SSブログ

エラワン哀歌 №19 [文芸美術の森]

歳末……歌舞伎町裏通り

       詩人  志田道子

  繁華街の裏道は
  かなしいけれども懐かしい
  どこかに足を置き忘れ
  両ポケットのぬくもりを
  頼りに心は冬をさまよう
  ばかたれと言ったとか
  睨んだとか
  どうか責めるの止めとくれ
  もうとうに随分昔から
  わたしの唇ひからぴて
  人の使う言の葉など
  吐き出したりはしないから
  電信柱の足下に
  風を逃れたビニール袋
  ああ 人の世の幸せなど
  飛んでも落ちても
  中身は空っぽ
  腹に残るは夢ばかり
  潰すか捨てるか夢の泡

『エラワン哀歌』 土曜美術社出版販売



nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。