの人間が皇帝以上に支配力をふるうのって、まるでウクライナ人作家ゴーゴリの『外套』のようではないか。被害者の抑圧されたルサンチマンが反転して、今度は加害者以上に横暴になるというのはどこでもおこることで、ルサンチマンは暴力の源にもなり、渇望とは権力なのである。

アカーキー・アカエヴィッチは、いつも着古した外套を着ている目立たなく冴えない下級役人。ある日、ついに一大決心をして外套を新調する。新しい外套を着ていくと、同僚の態度も以前より丁重になるが、その晩、追剥に外套を盗まれる。心痛のあまり死んでしまったアカーキー・アカエヴィッチは夜な夜な幽霊となって街頭に出没し、通行人から暴力的に外套を奪い、人々から怖がられる・・

『外套』を読むと、私たち人間が、いかに何かしがみつかないと生きていけないのか、遠い惑星から見ているような気分になる。つまり「外套」は権力をはじめ、お金、肩書きや虚栄心など、人の外側にあって執着するものであったらなんでもあてはまるだろう。

・・賢い人間には自分と外套の区別がわかるが、外套と自己を同一視してしまうと、いつの間にか人は「外套」に操られたロボットのようになってしまうのである。長い間権力を握っていた人間の多くが壊れたロボットのようになるのは、「外套」に操られているせいではないだろうか?

~「社会主義とは計算に他ならない!」~『風呂』マヤコフスキー

ロシア・アヴァンギャルドのスターであり、飛び切りの美青年詩人マヤコフスキーは、その戯曲で痛烈にスターリン体制の批判を(資本主義も批判しているが)して、36歳でピストル自殺した。(暗殺されたと言われている)

「個人」「個性」という概念、それこそ欧米的なものであり、国家を優先する全体主義にはそぐわない。かつて経済封鎖された日本が太平洋戦争で欧米に対抗したのも、そうした西洋文化との違いがあったからかもしれない。西田幾多郎は大東亜共栄圏構想の『世界新秩序の原理』の中で、欧米的な「個人の自覚」に対して「世界的自己の自覚」が必要であることを述べている、しかし結局、彼の言う「万世一系の皇室」である日本人の自覚以上のものにはならなかったのではないだろうか・・仏教の「万物は一つ」は、アジアの違う民族に、自国の同質性を押し付けるただの方便としかならず、また日本ファシズム以上のものにはならなかった・・結局、宗教が政治に利用されるとロクなことにならないような気がする。宗教倫理は極めて個人的・内面的なデリケートなもので、そのデリケートさが損なわれてしまうからだろう。

つまり、日本は対抗した西洋の帝国主義と同じことをしてしまったのであり、西田幾多郎の『世界新秩序の原理』があまりに観念的なのもあるが、異質な価値観に対抗している限り、結局同じ穴のムジナになってしまうだけだろう。対抗する前に、御互いに相手の価値観を理解し合おうとする努力さえあればいいのではないだろうか・・偏見は、自分のわからないに対して、わかったつもりになってレッテルを貼ることから生まれる。(人はわからないという状況が不安なのだ・・)

集団の中で、正気を保つのは難しい。そもそも善悪の基準があいまいなものなので、人は周囲の判断に流されやすく、しかも、パウロの言う「・・善を欲して悪をなす」のように善は容易に悪に転じやすい。そうすると、やはりそれぞれの「個人」の自覚が何よりも重要なんじゃないかという気がする。

社会主義にしろ民主主義にしろ、ファシズムはどの政治システムでも起こる。イデオロギーの問題ではなく、国家や経済を優先させればどうしても「個人・個性」は踏みにじられるか、あるいはメディアやプロパガンダによって内面まで操作されるか。まして戦時体制になればそれらはいっそう強化され、ますます人間は人間として扱われなくなるだろう。マヤコフスキーを殺した管理・監視社会は、私たち日本人にとっても決して他人事とは思えないのである・・そして、わかりにくい全体主義の方がよほど厄介かもしれない。

