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検証 公団居住60年 №49 [雑木林の四季]

第三章 中曽根「民活」~地価バブルの中の公団住宅 9

     国立市富士見台団地自治会長  多和田栄治

9・消費税導入に反対一家賃課税を撤回させる

全国自治協は団地居住者の暮らしを守る立場から大型間接税の導入に反対してきており、1986年に中曽根内閣が「売上税」導入と「マル優」廃止を提案したときも反対運動を展開し、230団地50万人をこえる署名を集めた。国民的な反対運動が盛りあがり、売上税を廃案に追い込んだが、議長あっせんは「税制の直間比率見直し」を条件にした。
 案の定、早くも88年7月19日には、リクルート疑惑が広がり、国民の政治不信が深まるなかで、消費税導入を柱とする税制改革関連6法案が国会に上程された。全国自治協は同7月9~10日の第15回定期総会で決め、消費税反対の請願署名にとりくんだ。
 自民党は11月に法案を単独強行採決し、12月24日の参議院本会議で、野党の牛歩戦術による抵抗をうけて成立した。年があけ89年1月5日に建設省は他に先がけて「公団家賃にも課税し、4月1日から一律3%家賃を値上げする」と発表。10月に東京多摩地区では軒並み7,000円から1万円の家賃値上げをしたばかりの公団が、6か月後に消費税課税を通告してくる態度にはあきれ果てた。
 課税撤回を求める運動が広がったのはいうまでもない。2月10日には緊急に団地自治会代表者集会をもち、3月23日には東京・九段会館で「公団家賃等への課税に反対、消費税廃止を求める全国公団住宅居住者総決起集会」を開催した。当日全国から243団地558,867人の国会要請署名が集まった。わたしが報告に立ち、消費税を導入している国は数多くあるが、家賃に消費税をかけている国がどこにあるか、ただちに撤回せよと訴え、
マスコミの反響は大きかった。
 4月1日に消費税がスタートしたあと、9月26日に大蔵省がその施行についてのヒアリングをおこなったさい、当時全国消費者団体連絡会代表幹事をしていたわたしがこれに出席し、家賃への消費税課税の問題にしぼり、とくに世界に例のないことを強調し、当局もそれを認めた経緯がある。その後のねぼり強い公団自治協の運動はやがて実をむすび、91年10月の消費税見直し措置により、公共・民間すべての住宅家賃を非課税にさせた。公団住宅の場合、すでに徴収した課税分を全額返済させた。

『検証 公団居住60年』 東信堂

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