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往きは良い良い、帰りは……物語 №75 [文芸美術の森]

往きは良い良い、帰りは……物語(こふみ通信)
その75  TCCクラブハウスにて
 『曼珠沙華(まんじゅしゃげ)』彼岸花(ひがんばな)でも可。
 『獺祭忌(だっさいき)』『芋虫(いもむし)』『鰯雲(いわしぐも)』

             コピーライター  多比羅 孝(俳句・こふみ会同人)

◆◆令和元年(2019年)8月22日◆◆
当番幹事(大谷鬼禿氏&永井舞蹴氏)から各位へ案内状が送られました。

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【九月こふみ会】     幹事=鬼禿・舞蹴
●九月八日(日)
●東京コピーライターズクラブ●会費=1500円
●兼題は以下二題

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これについては軒外さんから「獺祭忌」に因んだ、見事な「肖像イラスト」を添えての返信レターが寄せられました。ご覧のとおりです。   

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そして大事なのは、句会の当日、その席で、氏が、ちらりと語って居られた「子規の肖像画」と「郵便切手」のカンケイのこと。
これを小耳にはさんだ私・孝多が早速、おねだりをしたのです。ブログへの執筆依頼です。「それ、書いてください。」「はい、ヘンな文章になってもよかったら……。」と、御謙遜ながら、お引き受け頂き、ご多忙のところ、後日、早々に送稿賜ったのが下載の快文です。

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子規の顔                 (沼田軒外)

正岡子規というと思い浮かぶのが、この横顔の肖像ですよね。
横顔だから目鼻立ちの造作はよくわかりませんが、強烈に印象に残るのはこの頭の形です。私は子どものころ切手収集に凝ったことがありまして、文化人切手の中に子規の肖像がありました。 

昭和26年に発行された額面8円の切手ですが、その図柄が横顔なんです。 
同時期に発売された森鴎外もやはり斜めから見た頭部が描かれているんですが、子規の頭のほうが俄然インパクトがあるんですね。

ところで正岡子規って、実際どんな顔だったんだろうという疑問もあって、画像検索してみました。

出てくるのはほとんどこの横顔で、中にポツポツ正面からの顔もありました。でも印象としてはどれも弱いです。

ここにちょっと面白い話があります。子規の高弟である河東碧悟桐が『子規の回想』の中で先生の顔に言及していて、それによれば「個々の眼が孤立しているといったほうがいいくらい離れている」のだそうです。

人の顔は目の間隔が離れていると、おっとりとした、悪く言えば間が抜けたものになりがちですよね。

子規の肖像と言えば、この横顔が多いのは、本人が正面顔を嫌ったのではないかという勘ぐりもできますが、碧悟桐 は「全体には破壊的な醜さも、不均衡な滑稽さも見いだせない」と、ちゃんとフォローしています。
  
子規は結核をこじらせて脊髄カリエスになり、34歳で早世していますが、重要な著作はほとんど寝たきりになった晩年に執筆されています。
やっとのことで床の上に起きあがった写真も何枚かありますが、本人は病床での姿など見せたくなかったであろうことは充分想像できます。 

身体が言うことを効かない中であれだけの偉業を成し遂げたのは、やはりあの横顔の頭が只者でなかった証左ではないでしょうか。
因みに平成14年に80円の第二次文化人切手が出ましたが、ここでの子規はカラーでの正面顔で、私はなんだかピンと来ません。

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軒外さん、有難うございました。『切手』の写真まで、ちゃんと添えてくださって、感謝!です。
もし、あの8円切手が発行されていなかったら、今回の軒外さんのイラストも俳句も無かったのかもしれない、というわけですね。
『獺祭忌あの抱えてしまいそうな頭(軒外)」
子規の両眼の位置については碧梧桐も大変だったようですね。
面白かったぁ~。良いのを描いたり書いたりして頂いたこと、厚くお礼申しあげます。

