雑記帳2022-11-1 [代表・玲子の雑記帳]
2022-11-1
◆10月とはいえ、晴れた日は真夏のような暑さになる一日、武蔵小金井市にある「小金井市環境楽習館」を訪ねました。
「小金井市環境楽習館」は、市民活動から生まれた公共施設で、以前は「雨デモ風デモハウス」と呼ばれていました。雨や風などの身近な自然の力を活用した快適な住環境と、環境に配慮した暮らし方を体験・学習するための研究施設として、2011年9月に開館しました。
2011年といえば、東日本大震災の年。未曾有の原発事故を目のあたりにして、電気に頼る暮らし方を見直す機運の高まっていた時期でもありましたが、「雨デモ風デモハウス」のCO2排出ゼロ住宅の考え方は、すでにその前から始まっていたのです。
今は小金井市が本格的に管理し、環境を楽しく学ぶ学習館として、NPO法人こがねい環境ネットワークが運営しています。
JR中央線武蔵小金井駅から徒歩15分ほど、連雀通りと新小金井街道が交差する小金井警察署前交差点から南に折れて、新小金井街道が「ハケ」と呼ばれる国分寺崖線の急な崖を抜けるトンネルに入る手前から細い脇道に入っていくと、「小金井市環境楽習館」が建っています。敷地のすぐ隣には、武蔵野の風情と地形を生かした「ハケ(崖線)と湧水」のある庭園として知られる滄浪泉園(そうろうせんえん)が広がっています。
施設のコンセプトは、CO2排出ゼロをめざして、雨水の循環や風を使った気化熱、太陽熱など自然のエネルギーをそのまま冷暖房に利用することにあります。

環境楽習館
◇夏の仕組み
天井の冷放射パネルは物置と同じ素材のトタンでつくられていて、その裏側にグラスファーバーの不織布が貼られ、不織布は常時、滴が落ちる程度に雨水で湿らせてあります。その滴を風を通して気化させると、まわりの空気から気化熱を奪って気温を下げることができます。その冷気を循環させて建物全体を冷やすのです。
不織布を濡らす雨水は地下のタンクにためた雨水をポンプアップして使い、余った水はまたタンクに戻るしくみです。タンク1本の容量は1トン、床下にはタンクが3本あります。

雨戸は窓の内側に設けている
実は雨は意外に冷たいのをご存知でしたか。上空で雲をつくっている氷の粒が、気温の上昇によって雨になっておちてくるのですから、外気温が40℃でも雨の温度は15℃くらいにしかなりません。それを集めて床下に置くと、ひんやりと感じることになるのです。冷房のような涼しさではありませんが、絶えられない暑さを凌ぐことはできます。夏の、外の気温が30℃を越える日に、室内を20℃にして過ごすという生活スタイルを改めませんかといコンセプトなのです。
濡れた不織布に風をあてるために、風の通りを考えて北と南に窓をあけてあります。風通しをよくするのは、夏の暑さを凌ぐ工夫でもあります。また、普通は窓の外にある雨戸を、壁を厚くして窓の内側につけました。ガラス戸と雨戸の間に空気層ができて、断熱効果をあげています。

風の通りをよくするために壁いっぱいにつけられた窓
雨水を天井に運ぶためのエネルギーは、屋根にある太陽光発電でまかなっています。日光がささないと発電できないので蓄電器が必要ですが、それには車のバッテリーを利用しています。バッテリーが上がったら交換しながら再利用できるのがねらいです。これで太陽がさんさんと照る日には充電して、曇った日に使うことができます。130㎡の建物に20畳分の大きさのパネル1枚で十分、売電もできるほどです。
◇冬の仕組み
屋根に太陽熱温水器を4基とりつけてあります。3つは水道水、1つは雨水を利用しています。夏は雨水をためていた床下のタンクに、冬は太陽熱で温めたお湯をいれるのです。晴れると50℃くらいになるので、床下の温度が部屋より高くなり、ちょうど湯たんぽのように、部屋を春先の温度に保ってくれるというわけです。真冬にエアコンを付けた室内で半袖でアイスを食べるような温度にはなりませんが、そもそもがそういった暮らし方自体を見直そうという提案です。

