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バルタンの呟き №99 [雑木林の四季]

一億一心火の玉だ?        

        映画監督  飯島敏宏

 新型コロナウイルス狂騒曲はZ番が終章かと思いきや、同じ小節を際限なくリフレインする木偶指揮者の背後から、大作曲家の姓を名乗る影の指揮者が、リモートで姿を顕わしてIOCからタクトを振り、わがJAPAN国は、エピローグとしてVaccineワクチン狂騒歌の大斉唱となってしまったようです。通底する筈のメロディー緊急事態宣言は、もはやほとんど聞こえません。郊外観光地の人出は減少したものの、各都心に寄せる人波が日に日に激しくなってきました。
 9月の任期満了が潮時と踏んだかのように、わがJAPANの宰相は、東京オリンピック・パラリンピック催否の決断を迫られれば、主催者でもなく当事者でもなく、判断は主催者である東京都と自ら言いながら、世界七大国指導者の頂点と称するG7に出かけて、既に耳タコ!の「新型コロナウイルスを制圧した証として、安心安全な東京オリンピック・パラリンピックを世界に発信する」とはいうものの、コロナ下で握手(シェイクハンド)や抱擁(ハギング)の代替として行われている強張った笑顔の肘(エルボウ)合わせ(タッチ)に応ずる英仏首脳らの情熱のないショットを見ていると、超高齢者ながら未だワクチン一回目接種の予約日が訪れていない僕、バルタンとしては、なぜか「安心、安全な、東京オリンピック・パラリンピックにお出かけください」と鸚鵡の「オタケサン!」同様にコメントするわが国の代表が、実は肘合わせではなく、肘鉄砲を食らっているように見えてしまうのです。
 もし、在任中の実績作りの旅であれば、北朝鮮訪問は無理としても、いまやレームダック化したとは言われるものの、北朝鮮と近しい隣国の文在寅韓国大統領の肘をしっかりとつかんで、「金正恩に会わせてくれ伝えてくれ」とめぐみさんはじめ未帰還者のすでに老いた家族との着任時の誓いを果たす努力をすべき、と苛立つのは僕だけではないと思うのですが・・・直近の定例人事異動で何が行われたのか、硬派のアナウンサーや辛口のアンカーの姿が見えなくなったNHK報道の中には、その香りはまったくありません。
 閑話休題、眼を転じて、新型コロナウイルス征圧の証の方です。わが宰相が、G7に携行した土産の目玉として差し出したファイザー製ワクチン、いまだに先進国最低の基準にある苦しい国内事情から絞り出したワクチン献上だった筈が、その効果を帳消しにするほど大量の同社製ワクチンを、盟友と頼むG7最大の巨頭アメリカのバイデン大統領から先んじて持ち込まれて、あわててワクチン担当大臣がメーカーに自国用の在庫確認するという椿事です。これは最早コミックと笑ってはいられない漫画、または戯画を見せられたような気がするのですが、いかがでしょう。僕、バルタンの僻目でしょうか。
 さて、現在のわがJAPAN国は、お上の脅しともとれるお達しで、ワクチン接種オリンピックとでもいうような騒ぎです。まるで雨後の筍というべきか、あらゆるところに臨時の接種場所が設けられて、歯医者さんはおろか、研修医どころか医と名のつく全ての関係者に筋肉注射の訓練を施してワクチン接種が行われ始めています。我が街のいわゆるかかりつけ医の先生方も、総動員ですが、至極健康で、年に一回ほどしか係った事のない人は、一見(いちげん)さんとみなされて医院での予約が取れずとも、接種拒否という方を除いては、ほぼすべての高齢の住民が、公共機関での予約は取れているようです。僕自身も、かかりつけ医が遠いので、幸運?にも、予約解禁日にPCに熟達した子バルタンのワンタッチで取れた地区センターの予約日待ちという仕儀になっています。しかし、予約開始時には予想もしなかった政府と自治体が競い合って設け始めた臨時設置個所の急増で、わが地区センター接種の要員がどうなるのか、仮に自衛隊であっても、果たして衛生班での経験があった人員なのか、地域の急造ボランティア看護師さんなのか、はたまた強引な要請にこたえて駆り出された、平生は注射などの処置を看護師さんに任せていて、久々に震えがちな手で注射器を握るお医者様なのか、もし、現場で急激な副反応を起こした時に、救護体制は大丈夫なのか、日が迫るにつれて不安がつのっています。しかも、問題は、「来ないでくれ、行かないで」という都心へ、臨時接種場ががら空きで開店休業らしいと知って、ダブルブッキング承知で接種を受けに行き、ついでに久々の都心外食など観光気分で済ませ、予約取り消しを忘れたり怠ったりする人もいるということです。これはもう戯画というよりドタバタ喜劇ではないでしょうか。
 昨今のテレビを見ていると、年齢のせいか最近霞みがかってきた僕バルタンの眼には、まるで何処からか要請されたように、「安心、安全な東京オリンピック」まっしぐらで、国民を駆り立てているように映っています。僕が、皇国の少国民だった頃、内閣情報局の規制下にあったNHKラジオが、第一放送第二放送声を合わせて一日中叫び続けた「国民精神総動員!一億一心!火の玉だ!」と、鬼畜米英との本土決戦に駆り立てた悪夢を連想してしまうのですが、これも、僻目でしょうか。いや、僻目であってほしいのです。
 NHKは、予算、決算の決定に国会が関わっていますが、国営放送ではありません。国民のみなさんが視聴料を払っている唯一の民間放送なのです。本当の意味で、皆さんの放送局でなくてはならないのです。民放と呼ばれている、スポンサーの広告料で賄ういわゆる民間放送は、商業放送と分類される存在なのです。媒体としての存在を通信に脅かされながらも、信頼を失うことなく報道を続けようとする新聞各紙も、此処へ来ての有力スポンサーの欠落にコロナ禍オリンピックへの反論の姿勢が揺るぎ始めているように見えます。
 バルタンの眼が、断じて許せない実例を一つだけ挙げましょう。先日久々に行われた国会の党首討論。野党筆頭のオリンピック開催実行か中止かの質問には答えず、首相が自らの前回東京オリンピック観戦を延々と語った次第を、当日午後7時のニュースでは、感情をにじませる首相の顔に、東洋の魔女と呼ばれたバレーボールなどの感動シーンの映像を重ねて情緒的に盛り上げる編集を加えながら、コロナ禍での開催反対を称える野党党首側に、重症化に苦しむ患者の映像を挟み込むこともしなかった処置は、中庸を旨とする民間放送が、断じて行ってはならない不祥事なのです。
 コロナ禍と東京オリ・パラの永いトンネルの向こうに見えてくる景色が、決して、核ミサイルの飛び交う戦争の惨禍に壊滅するJAPANでないことを!一億一心火の玉は御免蒙ります!


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