◆◆そこで、もう一作、依頼原稿をご紹介いたしましょう。◆◆
今回の句会の席で、岡田尚哉氏が「家族旅行でキューバへ行って来た」というハナシを、ちょっとばかり、して居られました。
それは異色! 「家族で旅行する」と言ったら、「○○○へ」「△△△へ」「□□□へ」と相場がきまっているように思うのですが、、「キューバへ」とは、超えてますねえ。
流石!
しかし、しかし、これは絶好のチャンスです。尚哉氏の隣に座っていた軒外氏をとおして、このブログへの執筆依頼を致しました。
文章が書き上がったら、これこれこうして、立川の知の木々舎の玲滴さん及び、浦和の孝多に送稿する……と、その手順を軒外氏から尚哉氏に説明してもらったのです。
そして、後日、間違いなく届いたのが、下載の『キューバ紀行』です。読ませてもらえば、これは異色でこそあれ、決して異端なものではなく、氏と氏のご家族にとっては、きっと、当たり前の、偶然多発型の楽しい異国旅行だったでしょう。よく分かります。プロ中のプロの、尚哉氏ならではの筆の運びも、颯爽たるものです。
我らがこふみ会には凄い御仁が居られるぞ。
……と、前置きはこのくらいにして、さあさ、本文のご披露とまいりましょう。

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【はじめまして。こふみ会会員の、岡田直也(尚哉)です。】

とはいっても、句会に参加したのはまだ3~4回の新参者。
おまけに8月は、以前から計画していた家族旅行(それがキューバでした)と重なってしまい、出席することができませんでした。
そこで、ぼくだけ「キューバ旅行」なる兼題をいただいたということにして、紀行レポートをしたためようと思います。
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……あれは、ハバナ初日の昼下がり。
地図を片手に、いわばロケハンの目的で、家族4人は街へとくり出しました。
旧市街の中央公園から海岸沿いのモロ要塞に向かって
まっすぐ伸びる「オピスポ通り」を歩いていると、
とつぜん、ひとりの陽気なクパーナが、声をかけてきたのです。いわく、
「ブエナスタ・ソシアルクラブを知っているか?」
「明晩のコンサートチケット、買わないか?」

ブエナスタ・ソシアルクラブといえば、あの伝説のギタリスト、ライ・クーダーが、
キューバの老ミュージシャンたちを集めて、1996年に結成したプロジェクト。
映画にもなっているのでご存知の方も多いと思います。
そいつを、現役ミュージシャンでもあるぼくが、知らないはずがありません。
数年前、多くのメンバーが故人となってしまったため、
活動を中断したとは聞いていましたが、
今年、新メンバーを加えて再開、そのお披露目ライブが、
あろうことか、その翌日の夕方だった、ということのようです。

いやあ、キューバに来てそうそうに、彼らの演奏を生で聴けるとは、
なんという偶然! なんという、僥倖!
ただこのクパーナ、調子よすぎるな、マユツバだったらいやだな、と、
「これからいろいろ案内するから、そして最後に、明日の会場へ行こう」
と言うので、とりあえずついていくことにしました。
まあ、悪いヤツではなさそうだったので。

道々、「俺のワイフは日本人だ」とか、「六本木で店をやってる」とか、
「俺の仕事はミュージシャンだ」とか……。
まあ、ホラ吹いてるのはわかっていたけど、
お人よしの日本人よろしく、「へえ!」なんて驚いてみせたりして、
そのへんは、ウチの娘が上手、だったですね。

旧市街のそこここで、フルーツやエスプレッソをふるまってくれる。
また、「ここは観光客しか来ないファッキン・プレースだ。クパーナならここだ」とか、
いろいろ貴重(?)な情報をくれる。
ともかく彼にとっては、ぼくらは上顧客、だったようですね。

