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こふみ会・句会ものがたり №119 [ことだま五七五]

こふみ会・句会ものがたり  
行くも良い良い、行かぬも良い良い……コロナ禍あけのリアル句会 
「切手」「逃げ水」「幼き孝多」「二人」 
 
                         俳句・こふみ会

幹事さんから、≪令和5年5月の句会≫の案内状が送られました。

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 こふみ句会のみなさま

五月のこふみ句会は、孝多さんを偲んでの追悼句会です。
久々に、表参道のTCCクラブで開席します。
「たひらさんさようなら」の部屋が一週間設けられる。その初日です。
みんなで「さようなら」を言ってから、句会を始めよういう心積りです。

●兼題(孝多さんの名句からピックアップしました)
 切手「凧あげよう空に小さな切手貼ろう」
 幼き孝多「流れ星幼き孝多は母の背に」
 逃げ水「逃げ水はもう逃げられず海に果つ」
 二人「肩寄せて二人でいます2月です」(辞世句)

●当日席題はなしです。おしゃべりの時間をたくさん取りたいなあ、と。
●五月二〇日13:00開席
●会費千五百円(お弁当代です)

当月幹事:直也・兎子・矢太

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【当日寄せられた全作品】は下記のとおり。13名 52句

◆切手
・片思いオデコに切手はる五月 (下戸) 
・切手はり四月の月報送る人亡く(玲滴) 
・五月雨や切手は宛先が分からない(矢太)
・とっておきの切手は光琳燕子花(かきつばた)(弥生) 
・薫風に切手を貼ってあなたへ(鬼禿) 
・切手貼る目はランランと春便り(華松) 
・春燈や亡人(ちち)の切手のコレクション(可不可)
・春露で切手を貼りますさようなら (兎子) 
・君逝けり切手を貼りし空の果て (虚視) 
・切手貼りそちらの夏空届けてよ (尚哉)
・古切手和紙に思いを書きし夏(紅螺) 
・今日の日に切手を貼って後の世へ(風花) 
・切手を禁じ手となしたり孝多(孑孑)

◆逃げ水
・逃げ水を横切っている老いた犬(紅螺)
・追いかけてつかまらぬ君まるで逃げ水(玲滴)
・逃げ水や恋の幻追ふににて(弥生)
・逃げ水や冥途の孝多どのあたり(尚哉) 
・不倫とは逃げ水のごと屋根のロゴ(下戸)
・逃げ水を手品のように操りて(華松)
・幼き日逃げ水のごと追い続け(虚視) 
・逃げ水に笑顔苦顔の孝多おり(孑孑) 
・追いつけないあなたの背中逃げ水と(兎子) 
・逃げ水や我が道を行く他はなし(可不可) 
・逃げ水は私の影から逃げてゆく(矢太) 
・逃げ水やチャーンと右て上げて逝く(風花) 
・逃げてのがれて逃げ水いまの爆心地 (鬼禿)

◆幼き孝多
・夏帽子幼き孝多スキップで  (紅螺) 
・九九習う幼き孝多に飛花一片 (尚哉) 
・文字好む幼き孝多は本をなめ (華松) 
・母の背の孝多うらめし母の中 (鬼禿)
・秩父より流れ星追う幼き孝多 (玲滴) 
・ままごとの孝多父さん青葉陰 (弥生)
・ふらここの幼き孝多飛翔せり (風花) 
・初虹のおそらで遊ぼ孝多さん (兎子) 
・胸の底幼き孝多隠れ住み   (虚視)
・夢を見る幼き孝多吾子(あこ)の天瓜粉 (可不可) 
・おギャーと広告孝多ここにあり (下戸) 
・天の川幼き孝多泳ぎ去る   (矢太)
・幼児から孝多は虹に腰かけて (孑孑) 

◆二人
・遥かなる旅は俳句と同行二人  (華松) 
・長かったふたりぽっちや流れ星 (矢太) 
・今だって二人でいます五月です (尚哉) 
・春代宛切手無用の恋日記    (孑孑) 
・二人いて一人になりたい水芭蕉 (下戸) 
・五月雨も二人で居りてこそなれば (風花) 
・やっぱりふたりづうっと日本橋から (鬼禿)
・鯉幟赤ちゃん二人の乳母車    (紅螺) 
・二人居て縁側で新茶すすりけり (玲滴) 
・二人して夏の色とはなりにけり (可不可) 
・いつの日も少年孝多と二人連れ (虚視) 
・花冷えの二人の姿憧れて    (兎子) 
・キャンパスに二人の袖が擦れあって初夏 (弥生)

