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こふみ会へGO七GO №129 [ことだま五七五]

こふみ句会へGO七GO  №129
「雛」「黄砂降る」「合格」「春暁」 
                                 俳句・こふみ会

幹事さんから、≪令和6年3月の句会≫の案内状が送られました。

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こふみ会の皆さま

こんにちわ。今日は、天からのお祝いか、春の陽気に恵まれました。
3月のこふみ会、幹事は下戸が務めさせていただきます。

兼題は、弥生さんにご協力いただいた以下の4題

ポピュラーすぎてこふみ会で取り上げられなかった…という大穴の季語。雛といっても、古雛、土雛、雛の宴 、雛流し、雛納め… バラエティーにとんでおりますので自由に創作の翼を広げてください。 

黄砂降る
これは変換できないほど古い漢字でつちふる「霾」という季語があるのですが、現代では黄沙降るとなります。 「霾」  はよなとも読み、黄砂で曇った空を「よな曇り」「よなぼこり」などといいます。

合格
お孫さんが「合格」のシーズンを迎える方もいらっしゃるのではないでしょうか。おめでたい句ができるとよいですね。

春暁
 「春暁(しゅんぎょう)」は 、夜中が過ぎてまだ暗いうち、夜が明けようとするころを指します。「 春はあけぼの やうやう白くなりゆく山ぎは…」の時間帯のことです。

 締め切りは、3月10日(日)といたします。
 投句は、下戸まで 

それでは、ふるって創作ください。よろしくお願いいたします。

大取喜想次

※3月17日(日)までに選句のメールを下戸まで返信お願いします。

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案内に応じて以下の句があつまりました。参加者は16名64句。

【雛】    
1   お雛さま作ってあげると言ひし母(華松)
2    石段を雛壇にして鎮守神(すかんぽ)
3    久々に家族揃いぬ雛の宵(玲滴)
4    めでたきや身重のように女雛座し(八傘)
5    忘れ雛 妻の居ない妻の部屋(鬼禿)
6    幼な子のくちびる紅き雛祭り(なつめ)
7    残光や雛(ひいな)の紅のなまめきて(虚視)
8    桧扇を 失くした女雛の 指の科(しな)(紅螺)
9    右大臣同い歳かな雛祭り(蕃茹)
10    雛飾る先に逝ってもいいですか(矢太)
11    簡潔で凛々しき美なり雛飾り(下戸)
12    真夜ひそと遠世語りのひいなかな(弥生)
13    いつまでも女の子です雛飾る(尚哉)
14    雛の段そこだけ時の止まりおる(茘子)
15    住み変わり今マンションに祖母の雛(一遅)
16    雛は今日高砂におり巣立ちゆく(兎子)

【黄砂降る】        
17    黄砂降る大陸の悪意でもあるまいに(矢太)
18    阿佐ヶ谷のベランダの上黄砂降る(下戸)
19    大陸の思い運んで黄砂降る(玲滴)
20    蒙古より友きたるるか土ぐもり(茘子)
21    黄砂降る日 ゴビの砂漠の 民想う(紅螺)
22    黄砂降る愛車を動かす暇なし(兎子)
23    太陽を暈しにじませ黄砂降る(華松)
24    黄砂降る呼ぶは匈奴かフン族か(尚哉)
25    通天閣折れし黄砂の降り止まず(すかんぽ)
26    楼蘭の風引き連れて黄砂降る(虚視)
27    霾(つちふる)やはるか敦煌の幻影(鬼禿)
28    黄砂降るあなたの国から便りのように(一遅)
29    主亡き屋根また白く黄砂降る(蕃茹)
30    黄砂来る舌打ちできぬ地球の理(八傘)
31    フビライの国遥かなり黄砂降る(弥生)
32    さよならの校庭に風よなぼこり(なつめ)

【合格】                 
33    枝くぐり 合格祈願の 絵馬の数(紅螺)
34    80過ぎやっと気が付く「不合格」(鬼禿)
35    合格のLINEが伝ふ別れ際(蕃茹)
36    合格も不合格にも春は来ぬ(なつめ)
37    齢八十は取りあえず合格点でしょうね(矢太)
38    合格者発表板から離れる子(八傘)
39    合格にぎこちないハグ父娘(尚哉)
40    遠き甥合格の報に月日感ず(兎子)
41    あした発つ合格通知抱きしめて(一遅)
42    合格の通知や風の冷き日(虚視)
43    合格の祝いにじいじの形見分け(玲滴)
44    合格子弾む高田馬場をかな(すかんぽ) 
45    早咲きも遅咲きもあるさ受験生(茘子)
46    合格のことだけ1000日考えた(下戸)
47    合格を共に喜ぶ友がいて(華松)
48    口開けて安堵の寝息合格子(弥生)

