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浜田山通信 №290 [雑木林の四季]

「屁みたいな話」

       ジャーナリスト  美村勝美

 内閣官房参与という役柄がどんなに偉いのか、政治部記者をやったことがないのでよく判らないが、高橋洋一という参与さんがツイッターで「日本の緊急事態宣言といっても欧米から見れば、戒厳令でもなく『屁みたいな』ものではないのかな」と投稿した。もう一年以上も新型コロナと変異型について日本中がセンセンキョウキョウとしているのに言いも言ったり「屁みたいなもの」とは、あいた口がふさがらない。このツイートは5月21日付けだが、8日付の投稿でも新規感染者数を他国と比較するグラフとともに「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」とやっている。
 内閣官房参与というのは、総理大臣に政策的助言を行う非常勤の国家公務員だそうだ。菅総理は高橋氏の抱負経験をかって官房参与にしたのだろう。あるいは誰かからすすめられてかもしれないが、それにしても新型コロナを「屁みたいなもの」とか「さざ波」程度と口にする感性の持ち主を内閣参与にする総理の感性もまた「屁みたいなもの」と言わざるを得ない。
 首相は24日に記者団に高橋氏から辞職のの申し出があったと説明し、「『これ以上ご迷惑をおかけすることはできない』ということで辞任された。大変反省をしておられた」と述べた。自らが任命し。これ以上げすな表現はない発言をした者に最大限の敬語を使い、自らの任命責任にはひと言の言及もない。
 総理が内閣参与の一連の発言にたいして注意をしたとか憤ったとかの報道は一切なく、ネットや国会審議で批判にさらされ、ようやく「発言は非常に残念だ」と述べたのみだ。
 私はワクチン接種の申し込みを4月初めだかにして、6月29日に決まったが、手続きも含めてものすごく時間がかかる。申込書など年よりには自分で書けない。仕方なく息子に書いてもらったが、すべて時間かせぎをしているとしか思えない。それもこれも、スカ内閣が内閣参与と同じく新型コロナを「屁みたいななもの」として、時間稼ぎをしてきたからではないのか。
 緊急事態宣言は何度目かの延長になった。屁みたいなものなら放っておけばよいのに人々を困らせている。その一方、オリンピックは何が何でもやるという。なにしろ神のごときIOCのバッハ会長が仰せのこと、無観客だろうが、多少参加国が減ろうが、開催国の負担が増大しようが、関係ない。返上するとIOCから除名されるかもしれないといわんばかりだ。除名するならすればよい。もはやオリンピックをやれる国は、米中両国以外にないだろう。

 とにかくこんどくらいいやになった話はない。首相は「『大変申し訳ない。これ以上ご迷惑をおかけすることはできない』ということで辞任された。大変反省しておられた」と述べた。この期に及んで敬語を使い、こんな人物を内閣官房参与に任命した責任については一言の弁解もなかった。彼自身も内心新型コロナを「屁みたいな話」と思っているのだろう。

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