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こふみ句会へGO七GO №127 [ことだま五七五]

「福寿草」「冴ゆる」「風花」「春隣」 

                              俳句・こふみ会

幹事さんから、≪令和6年1月の句会≫の案内状が送られました。

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この2024年は辛く悲しい年明けとなりました。
ニュースを見るたびに胸が締めつけられます。
1日でも早く被災地の方々に平穏な日常が戻ることを祈るばかりです…。

それでは、兼題を発表致します。
今回は12月の総合天に輝きました虚視さんにご提案いただきました。
ありがとうございます。

①福寿草
②冴ゆる
③風花
④春隣

◆投句締切は、15日16日です。
それ以降の予定は随時ご報告致します。

寒の入りを迎えました、お風邪など召されませんようにご自愛くださいませ。

                             なつめ

◆選句の締切は1月24日(水)とさせていただきます。

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案内に応じて以下の句があつまりました。参加者は16名64句。

【福寿草】
01   福寿草小篭の中のさんざめき (紅螺)
02   福寿草小さき笑顔の続く世の(なつめ)
03   硝子越し昭和の香り福寿草(茘子)
04   陽のかげり少し閉じゆく福寿草(虚視)
05   福寿草15センチほどめでたけれ(一遅)
06   この正月福寿草の句は詠めぬ(鬼禿)
07   転び泣く吾子が守りし福寿草(蕃茹)
08   迷わずに咲いてしまった福寿草(矢太)
09   喃語(なんご)言ひ初む眩しき朝や福寿草(弥生)
10   寄り添ふて家族のやうな福寿草(すかんぽ)
11   おろし髪銀に光りて福寿草  (下戸)
12   福寿草色も姿も満点ぞ(華松)
13   光満つ大地かきわけ福寿草(玲滴)
14   七芽あり値もめでたきや福寿草(八傘)
15   ひび割れたアスファルトの底福寿草(兎子)
16   福寿草人を選んで咲くといふ(尚哉)

【冴える】
17 天空の四十五階月の冴ゆ(弥生)
18 富士の山ここぞとばかり冴ゆるかな(華松)
19 受験後の薄明冴ゆる帰り道(蕃茹)
20 元旦の冴ゆる歓喜は夕四時まで(鬼禿)
21 冴ゆる日はくつした重ねて堀炬燵 (下戸)
22 鶴亀を舞えば鼓の音冴ゆる(紅螺)
23 月冴ゆるけもの道まで無口なり(なつめ)
24 月冴ゆる被災の民の祈り受け(一遅)
25 山嶺のジグザグ傷や富士冴ゆる(すかんぽ)
26 月冴えて青龍刀の如空を切る(茘子)
27 月冴ゆるかくも地球の乱るるに(矢太)
28 高層ビルまた生まれては風冴ゆる(兎子)
29 闇冴ゆる聖書は星を数えよと(八傘)
30 月光の街なめつくし冴えわたる(虚視)
31 酔い覚めて後悔ばかり月冴ゆる(尚哉)
32 風うなる夜空にスバル冴え冴えと(玲滴)

【風花】
33 風花や好き好ききらいきらい好き(虚視)
34 闘球の熱に風花踊ってる(兎子)
35 風花の中を猟師の飛びだせり(すかんぽ)
36 風花す両手で暖とるカップ麺(八傘)
37 風花や元気でいるよと母の声(なつめ)
38 風の花空(くう)より湧いて空に帰す(尚哉)
39 風花や未だ大地は眠れるに(矢太)
40 憂うしか出来ぬこの手に風花。(鬼禿)
41 風花の舞う中老女同期会 (玲滴)
42 黙々と重機はすすむ風花の下(一遅)
43 風花やいつのまにやら許してる(下戸) 
44 舌先で風花受ける京の女(ひと)(茘子)
45 風花やお前の郷もあの山か(蕃茹)
46 風花は頬をかすめて失せにけり(華松)
47 誰も見ぬ山頭火像風花す(弥生)
48 風花は坂行く友の肩に降る(紅螺)

