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猿若句会秀句選 №109 [ことだま五七五]

猿若句会2020年8月例句会(8月15日)特選句集

             猿若句会会亭  中村 信

 桐一葉虫のかばねを覆いけり     柴田弘道
 夕餉にはゴーヤチャンプル敗戦忌     高橋 均
 迎へ火を焚く門虚し老の街   古明地昭雄
 終戦日もうこの道にもどらぬぞ     川上登美枝
 逆の峰投句箱置く行者宿     中村克久
 十五日何と云われよと敗戦日     中村呆信
 熊蝉が箱根の関を超え来たり     丸本 武
 ただ祈ることが供養の終戦日     児玉竹子

◆猿若句会八月例会の特選句集です。例によって一句だけの短評から始めます。[短評][桐一葉虫のかばねを覆いけり 弘道] 句意については何方でもわかるでしょう。珍しいのは、葉の落ちていく状態または落ちた時の状態ではなく、落ちた葉の状態を詠んでいることです。ある意味、[桐一葉]の季語を選んだ時に苦吟が始まっているのかもしれません。季語は「桐一葉」が三字熟語になっている所為だと思います。歳時記に載っているのは「桐」でもなく「桐の葉」でもないのです。それだけでなく、「桐一葉が(落ちてきた時に)秋がきたなぁ」とまでもが文意に入っているような季語だからです。中国古代の書『淮南子』の「桐一葉落ちて天下の秋を知る」が原典で、三文字の熟語なっての季語です。さらに、「……落ちて」までもが一連語になっているとも云えるし、「……天下の秋を知る」の十七文字全部までが原典ですので手に負えません。桐の一葉が落ちた時に虫のむくろの上に落ちたのか、落ちた葉が風で動いて虫を覆ったのかは不明です。虫も一般名詞なので何虫なのかわかりません。後で分かったことでは「蝉」でした。具体的な虫名にすると<季重なり>になることを恐れたようですが、主季語が重い季語ですので、この句の場合は許されるのではないでしょうか。
句意の一語一語はすべて解かったのですが、何となく納得がいきません。推敲が必要なようです。
なお、知の木々舎のブログhttp//blog.so-net.ne.jp/chinokigi/月前半期(1~から14日)には「猿若句会秀句選」が連載されています。


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