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雑記帳2022-7-15 [代表・玲子の雑記帳]

2022-7-15
◆埼玉県越生町にある「山猫軒」で、赤川ボンズさん作品のデッサン展がひらかれています。 7月初めの土曜日、会場を覗かせてもらいました。

『知の木々舎』』6月上号で、赤川さんは山猫軒の為に作った猫ドアを紹介していました。
名前を聞いて誰もが思う、店の主人は宮沢賢治に強い思いを持っているに違いない。まさにその通り、ご主人の南達夫さんはこのギャラリーで宮沢賢治の『注文の多い料理店』を再現したのだそうです。
街道とは名ばかりの小さな越生街道をさらに外れた、自然豊かな山の中に、山猫軒はありました。勿論、路線バスだって通ってはいません。

写真家の南さんがここに自身のフォトスタジオを開いたのは1985年。ときを経て、住居の古民家とともに、現在のカフェギャラリー山猫軒になりました。

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猫ドアと赤川さん

出迎えてくれたのは丸々太った烏骨鶏。猫も鶏も放し飼いなら、畑にはいろんな野生動物も自由に出入りりするのだとか。幸い埼玉県の山にはまだ熊は出ないということでした。

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山猫軒のあるじ、えむくん。3匹いる猫の中で一番人懐こい。

古民家に用いられている木材は、山に育った環境そのままに、北にあった木は家の北側に、南になって木は家の南側に用いているので耐久性も抜群だそうです。柱も釘を使わずに組み立てられていました。

週末だけ開いているギャラリーは、月に一度はライブハウスになります。2階も加えると、70人ははいれるそうです。外のデッキで、自然の風に吹かれながらランチするのも良し。森の木々に囲まれて少し標高もある山猫軒では吹き抜ける風もなんとも心地よい。

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デッキ
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吹き抜けの2階から1階のダイニングフフロアをみおろす
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ライブ風景

バスも通わぬ山の中とあって、客はカーナビ便りにたどりついた人達です。日によっては淋しいときもあるそうですが、この日は大入りでした。
ランチのメニューはピザと古代米のカレーライス。私は赤米のカレーをいただきました。リピーターも多いらしい。

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南さんの職業柄、訪れる客にはカメラマンやアーティストが多いようです。
馴染みの客同士で交わされる会話に様々な人間模様が浮かびます。
同じテーブルにいたのは、結婚して今はアメリカ、シアトルに住むしほこさん。
「久し振りだね。どこ、いってたの?」
「宮古よ。サンゴとさがり花見てきた。ほら。」
カメラマンのしほこさんはスマホのの写真を見せながら
「サガリバナは夜咲くの。一夜しか咲かないというから見られたのはほんとにラッキイだったのよ。」
夜咲くサガリバナは朝になると散ってしまう、散った花を楽しむのもサガリバナの魅力だそうです。
宮古島の美しい海岸と一緒に見せてくれたのはサンゴ礁です。温暖化で白化が進んでいると言われながら、宮古ではまだまだ見られる、貴重な写真でした。

しほこさんといっしょにいたのは、娘のはなちゃんです。
夏休みなので宮古島のおばあちゃんの家に遊びに来て、シアトルに帰る途中にたちよったのだとか。大学生の彼女の専攻は環境学。私はつい最近、環境は科学だと認識したばかりだったので、思わず「環境は科学よね」と口走ってしまいました。
日本では気候変動もプラスチックごみも、環境といえば道徳だと思われています。科学的に数値化し見える化しなければ説得力を持たない。対策も考えられるというものか。だからといって科学だけでも人はついてこない。極めて日本的ではあるけれど、モラルに訴えることだって大切です。頑張れはなちゃん。頑張れ日本のグレタたち。

「Mさん、退職してなにやってるの?」
「何もしないでおさんどんやってるよ。」
「私、彼のところにいそうろうしてるの。」
「この人の作ってくれる料理がすごいの。ほら、これ見て。野菜のてんぷら。」
デッキでロッキングチェアにゆれながら
「世田谷でこんな空間、もちたいなあ」
「ライブもできる、ね」
「それだと、退職前のキャリアも生かせるんじゃないの」
Mさんは現役時代、オーディオの専門家でした。

南さんは京都出身。カメラマンとして世界をあるいて感じたのは人の生きる基は農にあるということでした。そこで、多摩の地で土地をかりて米づくりにとりくんできたところ、多摩ニュ―タウンの開発で借りていた田圃はなくなり、人づてに越生に移り住んで、自給農業の生活を再スタートさせたのでした。
山猫軒を開くには亡くなった奥さんの千代さんのサポートが大きかったとききましたが、その千代さんが、猫と暮らす森の生活や山猫軒での様々な人との出逢いをエッセイ『山猫軒ものがたり』に書いています。いつか紹介したいと思いました。

住居である古民家も、無料で地域の住民に開かれた空間になっています。南さんの例に学んで町に移り住む新住民が増えているということです。
そして、「マナーと良識のない方には来訪をご遠慮いただきたいというのが、”注文の多い”料理店の意味だそうです。

山猫軒には赤川さんのデッサン展を見るために来たのでした。
会場内には50点のデッサンが展示されていました。
なかでも大きいのは、写真下真中の1枚。川口市の町おこしにと、鋳物の町・川口をイメージし最初のデッサンでした。数年前になりますが、『知の木々舎』のスタッフだった小林マサさんが80才を記念してひらいた個展に作ってもらった作品のデッサンも見付けました。
小さいものは行田市の童たち。見かけによらず、赤川さんの作品のルーツは子どもたちなのです。

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山猫軒からさらに坂を上った所に龍隠寺(りゅうおんじ)があります。
山号は長昌山(ちょうしょうさん)。室町時代より曹洞宗の僧録司として知られています。

江戸時代初頭には徳川家康より関三刹に任命され、3,947寺(1635年時点)の寺院を統治し、曹洞宗の宗政を司ったとあるからには、江戸時代にはなかなかの寺だったと思われます。僧たちの学問所として、格式の高い寺でした。明治の廃仏毀釈によって一時参拝者もなく寺は荒れていたということですが、今は復興しています。境内には太田道真・道灌親子の墓があります。逸話の多い道灌ゆえ、越生町は道灌を町おこしに活用しようとしているようです。山門、梵鐘、経堂の3つが県指定の文化財になっています。

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山門
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池越しに本堂を見る
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太田道灌像



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