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検証 公団居住60年 №109 [雑木林の四季]

XⅥ 規制改革路線をひきつぐ民主党政権、迷走の3年余

   国立市富士見台団地自治会長  多和田栄治 

3・公団住宅にたいする国土交通省の基本的立場

 事業仕分けがはじまると国土交通省は2010年2月に「独立行政法大都市再生機構のあり方に関する検討会」を設置するとともに、「都市再生機構の現状と課題について」の文書をだし、3月1日には住宅局が「住宅市場の現状と住宅政策の課題を踏まえた都市再生機構の役割について」(未定稿)を作成した。ここには行政刷新会議の仕分け結果に「対立する」国交省の立場が表明されている。この文書に記された立場こそ、ときの内閣があれこれ閣議決定するなかで、やがて国交省官僚が収赦させていく方向性の基軸であり、公団住宅をめぐる今後の政府方針の行方をしめす指標となるとみられる。
 国交省の基本的立場は、別言すれば、行政刷新会議にむけた都市機構の「存続理由」のアピールでもある。

1)機構は、今後とも民間大手の再開発事業、自治体のまちづくりを支援する。
2)その赤字は、賃貸住宅部門の収益で埋め合わせる。
3)賃貸住宅事業は既存ストックを活用して高齢者等の弱者対策にしぼり、戸数を削減し団地を売却していく。
4)団地再開発をつうじて民間事業者をよびこみ、また地域福祉の拠点としていく。
5)定期借家制度の導入は、事業収益の向上と効率的な住宅供給に資する。

 国交省官僚にとって機構存続の理由に、賃貸住宅団地を「公共住宅」として維持発展させる理念、目標はみあたらない。住宅は市場での自力確保が基本であり、それが困難な者にはセーフティネットを整備するとの建て前から、高齢者など弱者に既存住戸の「一部残存」は容認する。しかし、あえて「まちづくりの一環としての供給は例外的」と付言する。
 低所得の高齢者だけが、団地の一部に残された住棟に暮らす。歳月をまてば残存の要はなくなる。だから、その区域には「まちづくり」の発想は不要とまで念押しをする。国交省文書からは、「セーフティネット」集落の先に姥捨て山をおもわせる陰惨な光景がうかびあがる。

『検証 公団居住60年」 東信堂



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