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こふみ会へGO七GO №126 [ことだま五七五]

こふみ句会へGO七GO  №126
「虎落笛」「湯豆腐」「鴛鴦」「大晦日」 
                        俳句・こふみ会

幹事さんから、≪令和5年12月の句会≫の案内状が送られました。

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みなさま、お知らせがたいへん遅くなりました。
先月の不手際からの挽回を期して、
私・尚哉と兎子さんの二人で、
再度、幹事を務めさせていただくことにします。

早速ですが、兼題を発表いたします。

  虎落笛(もがりぶえ・・・強い風により、電線などがヒューヒュー鳴る)
  湯豆腐(ゆどうふ)
  鴛鴦(おしどり、おし、思羽)
  大晦日(おおみそか、おおつごもり、大年)

この四題を、12月20日までに、
尚哉宛 nao@o-naoya.com に送ってください。
21日に、シャッフルしたものをお送りして、
選句の〆が27~28日ころ、
正月三が日には結果発表、といった段取りを考えています。
集計は、二人で別々に行って、答え合わせをするつもりです。
今回こそ間違いのないよう、細心の注意を払います。

また、オンラインに戻ることで、多くの方の参加が見込まれます。
一年の〆の句会、おおいに盛り上げてゆきたいと思っています。

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案内に応じて以下の毛があつまりました。参加者は15名60句。

【虎落笛】

01.寝る猫の逆毛立つなり虎落笛(蕃茄)
02.虎落笛天の啓示のように夜(兎子)
03.虎落笛響く大地は皆凍てて(茘子)
04.地球に満ちる母の嘆きや虎落笛(弥生)
05.虎落笛四分の二拍子三音階(尚哉)
06.熱いえし妻の寝息や虎落笛(鬼禿)
07.経年の家にこだます殯笛(華松)
08.虎落笛丸くなるなと諭す声(紅螺)
09.声は無く瞬く星や虎落笛(虚視)
10.虎落笛ガザの壁こそ超えてゆけ(矢太)
11.天煌き地は虎落笛人は情(じょう)(孑孑)
12.夜半に聞くガザの叫びか虎落笛(玲滴)
13.虎落笛鉛の色に染まる町(なつめ)
14.客ひとり女将ひとりや虎落笛(すかんぽ)
15.虎落笛猫は静かに箱の中(一遅)

【湯豆腐】

16.湯豆腐やほろ酔いのごと湯に揺れり(なつめ)
17.湯豆腐や踊るカツオに笑みの父(一遅)
18.湯豆腐を落として見合う沈黙や(華松)
19.はふはふと湯豆腐ほふり独り寝る(兎子)
20.亡き夫よひとり湯豆腐食べてます(弥生)
21.旅の宿独り湯豆腐連れは雪(茘子)
22.湯豆腐の最後の一勺わが余生(鬼禿)
23.胸騒ぐ日もありてゆらり湯豆腐(虚視)
24.湯豆腐も冷める男の長電話(孑孑)
25.湯豆腐を箸でつついて今日も独り(尚哉)
26.湯豆腐が腰くねくねとやつて来し(すかんぽ)
27.木の葉舞う季節今夜は湯豆腐で(玲滴)
28.汗を噴く湯豆腐ポン酢で整った(蕃茄)
29.湯豆腐や喪中の葉書三枚来(矢太)
30.ツーブロックの女と湯豆腐食べている(紅螺)

【鴛鴦】

31.鴛鴦が行ってボートは二人きり(孑孑)
32.おしの契り語れる人の京訛り(弥生)
33.おしどりや月崩しつつ進み行き(虚視)
34.鴛鴦は片羽になりても鴛鴦か(玲滴)
35.鴛鴦やややこしい綴りに訳やある(矢太)
36.鴛と鴦一羽と一羽で生きていく(兎子)
37.鴛鴦に重ねて想う父と母(茘子)
38.無口なり鴛鴦夫婦の裏おもて(鬼禿)
39.鴛鴦の鴦が先行く野川かな(尚哉)
40.思羽の夕陽に映える水面かな(なつめ)
41.鴛鴦の帯をもちつつ離婚かな(華松)
42.指さして鴛鴦の影追う少女(紅螺)
43.鴛鴦や互いの羽を褒め合いて(蕃茄)
44.この年で覚えられるか鴛鴦の文字(すかんぽ)
45.鴛鴦のケロリと嘘つく夫婦仲(一遅)

【大晦日】

46.大晦日ガザとの時差は七時間(鬼禿)
47.あのこともうっちゃってなんとか大晦日(矢太)
48.祠(ほこら)にも酒と蜜柑が大晦日(弥生)
49.日めくりが頭重たげ大晦日(尚哉)
50.なに吠える吠えずにおやり大晦日(孑孑)
51.ひとり居てテレビの中は大晦日(一遅)
52.わだかまり焚火にくべて大晦日(茘子)
53.こめかみの白髪みつけし大晦日(なつめ)
54.「天城越え」今年も聴いて大晦日(すかんぽ)
55.燃え尽きて負けを認めて大晦日(紅螺)
56.猫往きて大つごもりの独り蕎麦(玲滴)
57.雑踏の一点となり大晦日(虚視)
58.輪郭が朧になりて大晦日(華松)
59.蕎麦二つ話すことなき大晦日(兎子)
60.大晦日そびれしことごと数え止め(蕃茄)

