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検証・公団居住60年 №60 [雑木林の四季]

 第三章 中曽根民活
 X 地価バブルのなかの団地「改良」3 国立富士見台団地の場合

     国立市富士見台団地自治会長  多和田栄治

3.住宅内設備の改善(ライフアップ業務)

 公団仕宅の賃貸借契約書には、畳表、ふすま紙の張り替えだけでなく畳床、建具も、浴槽と風呂釜の修繕、取り替え等は賃借人負担と明記してある。契約轟に押印していることだし、何年かは問題も起きないから気にしていなかった。それが家賃裁判で公団側は、公団家賃といえども「使用の対価」を言いだした。それを言うなら、民法606条は「賃貸人は、貸賃物の使用および収益に必要な修繕をする義務を負う」とあるし、国土交通省住宅局がしめす「賃貸住宅標準契約書も貸主の修繕義務をさだめており、畳床やふすまの建具まで賃借人負担とは不当である。家賃を法的にも市場家賃にして以後も、民間並みの修繕義務は回避したままで、契約書上の特約条項を現在も改めようとはしてない。50年以上住んで、わたしの家の畳床はぼこぼこ、表はぼろぼろ、じゅうたんでぼろ隠しをしている。ふすまの建て付けもガタがきており、開け閉めが容易でない。これでは住宅「使用」の名に値する状況とはとてもいえない。公団は、室内設備の修繕をいっさい居住者負担を決
めこみ、老朽劣化には見向きもしない。
 そのうえ居住者が模様替えをしようとするとあれこれ制約を設けていて、どの家も古びたままが多かった。そこへ「ライフアップ作戦」と称して新式の室内設備を売り込み、家賃をさらにかさ上げをしようというのである。昭和30年代建設の団地を建て替えの対象にすると、40年代団地にはライフアップ事業に乗り出した。
 1988年から、①シャワー付き風呂釜(1、000円)、②大型礪(2,900円)、③「キッチンシステム」(1,000円)、④天井付き収納ユニット(400円)、⑤レンジフード型給湯器(2,000円)を宣伝しはじめた。設置をすると、( )内の月額が家賃加算ざれ、その3か月分にあたる敷金も徴収されるが、希望者がでる素地はできていた。10年間にキッチンシステム約19万戸その他にも10数万戸の申し込みがあったという。
 自治会は、社会と生活の変化に見合った住戸内修繕、設備の改善を要求してきたし、88年の第3次家賃値上げにさいして国会も「値上げ増収分は極力修猷使用」「住戸内修繕をふく促進」を決議したが、公団は家主としての修繕義務を果たさず、住戸改善をも新たな収益事業にしていった。

『検証・公団居住60年』 東信堂

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