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地球千鳥足Ⅱ №29 [雑木林の四季]

アマゾン滔々、日本人の血脈々と流れる国
  ~ブラジル連邦共和国~

     小川地球村塾塾長  小川彩子

 2011年の旅の最終地はブラジル、かつて地球の一角で会った人々とここでの再会を約束していた。私は約束にこだわる人間、気楽な口約束でも必ずメモする。遂にその時が来た。「ブラジルで会いましょう!」と交わした約束を果たせる日が。
 1組目の義理の弟。5人兄姉弟のうち1人だけ、野望に溢れ54年前に23歳で国を出たブラジル移民だ。当初は多様な職種に挑戦したが、後に日本の企業、パイロットに勤め、娘は日本の医科大学に留学させた。2人の孫は難関サンパウロ大学の学生だ。日本人会の役員を続け、今は悠々たる暮らしである。移民一世の苦労話はなく、「来てくれて嬉しい!」と。その娘さんいわく、「日本人はほぼ成功し、良い暮らしをしています。他の人々が『日本人は頭がいいのだ!』と言いますが、頭がいいというより日本人は必死の努力をするのです!」
 2粗目、ネルソンさんとの出会いは格別だ。ドミニカ共和国のプンタカーナに向かう飛行機で隣り合わせただけのご縁、彼はブラジル移民の二世、IEEE(米国電気電子学会)の世界大会にラテンアメリカ南部代表で臨むところだった。「きっとブラジルへ行きますー・」と伝えてから2年近く時が流れていた。が、Eメールに即返事が来て「再会嬉しいー」とサンパウロ市内、日本庭園もあるイビラプエラ公園、109年前日本人移民が笠戸丸で上陸したサントス市内、移民一世の父君が住んでいた家、さらにはサンパウロを見下ろす高級マンションの豪華な自宅も案内して頂き、そこから煌めくサンパウロの夜景を見下ろした。夫人の頼子さん共々秀才プラス努力組だろう。サンパウロ大学で出会い結婚、息子たちは留学体験ありのグローバル一家だ。移民二世のネルソンさんからも苦労話はなかった。
 ブラジルは移民の国、世界80か国以上から移民が来た。日本人は当初奴隷代わりに来たそうだが、その信用は次第に高まっていったという。不慣れな土地で日本移民たちが苦心して創った住居、農機具、生活器具は驚異的だ。余談だが日本人がサンパウロで与えられたリベルダージという地区は奴隷の売買が行われていた土地。だが今は東洋人街として発展、日本語新聞社、和菓子屋、仏壇屋、並ぶ居酒屋、そして赤い大鳥居……、一体ここは何処?と不思議な気分に陥る。本国では日本文化を捨てて平気な人種が増えている一方、ブラジル移民の子孫たちは日本文化への愛を土台に街作りをしたのであろうと感無量だった。
 アマゾン真っただ中の街、マナウスは長閑な街、サンパウロのように危険ではない。ここにも多く日本人移民が入植した。日系企業もあり、貿易港として、アマゾン観光の基地として賑わっている。この地でのハイライトは2河川合流点の見学と交響曲だ。コロンビアから発する黒色のリオネグロとアンデスの雪解け水を集めて来た茶色のソリモインス川が合流し、ここからアマゾン河となるのだが、2色の水は混ざり合わない。理由は2河川の流速と比重が異なるためだとか。私たちのボートの操縦士は川の交点辺りをぐるぐる回ってくれたが、黒色と茶色の水はミックスせず鋸の歯のようにぎざぎざだった。雄大かつ珍奇な水の芸術は必見だ。地元交響楽団もしかり。かつて天然ゴム景気で栄えたこのマナウス市が、あり余る資金で造った豪華なオペラハウス、アマゾナス劇場での迫力ある演奏。その楽団の名はアマゾナス・フィルハーモニカ。秀逸だ。
                     (旅の期間一2011年 彩子)

『地球千鳥足』 幻冬舎



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