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猿若句会秀句選 №104 [ことだま五七五]

猿若句会特選句集 104(2019年12月21日)

            猿若句会会亭  中村 信 

 どの子にも一つは台詞聖夜劇  伊藤 理
 譲られし席に着ぶくれ納めけり  高橋 均
 語尾濁し葬の挨拶年の暮  児玉竹子
 恙なく只恙なく柚子湯浴む  内野和也
 一つ程小さき望みの余生あり  川上登美枝
 大小の実をとり混ぜて柚子湯かな  宮島久代
 姉妹市の友好碑古り枯尾花  中村克久

◆猿若句会十二月例会の特選句集です。例により一句だけの短評から始めます。
[短評] [どの子にも一つは台詞聖夜劇 理]。個人的には今月の巻頭句の短評は回避したい気になっています。しかし、例会ではこれまでの最高票(特選二票・並選六票)といえるほどの選を集めましたので、始めます。まず句意は誰でも解かるでしょう。次に季語が「聖夜劇」であることも解かるでしょう。それでは何に忌避感を感じるかです。作者および評者には申し訳ないのですが、あまりにもステロタイプ的だからです。現在の歳時記でしたら全てに「クリスマス」は掲載されているでしょう。そして「聖夜劇」も副題として新しい版ほど掲載されているようです。しかし、例句となるとわかりません。それは聖夜劇そのものが新しいうえ、似た劇になりがちで、見る側も子の親であるか縁者だと云う似た状況に限られていることに起因します。もう今年は間に合いませんが、もし「聖夜劇」とまで限定されて兼題ないし席題にだされたら、どんな句が出来るか試作してみてください。こう書かれた後ですからそれなりに異なった視点で独自な佳句を期待します。
  思い切って苦言を呈した後ですので、ついでにもう二つほど書いておきます。①「富士山」の句の出句には自己規制をかけませんか。関東・東海に限定しても見る気になれば毎日でも見られるので、作句する気になる人がいれば膨大な数の句が出来ているはずです。そうした中で類句でない句・しかも佳句が出来た時にしか出句しないことに自己規制するのです。「富士山」と書いただけで俳句になったような気になる人が未だにいるようです。②同じ事由で「廃線(跡)」「無人駅」「古寺」「里山」……他、などにも自己規制をかけてください。これらの場所を書いただけで、俳句になった気でいる場所の句は、自分の中で類句を超えたと認めない限り、出句しないでください。
◆句会での特選以外の秀作・佳作については、新ブログ[パソコミ誌『あ』の電脳版]http://a-houshin.hatenablog.com/に掲載しています。まだテスト版ですが、おいおい充実させてゆくつもりです。ご覧いただき・ご支援ください。


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