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住宅団地 記憶と再生 №20 [雑木林の四季]

12.ブリッツの大団地(馬蹄形団地)GroBsiedlung Britz(Hufeisensiedlung)(Britz.Fritz.Reuter-Allee,Husung,Onkel-Braisig-Str.u.a.12359Berlin)
 
      国立市富士見台団地自治会長  多和田栄治

住人3名にインタビュー 2

●ルーデイ・マイスナーさん(男性、70歳代、シュタヴェンハゲナ一通り)
 この住宅は1930年の建設、2003年に入居した。気に入っているのは 部屋割り。3階建てで98I琉地階もいれると4階で使用面積は140㎡になる。台所と食堂は分かれていたが、壁を打ち抜いて一室にした。階段が急で老人には危険である。2階にシャワー、3階にバスタブを入れた。
 窓はこのように大きくなっているので明るいが、ここより前に建てられた住宅は、大きな一枚のガラスがまだ高価だったため窓が小さい。
 15年前に16万5,000ユーロで購入したが、世界遺産になって不動産価格は急騰し、いまでは約60万ユーロ、4倍近くになった。
 猫を飼っている人のほうが犬を飼っている人より多い。毎年5月のフェスティバルのちらしを配って歩くと、草ぼうぼうの家もあるし、すごく手入れをしている庭もある。しかしそれは個人の自由なので口出しする人は少ない。
 針葉樹が増えてしまった時期もあったが、モミなど陰になって他の植物が育たないし、落ちる木の実の始末が大変なので、かなり伐ることになってほっとしている。世界遺産なので記念物としての保護が重視され、役所が管理や修繕の状況を見回りに来る。高木の植樹、伐採は届け出制になっている。家の外形は変えてはいけないのだが、規則に逆らって変えてしまう人もいる。役所は見逃してくれることもあるが、窓枠は木と決まっているのにプラスチック製の窓枠をつくった人が、取り壊して木の枠にするよう通達をうけたことがある。
 同じ棟の人たちは毎日庭仕事をしながら自然と言葉を交わすので、顔見知りになり気が合えば友だちになることもある。子どもは2人が多いが、4~5人の家もある。ここ10年で世代交代があった。この棟だけでも4人の老人が亡くなり、子どものいる若い世代が入居した。

☆タウトは画一的な庭がいいとは思っていなかったので、最初の住人たちがそれぞれ好きな木を植えた。住宅ができる前はこの辺りは木が一本も生えてなくて畑だった。しかし重要文化財になってからは自分の庭の木を伐るときも新しく植えるときも許可がいる。この通りは白樺というように、通りによって植える木は決まっている。

☆ドイツで住居の広さをいうときは、地階とか屋根裏部屋の天井の低いところを面積に数えない(実際には地階にはたくさん物が置けるし、屋根裏部屋の天井の低いところにベッドをおいて寝ている人も多い)。

☆ここから歩いて行ける範囲に幼稚園やあらゆる種類の学校(小学校、実科学校、総合学校、ギムナジウム)があるので、子どものいる家庭にはとてもよい。ただしティーンエイジャーのたまり場となるようなディスコなどはまったくない。

☆家の外見を変えてはいけないという決まりは、文化財保護になったことによるもので、世界遺産になったからではない。

☆席蹄形住棟以外は民間売却になって、679戸のうち10戸ほどが借家として残っている。

『住宅団地 記憶と再生』 東信堂



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