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私の中の一期一会 №272 [雑木林の四季]

    ウクライナ侵攻から1年が過ぎた。だが戦争終結の見通しは立っていない。
~「プーチンは側近に殺されるだろう。上手くいくか、いつかは分からない」ってホントかな?~
      アナウンサー&キャスター  藤田和弘

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから今月24日で丸1年が過ぎ去ったことになる。
 プーチン大統領は当初、短期間でウクライナの首都キーウを制圧出来ると考えていたようだが、欧米の支援を受けたウクライナ軍が各地で激しく抵抗した結果、いまや戦況は膠着状態になっているという。
 ウクライナ軍は負けていないしロシア軍も勝っていないのに、戦争を辞めようというハナシは一向に出て来ない。
 新聞によれば、最近のロシア軍はウクライナの一般市民を標的にした攻撃が相次いでいて、子供を含む罪のない市民の犠牲者が数多く出る状況が続いているという。
 悲惨なことで胸が痛む。
 国連人権高等弁務官事務所の発表によると侵攻が始まって以来、ウクライナの民間人の死者は8000人を超え、負傷した人は1万3000人以上になっているが、実際はもっと多いだろう。
ウクライナ政府は昨年12月、ウクライナ軍の死者数は最大1万3000人だと述べているが、こちらも増え続けているに違いない。
 ウクライナでは、今日もあちこちの街がミサイルで破壊され兵士や一般市民が犠牲になっている。
ロシア当局は昨年9月にロシア軍の戦死者は5900人と公表したが、それ以降は発表がない。
欧米のメディアは、イギリス政府の推計によれば“ロシア軍の死傷者は最大約20万人、うち戦死者は約6万人に達すると推計している”と伝えている。
 敵、味方双方にとって良いことなど一つもない無益な戦争が早く終わって欲しいと願うばかりである。
 ヨーロッパ諸国の中には家庭の暖房や工場の動力のために消費する天然ガスの多くをロシアに頼ってきた国が多い。
 今度の戦争で天然ガスの供給を断つことは、「プーチンの切り札的手段」と言われてきた。
 ところが、ヨーロッパ諸国の今年の冬が記録的な暖冬に見舞われたことで「プーチンの切り札」効果は半減しという。
 1月のリヒテンシュタインの首都ファドーツでは元日に摂氏20度を記録する暖かさだった。
 チェコ北部のヤボルニークでも19.6度、ポーランド南部のヨドウォブーク村で19度を記録。
 オランダ、デンマーク、ラトビアなどは1月としては過去最高気温を観測したという。
 スイスではこの暖かさで雪不足となりスキー場がオープン出来なかった。
 スペインでは海水浴場が季節はずれの賑わいを見せたというから驚く。
 EU統計局の記録によれば、昨年8月から今年1月までEU27か国の天然ガス使用量は過去、5年間の平均使用量と比較して19.3%の減少であった。
 EU諸国は天然ガスの供給をロシアにばかり頼らなくてもよい状況だったのである。 
 ロシアはウクライナ侵攻後、EU諸国への天然ガス供給をほとんど停止した。
 一旦はガス供給不足となり価格も高騰してエネルギー危機の様相となったが,EU諸国が自主的に15%倹約する中で、記録的暖冬があり自然にガス消費量が減った結果、エネルギー危機を免れたという。
 毎日ウクライナのニュースが溢れて、途切れることがない。
 昨年12月、ワシントンポスト紙に「プーチンに最も近い側近たちが“プーチンは自分が何をしているか分からないのではないか、ウクライナで前進する確たる計画もない”とプーチンに対して不満を募らせている」と報じたことがあった。
 最近、プーチンの国内統治に「限界」という影が迫りつつあるというハナシもあり、ちょっと気になるところだ。
 ロシアの国民はウクライナ侵攻を戦争ではなく、職業軍人を中心とした「特殊軍事作戦」で国民の暮らしには影響しないと説明されてきた。 
 だから昨年9月に「動員令」が出された時、動員対象となるロシアの若者が国外に脱出する騒ぎが続発した。
ロシアと陸続きのフィンランドとの国境では車が列をなし大渋滞が起きたという。
 フィンランド国境警備隊に一人は、「ロシア人が1日に6000人ペースで国境を越えた」と話している。
 カザフスタンやジョージアとの国境でも出国ラッシュで渋滞が起きていた。
 バルト3国やポーランドは安全保障を理由にロシア人の入国禁止措置を講じざるを得なかったのである。
 ウクライナ侵攻は1年を過ぎても決着しないどころか長引きそうな状況になっている。
 ロシア国民は今、また「動員令」が出されるのではないかと不安にさいなまれているという。
 最近、ウクライナのジャーナリストが制作したドキュメンタリ「Year」が公開されたが、この中でゼレンスキー大統領の発言が反響を呼んだと聞く。
 ゼレンスキー氏は「ロシアでプーチン政権の脆弱さが感じられる瞬間がきっとやって来るだろう」と話し、
 「プーチンは最終的に、自分に最も近い側近に殺されるだろう。
 だが、上手くいくか、いつになるのか、それは分からない・・」と発言したのだ。
 軍事アナリストの小川和久氏は、プーチン暗殺なんてとんでもないことだと語っている。
 ロシアの指導者が殺されたら,或いは敵国から核攻撃されたら「核部隊に命令が出る」システムになっているからだ。
 時事通信によれば、プーチン大統領は開戦して1年になるウクライナ侵攻を西側諸国から「祖国防衛の戦い」にすり替える世論工作しているという。
 西側諸国の目的は一つ、ロシアの解体にある。
 民族の存亡をかけた自衛の戦いに、国民は団結して長期戦に備えるよう求めた。
 プーチン大統領は諦めていない、戦争はまだまだ続くことが分かった。
 出るのは、ため息ばかりである。



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