そうこうするうちに、ここが会場だ、と案内されたのは、
古い石造りの建物(カストロ将軍の旧宅だったようです)。
その入り口に、確かにありましたよ、ブエナビスタのコンサート告知が!
ここまでくれば、商談成立ということで、チケット購入。
日本円で1人5,000円程度でした。
まあ、日本のデイナーショーのことを思えば、リーズナブルですよね。

あのクパーナはどうも、チケットの手売りスタッフだったようです。
社会主義体制下の「興業」は、、どういう仕組みになっているのか、
皆目わからないけれど、
広告も打たないようだし、ましてや「チケットぴあ」のようなものもない。
きっと基本は手売り、なんでしょうね。
しかも、外国人観光客がターゲットだったようですね。
でも、ブエナビスタの一般的な知名度を考えると、
彼、だいぶ空振りしたんじゃないかなあ。
ぼくらをつかまえられて、彼もラッキー、だったんですよ。

さあて、別れ際にチップを、と思って、
20CPU(2000円くらいでしょうか)を彼に渡すと、
「これで女房においしいもの買って帰れる」と喜んでましたっけ。
ほら、「奥さん日本人」はホラだったね…。

ということで、翌晩のコンサート。
いやあ、最高でした。
幸い、いちばん前の席を取ってもらっていたので、
演奏のすみずみまでよく見えたし、
大団円の踊りの輪にも加われもしたし。

いちばん感心したのは、キーボード・プレイヤーの、
まったく乱れることのない指の動き。
ほとんど全編、弾きっぱなしなのですが、
それが全体のリズムの基調をなしているんですね。
機に応じて、パーカッショニストが合図を出す、カウントをする、
というシーンもあるにはある、のですが、
全員が、ほぼキーボードを中心にして動いていました。
このことは、ドラム中心、ベース中心で動くぼくらにとっては、新鮮でした。
なるほど、電気を使わず、路上演奏が多ければ、そうなるか・・・。
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ということで、私・岡田尚哉のしたためる「キューバー紀行」は、
かなりピンポイントなもの、となりました。

もちろん、コロニアル風な建物(かなり老朽化していましたが)、
メインを一本はずれると見えてくる、庶民の暮らしぶり、
そしてピカピカに磨かれた米製オールドカー、
特産品の葉巻やラム酒などなど、
どれをとっても期待にたがわぬ、ワン&オンリーなものばかりでした。
そのあたりは、また機会があれば、ぜひご紹介してみたい、とも思っています。

それでは、「8月の兼題」をはなれ、
次の、また次の句会に向け、
研鑽を積んでゆきたいと思います。

がんばろう、尚哉!
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尚哉さん、有難うございました。そうです!「……また機会があれば、ぜひご紹介してみたい……」と書いて居られます。如何でしょうか。このブログ上の「連載もの」にするというのは。ぜひご検討くださいますよう。
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ところで、全くの偶然ですが、句会の当日(9月8日)の読売新聞朝刊の連載コラム「四季」には、ご覧のように「まんじゅしゃげ」という季語の句があり、その写真説明には、「彼岸花」と記されていました。おっとっとお。

そして、句会では、(「四季」の影響ではないでしょうけれど)幹事さんからの申し出によって、今回は『曼珠沙華(まんじゅしゃげ)』でも『彼岸花(ひがんばな)』でも良い、ということになりました。

それを知って、「ええっ?!」という声も一部には挙がりました。イメージの違いが大きいからです。『曼珠沙華』は洋風、『彼岸花』は和風。前者はロマン、後者は現実。前者に毒ナシ、後者に毒アリ。前者は赤に加えて、白だの黄だのとカラフル、後者は赤一色。等々の、どうしようも無い、感覚的な相違です。
そこで、急きょ、(考えて来たものを捨てて)彼岸花で作って投句、という人も出て来たようでした。私・孝多もその一人。彼岸花にしました。それが正解でした。何しろ、華松さんから「天」を頂いたのですから。有難や!
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◆◆では、当日、張り出された兼題、席題から……◆◆
四題ともにカラーのイラスト付きです。幹事さん、力をこめてます。ご覧のとおりです。席が盛り上がります。    

