郷愁の詩人与謝蕪村 №6 [ことだま五七五]
春の部 3
詩人 萩原朔太郎
詩人 萩原朔太郎
春の海終日(ひねもす)のたりのたりかな
だれも知ってる名句であるが、のたりのたりという言葉の音韻が、浪なみの長閑(のどか)な印象をよく表現し、ひねもすという語のゆったりとした語韻と合って、音象的に非常に強く利いてるのである。
だれも知ってる名句であるが、のたりのたりという言葉の音韻が、浪なみの長閑(のどか)な印象をよく表現し、ひねもすという語のゆったりとした語韻と合って、音象的に非常に強く利いてるのである。
橋なくて日暮れんとする春の水
こうした春の郊外野景を描くことで、蕪村は特殊の画才と詩情とを有している。次の句もまたこれと同題同趣である。
春風や堤つつみ長うして家遠し
この句は「春風馬堤曲(しゅんぷうばていのきょく)」の主題となってる。春風馬堤曲は、蕪村の試みた一種の新しい長詩であって、後に紹介する如く、彼のポエジイの最も純粋な主題的表現である。
『郷愁の詩人与謝蕪村』青空文庫
2023-05-14 07:37
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