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日めくり汀女俳句 №110 [ことだま五七五]

十一月二十日~十一月二十二日

    俳句  中村汀女・文  中村一枝

十一月二十日
短日や持てばねんごろ庭箒(ほうき)
        『芽木威あり』 短日=冬

 おばさんが何人か集まって、出かけるため駅に集まった。皆の足元を見る。ハイヒール一人もなし。ほとんどがべたんこ靴か、ロー ヒール。
 「靴みるとやっぱりおばさんよね」
  だれかが言って大笑い。たしかにここ数年 ハイヒールをはいていない。私はかなりひどい外反拇址(がいはんぼし)で足が痛み、靴専門店で足に合う靴を選んでもらった。アヒルの足のような幅広のごつい靴である。パンツだとまあまあだが、優雅なロングドレスにはちょっと似合わない。でも足の痛いのも、指の曲がったのも直ってきた。年をとるってこういうことらしい。

十一月二十一日
すでにして葉牡丹歩々にある如し
         『芽木威あり』 葉牡丹=冬

 毎年、今頃になると葉牡丹が出始める。まだいいかなと思っていると、気がついた時期には、どこにもないということもある。
 今年は、たまたまお酒落な花屋の店先で、小柄で色の淡いかわいい葉牡丹を見つけ思わず買ってしまった。冬、花のない時葉牡丹の色どりにほっとすることがある。
 葉牡丹と花キャベツ(カリフラワー)。まったく違うのに私は時々名前を間違える。花キャベツは今が食べ頃の食材。ゆでて炒めても鍋でも美味しい。冬が間近の日にも、どこか心楽しい気分がする点よく似ている。

十一月二十二日
しばらくの霙(みぞれ)に濡れし林かな
             『春雪』 要=冬

 かの国もこの国も、政情不安ということでは同じらしい。西部劇と時代劇、似ているようでいて右往左往の仕方も違う。広い大草原を背に馬に鞭くれ、駆け抜けるのと、細い小路や横丁を、抜き身を引っ下げ、チャンチャンバラバラとお国柄それぞれ。いかにインターネットが普及し、国際交流が緊密になっても人間関係のあり方は変わりようがない。
 それにしても、西部劇にも時代劇にもスターがいなくなった。時代を超え、国を超え、結局は人間の魅力が人を動かし、世を動かすのではないかと思うのに。

『日めくり汀女俳句』邑書林



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