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往きは良い良い、帰りは……物語 №74 [文芸美術の森]

往きは良い良い、帰りは……物語
その74  TCCクラブハウスにて
      『跣足(はだし)』『炎天(えんてん)』『稲妻(いなづま)』『西瓜(すいか)』

                  コピーライター  多比羅 孝 (俳句・こふみ会同人)

◆◆令和元年(2019年)7月30日◆◆
当番幹事(秋元虚視氏&板倉紅螺さん)から各位へ案内が送られました。

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月見月・こふみ会ご案内
八月十一日(日)十三時より
東京コピーライターズクラブ
兼題① 跣足(はだし)
  ②  炎天
八月は、季語の世界ではすでに秋。
夏という実感もないまま過ぎようとしていた今頃になって、突然の濃い青空と積乱雲。
実感としては、いよいよ本格的な夏到来という気分です。
そんなわけで、
八月の兼題は、夏らしいものを七月の季語から選んでみました。
●会費 千五百円
●出欠は八月七日(水)までに
このメールにて返信で虚視まで
shigeru26@gmail.com
景品は三つ 合計で千円くらいのもの
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これを受けて、出ましたねえ、大大ヒット作品(返信レター)! 軒外氏からです。兼題の『跣足』に因んだ凄いイラスト!『炎天』のイメージも重なっているようです。          

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一方、電話とFAXしか使えない私・孝多は、この度はちょっと趣向を変えて、玲滴さんの返事と一緒に、メールで出席の返事をお願いしたのでした。ご好意に甘えて、あちこちに失礼して……。

◆◆さて当日(8月11日)のトピックスとしては……◆◆
先ずはその1=矢太氏から提案がありました。「五・七・五の間に1文字分アキを入れることは、これからは、やめようよ。」というもの。
しかし、これには異論も多く、結局、アケたい人は投句のとき「アケル」の表示をしておくこと。もし、アケそこなったら、コピーする前に於ける回覧チェックの際に、アケルの表示を書き込めばよい。自分の句で、アケル句とアケない句があってもよろしい。ヘンなことじゃないから……というのが、今回の、一応の、結論となりました。(逆に申せば、指示が無ければアケは無し、ということですね。)

その2=皆さん、あれこれ、しかし静かに話してました。「はだし」と「すあし」はどう違うのか? 兼題ですから、皆さん、それぞれ自問自答を行なって出席している筈。自分なりの結論も、出している筈。でも、何だか、すっきりしないでいる……というのが実情のようでした。
私・孝多としては「広辞苑」や「大辞林」とは、おこがましくも同じではないのですが、『素足(すあし)とは、靴下、足袋、包帯など、身に付けるものを付けていない足』のことであり、『跣(はだし)とは、靴、下駄、草履、長靴、サンダル、スリッパのような履くもの、履物(はきもの)、下足(げそく)、を履いていない足』のことである、ということにしておこう。
と考えた矢先き、島崎藤村の『千曲川のスケッチ』の中の一節、「土は焼けて火のやうに成って居る、素足で豆撒(まめまき)は出来かねる」に、ぶつかって、ギャフン! 畏敬してやまない藤村が「素足」と書いている。まいったあ~。

孝多はこうした情景のとき使うのは、素足(すあし)ではなく、「跣(はだし)」だろうと思っているのに……。ああ、何たることか。
だから、11日の句会の席では、黙って、下を向いて、皆さんのおっしゃることを聴いていたわけです。
でも、その席で、誰かが言っていた《「素足」は女性的で、「跣」は男性的な雰囲気》という見解には同感で、その時ばかりは顔をあげて、「そう!そう!」と相槌を打ったのでした。(女性・男性は、講談社の『日本大歳時記』にもそんなふうに出ていたと記憶しています。)

その3=出席の筈なのに、いくら待っても可不可氏が会場に現われません。心配して、幹事さんお二人が何度電話をかけてもルス電のコメントばかり。「只今、留守にしております。後ほどおかけなおし下さい。」ついに虚視さん(幹事)が声をあげました。

「可不可さんの分の弁当が残っています。欲しい人はお申し出ください。お声が無ければ本日のトータルの天の人に差しあげることにします~。持ち帰ってなるべく早く食べてくださ~い。おいしいですよお~。」
結局、舞蹴氏へのお土産になりました。    

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   美味。デラックス!SOMY'S DELIの8種野菜ローストビーフ弁当。