多様性を無理やり一つにまとめようとすればどうしても暴力的になる、かといって、個を重視すればバラバラになる・・国家を単位にして「全体と個」の問題を考えれば、どうしても西田幾多郎のような抽象的な言説になってしまう・・で、結局、「統治することの最も少ないほど最良の政府」というソローの言葉が、私にとっては一番納得できるのだ・・ソローの言う様に「政府とはたかだか一つの方便」に過ぎないのである。(最近の「子供食堂」のような自発的な市民運動はすごくいいと思う)

*第二次大戦・民主主義のファシズム・・ドイツファシズムが下から起こった民衆のファシズムであり、民衆のファシズムが「一貫したイデオロギーのなさ(イデオロギーではなく、まず仮想敵ありき)」「単純さ」「わかりやすさ」「匿名性」「優越意識」「理念の喪失」という反知性的な特徴を持つのに対し、日本ファシズムはそれに似た特徴も持ちながらも、権力が上から圧力をかけるタイプのファシズムだった。(日本ではドイツほど民主主義が成熟していなかったので)ファシズムの母体になるのはニヒリズムなのである。~参照『超国家主義の論理と心理』丸山真男

スターリン体制を生き抜いたショスタコーヴィチは面従腹背を貫くしかなかった。交響曲第五番を聴くと、ビゼーのハバネラが引用されていてそのあとはレクイエムのような沈痛な曲が続く。そう、ハバネラ!人の心はそんな簡単に思い通りになるものでも操ることができるものでもない、個人の人生と同じように。

スターリン体制下で生き延びるために、自身の心の弱さと直面せざるを得ない芸術家は多かっただろう。スターリンを風刺したために流刑にされた詩人マンデリシタームと懇意だったパステルナークは「・・それほど親しいわけじゃない」と言い訳をしたため、逆にその二枚舌ぶりを追及されたという・・参照『磔のロシア』亀山郁夫

~あの男が語った唯一の事は、人間のもろもろの罪悪の中で「臆病」を最も重要なもののひとつとしている、ということでした。~『巨匠とマルガリータ』ブルガーコフ

ブルガーゴフも面従腹背でスターリン体制を生き延びたひとりだった。『巨匠とマルガリータ』は、総督ピラトと、裏切者のユダ、処刑されるイエスの話をモチーフにした小説をなかなか書き上げることができない巨匠と、その愛人マルガリータの話で、その時代はさぞかし密告屋や裏切り者は大勢いただろうし、密告者もまた無残に殺されただろう・・

この小説に出てくる、悪魔ヴォランド。悪魔は黒魔術を使って札束をばらまき、女性の若さを蘇らせ、人々の欲望を掻き立て魅了し、支配し、攪乱させ・・悪魔にとって世界は計算可能(したがって予想も可能)なものなので、悪魔は冒頭でベルリオーズの死を予想する。そして、「~もし悪が存在しないのなら、お前の善はどうなる?」という悪魔ヴォランドの言葉通り、処刑されるキリストと悪魔はコインの裏表の両義的な存在なのであり、善が実在することを裏付ける影の存在でもあるのだ。

マルガリータが恋人を救うため、悪魔の舞踏会に招かれた春の夜。窓の外の月を眺めながらワルツを聴くシーンがある。それはヨハン・シュトラウスの優雅なワルツではなく、ショスタコーヴィチのワルツのような気がする。同じ三拍子系でも暗く物悲しく、「美しき天然」のジンタを彷彿とさせるショスタコーヴィチのワルツ。人の愚かさも惨めさもそして崇高さもすべてを観てしまった人にとって、喜劇は限りなく悲劇なのかもしれない。

わたしにとって、ロシア・ウクライナが偉大なのは、何よりも文学・音楽・美術でたくさんの優れた才能を生みだしたことなのである。

もうすぐサクランボの季節。孤立してしまったロシアの暴走と、瓦礫と化したウクライナの街を考えると何とも言えないやりきれない気持ちになる・・


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梟翁夜話 №108 [雑木林の四季]

