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私の中の一期一会 №235 [雑木林の四季]

  松山英樹が〝マスターズを制覇”、日本人でも海外メジャーで勝てることを実践した
  ~日本人で初めて手にしたグリーンジャケットは「マスターズの重圧」に耐えた証だ~

           アナウンサー&キャスター  藤田和弘

 米男子ゴルフのメジャー大会,第85回マスターズ・トーナメントの最終ラウンドが11日、ジョージア州のオーガスタ・ナショナルGCで行われた。
 2位に4打差の単独首位でスタートした松山英樹は、4バーディ、5ボギーの73と後半苦戦したものの、通算10アンダーの278で回り〝日本男子初の海外メジャー優勝”という歴史的な偉業を成し遂げた。
 松山は2017年8月以来4年振りに、アメリカツアー6勝目を挙げたことになる。
 日本中が朝早くからこの朗報に湧き、涙と興奮に包まれたのである。
 11日の深夜から生中継で、〝松山英樹のマスターズ初制覇成るか?”の激闘を伝えたTBSの「マスターズゴルフ2021」は、最終日の平均視聴率が12.1%だったことが分かった。
 スポニチアネックスの記事によれば、1976年に始まったマスターズ生中継では、歴代最高の記録である。
 瞬間最高視聴率は月曜日の午前8時5分にマークした17.7%だった。
 8時3分、すでに優勝を決めた松山が移動する姿が映し出され、その後ウイニング・パットのシーンがリプレーされていた。
 ニュース速報で松山の優勝を知って人が、急いでチャンネルをTBSに合わせたのかも知れない。
 月曜日は未明から日本中で、松山英樹の苦闘をハラハラしながら見守っていた人が多かったことが分る。
 実は、私もその中の一人であった。
 2019年に渋野日向子がAIG全英女子オープンに勝った時、寝ないでテレビを見ていたから、私はあのウイニングパットと共に〝シブ子の笑顔を”見ることが出来たのである。
 マスターズ最終日を前に、ジャック・二クラウスが「4打差のリードは有利だ」とツイートしたのを知って、私の中で「勝つ確率は高い」という思いが強くなっていた。
〝日本にとっての歴史的瞬間”が訪れたのに「いや、見てなかった」と言いたくなかった。
 だから、最終組をスタートからウォッチすることにした。
 2位に4打差をつけて単独首位とはいえ、松山英樹が米ツアーのメジャー大会で最終日を最終組でプレーするのは初めての経験だった。
 松山がよく口にするのは「マスターズの重圧」である。
 メジャー大会の重圧はゴルフに限らないだろうが、世界の名手たちが集結する「マスターズゴルフ・トーナメント」の重圧は格別で、経験した者にしか分からないものらしい。
 1番ティに現れた松山は、表情に険しい感じもなく落ち着いているように見えたが、実際は朝からナーバスになっていたらしい、「一日中緊張のしっ放しだった」と試合後に打ち明けている。
 1番の第1打を右の林に入れ、パーパットも外していきなりのボギースタートになった。
 だが、2番のパー5で絶妙のアプローチをみせ、楽々バーディを取り返し4打差に戻した。
 これで自分を取り戻したのかも知れない。
 以後はピンチもあったがショットやパットで何とか凌いだ。
 8,9番に連続バーディがきて、フロント9を2アンダーにまとめてで切り抜けたのである。
 「プレッシャーのかかる前半をアンダーパーでしのいだのはメンタル的にいい流れだ」という解説の中島常幸のコメントもあった。
 本当の優勝争いはサンデーバックナインから始まる・・とよく言われるが 難関の12番パー3をボギーにしたことで、試合の流れが変わり松山は苦戦を強いられることになった。
 同じ組のザンダー・シャウフェレ(米)が追撃を開始してきたからだ。
 試合後の松山のコメントによれば、「12番でつまずいてから、ボギーを重ねる苦しい展開になった。リードが一気になくなってしんどかった」と本音を吐露した。
 テレビを見ている私はハラハラ、ドキドキの連続で息苦しささえ感じていた。
 15番パー5に来た時シャウフェレと松山の差は、まだ3,4打差はあった。
 一方のシャウフェレは3連続バーディできていて流れがいい・・
 ここは積極的に攻めようと松山は決心する。
 「2打目はピンまで227ヤード。4番アイアンはいい当たりだった。だがアドレナリンが出過ぎたのか、飛びすぎて、ボールはグリーン奥の池に入ってしまった」
 15番のパー5で、松山の積極性が裏目に出てボギーにしたため、シャウフェレとの差は一気に2打まで縮まっていた。
 残り3ホールでの2打差。
 松山がまだリードしているとはいえ、にわかに〝優勝の行方”は分らなくなってしまった。
 ところが、ホールインワンもあり得る16番のパー3で、またドラマが起きた。
 先に打ったシャウフェレが、1打目を池に入れてしまったではないか。
 これをみた松山は安全にいったそうだが、結果はボギー。
 シャウフェレは何とトリプルボギーを叩き、優勝争いから脱落してしまった。
 粘り強く戦った松山は、最後18番のティショットをフェアウエイに打てて、やっとホッとしたというが実感だろう。
 松山がウイニングパットを決めた瞬間は安堵と同時に感動がこみ上げて、私は涙をこぼしていた。
 ディフェンディング・チャンピオンのダスティン・ジョンソンから、念願のグリーンジャケットを着せられて、両手を広げて喜びを表した松山だったががいいシーンだった。
 「これまで日本人は海外メジャーに勝てないと言われてきたが、僕が勝つことで日本人も変わっていくと思う」とインタビューに答えている。
 松山はマスターズ最終日の深夜にオーガスタを飛び立ち、13日の夕方に一時帰国した。
 コロナ感染拡大防止のため、まだ誰とも会えないでいる。
 オンライン会見で「日本でニュースを―見るたびに、自分は凄いことをしたんだと実感する」と話しているといた。
 グリーンジャケットを手にして「本当に、これを着られる初めての日本人になれたことがすごく嬉しい」と語り、穏やかな表情を見せた。
 メジャー初勝利の直後なのに、周囲からは早くもグランドスラムへの期待が寄せられている。
 「そういう気持ちがない訳ではないが、マスターズでは本当に疲れた。今までにない感情もある。まだ次の目標を決めるところに達していない」と笑顔。
 PGAツアーには5月6日からの「ウェルズファーゴ」か翌週の「バイロンネルソン」を予定しているようだが、まだマスターズの余韻を楽しんでいればいいと思う。
 「終わったばかりで、まだあまりクラブを握りたくないなという心境。まだ全米プロに頭が切り替わっていない。
 またメジャーに勝てるようように、いい報告が出来るように頑張りたい」と話す。
 歴史的偉業による盛り上がりは喜びつつ、しばらくはそっとしておいて欲しいのではないか。
 でも、〝ムリ”だろうなあ・・・
 松山が手にしたグリーンジャケットは、1年後オーガスタ。ナショナルクラブに返却するのが習慣だそうだ。
 ジャケットはクラブに保管され、チャンピオンはクラブに来たときだけ着ることが出来る。
 以後、何度優勝しても体形が変わらない限りジャケットの新調はない。
 
 寝ずに、松山をテレビを観戦したくなる機会が来るといいなと思っている。

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