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前回、このブログに、私・孝多は、こふみ会に於ける《短冊とハンコ(落款・らっかん)の関係》について書きました。
概略下記のとおりです。つまり……
こふみ会には、他の集まりとは少し違う約束事があります。
その一つが《天位に選んだ句を、選者は、誰の句か分からぬまま、短冊のウラ面(白い面)に筆書きするほか、選者名を書き入れ、更に選者のハンコを押すことも容認されている》というナラワシであり……
その二つ目が《短冊は、選ばれた句の作者に、景品と共に、謹呈される》というものです。
これが、事をムズカシクしているのですね。
やれ、自分の句でないものに、自分のハンコを押すなんて失礼である……とか。
やれ、その短冊に、自分勝手な、絵を描き添えるなんて傲慢すぎる……とか。
でも、でも、ハンコも絵付きも、共鳴共感の現れである。一概に咎めるわけにはいかない……
とか、とか、と、弁護する向きもあります。ムズカシイ、ムズカシイ。

★ところが、驚きました。そうした、いろいろな問題を一気に解決するような本に先日、出会ったのです。
たまたま立ち寄った図書館にて、です。その本は『現代俳句揮毫手帖』上村占魚編著。木耳社 '90年8月25日初版発行というもの。
その「はしがき」から引用しましょう。

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「先師、高濱虚子は選は創作だと称した。かててくわえて鑑賞も同様だと言える。だから言い換えれば、各々の詠句をふまえたうえでの私の創作鑑賞と言うことになる。」
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……のだそうです。そうか、鑑賞者はその句から受けた刺激によって創作を始めるというわけか。つまりは、鑑賞者の創作! だとすれば鑑賞者が自分のハンコを押して、どこに不都合がある?  ハンコ肯定!!ハンコ万歳!!なのですね。

★さて次に、カタチになったもの、つまり、普通の短冊、少し横長の短冊、色紙とは言えないほど横長の色紙等々の「短冊類」を、同じ本の図版から、いくつか採って、ここにご紹介しましょう。(4つのグループに別れます。)姿と内容を見てください。

Aのグループは……誰の句か、誰が書いたのか、ハンコも押してあるか、それらが明確に分かるものです。

Bのグループは……誰の句か、ハンコは押してあるか、その点だけは明瞭に示されているものです。(誰が書いたものかは明示されていません。)

Cのグループは……誰が書いたのか、ハンコは押してあるか。それだけは分かるけれど誰の句かは明記されていないものです。

Dのグループは……句のほかに示されているのはハンコだけというものです。このハンコが誰を示すものか、殆どの場合、分かりません。

『現代俳句揮毫手帖』にまつわるハナシは以上ですが、カタチになったその姿は、みんな、マチマチ・バラバラですね。書いた人の個性と言えば個性でしょうけれど……。
図版を続けて6点、お見せしましょう。     

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★図版は最初の「花御堂」と二番目の「福鍋に」と三番目の「喉佛」がAグループのものであり、四番目の「葛城の」がBグループ、五番目の「炭子の子」がCグループ、一番下の「天牛の」がDグループの代表です。左クリックして、拡大してご覧ください。

★また、こふみ会に於ける「絵付き」については、鑑賞者の創作であると同時に、句の作者と、それを選んだ人とのコラボレーションである、と、考えれば、ハナシは分かりやすくなりますよね。いや、ハナシが分かりやすくなる以上に、鑑賞の密度の高まりが期待できるかもしれませんね。もう少し考えることに致します。
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当日(8月11日)、定刻になると、いつものように、兼題・席題が壁に張り出されました。いずれも、絵が本業ではない画伯、秋元虚視氏の手による、イラスト付き。痛快です。「脳天が炎天かあ」「腕白少年の頬っぺたに付いた西瓜のタネもいい。」などとお互いに言い言いして、句を考える前に、見とれていました。
でも、しかし、何とか、かんとか、皆さん、心得たもので、作るときには作って、締め切りには、ちゃんと間に合わせます。会の進行はとどこおりなく、さあて、いよいよ……

◆◆成績発表で~す。◆◆
「正」の字で示されたメンバー全員の得点を、係が数えて、声高く……。
★発表しま~す。本日のトータルの天は~41点の舞蹴さ~ん。
代表句は「我影と行く他はなし炎天下」 パチパチパチッ。

★トータルの地は~38点の虚視さ~ん。
代表句は「千万の跣足跡消え夜の浜」  パチパチパチッ。

★トータルの人は~35点の弥生さ~ん。
代表句は「炎天に泰然と病む父なりき」  パチパチパチッ。

★トータルの次点は~33点の美留さ~ん。
代表句は「靴ひもの解(ほど)けしままに炎天下」  パチパチパチッ。     

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 上位入賞。左から人の弥生、天の舞蹴、地の虚視。撮影=軒外。(敬称略)