 「林檎の独り言に絶句するの記」

      翻訳家  島村泰治

嚥下機能の維持と云へば大袈裟だが、まあ喉慣らしと云ふところか、近頃自前のセットを組み上げてカラオケ伴奏を仕立てては唄ふ習慣が根ざしてゐる。好きな歌を唄ふ楽しみは格別で、凝りが過ぎて昨今は自前のホームぺージに「戯れ唄草紙」と銘打って喉慣らしの成果を披露すらしてをる。ひと迷惑な話だが、ネット文化に便乗してのお遊び程にあしらって下され。

さて、今日はこの喉慣らしが定番の日、先ずはコーリューブンゲン代わりに用いている童謡集を復習(さら)いながら「りんごのひとりごと」に辿り着く。そこまではテンポやリズムやピッチの喉慣らしで、心地よく唄ってゐたが、ここで情感を込める段になって歌詞を目で追った。ご存知、摘み取られた林檎が箱詰めされ街の店先に並べられるまでのしっとりした物語だ。

筆者は頗(すこぶる)る付きの林檎好き、とくに紅玉には目がなくて例年青森の林檎農家から送って貰って木取りを賞味してゐる。聞けば紅玉は近年稀とか、確かに店に並ぶ数も少ない。甘味一方の、中には蜜などを仕込む奴も蔓延(はびこ)っていて、根っからの林檎好きにはいまは受難期なのだ。

さて、「りんごのひとりごと」の話。

♪私は真赤な りんごです
お国は寒い 北の国
りんご畑の 晴れた日に
箱につめられ ・・・♪

何の心づもりもなく唄い始めてワンコーラスを過ぎた頃、間奏を数えながら二番の歌詞に目が走る。いま思えばそれがいけなかった。唄い始めたはいいが、その箇所に来てぐっと声が詰まり、何と、絶句して伴奏だけが空で先に行った。

♪くだものお店(みせ)の おじさんに
お顔をきれいに みがかれて
皆んなならんだ お店先
青いお空を 見るたびに・・・ ♪

・・・りんご畑を思い出す、という続きの部分で声が詰まった。奇想天外な出来事、われを疑った。巷にお涙頂戴の歌詞は星の数ほどあり、それに乗せられて唄ひ込むなどはよくあることだが、童謡を唄ひながら絶句するとは。伴奏を止め、その先を唄ふことなく黙想した。

林檎は確かに好きだ、律儀に紅玉を送ってくれる林檎農家の人たちへの感謝の念は並々ならぬ。歌詞の流れに林檎たちの想ひが滲んでゐる。それにしても唄ひながら絶句する心象や如何。黙想しながら、時ならず己れの心理分析を試みた。絶句と云へば、筆者は馬の歌を唄ひ切ることが滅多にない。子供の頃にニュース映画で観た軍馬たちの末路(まつろ)が常に連想されて、変哲もない馬の歌さえも思ふやうには唄へない。深層に馬たちへ感謝と哀れみが綯い交ぜになった心理があるらしい。それが林檎にもあると云ふのは飛躍に過ぎる。だが、林檎を果物の王とさえ思ふ身には、とくに紅玉への愛着と愛感は只者では無い。それが件(くだん)の林檎農家への感謝が増幅されて絶句したのか?

右往左往した時ならぬ黙想は、鯔(とど)のつまり積年症候群の何かであらうとの結論に辿り着いた。平たく言えば、歳を取ったが故の感傷だらうと云ふ穏やかな思ひだ。諸々(もろもろ)の後悔を踏まえて、ものへの感謝が年毎に深まる。夜蜘蛛(よぐも)に限らず虫たちを惨めにする気持ちは疾(と)ふに萎えた。広く生命体への愛着、恋着は歳を重ねるごとに強まってゐる。

それら一連の心情は、明らかに積年症候群の症状だ。数えで米寿の身には、随所にその症状が顕著だ。書きものの一字一句が生きてゐるかに思へる不可思議。これはこの歳に至ってこそ味はへる心情だ。いま思えば、林檎の独り言に絶句したわが身がひどく愛おしい。


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