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【天句の鑑賞】

●夜半に聞くガザの叫びか虎落笛(玲滴)
鑑賞短文=あの虎落笛でGAZAの悲惨な映像と重ねられた方。何もできない切なさが伝わってきました。3句の内率直なこの句を抜きました。(鬼禿)

●湯豆腐が腰くねくねとやつて来し(すかんぽ)
鑑賞短文=詠みたかったのはこうなんですが、及びませんでした。完敗。(孑孑)

●湯豆腐や喪中の葉書三枚来(矢太)
鑑賞短文=暖かい湯豆腐の湯気のそば、ポンと置かれた喪中の葉書。寂しさが際立つ風景を感じました。(兎子)
鑑賞短文=師走の身につまされる情景です。この齢になってこそ詠めもし、共感もできるのだと思いました。(玲滴)

●蕎麦二つ話すことなき大晦日(兎子)
鑑賞短文=大晦日でさえ淡々と過ごす、永年連れ添った夫婦の日常を切り取って見事です。
(一遅)

●経年の家にこだます殯笛(華松)
鑑賞短文=殯(もがり)の語源を調べていくと死という言葉に行き着きます。経年の家には沢山の生と沢山の死があるのでしょう。さらりと詠まれているようで、深い句だと思います。(弥生)

●日めくりが頭重たげ大晦日(尚哉)
鑑賞短文=頭重たげの一語に、一年間ありがとう、お疲れさま、との優しいお気持ちが伝わってきます。(華松)

●雑踏の一点となり大晦日(虚視)
鑑賞短文=足早に通り過ぎる人混みの中で、ただひとり立ち止まっているのか。
歳晩の慌ただしい時の流れが見えてきます。(すかんぽ)

●鴛鴦のケロリと嘘つく夫婦仲(一遅)
鑑賞短文=ケロリと嘘をつくことで夫婦円満。ケロリと嘘をつけるのは女性だろうなぁ。男は嘘をつく時どこかギクシャクしてしまう。(虚視)

●客ひとり女将ひとりや虎落笛(すかんぽ)
鑑賞短文=そう、そう、そう、情景が浮かびます。まさに北の酒場ですね。(茘子)

●旅の宿独り湯豆腐連れは雪(茘子)
鑑賞短文=独り旅の寂しさを感じられるように見えますが、湯豆腐の温かさと雪の冷たさの対比が潔く、実は独りを楽しんでいるのではないかと思えるのです。(なつめ)

●おしどりや月崩しつつ進み行き(虚視)
鑑賞短文=すごい!どなたの句ですか?これぞ名句と思いました。美しい情景が鮮やかに浮かびます。(紅螺)

●地球に満ちる母の嘆きや虎落笛(弥生)
字鑑賞短文=ガザの母、ウクライナの母を詠んだ。嗚呼。(矢太)

●雑踏の一点となり大晦日(虚視)
鑑賞短文=主観から俯瞰への視点変化で、師走の慌ただしさと焦燥感を
同時に表現していると感じました。映画のワンシーンのよう。(蕃茄)

●おしどりや月崩しつつ進み行き(虚視)
鑑賞短文=・・・・静寂のなかの、ひかりの動揺。たいへん細やかな句ですね。(尚哉)

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【今月の天地人】

【天句】31点 雑踏の一点となり大晦日 (虚視)
【地句】29点 おしどりや月崩しつつ進み行き (虚視)
【人句】20点 蕎麦二つ話すことなき大晦日 (兎子) 

【総合天】虚視さん 63点
     代表句=雑踏の1点となり大晦日
【総合地】すかんぽさん 28点
     代表句=客ひとり女将ひとりや虎落笛
【総合地】尚哉さん 28点
     代表句=日めくりが頭重たげ大晦日
【総合人】兎子さん 23点
     代表句=蕎麦二つ話すことなき大晦日

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【幹事よりひと言】

●みなさんから送られてきた句を初見したとき、「月を崩して」と「雑踏の一点」、まさにこの2作にやられました。おそらく、虚視さんなんだろうな、と思っていたら、やっぱり。ワンツーフィニッシュ、圧勝でしたね。おめでとうございます。
尚哉

●年末の慌ただしさと寂しさをかみしめながら、今回の虚視さんの2句を拝見して、俳句は心情であり景色なんだとあらためて思いました。おめでとうございます。
私も初めての「人」をいただき、嬉しい限りです。今後とも励みます。
兎子

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