皆さん、おめでとうございました。パチパチパチッ。
今や「名物」となった絵付き短冊は、今回も下載のとおり。賑やかに13枚ずらり。どうぞ、ごゆっくり眺めてください。      

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「本日の全句」も、ここにご紹介致します。ただし、一字アケの句は一句も無しです。今までとは印象が一変しましたね。アケが無いと、びっしりで、パソコンの画面では読みにくい。横組み(よこぐみ)だし……ということはありませんか。「大丈夫!」でしょうか。ご意見をお寄せください。
では、また、来月、お目にかかりましょう。毎日暑いですねえ。皆さん、折角ご自愛のほどを。   草々
                                                  第74話 完 (孝多)
       
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第596回こふみ会 本日の全句      
令和元年(2019年)8月11日   於TCCクラブハウス

◆兼題=跣足・裸足      順不同
ヒロシマは鎮魂の月よ裸足のゲン    玲滴
野を駆ける跣足の少女裸馬                    茘子
海やさし白い跣足とたわむれて       孝多
母が追い跣足で逃げて鬨(とき)の声      紅螺
服着たる人の裸足を描く                       軒外
蹠(あしうら)の未(いま)だやはらか跣足の子  弥生
年重ね跣足の自分を好きになる               舞蹴
千万の跣足跡消え夜の浜                        虚視
裸足にて人追ひし夜の慟哭                     美留
早瀬に跣足で立つ少女A                         珍椿
跣足の子ポップコンみたいに海ザブン       下戸
玉砕の跣足で上陸(あが)れ骨の砂         鬼禿
ブランコの母の跣足の白さかな                矢太

◆兼題=炎天     順不同
炎天下狂わんばかり人を恋う                   孝多
靴ひもの解(ほど)けしままに炎天下        美留
炎天やきのこ雲の記憶とつぜんに              矢太
炎天下なほ野の草の天を刺し                    虚視
炎天を押し上げてゆく樹々の峯            茘子
母国より暑い炎天下研修生働く                 鬼禿
我影と行く他はなし炎天下                       舞蹴
箱根道人なき炎天に石地蔵                       玲滴
炎天下塩舐める人の青い眼差し                 下戸
そのツイート炎天に晒(さら)し無力化する   軒外
炎天に泰然と病む父なりき                       弥生
被爆地の祈り炎天に渦となり                    紅螺
炎天下人も影もとけるスクランブル            珍椿

◆席題=稲妻          順不同
山肌を焦がす稲妻野良仕事                       珍椿
稲妻や二階の闇をなほ闇に                       矢太
稲光り浮世の憂(う)さに突(つ)き刺さり    軒外
灯を消して稲妻のアート幕が開く               茘子
稲妻の一閃いよよ深き闇                          弥生
稲妻の中おいでよと招く人                       鬼禿
稲妻や生きとし者に黒き影                       舞蹴
稲妻やくちびるの生毛あらわにし               虚視
一瞬に来たりて去りぬ君は稲妻                  玲滴
稲妻にパッと追いつけ一眼レフの音           下戸
楽しさは稲妻ドミンゴギアマンの酒            紅螺
稲妻や昔のような二人です                       孝多
稲妻を追ふ仔猫の目動き急(きゅう)       美留

◆席題=西瓜     順不同
西瓜割る父頼もしき夕餉(ゆふげ)かな       美留
絹の道青い眼をした西瓜売り                     下戸
子らのいて種とばしあう西瓜かな               玲滴
いいこともやなこともあり西瓜切る            舞蹴
西瓜割る気だるき正午真っ二つ                  虚視
子が四人丸ごとの西瓜切るを見る               紅螺
喪服の老紳士西瓜下げて来る                     軒外
拗(す)ねて穿(ほじ)った西瓜の種の黒きかな  弥生
昼深し西瓜眠れる井戸の闇                        茘子
干からびた西瓜の皮や渚まで                     鬼禿
夕暮れや想い出重ねて噛む西瓜                  孝多
砂浜で子らのきょう声西瓜割り                  珍椿
ケンちゃんの顔が西瓜の中を這ふ               矢太

                                    以上13名52句
                     (1字アケを要望し、それを指示した句はありませんでした。)

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水野タケシ

孝多先生、8月のこふみ会お疲れさまでした!!

楽しく拝読させていただきました!!

「跣」はクルブシから下(男や子供、健康的)、素足は脚全体(ストッキングをはいてない脚。若い人は生足とも呼ぶ。スラリと伸びた女性の脚。エロス)をイメージしていました。

少し考えすぎでしょうか?

そして先生、8月31日はお誕生日おめでとうございます!!

ますますお元気で、ますますご指導くださいますよう

お願い申し上げます!!バンザーイ∩(≧∇≦)∩
by 水野タケシ (2019-09-01 06:59) 

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