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浜田山通信 №291 [雑木林の四季]

病院と刑務所

      ジャーナリスト  野村勝美

 6月初めから入院、9月10日に退院しました。入院の時はまためまいかと救急車を呼んでもらったが、検査の結果は脳出血ということで、予想以上の長期入院になった。最初は河北総合病院(その後コロナ専門に)、しばらくして河北リハビリテーション病院に転院、9月10日までまるまる3か月入院、我が人生でいちばん長い入院である。脳出血となれば病院側も慎重になる。おかげでいろいろ知らないことを体験できた。幸い出血の場所が良かったのか、半身不随とか、手足に麻痺が残るとかの後遺症は、何も起きなかった。自分でも運のいい人間だと思った。
 歩けなくなるのはいちばん困ると思って、つとめて散歩しているが、嬉しいことに知り合いが声をかけてくれ、「また浜田山通信書いてください」などと言われる。SNSのありがたさは、浜田山通信というだけで見てくれる人がいるということだ。なにがしか浜田山のことも書いているが、ほとんどは世の中全般についての個人的な感想である。
 私は長い間、ものごとの表現をなりわいにしてきた。なりわいを生業とするならば、もはやそうとは言えないが、 とにかく70年近くペンをとってきた。書いたものを読んでもらえるのは嬉しいことだ。豚もおだてりゃ木に登るだったか、私も豚みたいなものだ。
 長期入院で初めて判ったことが多い。リハビリテーションということ自体まるで知らなかったが、理学療法とか作業療法をやってくれるヘルパーも大勢いることが判った。長期療養者、障害者を社会復帰させるため特別訓練してくれるのがリハビリテーションであり、それを助けてくれるのがヘルパーであり理学療法士、作業療法士で、私が入院していたリハビリ病院では、毎日午前、午後、1回ずつ理学療法、作業療法をやってくれた。リハビリをやるにはベッドが必要で、大きなベッドが30床ばかり並んでいて、治療中は満杯になる。やってもらう方はいい気持ちだが、ヘルパーの方は大変だ。目に見えて良くなるわけではないので根気が必要だ。
 それでも3か月もすると、歩くのも杖をつきながらだが何とかなる。お風呂に入れるようになるし、トイレも自分でできるようになる。食堂で朝昼晩顔を合わせるメンバーも3か月で一新する。皆良くなって退院していくのだ。ありがたいことだ。ケアマネさんともいつの間にか仲良しになって楽しくなる。退院となると嬉しさより、別れが辛くなる。こちらは自由になるが、あの人たちには、かなりしんどいルーチンワークがこれからも続く。どれほどの報酬をもらっているのか知らないが、医療やケア関係には他の仕事より多く支払われなければならない。
 一つだけ不満だったのは食事だ。塩分6グラムにおさえられているせいか、何を食べてもうまくない。TVのラーメンのCM が目に毒だった。病院も刑務所も食事の不自由さで似たもの同志だ。


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