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「芋虫って、このイラストのようにプクプクしていてツルツルだよね。」
「毛虫は、やせていて、全身トゲだらけ。」
「どっちも葉っぱを食う。何かの幼虫だ。」
「何になるのかな。」
「蛾や蝶だよね。」
「よく分からないけど、毛虫は夏の季語、芋虫は秋の季語ということになっているようだね。」
「活動の時期が違うのかなあ。」
「と言うことは、生まれてくる蝶や蛾、つまり成虫の生き方が違う、と言うこと?」
「分からないから面白いね。」
「鰯雲(いわしぐも)も面白い。鰯雲は『鯖雲(さばぐも)』とも呼ばれるらしい。」
「ほほ~。秋には鰯だけじゃなく、鯖まで大漁になるのかな?」
「いやあ、どうも、違うみたいだ。今、このスマホの歳時記を見たら、サバは夏の季語で、≪秋鯖(アキサバ)≫と言わなければ秋の季語にならないらしい。なのに、サバグモとなると秋の季語、それはイワシグモと同じだから秋の季語。というわけらしい。でも、ヘンだね。目茶苦茶だ。」
「アキサバって美味いものの代表だってえ?」
「うん、う~ん。調べていると、句が作りにくくなっちゃうよ。知らぬが佛、かもしれないな。」
「あまりカタクルシイことは言わずに、ね。」とか何とか……。

◆◆みんなして、あれこれ喋って、飲んで、食べて‥…◆◆
崎陽軒の弁当に、茘子さんからの銘酒・高清水。弥生さんからは、お宅の庭で実ったという、ぶどうの差し入れ。頂きました、頂きました。厚く、厚く御礼! 幹事さんは予算内で、お茶や缶ビールまで付けてくれて、これまた感謝!     

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◆◆さあて、いよいよ、成績発表!◆◆
★本日のトータルの天は、58点の茘子さ~ん。
 代表句=「柿の実のまだ深緑(ふかみどり)獺祭忌」 パチパチパチッ。

★トータルの地は、44点の一遅さ~ん。
 代表句=「仕事辞めた鰯雲の下を行く」 パチパチパチッ。

 ★トータルの人は、34点の鬼禿さ~ん。   
 代表句=「窓洗う空いっぱいの鰯雲」 パチパチパチッ。

★トータルの次点は、25点の舞蹴さ~ん。
 代表句=「遮断機の上がりて残る鰯雲」 パチパチパチッ。

     
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上位入賞者。左から地の一遅。天の茘子。人の鬼禿。(撮影=軒外)敬称略

皆さん、おめでとうございました。 パチパチパチッ。   
今回も、五・七・五の間にアキを入れてほしいという指示つきの句は一句も無く、全部、普通に、ベタの一行です。ご意見のある方は、どうぞ、遠慮なくお申し出ください。

◆◆壮観! 選者から天位に謹呈する絵付き短冊も15枚。◆◆          

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おかげさまにて、今回も、充実した、しかも、楽しい句会になりました。
このところ、連日見舞われている台風にも、幸い、煩わされること無く、皆さん、揃って、帰りも良い良い、の集まりでした。来月も、どうぞよろしく。お元気に。草々。
               '19年9月吉日    孝多拝

                 第75話 完

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第597回 本日のこふみ会全句
令和元年(2019年)9月8日  於TCCクラブハウス