床下に格納された車のバッテリー。同様にタンクの格納も床下に。

緑のカーテンと屋根には太陽熱温水器
建物に使われている断熱材は北海道産のウッドファイバーです。壊すときにも有害なゴミを出さないようにするためです。当初5月に予定していた開館が9月に遅れたのは、この建築資材が東日本大震災の為にとどかなかったからなのです。
もう一つ、極寒期にタンクのお湯が冷めてしまうときにはストーブをつけます。間伐材のペレットを燃料にして、床下のタンクのお湯を60℃から70℃に温めます。部屋の暖房や煮炊きにつかうのではなく、ボイラーの役目です。
外回りにも、緑のカーテンや植栽、水路など、工夫がいっぱいです。
ガマズミはガマズミ酒に、椿は椿油に。家のまわりに掘った水路は使った水の浄化のためです。水路に植えた水生植物は田圃の雑草。農家には一番きらわれている草ですが、実はこれが養分を吸い取って水をろ過してくれるのです。蛍やメダカもふえてきたといいうことです。浄化された水はポンプでくみ上げてトイレなどに利用されます。

玄関脇につられたガマズミや椿の植栽

排水の浄化のためにめぐらされている水路
このエコハウスをモデルに新築する家も増えているそうです。
CO2排出ゼロをめざす様々な工夫は、今さら新しく家を建てることはできないにしても、暮らし方を見直す機会にはしたいですね。
◆立川飛行機の旧陸軍練習機「一式双発高騰練習機」が一般公開されました。
戦前から終戦まで、立川飛行機が設計、生産した軍用練習機は1342機にのぼります。そのうちの1機が1943年に秋田県の十和田湖に不時着して水没、2012年に引き上げられて、立川に戻ってきました。戻ってきたのは2年前、以来、この時期に無料で市民に公開されています。当時これだけの気飛行機を作る技術があったことに驚いた人は少なくありません。国内に現存する同種の機体はこれが唯一とあって、会場は多くのマニアでにぎわいました。
会場となった立川HD社の棟は普段は入れないせん場所です。長い間湖底に眠っていた機体は損傷ははげしいものの、操縦席や両翼等の全体像から、エンジンや細かな部品にいたるまで、ほぼ完全に見ることができます。大型モニターには引き揚げまでの様子が映され、飛行機が活躍していた当時の関連写真なども展示されていました。中で、機体に乗り込もうとする4人の少年兵が目をひきました。助かったのは1人だけだったそうですが、真剣な面持ちで敬礼する姿はまだほんのこどもです。体だって栄養のいい今の中学生よりずっと小さかっただろうに。こんなこどもたちを駆り立てた戦争を二度と起こしてはならないと改めて思うのでした。


一式双発高騰練習機の全体像(複製)
同社によると、乗務員練習用に設計された同機は日本の航空機開発の歴史を今日に伝えるとともに、塗色をはじめとして使用当時の状態を良く保っており、文化財滴価値も高く、極めて貴重な航空遺産だということです。
戦後、暫くの間、日本は飛行機の製造が禁止されていましたが、解除されて最初に立川HDが製作した2つの機体も同時公開されました。こちらの会場は、立川の一番新しい街並み、Green Springsの広場でした。
ちなみに立川飛行機はいま、立川HDと社名も変えて、コンサートホールを作ったり、大規模なアリーナを建ててスポーツクラブの運営にかかわったり、新しい町づくりに取り組んでいます。

R-HM機型軽飛行機

R-53機型軽飛行機
◆10月下旬の国営昭和記念公園です。今年は紅葉がおそく、月末になってようやくイチョウも色づき始めました。

みんなの原っぱコスモス畑は遠目には低木の林のよう

盆栽苑の蔦

ホトトギス(日本庭園)

池に映る紅葉(日本庭園)

花期の長いジニアはまだ咲き残っている

漸く色づき始めたイチョウの木
2022-10-30 09:20
nice!(1)
コメント(0)
コメント 0