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地球千鳥足 №143 [雑木林の四季]

~我がAggressive人生に悔いはなし~   

     小川地球村塾村長  小川律昭

水前寺清子の歌の歌詞に、「人のやれないことをやれ」とあるが、筆者も精一杯生きてきた米寿88歳だ。この歳で車の事故をやった。車はハイブリッド・カーだ。昨今社会的に問題になっているブレーキとアクセルの踏み間違いのようだ。自分ではブレーキを踏んだ意識しかないが、実際にはアクセルを踏んだのか、止めることが出来ず直進した。ブレーキをかけながら車止めの縁石の間をすり抜けて前進し、3m先の、直径12㎝ほどの松の木の幹にぶつかって止まった。不幸中の幸か、対人事故は無く自身も問題なし。車はボンネットが開かない等、前部の破損だけだった。が、この事件も高齢によるものかと、これを機会に車の免許証を返納することにした。27歳から61年間という長期間免許証を維持し、アメリカに住んだ58歳から78歳の20年間にも当然運転したが、……長過ぎた?

ところで人のやれないことの実践例を列記してみると:
1)一生、生命保険はかけなかった。
2)24歳で大学入学、27歳で卒業。
3)32歳で10.25坪の家を建築し、その後増改築を繰り返し、別な場所に49歳で2軒目の家を建築。
4)還暦2年前からアメリカに中古の家を購入(88坪)20年間住み異文化・多文化体験、絵画クラブのCincinnati Art Clubに所属し、地球バックパックの旅を繰り返した。訪れた国120か国。
 5)アメリカで運転中、下りの砂利道でブレーキが利かず、車がスピンして前後が反対になって止まった。夫婦共生きていた!
 6)アメリカに居住中、冬季ブラジル旅行、その間、自宅2階の水道管5か所破裂、5年分の水量を噴出、家は水浸しになっていた。連絡を受け、旅を中断してアメリカに帰った。事故処理後再び乗船したのはフランス領のタヒチ島だった。再乗船で船内の有名人になり、特別講話で皆さんの度肝を抜いたようだ。
 7)アコンカグア(Aconcagua) のベースキャンプ、Plaza de Mulas (4300 m)でワイフが倒れ登山中断、ヘリコプターでワイフのみ下山、一緒の下山は出来ず私は単独、騾馬で(一部は徒歩で)下山した。足の骨折者が現れたため急遽彼にヘリの、ワイフの隣の席を譲ったのだ。
 8)アメリカでMulticultural Music, Art and Luncheonという多文化共生Partyを年2回開き(訪問者常に40人強)、帰国後日本でも同趣旨の小川地球村塾Partyを年2回開催してきた。参加者(44人)
 9)世界の温泉探訪は14カ国に及ぶ。赤ん坊の時から温泉に浸かっていた(関金温泉)ので、海外旅行中も温泉があると聞けばタクシーで駈けつけた。アイスランド、メキシコ、チェコ、アラスカ(チナ温泉)、エクアドル、チリ、ジョージア、台湾、韓国、中米3か国等々。 
 10)78歳で旧家屋を壊して新家屋建築。34坪と小さいが吹き抜け作りでステンドグラスを採用した。パーティー場と絵画のスタジオを設けた。家の建材は檜で堅牢な日本瓦屋根、窓は2層ガラスサッシュで保温効果が基本に。
 11)84歳、市立Museumで個展を開いた。
 12)85歳で足の腓骨骨折。階段を上がる時階段間に足を突っ込み逆さにぶら下がった。
 13)同年、松葉杖でアメリカに運転免許更新に行った。まだ生きる気概に燃えていた。
 14)86歳で民放4チャンネル、「行列の出来る法律相談所」の前座で、シニア・バックパッカーとして夫婦で出演、拙著、「地球千鳥足」も紹介された。

 野人として無鉄砲に生きてきたわが人生だが、最大の危機はアルゼンチンのアコンカグア登山ではなかったか。登山基地プラサ・デ・ミューラス(4300m)までは左側は崖、右側は千尋の谷で、人がやっと通れる道を馬上で。馬の揺れで身の危険を感じ、身体を左の崖側に振ったら馬と崖の間に落馬、本能的に危険を避け得た。一瞬の反応だった。馬の揺れに従っていたら千尋の谷に落ちていただろう。運は一瞬で決まる。馬は4本足、1本の足が滑っても3本足で身体のバランスを維持するだろうが、お荷物の人間さまの面倒まで保証しないだろう。馬上は足が地についていない分危険だ。クワバラ、クワバラ!身動きがつかない私を引っ張り出してくれたのは、後ろにいた乗馬案内人だったが、出たとこ勝負で思慮なく行動したネ。
 このアルゼンチンの旅が長引き、不安が嵩じてアルゼンチン駐在大使に電話で助けを求めた妻へ、大使は、「お宅のご主人は6つの大罪を犯している」と宣もうた。
  1)高齢だ! 2)個人旅だ!3)言葉が話せない!4)予約なしだ!5)長期過ぎる!6)節約しすぎだ!等々、不安要素ばかりで計画性に欠くと評論してくれたが、筆者はリスクのない旅より予想不可能な旅に勇気が漲る。冒険心こそが私の頭脳の活性化の源だと自覚して生きてきた。が周囲を不安に巻き込んでの行動は軽率だったかも。若かったねえ。

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若葉会という絵の会の仲間と(2019年の個展会場で)
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筆者作品「ラシュモア山にある4人の大統領」
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筆者作品「エンジェルフォール」


★{読んでくださったお方へ妻、彩子からのひとことメッセージです}★
夫、律昭はこの元気の良い原稿を書いた直後、自転車から転倒してK救急病院に運ばれたが医者不在のため頭内出血したまま放置され、認知症になって出された。今も認知症のまま老人ホームに入所中。妻は涙にくれつつ祈るのみの日々です。


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