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私の中の一期一会 №194 [雑木林の四季]

              参院選、投票率48.80%は24年振りの50%割れ
      ~単なるポピュリズムではなかった「れいわ新選組」の山本太郎が大健闘~

        アバウンサー&キャスター  藤田和弘

 令和になって最初の国政選挙となった参院選は、投票率が上がれば面白くなるのではと私は思っていた。
 選挙の結果は、自民・公明の与党が改選議席の過半数にあたる63議席を超えて勝利したが、“改憲勢力”は3分の2に届かず、発議に必要な164議席を維持することは出来なかった。
 今回の参院選で、気になったのは投票率があまりにも低かったことである。
 選挙区の投票率48.80%、(比例代表48.79%)という数字は、前回16年の参院選の54.70%を大きく下回り、国政選挙では下から2番目の低投票率であった。
 投票率が50%に届かなかったのは24年ぶりということだが、安倍政権はさぞ安堵したことだろう。
 調べてみると、参院選の投票率は近年50%台で推移してきた。
 1980年には74.54%を記録しているが、この時がピ―クで以後は下がり続けてきた。
 政治不信が叫ばれた95年には44.52%まで落ち込み、これが史上最低記録となっている。
 この時は「参議院無用論」まで出ている。
 中日新聞の社説は、“低投票率は議会制民主主義の基盤を崩しかねない”と指摘している。
 何故、有権者の半数以上が投票所に行かなかったのだろうか。
 21日は台風による悪天候の影響があったからとか、亥年の選挙だからという記事もあったが、最近では期日前投票も可能だから、当日の悪天候は理由にならないと私は思う。
 棄権する理由として「政策が分かりにくい」、「投票しても結果は変わらない」、「政治には期待していない」などが考えられるが、これらは選挙のたびに挙げれる要因でいつも同じだ。
 安倍首相は「国民の皆様から力強い信任を頂いた」と語ったが、全有権者に占める得票率の割合を示す「絶対得票率」で見ると与党でも18.9%で2割に満たないのである。
 これでホントに国民から信任されたと言えるのだろうか?
 ジャーナリストの田原総一郎氏は、投票率の低さに衝撃を受けたと述べている。
 与党も野党も、国民が強く不安に思っている問題から逃げて、自分たちに都合のいい事柄ばかり論じている。
 選挙直後の共同通信の世論調査によれば、政治の優先課題は「今後の生活不安」、「介護・医療」、「これからの景気」と続き、「憲法改正」は最下位の9位だった。6.9%しかなかった。
 麻生太郎金融担当相が野党から2000万円不足問題を追及され「報告書を受け取らない」などと宣言したのは無責任極まりない。大失態だと切り捨てている。
 都合の悪いことは論じないで逃げる事柄ばかりだから、投票率が異常に低くなったと田原氏は捉えているのである。
 大坂府吹田市に住む67歳の男性の「投票率低下の一因に予想報道」という新聞の投書が目についた。
 参院選の投票率が50%を割り、過去2番目の低さになった原因の一つは“新聞・テレビの報道姿勢”にあるのではないかと書いている。
 報道各社は、世論調査などを基に選挙直前や選挙中に結果予想を度々報道する。
 その数値は極めて正確なのだ。予想と結果が一致することが当然になると、選挙への関心が一気になくなるので、自分は選挙の予想記事を読まないようにしている。
どのテレビも、どの新聞も同じような予想を伝える現在、選挙にどんな意味があるのだろうか。
 予想報道は、かえって選挙への関心を奪い、結果として「投票するまでもないな」となってしまう。
 正確な予想報道は、投票率の低下を招いて民主主義を劣化させているのではないだろうか・・・というものだった。
 “正確な予想報道”はかえって選挙への関心を奪ってしまうという考え方は、選挙報道の経験を持つ私には思いつかないことであった。
 著名人の脳学者・茂木健一郎さんも「投票率の低さは、テレビにも責任があるのではないか」と疑問を呈している。
 NHKは、選挙が終わったら「憲法改正が政治日程にどうのこうの・・と言い始めた。
 選挙期間中に“憲法改正の是非”など、ニュースの中で分析・報道していた記憶がない。
 選挙の直前、テレビは主に吉本興業の問題ばかりだった。4日の公示後も“政策の比較”や“精査”など、有権者にとって重要な情報が多かったとは思わない」と非難した。
 ネットにもテレビに対する風当たりが結構多いのに気付く。
「“投票率が低い”とか”若者の関心が”などがテレビから流れてくるが、投票日が終わるまで散々“闇営業”と“日韓摩擦”、“タピオカ”ばっかり報道して、選挙にも政策にも触れなかったくせに・・・」
「選挙前になると、様々な問題があったことを放送しなくなる。開票日以降になってから放送する。これは忖度以外の何ものでもない。
 メディアを名乗るなら、前回の選挙からどんな問題があったを報道して、有権者が判断できる情報を流すべきだろう・・」
「もう日本のテレビに期待するものは何もない。もっと選挙前に伝えろ!
 投票率だって選挙直前に各党の論戦を伝えれば上がるかもよ・・・」
 今回の参院選で、「れいわ新選組」を率いる山本太郎氏(44)の街頭演説やインターネットでの発言に多くの有権者が反応した。
 山本氏自身は、比例区で落選したが、約99万票を獲得したのには驚かされた。
「れいわ」は比例代表で、難病と重度障害の当事者たち2人を国政に送り出すことに成功した。
 政党要件を満たすことも出来た。
「単なるパフォーマンスだろう」ぐらいにしか思わなかった多くの国会議員たちは、“脅威”を感じているかも知れない。
「れいわ新選組」は既成政党に頼らず、世の中を変えたいという有権者の気持ちに応えたという評価がある。
「20年以上續くデフレを生み出してきた責任の大部分は自民党にある。自民党なら現状を維持できると思うのは間違いだ。人々の暮らしはどんどん貧しくなっている。自民党政治にピリオドを打たなきゃしょうがない」・・・山本太郎はこうして聴衆を魅了してきたのだ。
 もう労組や団体の組織力に頼る時代ではない。有権者一人ひとりに訴えかけることが大事なのだ。
 主権者教育を充実させ、有権者に当事者意識を持たせることが大事だ。
 当事者意識が強固なものになれば、低投票率にやきもきするようなことにはならない筈である。
 


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