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論語 №151 [心の小径]

四七七 子夏いわく、君子に三変あり。これを望めば厳然たり、これに即(つ)けば温(おん))なり、その言を聴けば厲(はげ)し。

       法学者  穂積重遠                                        

 子夏の育つよう「君子の容態には三変化がある。遠くから望み見ると威儀堂々として畏(おそ)るべく、近く接すれば癌色温和にして親しむペく、しかもその言葉を聴くと厳正にして犯し難い。」

 「君子」とあるが、おそらく「濫にして厲しく、威(い)ありて猛(たけ)からぬ」孔子様その人について言ったのであろう(一八四)。伊藤仁斎いわく、「これを望みて厳然たるは礼の存するなり、これに即きて温なるは仁の著(あらわ)るるなり、その言の厲しきは義の発するな。けだし盛徳(せいとく)の至りにして光輝の著しさ、自らこれかくの如し。謝氏いわく、『これ変ずるに意あるにあらず、けだし竝(なら)び行われて相悖(もと)らざるなり。良玉の潤温にして栗然(りつえん)たるが如し』と。」

四七八 子夏いわく、君子は信せられてしかる後にその民を労す。未だ信ぜられざれば、すなわち以て己を厲(や)ましむと為す。信せられてしかる後に諌(いさ)む。未だ信ぜられざれば、すなわち以て己を謗(そし)ると為す。
                                        
 子夏の言うよう、「君子が人民を使うには、十分に信用を得た上で労役させる。そうすれば人民は喜んで勤労奉仕をするが、信服させないで働かせると、人民は自分たちを苦しめるものとして怨むことになる。また君に対しても、十分に信用を得た上で諌める。信任なくして諌めると、君は自分をそしるものとしてうとむことになる。上に対しても下に対しても、まごころを傾けて信頼を得ることが第一だ。」

四七九 子夏いわく、大徳閑(のり)を踰(こ)えずんば、小徳は出入すとも可なり。

 「閑」は「闌」で、出入を止める「てすり」。

 子夏の言うよう、「君に忠、父母に孝というような根本の大道徳が軌道に乗っていれば、応対進退のごとき末節に多少の出入があってもさしつかえない。」

 「大徳は閑を踰えず。」と切るよみ方もあるが、いわゆる「大行は細謹を顧みず」の意味に取られてはこまる故、「踰えずんば」とよんだ。小徳にこだわって大徳を失うな、という方の意味のである。

『新訳論語』 講談社学術文庫



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