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雑記帳2023-12-1 [代表・玲子の雑記帳]

2023-12-1
◆「旬の野菜を美味しく食べて都市農業の魅力を知る」

立川市の農業委員になって4期目をむかえています。1機3年ですからもう9年もたずさわっていることになります。この間、研修や現地調査で、多くの農地を見学させてもらいました。昨年は所属するネットワーク団体で「都市農業の魅力発見」と銘打って、市内にある農業試験場(現。東京都農林総合研究センター)の見学や元気な農家さんをまねいて市民向けにシンポジウムを開催したりもしました。
畑を訪れる度、常に何かしら新しい発見があって、都市農業の魅力は尽きないなあと思っていたところ、まちデザインの市民講座に、上記の『旬の野菜をおいしく食べて都市農業の魅力を知る』という講座を見つけました。

見学先は多摩市にある青木農園です。
園主の青木幸子さんは農家に嫁いだことをきっかけに就農した人です。
プロフィールによると、野菜作りの経験はなく、本を読んだり研修会に参加しながら農業を学んだとのこと。現在、農作業と並んで、農家レストラン「青木農園農家料理」を運営し、自身の畑で獲れた野菜を使った料理は地域の人々に愛されていると紹介されていました。

先ずは、青木さんの畑の見学です。多摩市内を流れる大栗川の川沿いに青木さんの畑はありました。周囲は住宅が立ち並び、農地としてのこっているのはわずか。それも駐車場のアスファルトをはがして畑にもどしたという、青木さんの畑です。

畑では年間を通して70種類もの野菜や果実を栽培しています。
少量多品種は都市農業の典型。ネギやたまねぎは言うに及ばず、黒キャベツや空心菜、ミントやブロッコリー。栗や柚子、柿にパッションフルーツ等の果樹類。畑の境にはブラックべリーもありました。中でもトマトは大、中、小が13種類もあるとか。それぞれが味が違うのを知るのも楽しい。ブロッコリーもジャガイモだって何種類もあります。
青木さんは、種類の違う野菜にさわったり匂いをかいだり、かんで味わってもらいながら野菜の説明をしてくれます。「語れる農家」が青木さんのスタイルなのです。ヘチマだって若いうちは食べられます。

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消費者の好みをさきどりするように次々に開発される新しい品種の野菜の栽培に取り組む一方で、青木さんは固定種も大切にしています。
ナスや唐辛子の畝の一角に江戸小松菜が育っていました。
昔から栽培されて来た「江戸東京野菜」は、小松菜や亀戸大根、練馬大根など50種ほどありますが、品種改良されたF1と違って手間のかかる固定種を栽培する農家は少なくなっています。江戸小松菜は収穫して時間が経つとしおれてくるので見栄えはよくない、スーパーには出せないけれど、庭先販売にはむいているということでした。スーパーに並ぶ小松菜と違って、口にふくむと驚くほどやわらかい。色も優しめでした。

安心して食べられる野菜をと、農薬や除草剤は使わず、一番大事にしているのは土づくりです。近年、都市部ではハウスの水耕栽培がさかんになっており、上述の農総研でもそうしたスマート農法を薦めていますが、やはり農業の基本は土だという思いは私たち消費者にも根強くあります。青木さんは「良い土で育った野菜は細胞がしっかりと生きているため、野菜本来の甘味がある」と言います。

青木さんの畑では収穫した後も株は花が咲くまで残してあります。高価なエデイブルフラワーを求めなくても、野菜は花も食べられる、大根の花は大根の味がするのだそうです。

こうして育てた旬の野菜を美味しくたべてもらいと始めたのが農家レストラン「青木農園農家料理」です。

大栗川をわたって坂道をのぼったさきにある古民家(青木家の母屋です)に、少し前レストランはマンションからひっこしてきました。裏山は息子さんが育てる果樹園がひろがっています。すだちやミカン、晩白柚、香りを楽しむ柑橘類たちです。すだちは黄色くなると酸味はうすれていきますが、ドレッシングにするといいと教えてもらいました。

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ワンプレートに盛られた色鮮やかな野菜たちを、野菜の話を聞きながら味わいました。
野菜は色と香りと触感をあじわってほしい。
採れたて野菜はゆですぎず、しゃぶしゃぶのように鍋にいれたとたんにひき上げるのが一番だそうです。牛蒡のアクも栄養のうち。アクを抜かず香りも楽しんで。

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落花生ご飯、ビーツのコロッケ、バジルやスダチのドレッシングを使った野菜の数々・・・
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ブラックベリーソーダ
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デザートは季節で変わる。ついこの前までは栗のデザ-トだった。
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質問に答える青木さん

義父母の介護を通して食べることの大切さを学んだ知恵は、プレートの上にも生かされています。
ゆっくり時間をかけて食べてもらいたいと、用意されているのはお箸だけです。流動食しか受け付けなかった高齢の両親が、とにかく時間をかけてゆっくり食べることで固形でも食べられるようになった。「ゆっくり」は子育てで忙しくしている若いお母さんにとっても大切なことではないか。青木さんの思いをひきうけるかのように、リピートしてくる人は地域の子育て中の女性が多いとか。

多摩市は高度成長時代、丘陵を開いて団地ができました。多摩ニュータウンです。土地を手放した農家は多く、今では70人ほどになり、ご多聞に漏れず、都市の農地をどうやったら残せるかが課題になっています。
場の野菜で親子料理教室を開いたり、トマトジャムのレシピを開発したり。地域の人に美味しい野菜を届けて喜んでもらいたいという青木さんの活動は、レストランだけでなく、さまざまな形で地域とつながっているのです。

地域とつながることの大切さを思うとき、思い出す言葉があります。
「農家は単に畑を耕している人という意味ではなく、「農家という生き方」を選んだ人のことだ。」
農地を通して紡がれて来た地域の伝統や文化も、畑がなくなれば消えてしまう。
食用ではなく、地域の年中行事のために今も大麦や陸稲を大切に育てている農家もあれば、新しい形で地域とつながろうとしている農家もある。農地を残すために各地で様々な工夫が生まれてもいます。都市に農地は要らないと言われた時代から、ようやく都市の農地の役割が見直されるようになった今、消費者としてはそうした農家さんお一人お一人を応援したい気持ちでいっぱいです。

◆小春日和の続く中、国営昭和記念公園は紅葉狩りの来場者でにぎわいました。 

夏の猛暑がいつまでも続いたせいか、カエデやモミジの紅葉は例年に比べて今一つの感がありましたが、イチョウの黄葉は見ごろをむかえていました。

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池のそばの四阿には花手水も
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楓風亭のお菓子も「紅葉」
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カナールの傍のイチョウ並木
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カナール対岸のいちょう並木

こもれびの里は収穫の季節です。大例祭の幟が掲げられ、野菜の宝船を居合わせた中国人の親子がめずらしそうに見入っていました。

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秋季例大祭の幟
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11種類の野菜で作られた宝船
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こもれびの里古民家ではひと月遅れのえびす講。五穀豊穣を願って赤飯やお頭つきの鯛がお供えしてあった。

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