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私の中の一期一会 №258 [雑木林の四季]

‍        大相撲春場所は関脇若隆景が初優勝、新関脇の優勝は86年振りの快挙
    ~「西郷真央のゴルフ頭脳はプロの中でもトップではないか」とジャンボ尾崎~

      アナウンサー&キャスター  藤田和弘

 大相撲春場所千秋楽は新関脇若隆景と平幕の高安が12勝3敗で並び、優勝決定戦になった。
 どちらが勝っても初優勝という決定戦だったが、若隆景が身体の大きい高安に土俵際まで押し込まれた時テレビを見ていた私は「ああ、ダメだ」と思わず声を出した。
 ところがダメではなかったのである。
 若隆景は態勢を崩しながらも驚異の粘りを発揮していた。
 左手で高安の左腕を引っぱり右から上手投げを打つと高安は土俵の外に飛んでいった。
 新関脇の初優勝は昭和の大横綱・双葉山以来で86年振りだそうだが、スポーツ紙はこぞって“快挙だ”と書いている。
 翌日、オンラインで記者会見した若隆景は「実感が少しずつ湧いて来た。優勝は自分でもビックリしたが、“下から前に出る自分の相撲”を取りきることが出来たのがよかった」と話した。
 今場所を振り返ってみると、「13日目の大関御嶽海戦には敗れたが、14日目の大関貴景勝戦に勝ったことが一番大きかった」と続けた。
 13日目は優勝を少し意識して堅くなって負けてしまった。
「でもそこで負けたことで気が楽になった。明日は思い切って自分の相撲を取ろうと切り替えた」と語る。
 負けを引きずらないメンタルの強さが若隆景にはあるように思う。
 千秋楽で琴ノ若、高安が続けて敗れ“勝てば優勝”という正代との対戦は何も出来ず完敗だった。
 しかし決定戦では表情一つ変えず、心の乱れを顔に出さなかったのには感心するしかない。
 早くも大関という話が出ているが「大関は番付で1つ上。当然目標にしている」と語り、「来場所からが大事になる。しっかり稽古して自分の相撲を取れるようにしたい」と気を引き締めていた。
 若隆景は栃若時代に活躍した元小結若葉山の孫にあたる。父は元幕下の若信夫、長兄が幕下の若隆元で弟若隆景の付き人であり、次兄は幕内の若元春という相撲一家で育った。 
 小学校1年生から地元の道場で兄の後を追って相撲を始めたという。
 体が小さくて弱かったが、負けん気だけは兄たちより強かった。
 常に口にする“下から、下から・・”という取り口は幼少期から培ったものだと東洋大の浜野文雄監督が語っている。
 福島県出身で、あの東日本大震災も経験している。
 ちゃんこ店を経営している父の店も大きな被害を受けた。
 若隆景は「震災から11年。一生懸命相撲を取って、いまだに厳しい生活を送る故郷の人たちに勇気を届けたい」と語り地元の人たちを喜ばした。
 祖父若葉山の師匠は双葉山だったそうで、86年振りの快挙を「祖父も喜んでいると思う」と若隆景は微笑んだ。
 相撲解説でおなじみの元横綱北の富士さんは、自身のコラムに次のように書いている。
「私は若隆景が千代の富士にだんだん似てきたような気がしてならない。
 千代の富士は小兵のわりに頭を下げることを嫌って、上手を引いて投げばかりを打っていた。
 そんな彼が左上手を浅く引き、投げを打たずに前に出る相撲を覚えて一気に強くなった。
 力士は、ある時大変身することがある。
 若隆景も入門したころは目立たない存在だった。
 ただ足腰はしぶとく、細身なのに力は強かった。
 左からの攻めが上手い力士で、その頃から千代の富士と重なるところがあった。
 若隆景には千代の富士を目指してもらいたい」・・・
 若隆景は身長182センチ、体重130キロで、大型化した今の大相撲界では小兵とみられる。
 小さくても強かった横綱千代の富士の相撲は“小気味良かったという印象”が私の胸にある。
 若隆景が初優勝をきっかけに大変身してくれたら、近年活気を欠く大相撲の世界に明るさが戻って来るような気がしている。
 国内の女子ゴルフツアーがますます面白くなってきている。
 27日の日曜日、女子ゴルフ・アクサレディースは最終日だった。 
 単独トップの鈴木愛を2打差で追って、3位からスタートした西郷真央(20)は終始安定したゴルフを見せて5バーディ、1ボギーで回り、スコアを4つ伸ばしての逆転でツアー2勝目を飾った。
 ジュニア時代からジャンボ尾崎の下で腕を磨き、高校3年生の時に受けたプロテストは一発合格。
 西郷真央は、プロデビューの2020~21年シーズンに50試合の出場を果たした。
 見事だったのは通算成績で、トップ10入りが21試合、うち7試合で2位になっている。
 優勝はなかったのに賞金ランク4位という結果は、大半の試合を上位で戦った証である。
 西郷真央の初優勝は、22年シーズンの開幕戦ダイキンオーキッドレディースで実現した。
 最終日はトップを5打差で追う8位からのスタートだったが、トップが伸びていなかったので、後半取りこぼしをしないようにしたい」と思っていたという。
 終盤の16,17番をバーディとして単独首位に立ち、18番のピンチもパーセーブで切り抜けて初めて優勝カップを手にした。
 師匠ジャンボ尾崎からの祝福のコメントが表彰式で読み上げられた。
「西郷どん(せごどん)優勝おめでとう。
 何と言ってもゴルフに対する考え方や取り組み方が優等生で、プロの中でも“ゴルフ頭脳はトップではないか”と思う時がある。
 今回の優勝で、2位にはない副賞がたくさん貰える喜びを知っただろう。
 早め目の2勝目を期待する」
 西郷真央は今季4戦して優勝、10位、2位、優勝という好調さだ。
「“2勝目は難しい”と言われていたので、アクサレディースでは緊張してプレーしていた。
 1年前に、もし勝っていたら調子に乗っていたかも知れない。
 ミスが出ても気持ちを切り替えて、次のショットに集中するようにしている。
 去年のたくさんの経験、悔しい思い出をこれからに生かしていきたいと思います」
 “せごどん”こと西郷真央は、昨年6月の「宮里藍サントリーレディース」以来、26試合連続アンダーパーを継続中である。
 新関脇で初めて重たい優勝賜杯を手にした若隆景関・・
 初優勝で覚醒した20歳の西郷どん・・
 今後の飛躍に期待したい。


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