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地球千鳥足Ⅱ №1 [雑木林の四季]

【プロローグ】
 ~毒舌夫と頑固妻の〝地球反対側でドッキング″の旅

    小川地休村塾村長 小川律昭・塾長 小川彩子    

地球千鳥足、旅のルール
 我々夫婦は、それぞれ単独、別ルートで行動、目的地でドッキングを試みる、という旅を長く続けた。事始めは銀婚式記念イベントの旅、「カサブランカで会いましょう」。日本から別々に夫は北周り、妻は南周りの航空機で出発、「それぞれが1か国をくまなく見た後、モロッコに向かい、カサブランカで会おう」というルール。互いの旅の無事と成功を祈りつつバックパックの旅をし、無事に会えて、感動の「グラス・カッチン」をやった。
 結婚40周年記念には、夫はアメリカから、妻は日本から出発、地球の反対側のチリへの旅、「サンチヤゴで会いましょう!」。会えれば一緒にウルグアイへ、会えなければホテル、リベルタドールに行ってみる、とだけ決めて。妻の飛行機は悪天候で6時間の遅れ、空港に夫の姿はなく、氷河を歩いた年に1泊したホテルに向かった。到着すると受付が電話してくれ、夫が部屋から微笑んで階下へ下りてきた。15年前のあの日、カサブランカのホテルで、先に着いた妻がにこやかに下りたように。結婚25周年、40周年と地球の反対側、別の一角でデートに成功したのだ。受付は我々の企画に「ファシネイティング!」と言ってくれたが、15年前の受付の口から「ファンタスティック!」という言葉がこぼれ出たことを思い出した。
 その10年後、2011年11月、我ら夫婦は結婚50周年を迎えた。幼少時から一言居士のあだ名で育った毒舌夫と、妥協が嫌いな頑固妻が、喧嘩しながら迎えた50周年を記念し、「本年中に50か国訪問しょうではないか」と。良い年齢になった夫婦ゆえ、お互いを心配し合う別ルートの旅ではなく一緒に50か国経巡ろうと決めた。
 この企画には50か国という数字だけでなく各自の目標も持った。夫は六大陸の最南端を訪問したい、妻は訪問国ごとにアンケートをしつつ歩き、人生最後のリサーチをして教科教育世界学会(現・世界カリキュラム・カウンシル)に発表したい、と。アンケートのテーマはIntegrity(信用度・信頼性)」。なぜIntegrityか。ご存知だろうか。世界を歩いて感じることだが、日本人は大変好感を持たれている。が、それは言行一致、信用度が高
い、ということが一因だ。   (彩子・律昭)

旅や人生ガイドとして役立つことを願って
 私たち夫婦は旅が好き、とりわけ途上国を好んで旅してきた(1990~2008年はアメリカ出発、それ以外は日本出発)。旅は出会いに彩られるが、出会いは見えざる宝石だ。周りに出没するペテン師たちさえも。貧しい国でなお優しさを失わず生きる人々から受ける心のこもった親切は、宝石や洋服を買う代わりに出かける私に与えられる宝石だ。国は変わろうとも人の心は一つ、愛には愛が、信頼には信頼が返って乗る。文化と生活環境は異なろうとも地球上の人々の心は一つ、戦争のない世に共に生きたいと願っている。人生哲学が異なる異文化夫婦、毒舌夫と頑固妻も、足元の共生を目指しつつ、旅は道連れ、地球は船、同時代に同じ船に乗り合わせた船客同士との異文化理解・多文化共生の道を探る。
 よたよたと千鳥足で。個人旅行時代のお役立ち情報をちりばめたドラマ満載のこの丸腰地球探訪エッセイは、旅好き老若男女や生き方を模索している熟年夫婦に、旅や人生のガイドとして役立つと信じている。(彩子)

「こんにちは⊥を浴び、人間遺産に触れる
 結婚50周年の旅は、アメリカ発、ポルトガル訪問がスタート。まずは私の希望、ユーラシア大陸最西南端の街を目指しラゴスに向かった。英国航空のアテンダントが「日本と日本人、大好き」と、降りる時にスコッチ7本、シャンパン4本もくれたので列車の中、乗り換えごとに隣席の人と乾杯し、アンケートに答えてもらった。1755年に大地震のあったこの国の多くの人々から東日本大震災見舞いの言葉を頂いた。「リュックを背負ってあげる」と言う親切おばさん、「大震災の孤児を養子にしたいー・」という優しい女性、
 行き交う反対路線の電車から日本語で「こんにちは!」と大声をかけて来る若者等、至る所、親切と地震見舞いと「こんにちは⊥を浴びたポルトガルに名残を惜しみつつ、毒舌夫と頑固妻、人間遺産に触れる地球バックパックの旅は続く。(律昭)

『地球千鳥足』 幻冬舎



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