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雑記帳2022-2-15 [代表・玲子の雑記帳]

雑記帳2022-2-15
◆国営昭和記念公園では、年明けの1か月間、「新春!日本庭園セルフツアー」が開かれていました。

セルフツアーなので、ガイドはなし、入場者は入口におかれたマップを手に、庭内を巡るという手法です。何度も通って知っていると思っていた庭園でしたが、改めてセルフツアーを試みました。

平成9年9月、昭和記念公園に、公共では初めての、茶室を備えた本格的な日本庭園がオープンしました。池を中心として、滝や流れ、州浜、木橋、菖蒲田などを巡る、江戸時代の大名庭園に見られる池泉回遊式庭園」です。

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入口は東と南に2つありますが、通常東門は閉じられていて、南門から入ります。
門をくぐって振り返ると目に入る、木戸に施された彫り物は、庭内の草花を大切にというメッセージがこめられているということです。

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正月の南門
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門扉の裏に見える「草花を稚拙に」のメッセージ

順路に従って進みましょう。先ず左手奥に四阿。四阿の前には春を待つ牡丹の雪がこいが広がっています。

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庭園の中心の池には北と東から水が注ぎ、西から流れ出るようになっています。
西の流れを渡ると、「青池軒」の名の休憩所があります。池に突き出すように建てられているので、対岸からは池に浮かんでいるように見えます。ここからの眺める風景はまるで、額縁にはいった絵を見るようです。
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西の流れ
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青池軒
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青池軒からの眺めはどこを切り取っても額縁効果満点

「青池軒」と並ぶ「楓風亭」の前は、春はシャクナゲ、秋にはモミジが楽しめます。冬、この周辺の土には「松葉敷」が施されます。藁で囲った土俵の中に松葉を敷き詰めて、苔などを霜の害から守るのです。「松葉敷」とは造園技術で使われる用語です。一般的に、茶室の庭などに、枯(こ)の風情を楽しむために施されるということです。

昭和記念公園に行くと必ず立ち寄る「楓風亭」で、池を眺めながら抹茶をいただきます。
お菓子は日によって変わり、この日は「梅」です。立春を過ぎて訪ねた時は「下萌え」でした。
いつもちょっとだけ季節を先取りする和菓子は、市内の菓子屋「伊勢屋」さんがつくっています。610円の値段は手頃なので、私の友人もこれを目当てに夫婦で公園の散歩を楽しんでいるのだと言っていました。

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下萌え(雪の下からかに緑が覗く)

建物は、京都北山の杉、吉野の錆、木曽の檜板等を随所に用い、檜皮葺きの屋根や柱と桁の仕口・継手など、今では数少なくなった数寄屋大工の職人の伝統的な技術をふんだんに取り入れています。現在の数寄屋に対応できる最高の技術だということでした。
伝統的な数寄屋の技法だけでなく、漆や左官など、細部にも、一般的な日本建築で殆どみられなくなった様々な技術を駆使しています。ちょうど楓風亭は春まで改修工事中。母屋はまだ使用できませんが、お茶をいただいた立礼席の、改装したばかりの腰張りは土佐和紙をつかっていました。
「青池軒」「楓風亭」以外にも数軒ある庭内の建物は。すべて数寄屋造りだということです。

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土佐和紙の腰張り

お茶を頂いた後は盆栽苑へ。
平成16年にオープンした我が国初の国営盆栽苑です。歴史と伝統ある国風盆栽クラスの盆栽を鑑賞できると、マニアの間で評判になっています。
残念ながらコロナ下で、鑑賞も制限されてしまいましたが、「讃樹亭」の床の間では季節ごとに見事な盆栽が飾られていました。今の時期、展示場で見られるのは、梅と並んで仏手柑(ぶっしゅかん)。ミカン科の仲間で香が強く、茶の湯や正月用の飾りに利用されます。読んで字のごとく佛の手を連想させる樹です。

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仏手柑の盆栽

盆栽苑を出ると、庭の北側に小さな滝もある山が造られています。東山を借景にして作庭した京都とは違って、ここはどこまでも平らな武蔵野の原。奥行を出すには、標高30メートルの人工の森を造らなくてはなりませんでした。落差7メートルの北の流れは滝を作りながら池に注ぎ、最初の滝のそばに、池を見下ろす「涼暮亭(滝見四阿)」が建っています。

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涼暮亭
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涼暮亭から池を見下ろす

「涼暮亭」を下って、池にかかる「大木橋」を渡りましょう。ここからは西に楓風亭の全容が眺められます。東側は、夏には菖蒲、秋は紅葉が湖面に浮かぶなど、西とは別の景色がひろがります。

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大木橋から見た楓風亭
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大木橋から東を見る。写真の白く見える木道沿いには初夏になると菖蒲が見られる。

橋を渡りきると休憩所。「昌陽」の名前がついた四阿です。
すぐ横には、ひっそりと隠れるるように船着き場があるのですが、殆ど人目にふれることがありません。なぜ、こんなところに船着き場があるのか。実はこのセルフツアーで私も始めて知ったのですが、ここから客は対岸の楓風亭まで船で渡るイメージを楽しんで、ということのようでした。京都の迎賓館と同じ趣向ですが、池はそれほど大きくはないので、こちらはイメージだけです。
船着き場の横にはアカマツの「雪吊り」が見られます。今年は『知の木々舎』でも新年号の表紙に使いました。

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船着き場につながれた小舟
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雪吊りの赤松

藤棚は園内で一番高いところにあります。規模は小さいながらここからは庭園全体を一望できることになっています。
藤棚を下りれば芝生広場を横切って、出口はすぐです。

庭園は、「緑の回復と人間性の向上」という国営昭和記念公園の基本理念に添って、日本人が育んできた自然観を、6ヘクタールの面積に凝縮させています。季節折々の樹木や草花の変化に、楽しみはつきません。

1月のセルフツアーの後、2週間後に訪れた公園は、春を待つ空気に包まれていました。

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     みんなの原っぱのシンボルのケヤキはまだ冬景色ですが・・・
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 こもれびの里のロウバイ
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古民家の雛飾り
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養生中の花の丘(春にはシャーレーポピーのお花畑になります。




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