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浜田山通信 №285 [雑木林の四季]

「生理の貧困」

        ジャーナリスト  野村勝美

 NHKの夜のニュース番組を見ていたら「生理の貧困」というタイトルが出てきて、一瞬何のことやらわからなかった。卒寿の男?にとって女性の生理なんて事自体があまりにかけ離れていることであり、ましてそれが貧しいとは何を指摘するのかピンとこなかったので。要するに毎月の生理用品にカネがかかって女性は大変だということだった。
 昔から血は不浄とされ、お産や生理の際は産小屋など別火の食事をする習わしなどもあり、一方で初めての生理の際は赤飯を炊いて祝ったりもしたらしい。私は妹が3人いたが、いずれも所長の時は進学のため状況していて赤飯のお祝いにあずかったことはなく、若い頃は、女は面倒で大変だなあと同情はしていた。それどころか結婚したての頃は、生理の時は安全だと無留やり交渉を迫ったこともあり、いまにして亡き妻に謝ることが多すぎる。
 その生理の貧困というのは、文字通り生理用品に金がかかり、貧しい女性には耐え慣れないということだ。90年間男として生きてきてこんなことは一度も考えたことがなかった。生理用品がいくらで、月にどれだけかかるか。 見たことも聞いたこともなかったと思うので見当もつかないのだが、新聞記事によると生涯50万円のナプキン代がかかるという。たいしたことないではないかと男は思うかもしれないが、男女格差の大きい現代社会では大問題だ。
 なによりこんなうっとうしいことに女だけに費用がかかり、おまけに消費税までかかるとしたら、女性の不利益、男女格差の大きさに唖然とする。いうまでもなく女性も人間だ。女がいて男がいて人間だ。動物の社会にカネはない。雌には動物でも生理があるのだろうが、彼らの社会には金銭なんて面倒なものはない。人間だけが血を汚いものと思うから生理用品が必要になる。
 地方自治体や学校などでは、生理用品の無償配布を進めているところもあるらしい。「生理の貧困」などという表現は即刻返上するのが、政治の勤めではないか。女性もといういより、女性がいるから人間であり、人間の存在が可能なのだ。女性は男性より大事な存在であり、男にとっても女性なしの生き方は考えようがないのだ。
  諸外国でもこの問題はまだ始まったばかり。アメリカでも2019年にピリオドという団体が「生理の平等化」を求めてデモを行ったのが始まりらしい。日本では東京都内で足立区など10区6市がすでに無償配布を始めており、全国的にも札幌、さいたま、甲府などで実施されている。
 女性こそ人間であり、なぜ彼女たちにだけ特別の費用がかかり税金までとるのか。すべからく、直ちに生理用品は無償交付すべきだ。「生理の貧困」などというスローガンでは生ぬるい。生理の無償化こそ直ちに実行するのが政治の勤めだ。


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