◆兼題=曼珠沙華(「彼岸花」でも可) 順不同
逝きし娘(こ)は十九のままや曼珠沙華  矢太
女三人ひそひそばなし曼珠沙華      一遅 
炎炎炎炎書殴る曼珠沙華                     鬼禿
彼岸花気性(きしょう)の激しい人でした  孝多
缶ジュースと交叉点脇に曼珠沙華               珍椿
異界に誘ふ赤き一叢(むら)曼珠沙華          弥生
曼珠沙華指の間(あはひ)をこぼれをり       華松
安ホテル窓から覗く彼岸花                        下戸
人嫌ひ孤高の形(なり)や曼珠沙華            美留
曼珠沙華真っ赤な嘘をつきにけり               舞蹴                         
黒猫があくびの庭や彼岸花                        茘子
曼珠沙華あまりに赤き夕の畦                     紅螺   
燃えあがる嫉妬の炎(ほむら)曼珠沙華       虚視 
彼岸花は不可いけばなの不自由                   軒外
立ち入るなここより異界と曼珠沙華             尚哉

◆兼題=獺祭忌      順不同
億万の句が念となり獺祭忌                        一遅 
我世界十七文字に獺祭忌                           舞蹴 
百年の名句レンジでチンする獺祭忌            下戸
病(やまい)篤(あつ)く三十四歳獺祭忌     孝多
柿の実のまだ深緑(ふかみどり)獺祭忌        茘子
獺祭忌今日の谷中は天気雨                         鬼禿
尺四方通勤快速獺祭忌                               虚視 
戸障子を放てし宇宙獺祭忌                         美瑠
眼裏(まなうら)にうつる横顔 獺祭忌          弥生
松山は小雨振るなり獺祭忌                         紅螺
狩猫の獲物を嬲る獺祭忌                            珍椿
あやかりて杯交わす獺祭忌                         尚哉
獺祭忌あの抱えてしまいそうな頭                 軒外
かさぶたのはがれぬままに獺祭忌                矢太
球音が響きてうれし獺祭忌                         華松

◆席題=芋虫      順不同
芋虫に巣立ちの前の子を重ね                     尚哉
嫁キレて庭の芋虫丸くなり                       下戸
芋虫は空に向って這ってゐる                   矢太
いつの日か芋虫のごと蝶になれ                  弥生
芋虫の太々(ふてぶて)しさの増しており    舞蹴 
芋虫が単線鉄路乗り越えて                        虚視 
芋虫ボトリ街路樹から目の前に                  珍椿
芋虫を細密描写で描く少女                        紅螺
芋虫やいつしかどこかへ消えにけり             孝多
さらわれて空をみている芋の虫                   茘子    
夢抱いたまま芋虫死んでおり                     鬼禿
芋虫や美までの長い時紡ぎ                        虚視 
芋虫の小さく動いて便り来ず                     一遅       
這えば這へ明日は飛ぶなり芋虫ぞ               華松
芋虫を踏まんとする子を羽交い締め             美留
         
◆席題=鰯雲     順不同   
一陣の風見上げれば鰯雲                          珍椿
もう一人の私がいます鰯雲                       孝多
おいてけぼりのあの日と同じ鰯雲               弥生
一服を求めて高し鰯雲                             尚哉
うそつきは恋のはじまり鰯雲                    矢太
群れてこそ空を泳ぐや鰯雲                       華松
坂の上僕とハモニカ鰯雲                         虚視 
鰯雲回遊の果て崩れ消ゆ                          美留
父の文(ふみ)行間に見る鰯雲                 茘子
仕事辞めた鰯雲の下を行く                      一遅 
黄金のパゴダの上に鰯雲                         下戸
窓洗う窓いっぱいの鰯雲                          鬼禿
遮断機の上がりて残る鰯雲                       舞蹴 
漕ぐ舟の遠き彼方の鰯雲                          紅螺
極北の鰯雲メルカトルの歪(ひず)み         軒外

                                 以上15名60句

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水野タケシ

孝多先生、今月も楽しく拝読させていただきました!!

子規からキューバまで話題が豊富!!

たしかに子規、目と目が離れてますねえ!!

11月も楽しみにしています!!(*^ワ^*)
by 水野タケシ (2019-10-01 06:12) 

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