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台湾・高雄の緑陰で №38 [雑木林の四季]

      2024年の台湾総統と立法委員選挙について

        在台湾・コラムニスト  何 聡明

 台湾の前途を決める2024年1月13日の総統及び立法委員(国会議員)選挙は1ヶ月後に迫った。
親中国の両野党、中国国民党と民衆党の総統候補は今年の11月中旬まで結束して民主進歩党(=民進党)を与党より追い落とす協議を重ねたが、11月24日に野党二党の結束協議が決裂して、與野三党の巴合戦が最終的に決まったのである。4人目の無党派候補者であった鴻海集團(フォクスコン)の創始者で中国に多額の投資をしている郭台銘氏は中国政府に退陣を迫られて候補を断念した。
 野党二党の協議決裂は民衆党の党首柯文哲氏(医師、元台北市長)が自分を総統候補に、中国国民党の総統侯有宜氏を副総統候補に据える事を堅持したからである。そもそも民衆党は柯氏が台北市長在任中の4年前に創立した若輩の政党であり、中国大陸で創立以来112年目を迎えた中国国民党の総統候補を柯氏が副総統にすえると堅持したことを中国国民党が強烈に反対したのは当然であろう。
 機会主義者または投機主義者といわれている柯氏はアスぺルガー症候群者でもある。医学博士司馬理英氏はアスペルガー症候群者の特性の一つは:「相手の立場に立って考えるのが苦手、自分にされて嫌なことなのに、相手にしてしまう、相手を思って言ったつもりが、相手を傷つけることもある」と述べる。柯氏は若輩小政党の党首でありながら、大先輩政党の総統候補を次席に置こうと堅持したので在野二党連盟の協議が失敗に終わったのである。
三党鼎立が決まると、台湾本土派の与党民進党の現職副総統で総統候補でもある頼清徳氏は元駐米代表(大使相等)の蕭美琴女史を副総統候補に指名;中国共産党政府との和解を望む国民党総統候補、侯有宜氏は親中国で極右派の外省人(戦後台湾に住み着いた中国人)趙少康氏を副総統に指名;中国寄りの民衆党総統候補、柯文哲氏は同党の立法委員呉欣盈女史を副総統に指名した。これで三党対決の顔ぶれが揃ったのである。
 今回の選挙戦で私が特に気ずいたのは、台湾本土派陣営に外省人が増えたことである。これは10年前なら考えられないことである。今回の主要三政党の総統候補は3人とも台湾人であることも始めてである。民進党と民衆党の副総統候補は台湾人だが国民党の趙氏は外省人で長らく台湾人を軽蔑し、台湾は最終的に中国の一部であると信じている胡散臭い人物である。彼は副総統候補でありながら、選挙戦術や中国国民党の主張等では総統候補の侯氏を後輩のように扱っているのが見え見えであるので、一部台湾人党員の不満をかっている。
 総統選挙の見通しだが、中国国民党の侯候補は今回の選挙は「中国と戦争か、平和かを決める選挙だ」と主張;民衆党の柯候補は「今回の選挙で当選は難しいが、次回の総統選挙で勝つ基礎を造りたい」と述べている。民進党の頼候補は「中国との戦争は全く考えていないが、台湾の主権を守る力をつける努力をする」と決意をしめした。総統選挙の結果、軍配は頼氏にあがる可能性が高いと思われているが、油断大敵であるので、着実に選挙戦を進めるべきだろう。
 民進党が来年も与党として居残れば、立法院での総席次113席半数の57席以上を獲得して、与党の政策に基ずいた立法を続けなければならないので、是非議席の半数以上を獲得する必要がある。與野党共に立法委員の選挙は絶対譲れないとして、その選挙戦も日増しに熱気をおびているが、与党は苦戦を強いられているようだ。
 来年以降の台湾の前途を決める選挙の投票日はもう間近だ。さて、どのような結果になるだろうか?私は一生台湾のどの政党にも所属していないが、常に我が祖国は台湾であると認めており、本土政党が長らく与党に留まることを願い、これから8年以内に台湾が建国できることを願っている。


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