SSブログ

雑記帳2023-2-1 [代表・玲子の雑記帳]

雑記帳2023-2-1
◆立川にある小さなスタジオ、「ラララ」で宮沢賢治の「オツベルと象」の朗読の会があるという知らせが、暮に赤川ボンズさんから届きました。

名称未設定 1 のコピー.jpg

私の世代では「風の又三郎」や「注文の多い料理店」など、学校の国語の教科書で宮沢賢治に親しんだ人は多いのではないでしょうか。
記憶では小学校の高学年で「オッぺルと象」を読んだ覚えがあります。(「オッぺル」と覚えていましたが、その後賢治の自筆の原稿が発見されて正しくは「オツベル」だったということです。)

「オツベルときたら大したもんだ」と小作の農民が語る言葉で話が回っていきます。
ある日、迷い込んだ白象をうまく手名付けたオッぺルは象に仕事を与えます。最初は簡単な仕事から段々力のいる仕事へ、そして象に与える餌は少しずつへらしていき・・・。気のいい象はオツベルの言いなりに仕事をこなすうち、衰弱して、とうとう月の力を借りて仲間に助けを求めるのです。

仲間たちは大挙して森から出てオツベルの屋敷を襲い、象を助け出します。教科書に載っていたので音読させられました。森の象たちが走ってくる場面は迫力があった、衰弱した白象が月を仰いで話しかける言葉は弱弱しく、読みながら声がふるえた・・・子どもの頃のそんな場面が想い出されました。

「(大したやり手だった)オツベルはもういないよ」で終わる物語に、オペラシアターこんにゃく座の荻京子さんが曲を付けて、クラリネット奏者の橋爪恵一さんが伴奏しました。荒井純さんと坪田直子さんの二人の語り手による朗読は、子どもの頃の記憶そのままに、迫力満点だったり、悲しかったり、賢治の世界が蘇るようでした。

DSC02106 のコピー.jpg
(左から)荻さん、新井さん、坪田さん
DSC02100 のコピー.jpg
クラリネットの橋爪さん
                          
耳に残るのは象たちの雄たけびです。グララアガア、グララアガア・・・。
作品の中で何度もくりかえされました。
そういえば、又三郎が現われるときの風の音は、どっどど どどうど、どどうど、どどう・・・、
賢治はオノマタペの名手です。

「ラララ」は舞台と客席の境もない、30人も入ればいっぱいになる小さなスタジオです。
椅子を並べただけの観客席には子どもたちの姿も見えて、とてもアットホームな雰囲気でした。子どもたちも語り手の「グララアガア」には目を丸くして興奮の様子でした。
70才を越えたベテラン女優の荒井さんのグララアガアーは迫力満点、顔のしわなんぞ全然みえなくなる。さすがです。

DSC02099 のコピー.jpg
DSC02112 のコピー.jpg
一部と二部の間にはお茶も出る。

この日のステージは二部構成で、「オツベルと象」に先だって、金子みすゞやフランスのプレベールの詩に荻さんが作曲した歌が紹介されました。歌ったのは上記のお二人です。
12の詩の最後に紹介されたのが賢治の「馬」でした。

        宮沢賢治『馬』

いちにちいっぱいよもぎのなかにはたらいて
馬鈴薯のようにくさりかけた馬は
あかるくそそぐ夕陽の汁を
食塩の結晶したばさばさの頭に感じながら
はたけのへりの熊笹を
ぼりぼりぼりぼり食っていた
それから青い晩が来て
ようやく厩に帰った馬は
高圧線にかかったように
にわかにばたばたいいだした
馬は次の日冷たくなった
みんなは松の林の裏へ
巨きな穴をこしらえて
馬の四つの脚をまげ
そこへそろそろおろしてやった
がっくり垂れた頭の上へ
ぼろぼろ土を落としてやって
みんなもぼろぼろ泣いていた

賢治がの花巻農学校で教師をしていた時の実感がこもっていますね。

荻さんは、労働者の音楽運動にかかわって、働く人の詩に作曲する機会があったとか。12の詩の中に「銭」という詩がありました。詩を書いたのは旧国鉄で働いていた人でした。
昔、労働歌が流行った時代がありましたが、今は時代送れで、誰もそんな歌は歌わないと思っていました。それでも「よいとまけの歌」に再び人気が出た例もあります。形を変えて、新しく生まれた曲は、戦いの歌ではなく、日々のくらしを紡ぐシャンソンのように歌いつがれていくのかもしれません。これは子どもにはちょっと難しかったようです。

出演者が身に着けていた衣装は、あの東日本大震災で被災した着物をリメイクしたものでした。被災して泥だらけになった着物を洗って、舞台衣装にしているのです。
震災の記憶を伝えるために、「ラララ」の音楽プロデューサー、しおみえりこさんは、その端切れを50センチ四方のパッチワークにする活動をつづけています。趣旨に賛同して世界47か国から寄せられたパッチワークは2800枚をこえているそうです。そのうち2000枚は2022年2月に、被災着物の郷里、石巻におくられたということです。

DSC02111 のコピー.jpg
橋爪さんの着ていた服も震災着物 写真撮らせてと言ったら後ろを向いてくれた

銅板造形作家の赤川ボンズさんは「オツベルと象」のパンフレットのイラストを手がけました。赤川さんも、修業時代の一時期、宮沢賢治のイラストを片端から描いていた時代があったというここです。「ラララ」の壁には赤川さんの銅板作品のデッサンが並べられていました。

名称未設定 2 のコピー.jpg
「オツベルと象」のイラスト
DSC02108 のコピー.jpg
壁に飾ってあった赤川さんのデッサン画
DSC02262 のコピー.jpg
ボンズ工房の赤川さん

◆立川駅南口の農産物直売所「のうかる」を紹介します。

JR立川駅からモノレール沿いに徒歩5分、昨年6月に立川市魅力発見拠点施設CotoLinkが誕生しました。Coto Linkは、「こと」と「つながる(リンク)」をを意味する造語で、「賑わいと多摩の魅力発信」を目的に誕生しました。建物は、多摩の情報発信を進める東京都と立川市の合同施設です。

1階にある 特産物販売所は、「LULU Terrase(ルルテラス)」の名で、カフェもそなえたお洒落な直売所になりました。カフェはJIBAR Cafe、(JIBARを地場に掛けているらしい、このダサさがいかにも立川的の感もあります。)物産エリアが「NOWCAL BAZAR」です。
毎朝届く旬の地場野菜だけでなく、加工品や多摩地域の特産品も販売、姉妹都市の長野県大町市のアンテナショップにもなっています。

DSC02266 のコピー.jpg
DSC02267 のコピー.jpg
DSC02268 のコピー.jpg
DSC02271 のコピー.jpg
DSC02273 のコピー.jpg
カフェには大町市のパン屋さんのパンもおいてある(写真はアップルパイとカンパーニュ)

郊外にある農産物直売所はめずらしくありませんが、駅から至近距離にある「のうかる」は、その利便性から、スーパーマーケット感覚で利用できると人気です。カフェも、朝食、ランチだけでなく、夜まで対応できるとあって、利用する客もひっきりなしです。年明けて訪れた日は土曜日、子ども連れの若いお母さんたちでにぎわっていました。


nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。