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エラワン哀歌 №5 [文芸美術の森]

オリーブの木

           詩人  志田道子

        1
南の島の白い丘
サイアンブルーの葉を輝かせて
オリーブの枝は
青い実を差し出す
青い風に

裸の幼子は鈴を鳴らして通り過ぎる
青い風のあとを追って

南の島の白い丘
あなたの顔が見える
今日は

        Ⅱ
オリーブは白い葉裏を
きらきらと風に揺らして
考え込んでいるのかな
笑っているのかな        

日の光は暑くて賑やか
孤独は木の下で
ひっそりと
苦笑している

    Ⅲ
オリーブの木は 
迫る風に涙した
悔し涙ではない
自分を哀れなんて思わない

オリーブの木は
力いっぱい頑張った
大風に小さな葉っぱたちが
カラカラ鳴って
なんと
一日が終わってしまった

    Ⅳ
充足の吐息を
満点の星空にまで盛り上げて
眠っているときでも
オリーブの木はカラッカラッと
鳴っている

ときどき

乾いた枝先を
忍び足で通り過ぎる
幸せを逃がすな
しっかりと抱きとめて
頬ずりをしておやり
心を籠めて


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