【春隣】
49 校庭に謎の足あと春近し(すかんぽ)
50 たおやかに乙女となりて春隣(弥生)
51 縁側の陽ざしの温もり春隣(玲滴)
52 義理チョコのほろにが甘し春隣(茘子)
53 老犬の手綱も長き春隣(蕃茹)
54 髪切って合わせ鏡の春隣(紅螺)
55 春隣に先駆け花粉が舞い始め(華松)
56 しゃなしゃなり三毛の窓辺は春隣(八傘)
57 踏ん張って再出発の朝春隣(一遅)
58 もうすこし歩きましょうか春隣(虚視)
59 カフェで聞く少女の恋バナ春隣(兎子)
60 リュックして高尾山口春隣 (尚哉)
61 たぶん夜半に裸足でくるよ春隣(矢太)
62 うつらうつ背中の寝息春隣(なつめ)
63 春隣今年はいきなり夏隣(鬼禿)
64 うれしさとさみしさが母春隣(下戸)

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【天句の鑑賞】
●月冴ゆるかくも地球の乱るるに  矢太
鑑賞短文=天空の純性と地上の汚性との対比規模がお見事です。(八傘)
鑑賞短文=疫病があり、戦争があり、これ以上の苦しみはないだろう、と思って年が明けたら、またもや天災が起こる。乱るる地球を、凛とした月が見下ろしている。スケールの大きさ に感服です。(兎子)
鑑賞短文=戦争・異常気象・地震などなど、この星のなんと乱れていることか。46億年間も不動の月、その光をひときわ眩しく思える秀句です。(すかんぽ)

●月冴ゆるけもの道まで無口なり  なつめ
鑑賞短文=風もなく、音もしない森閑とした世界。すばらしい叙景です。(尚哉)
鑑賞短文=「うまい」一言。この作者に今年も差し上げそうです。(鬼禿)

●闇冴ゆる聖書は星を数えよと     八傘
鑑賞短文=俳句って、こんなに悠大な哲学を詠むことも出来るんだ。と感じ入りました。(矢太)

●風花の中を猟師の飛びだせり    すかんぽ
鑑賞短文=劇的な光景、緊張感が素適です  (紅螺)

●風の花空(くう)より湧いて空に帰す  尚哉
鑑賞短文=まさに風花は「空」そのものという存在ですね。
情景を描かず、風花についてだけが返って様々な光景を呼び起こしています。
投句一覧の中で真っ先に目に飛び込んできました。(虚視)

●黙々と重機はすすむ風花の下  一遅
鑑賞短文=作者の祈りが伝わってきます。田畑を農機が動く日常が戻りますように。(華松)

●風花やいつのまにやら許してる  下戸
鑑賞短文=雪がふっと消えるように、胸のわだかまりもどこかに。誰を許したのでしょうか。詠みかえすうちに、自分の心にあった拘りが解ける心地がしました。(蕃茄)

●舌先で風花受ける京の女(ひと)  茘子
鑑賞短文~ビジュアルショックですね。映画のワンシーンのよう。
        京の女(ひと)の舌先で溶けた風花はしあわせものだわ。(下戸)

●風花は頬をかすめて失せにけり  華松
鑑賞短文=はかない風花を見事にとらえておられます。手に受けても儚く消えて行く風花です。(弥生)

●たおやかに乙女となりて春隣  弥生
鑑賞短文=季(とき)は春、人も春、しかもたおやかに。どこを切っても春で、 読む者をやさしい気持ちにしてくれました。(玲滴)

●もうすこし歩きましょうか春隣  虚視
鑑賞短文=さりげない言葉の中に情景が、隣で歩く人の姿が自然に浮かび上がる。心温まる句です。(茘子)
鑑賞短文=人の温もり、安心感。こんな時だからこそ、心に沁みました。(なつめ)

●うれしさとさみしさが母春隣  下戸
鑑賞短文=元気でいてくれるうれしさ、老いてゆくさみしさ、母を描いて見事な春隣です。(一遅)

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【今月の天地人】

【天句】    33点  月冴ゆるかくも地球の乱るるに   矢太
        33点  もうすこし歩きましょうか春隣   虚視
【地句】    21点  月冴ゆるけもの道まで無口なり   なつめ
【人句】    16点   風花は頬をかすめて失せにけり   華松
        16点   たおやかに乙女となりて春隣     弥生

【総合天】58点 虚視
【総合地】43点 矢太
【総合人】29点 なつめ
【総合人】29点 紅螺
     代表句=髪切って合わせ鏡の春隣

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【幹事よりひと言】

元旦の悲しい出来事を思うと今月は作句も選句も難しいことでした。
それでも俳句の世界では心を寄せ、祈り、希望を見出すことができるのだと改めて思いました。
被災地の皆さまに1日でも早く平穏な日常が戻る事を祈ります。
                                                         なつめ


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