【春暁】                 
49    春暁や淡きおそれのひたひたと(虚視)
50    春暁の湯船に浮かぶ乳ふたつ(矢太)
51    春暁や東の空がロゼワイン(下戸)
52    春暁の窓を火球の横切れり(すかんぽ)
53    春暁に 微かな光珠洲の海(鬼禿)
54    春暁に恥ずかし夕べの酔いの果て(一遅)
55    春暁や静寂(しじま)に一点窓明かり(尚哉)
56    春暁や コトリと朝刊 届く音(紅螺)
57    クルマ行くハイヒール来る刻春暁(八傘)
58    脈数え春暁を待つ個室かな(華松)
59    春暁の匂う窓辺に猫が待ち(蕃茹)
60    春暁やまずはコーヒー豆を挽く(なつめ)
61    なりやまぬ砲火春暁をおびやかす(玲滴)
62    病室を出る日が我の春暁となり(兎子)
63    春暁や真白き今日に待つはなに(弥生)
64    みんな夢春暁の海十三年(茘子)

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【天句の鑑賞】

●霾(つちふる)やはるか敦煌の幻影(鬼禿)
【弥生選】現実的には黄砂は困りものですが、中国史を専攻した私にとっては敦煌の幻影を追うロマンを掻き立ててくれるものでもあります。

●春暁や淡きおそれのひたひたと(虚視)
【一遅選 】人には誰しも理由のわからぬ不安や絶望があります。春暁にはそんな悪魔も訪れそうです。

●80過ぎやっと気が付く「不合格」(鬼禿)
【下戸 選】「君は人生をどう生きたか」 と問いかけてくる。 ジブリの続編のよう な名句 。私のオスカーを捧げます 。

●桧扇を失くした女雛の 指の科(しな)(紅螺)
【蕃茄選】雛壇全景から女雛の小さな手へと、視点が一瞬で移動する感覚に、詠んだ瞬間思わず唸りました。お見事です。
【華松 選】十二単の要を失った空手を、指の科と捉える感性が素敵です。
【玲滴 選】桧扇を持たぬ女雛の指の白さやかすかなそり、気付けばなんとなまめかしい。はっとする一瞬でした。

●春暁やコトリと新聞届く音(紅螺)
【茘子選】朝の静寂の中に、この小さな音。実際は聞いたことがなく想像の上の音かもしれない。
●合格にぎこちないハグ父娘(尚哉)
【八傘 選】どんなぎこちなさなんだろとか、どこでだからだろうとか、母はとか、想像が舞いあがって楽しめます。

●春暁の湯船に浮かぶ乳ふたつ(矢太)
【紅螺 選】きっと、秘湯の宿でしょうね。しらじらと明けそめる時刻の露天風呂!いい
ですね!
【虚視】立ちこめる湯気の中に人の姿はなく浮遊する二つの乳房。作者の意図とは違うかも知れませんが見事な春暁の具現化。

●いつまでも女の子です雛飾る(尚哉)
【すかんぽ選】痛快!そうでなくっちゃ。

●忘れ雛妻の居ない妻の部屋(鬼禿)
【 矢太 選】未だ居る妻のことをつい想ってしまった。いいやつだったなあ。
●真夜ひそと遠世語りのひいなかな( 弥生)
【尚哉 選】・・・「遠世」がとても効いています。時空の奥行を感じます。
【なつめ選】人間が寝静まった真夜中にお雛様は何を語るのでしょうか。お雛様がいつも
笑っていられる世でありますように。

●春暁の匂う窓辺に猫が待ち (蕃茄)
【兎子 選】ぱっと、あくびする猫が思い浮かびました。春を待っているのか、恋を待っ
ているのか。つらいことの多い日々に、休止符のような句、だと感じました。

●合格も不合格にも春は来ぬ(なつめ)
【鬼禿 選】こういう句がいい。当たり前のことを普通にいう句。

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【今月の天地人】

今月の天は紅螺 さんです。 4 人 の 天を 集めて 48 点 を獲得しました。
惜しくも40 点 で 地、尚哉 さん。
人は 鬼禿 さん 、 なつめさん、弥生さんが 31 点で並びました。
皆さん、 おめでとうございます。

天句  33点  緋扇を 失くした女びなの 指の科 (紅螺)
地句  21点  合格にぎこちないハグ父娘  (尚哉)
人句  19点  春暁の湯船に浮かぶ乳ふたつ (矢太)
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【幹事よりひと言】

みなさんの個性がさく裂した春 3 月のこふみ会。お楽しみいただけましたでしょうか。
阿佐ヶ谷のベランダに降る黄砂は、渋谷にも、軽井沢にも宮崎にも降ります。病院の屋根にも、タワマンの窓にも、事務所のルーフバルコニーにも降ります。いろんな場所で、大陸から運ばれてくる黄色い砂に、みんなが想いを 1 つにできるのは「こふみ会」のおかげですね。 では、来月 の 幹事 様 へ、 バトンをお渡しいたします。( 下戸)


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