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地球千鳥足Ⅱ №26 [雑木林の四季]

受難の夏

     小川地球村塾村長  小川律昭

 二か月不在、シンシナティに帰って一週間になるというのに、何とやるせなく心のいらつく毎日だったことか。発生している問題を次々と解決しないことには、何も手につかない。せいぜいインターネット上の旅記事を読むのと、夕刻蛍の乱舞を見るだけが楽しみとは。

 自動車のエンジンがかからないことは予期していたがそれに加えて注意ランプが点灯して修理の催促、ディーラーに三回往復して修理費八六五ドル支払った。バッテリーは、充電してもすぐ放電してしまい取り替えねばならない。今回の修理は翌日に及んだので私を家まで送ってくれたが、迎えは当方が連絡しないと自動的には来てくれなかった。

 次は家の空調修理。あいにく三五度の熱波が来ており、ニューヨークでは三九度で死者も出る暑さ。窓を開け放しても二階で三〇度、階下で二六度、絨毯がなま温かい。修理屋には私の英語の発音の関係で、電話で用件を通じさせるのに大変苦労した。結局「オガワタダアキ」は聞き取ってもらっていなかった。とにかく三回督促し、約束の早朝が十二時を過ぎてもまだ来ない。やっとビトウウィーンの連絡は入ったが、何時と何時か時間は聞き取れない。やっと来て修理を終えたはいいが、大きなアルミ製のフィルターをもとに戻すことを忘れて、お金だけ二二ドル要求して帰ってしまった。後で気付きその取り付けを頼んだが返事はなく、催促の上結局翌日の朝ということで、またまた家で待機せざるを得なかった。時間のロスばかり。

 その次はケーブル‥アレビ受信の再契約。これは隣のスーザンに頼んだので約束の時間通りにやって来た。機器は新しく取り替えた。また以前からの懸案であった、コミュニティーが補修した歩道の請求書、二三六ドルが二枚もあって一枚は間違いではないか、と指摘したのだが、何の連絡もなかった。隣家は請求書など来てないというので、一枚は隣宛の請求書に違いない、と確信していた。その後、最後のインボイスで支払いを通告、不在であったため期限オーバーで罰金一三%、とまったく馬鹿にしている。オフィスに行って掛け合い一三%を取り下げてもらった。隣の請求書の間違い云々は図面で説明してくれた。

 その他自動車保険の解除連絡、インターネット・プロバイダーとの再契約を取りやめて、ワイフの大学・UCの無料インターネットに切り替えるなど本当に大変だった。バッテリー不良による車のエンジン始動はトリプルA(二三一頁参照)とスーザンに二回ずつ来てもらった。
 自動車はバッテリーの購入の要あり、コンピューターもメールで日本語はうてるが印刷は二重写し、と問題は完全には解決していない。

 その間の食事はろくなものを食べていない。味噌汁とハム類、佃煮そして葉っぱ類だけの一日あたり六ドル(七五〇円)であった。それにくらべて浪費した額は一二〇八ドル、約十五万円、一体何のためにここでの生活をしているのかわからなくなった。ジェット:フグ(時差ぼけ)で身体はガクガクだというのに。あほらしくなった。
(一九九九年七月)

『万年青年のための予防医学』 文芸社



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