エラワン哀歌 №5 [文芸美術の森]
オリーブの木
詩人 志田道子
詩人 志田道子
1
南の島の白い丘
サイアンブルーの葉を輝かせて
オリーブの枝は
青い実を差し出す
青い風に
裸の幼子は鈴を鳴らして通り過ぎる
青い風のあとを追って
南の島の白い丘
あなたの顔が見える
今日は
Ⅱ
オリーブは白い葉裏を
きらきらと風に揺らして
考え込んでいるのかな
笑っているのかな
日の光は暑くて賑やか
孤独は木の下で
ひっそりと
苦笑している
Ⅲ
オリーブの木は
迫る風に涙した
悔し涙ではない
自分を哀れなんて思わない
オリーブの木は
力いっぱい頑張った
大風に小さな葉っぱたちが
カラカラ鳴って
なんと
一日が終わってしまった
Ⅳ
充足の吐息を
満点の星空にまで盛り上げて
眠っているときでも
オリーブの木はカラッカラッと
鳴っている
ときどき
乾いた枝先を
忍び足で通り過ぎる
幸せを逃がすな
しっかりと抱きとめて
頬ずりをしておやり
心を籠めて
2021-06-29 18:01
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