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台湾・高雄の緑陰で №25 [雑木林の四季]

米・中貿易戦の狭間にある台湾

         在台湾・コラムニスト  何 聡明

東西冷戦持続中の1970年代米国のニクソン政府はソヴィエトロシアを牽制するため、領土問題で同じく共産国家の中露関係が悪化していた中華人民共和国政府と友好を始め、更に1979年カータ政府は台湾へ亡命していた中華民国国民党政府と断交し、中華人民共和国と国交を結んだ。

全球化(Globalization)を提唱した米国は中国が西側諸国と貿易を促進する事によって得る富で民主化へ転向することを期待し、中国のWTO加入を支持した一方、西太平洋の要に位置する台湾を軽視する政策を取るようになった。だが、平和立国を唱えて国家資本を使い各国と貿易を強化した中国はその巨額の富を行使して着々と陸海空軍の現代化と増強を進めた。更に2013年習近平氏が中国共産党のトップに就任するとアジアとアフリカ大陸、中南米の発展途上国家に援助資金をばら撒く「一帯一路」と呼ぶ経済侵略政策を立案し、2015年にそれを実行に移したのである。今中国は日本を追い抜いて世界第二の経済大国にのし上がった。

2017年1月にトランプ氏が米国大統領に就任すると、長足の経済発展をとげた中国が民主化どころか、経済面で世界制覇を目指す一方、急激に軍備を拡張をしていることに危機感を抱き、2018年6月に対中経済制裁に踏み切った。中国も米国に対抗して米中貿易戦争は現在も進行中である。トランプ氏は同盟国である日本を含む民主主義国家にも貿易不均衡の理由で制裁を加えると恫喝したが、米国が同盟国と中国を同一視するの無理で軽率でもある。その後、米国はEUの代表やカナダ政府と折衝を重ねて制裁は緩和されたようだ。

注目に値するのは米国が西太平洋の要に位置する台湾の戦略的重要性を再認識したことである。1980年に台湾で残存した中華民国と断交後、米国は国内法として「台湾関係法」を立法したが中国に気兼ねして台湾との経済関係は防衛用武器のセールスと一般の貿易に限られた。2016年末大統領に当選したトランプ氏は台湾の蔡英文総統から祝賀電話を受けた時、異例にも蔡氏を「総統」と呼称して中国の不興を買った。2018年3月以降米国国会は米台両政府高官の相互訪問を許す「台湾旅行法」と国防に必需の武器を台湾へ売却する「国防授権法」を立て続けに立法し、大統領が署名公布した。米国防省は台湾海峡は公海であることを強調し、米駆逐艦が台湾海峡を2度航行したと発表し、今後とも米艦艇の台湾海峡航行を続けると声明、それを実行している。台北市内に新築された広壮な「アメリカ合衆国駐台湾会館(AIT)」には米海兵隊員が警備に当たることが決まり、AITビルが大使館と同格の外交機構であることを意味する。

米国の新しい対台湾政策に中国が苛立つのは当然だが、中国が長らく続けている台湾に対する面あてと仕打ちは余りにも粗雑で滑稽でもある。中国政府は台湾へ向かう貨客機の目的地を「台湾台北」ではなく「中国台北」に改めるよう各国航空会社に強要した。また4年前既に台湾の台中市で挙行することが決まっていた2019年8月開催予定の「アジア青年運動会」の取り消しを発表するなどヒステリックな言動を繰り返している。

中国政府は勝手に台湾は先祖より残されたた国土の一部であり、時至れば武力を行使してでも絶対に統一すると恐喝するが、その先祖がどの民族であるかを明らかにしていない。若しその先祖が漢民族ではなく欧亜大陸を一時征服統一した蒙古の覇者ジンギスカン(中国人は元朝の始皇帝と呼ぶ)であれば、ウラジボストックを含む東シベリヤ、中央アジア、イラン、現在はEUのメンバーである東ヨーロッパのオーストリヤ、ハンガリー等々を含む諸国も先祖が残した領土となるが、その広大な地域を中国の一部であるから時来たらば武力で統一するとは公言していない。

中国が若し対米、対欧、対日の貿易戦争で敗北して莫大な財力と投資資金を失い、「一帯一路」に依る世界経済制覇の夢が消えれば、既に現代化した軍隊を駆使して武力で世界覇権の道を選び、その手始めに中国は台湾または尖閣列島の武力奪取に踏み切るかもだ。民主主義諸国は習近平主導の中国が経済と武力の二刀流の使い手であることをよく認識して、対応策を講じなければならない。

商人出身のトランプ大統領は現在アメリカ合衆国内外での評判は毀誉褒貶半々であるが、対内には専制統治、対外には経済と軍事侵略で暴走する共産党一党独裁の中国政府に対抗するトランプ氏の政策とその執行力を筆者は高く評価する、その政策が中国の世界制覇への野望を阻止できると考えるからである。


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