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久々のリアル句会TCCの会場
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 大分に引っ越した虚視さんも参加してのハイブリッド句会! 幹事の兎子さんは大奮闘

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【天句の鑑賞】
「天」に選んだ句とそれに関する鑑賞短文を簡潔に書くというこふみ句会の約束事。

●片思いオデコに切手はる五月 (下戸)
鑑賞短文=「追悼句会」の空気を一蹴した孝多のようなほがらかな句 (矢太)

●春代宛切手無用の恋日記 (孑孑)
鑑賞短文=最期までほほえましかった多比羅家のお二人の様子が目に浮かぶようです。
(玲滴)

●逃げ水は私の陰から逃げてゆく(矢太)
鑑賞短文=自分から流れ出る逃げ水の形(鬼禿)

●切手貼りそちらの夏空届けてよ(尚哉)
鑑賞短文=そちらはどしらか、あなたのりどこかわからぬ場所(兎子)

●今日の日に切手を貼って後の世へ(風花)
鑑賞短文=かけがえのないい「今日」という時。時代はどのように移り変わってゆくのだろう。(可不可)

●君逝けり切手を貼りし空の果て(虚視)
鑑賞短文=悼むお気持ちが静かに深くひびいてきます。(華松)

●とっておきの切手は光琳燕子花 (弥生)
鑑賞短文=私のとっておきの切手は燕子花です。特別の人宛ですね。(紅螺)

●ふらここの幼き孝多飛翔せり (風花)
鑑賞短文=ぶらんこをこいで満面笑顔の幼き孝多先生が浮かびます。(弥生)

●文字好む幼き孝多は本をなめ (華松)
鑑賞短文=さぞやそうであったと想います。(孑孑)

●鯉幟赤ちゃん二人の乳母車(紅螺)
鑑賞短文=光が満ちて、幸福感あふれる絵画のような句。(下戸)

●天の川幼き孝多泳ぎ去る (矢太)
鑑賞短文=孝多さんが笑顔で泳いで行く姿が思い浮かぶ句です。(風花)
鑑賞短文=かささぎの渡せる橋を渡る孝多。銀河鉄道の夜のような、死の香り。(尚哉)

●遥かなる旅は俳句と同行二人 (華松)
鑑賞短文=素敵な追悼句会でした。(虚視)

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この日は長期お休み中の風花さんも出席して(和服の後ろ姿)
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 お昼は米八の鰻弁当
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恒例の差し入れのお酒も
        
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≪今月の天地人≫

天=矢太さん 37点
  代表句=天の川幼き孝多泳ぎ去る
地=可不可さん 35点
    代表句=春燈や亡人(ちち)の切手のコレクション
人=風歌さん 33点
    代表句=今日の日に切手を貼って後の世へ

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≪幹事より、ひと言≫

六月のこふみ句会は、去る三月に逝った孝多さんを偲んでの追悼句会でした。
コロナ前まで毎月集まっていた東京コピーライターズクラブの一室です。
隣の部屋を『こうたさんさようならのおへや』に設えて、遺影や作品など飾りました。
旧会員だった風花さんも駆けつけてくれて、総勢十二人。出席できなかったのは二人だけ。
去年別府に移住した虚視は、ZOOMで参加してくれて。
素敵な追悼句会になりました。(矢太)

リアルでやってよかった・・・ほんとうに、そう思いました。
ひとつひとつの句も、ひとりひとりのお顔も、
孝多さん、きっと見ておられたと思います。
これからも、空から見守ってくださいますよね、きっと。  (尚哉)

実に久しぶりのリアル句会、
zoom参加の方もいてハイブリッドでの開催でした。
うまく中継ができなくて、ご迷惑をかけたかもしれません。
やはり直に会って言葉を交わすと、届き方が違うなと感じます。
孝多さんを思っての句は、どれも優しく、
お人柄を感じました。
お空の上で笑っている気がします。(兎子)

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当日設けられていた「こうたさん、さようなら」のお部屋です。

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多比羅さんの似顔絵が描かれた鬼禿さんの色紙も。


≪お知らせ≫
118回の長きにわたって『こふみ会・句会ものがたり』を届けてくださった多比羅孝さんがなくなり、119回目は多比羅さんの追悼句会になりました。
次回からはタイトルを『「こふみ句会へGO七GO』として、連載をつづけます。
これからもこふみ会便りをお楽しみください。


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