SSブログ

私の中の一期一会 №255 [雑木林の四季]

               スキージャンプの高梨沙羅がスーツの規定違反でまさかの失格
~「私の失格のせいでみんなの人生を変えてしまったことは変わりようのない事実です」~
 
       アナウンサー&キャスター  藤田和弘

 冬の北京オリンピックは後半戦に入り、日本選手の健闘が続いている。
 7日夜に行われたスキージャンプの「混合団体」は今大会から登場した新種目で、日本、カナダ、オーストリア,ノルウエーなど10カ国、40人の選手がエントリーしていた。
 1チームは男女2人ずつの混合4人で、2回飛んで合計得点を争うというもの。
 1回目の8位までが2回目に進むことが出来る。
  日本は1回目の1番手で高梨沙羅が103メートルの大ジャンプを見せ幸先良いスタートを切った。
 日本チームの大喜びは当然だったが、事態は直後に暗転する。
 高梨沙羅のジャンプスーツが規定違反と判定され失格となってしまった。
 日本チームのスタッフによると、“高梨の太もも周りが規定より2センチ大きかった”というのである。
 新聞によれば、検査を終え取材エリアに来た高梨沙羅は両ひざに手をついて30秒ほど頭を下げていたという。  
 翌日、高梨はインスタグラムを更新して「私の失格のせいでみんなの人生を変えてしまったことは変わりようのない事実です。
 謝ってもメダルは返ってくることはなく、責任をとれるとも思っていませんが、今後の私の競技に関しては考える必要があります。
 それほど大きなことをしてしまったこと、深く反省しております」と謝罪する事態になった。
 ジャンプの世界では、これまでもスーツの規定違反は度々問題になってきた。
 国際スキー連盟の規則では「直立姿勢で計測する。スーツの寸法はボディにぴったりでなければならない。スーツのあらゆる部分に対し最大許容差は“ボディから1~3センチとする”と決められている。
 選手たちはシ-ズン初めに計測して、数値を国際スキー連盟に提出するそうだが、長いシーズンには気温や体重の変化などで多少の誤差が出ることが多いのだ。
 スキージャンプは空中で浮力を味方につけて遠くへ飛ぶことを目指すスポーツである。
 選手はルールの中でなるべく風を受けたいと考えるもの。
 連盟は、股下とか両脇の部分を広げて浮力をつけられないように厳しくルールで規制するのだ。
 スーツの規定をめぐっては、何度もルール改正が行われてきた。
 98年の長野五輪当時はスーツの生地の素材やパーツの形状も自由だった。
 しかし、その後は“生地の厚さ”とか“ゆとり幅”に制限が加わるようになっていた。
 高梨は「計測のやり方がいつもと違ったので、測り直して欲しいと伝えたが認められなかった」と言っていた。
 普段はスパッツを履いたまま太もも周りを測るのに、今回はスパッツなしであった。
 腰回りの測定も、普段は両腕を“ハの字”のように身体から30センチ離して測るが、今回はバンザイの状態で測った」と話している。
 1回目のジャンプが失格にならなければ、高得点が加算され銀メダル相当だっただけに高梨が受けたダメージは想像以上に大きかったに違いない。
 失格は高梨沙羅ばかりではなかった。
 五輪2大会連続で銀メダルに輝いたドイツのカタリナ・アルトハウス(25)やソチ五輪の銀メダリスト、オーストリアのダニエラ・イラシュコ(38)、スロベニアのニカ・クリジュナルなど5人が高得点ジャンプを飛んだ後に失格になり波乱を呼ぶ展開になったのである。
 原田総監督は13日の会見で「高梨沙羅は責任感の強い選手の一人です。彼女の気持ちを考えると言葉もないが、高梨の置かれた状況を考え、心のケアを全力でサポートしたい」と語った。
 さらに「高梨沙羅はチームのみんなや多くの国民の皆さんに励まされ、W杯で元気な姿を見せたいと思っていると思う。彼女はすでに選手村を離れてヨーロッパに向かった」と付け加えた。
 高梨沙羅をはじめ多くの選手が涙した今回の問題は、いまだに決定的な原因究明に至っていない。
 選手やチーム関係者の困惑が解けていない現状を見ると、余波は当分続きそうである。
 カーリングの日本代表ロコ・ソラーレが1次リーグのデンマーク戦で大逆転勝利を成し遂げた。
 12日の午前中に行われたこの試合は一進一退の攻防が繰り替えされた。
 日本は後半の第7エンドで、デンマークに2点を奪われ次第に苦しい展開に追い込まれ、5-7と劣勢で最終の10エンドを迎えていた。
 日本チームはみんなで意見を出し合い、シンキングタイムの全てを使いきって、スキップ藤沢五月に最後の一投を託すことになった。
 1番内側と内側から3番目にあるデンマークのストーンをはじき出し、自分のストーンを内側に残すダブルテイクアウトが成功すれば逆転できる。
 スキップにとって、プレッシャーのかかる最後の一投を決めるのは簡単なことではない。
 藤沢のラストショットは、まずナンバー3のストーンに当ててはじき出し、さらにナンバー1もはじきだした。自分のストーンは内側に残ったのである!
 このダブルテイクアウトの成功で一挙に3点を奪った日本は8-7で大逆転勝利を成し遂げた。
 敗色漂う大ピンチをスーパーショットで切り抜けて、バンザイして喜んだ藤沢五月は「スキップのここぞという場面でのショットが試合を大きく左右する。ああいうショットを投げるのは大会前からイメージしていた。その通り決まってよかった」と澄ました顔で答えた。
 日本代表のカーリング史に残るであろうナイスショットをテレビで見た時、ゾクッとして鳥肌がたったのを覚えている。
 14日午前中の中国戦には10-2と大勝したが、夜の韓国戦では相手スキップのキム・ヨンジュンにスーパーショットを連発され5-10で敗れてしまった。
 選手からは「相手というよりアイスにやられた、夜の試合の難しさが出た。もう少しコントロールしたかった」という声が出たが、チームの要の藤沢は「負け試合のほうが学ぶことが多い。そこからいかにカムバックできるかだ」と次戦の英国戦を見据えていた。
 14日終了時点でスイスが5勝1敗で首位、日本、アメリカ、スウェーデンが4勝2敗で続いている。
 上位4チームが準決勝に進むが、4強争いは大混戦である。
 平昌五輪に続いて金メダル連覇を狙っていたスピードスケートの小平奈緒は、500メートルでまさかまさかの17位に終わった。
 スタート直後、踏み込んだ左足が氷に引っかかって出遅れたのが致命的だった。
 「頭が真っ白になった」そうだが、会場で38秒09というタイムを確認すると下を向いてしまった。
 「自分にこんなにガッカリしたのは、後にも先にもない。ここまでタイムが落ちると思っていなかった。正直どう答えていいかわからない」と呆然状態だった。
 「覚悟を持ってやり遂げるだけです」とは17日の1000メートルに向けて立ち直ろうと必死に前を向く小平奈緒35歳だ。“怒った猫”の頑張りを期待したい。

nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。