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雑記帳2019-8-1 [代表・玲子の雑記帳]

2019-8-1
「立川のはたけ!見学と交流会」を行いました。

7月8日(月)、消費者34名を含む53名の参加で今年の畑見学と交流会がおこなわれました。見学先は立川市西部の一番町と西砂町の2箇所、時間的にゆったりとした見学会になりました。

最初に訪れたのは一番町、トマト名人という評判の荒井さんの圃場です。
収穫のピークを過ぎていましたが、ハウスのトマトを見せてもらいました。

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荒井さんが育てているトマトは大玉の「ハナミ」という品種です。
大きくなるためには水やりが大切、でも上から水をかけると病気になりやすいので、地表から上に向けて散水する装置をしてあります。

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ハウスはUVカットハウス。トマトの受粉をするマルハナミツバチがUVカットハウスでは飛んでくれないので、5日に1回、人手で受粉作業をするそうです。
また、アザミウマなど虫の侵入を防いてくれますが、風通しが悪い。こちらも人力でハウスの屋根を開閉する作業は欠かせません。天気予報を聞きながらのこまめな作業になるということでした。

トマトは接ぎ木で育てます。台木は根が密集しているものを選びます。トマトを支え、丈夫に育つのに欠かせないという話を、皆さん、熱心に聞きいっていました。「トマトを接ぎ木するのは初めて知った」と驚く参加者もいました。


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接ぎ木の説明をする荒井さん

3月15日に定植したトマトはそろそろ終了、次は冬の出荷に備えて、8月にほうれん草をうえる準備をしているということでした。

ハウスの後ろに広がるのはトウモロコシ畑です。
品種は「味来(みらい)」。もぎたてを試食させてもらいました。甘いのにびっくり、収穫してすぐなら生でも食べられる、時間がたつと甘味がどんどんへっていく、トウモロコシはその日のうちに食べるのが鉄則です。「味来」はあまくておいしいが、種の流通が少ないのが難点だそうです。
庭先販売は3時からなので残念ながら自慢のトマトを買うことはできませんでした。

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トウモロコシは葉がしっかり育つことが大事
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もぎたては生で食べると甘さ抜群!
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庭先販売のトマト 美味しそう!

次は西砂町のお茶農家、古川さんの畑をたずねました。
古川さんは立川市内では珍しくなった養豚農家でもあります。800頭の豚を飼っていますが、豚コレラの心配もあって豚舎は遠くから見るだけになりました。

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茶畑の向うに見えるのは豚舎

10番茶を摘み終わった茶畑を見学しました。年に16回ほど収穫するそうです。
入間の100aと合わせて200aの畑のお茶はすべてコカコーラ入間工場に納入され、「綾鷹」の原料になります。
以前は畑でキャベツをつくっていましたが、手間がかかったのに対し、お茶は機械化が出来て栽培が楽、本業の養豚の傍らできるということでふみきったということでした。
ただもうからないので、お茶の産地では放棄地が多いそうです。

工場へは粗茶にした段階で納入します。
普通茶葉は成長するとかたくなるので、3番茶くらいまでしかお茶になりませんが、飲料メーカーはブレンドができるため、カテキン目当てにどんな茶葉でもOKだそうです。
お茶は刈ってから2時間半が限界。それ以上経つと発酵するのだそうです。雨がふると品質も落ちます。それにしたって、どこのお茶でも最初に摘んだ葉が一番おいしいと、古川さんは笑いました。
全国の茶畑に見られる霜よけの風車は、お茶の木が活動を止めている冬季はまわしません。3月下旬に芽が動くときに遅霜がある、その時期からまわすのだそうです。

農薬にも質問が集まりました。
時期によってつく虫がちがうので、農薬もそれに応じて変えるという答えでした。
「やぶきた」は味がいいが、木が弱く、カイガラムシなど虫がつきやすい。カイガラムシは卵の時は殻をかぶっているので農薬が効かない。からを破って出てきたときに農薬をかけるのが手間だという話も聞きました。今は「さやまかおり」を栽培しています。品種としては「やぶきた」におよばないが栽培は楽だということでした。

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住宅地のそばに広がる茶畑
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説明する古川さん

古川さんはコカコーラに出荷するためにGAPを取得しています。
GAP(Good Agricultural Practice・農業生産工程管理)は 品質の工場や競争力の強化、消費者に向けた信頼の確保など、持続的な農業経営をめざすとして、国は農家にその取得をすすめています。
オリンピック選手村への納入に必要と、東京都なども盛んに取得をよびかけますが、150項目にわたる細かい審査をクリアしての取得は、実際のところ、都市農業の現場ではなかなかすすんでいません。飲料メーカーが必要なので、契約農家に取得させる、というのが現実でしょう。GAP取得はお茶農家が一番多いのではないかという、古川さんの話でした。
監査は年1回2時間程度、5年に1度は5時間かけて大掛かりな監査があるということです。

昼食・交流は給食センターで行われました。
本日のメニューは夏野菜カレー、短冊サラダ、トウモロコシ。トウモロコシは当初、立川産を使う予定が、天候不良のため量を確保できず、スーパーのトウモロコシになってしまいました。お米は姉妹市大町のコシヒカリです。
野菜や果物はゼリーや人参ピューレなどの加工品が利用されることもあります。立川産のはちみつだってあるのです。それも含めて、立川産野菜の比率は市内の小学校給食全体の13.5%。もっと参入農家が増えてほしいと、栄養士さんならずとも地産地消をのぞむ声は大きいようです。

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お昼は学校の給食と同じように半セルフで
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本日のメニュー

参加者は農家の話に興味津々です。
まだハクビシンの被害はでていない、5月は雨が少なかったので育ちが悪く、収穫遅れ気味、最近の雨の降り方は気になる。どかぶりは地表を流れてしまうのでだめ。雨が地面にしみるにはシトシトがいいいのだが・・・。
福祉作業所との連携など、農業を通じて社会貢献できる、農は社会の様々な分野をつなぐことができるという話は、多品種栽培だけでない、都市農業の多面性を気づかせてくれるものでした。
売れば簡単に宅地になってしまうところに野菜を造り続けている農家の姿に感動したという声もありました。

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農家を囲んでグループの交流がはずみました。

後日、初参加のKさんからメールをもらいました。
「立川でお茶畑や養豚場があること、全く知りませんでした。体験するって大切ですね。
実際に農場で作物を見て触れて、ナスの花の美しさに感動し、木にぶら下がっているぴかぴかのトマトが愛おしくなったり、新鮮なトウモロコシの美味しさに驚いたり、いろいろ体験できました♪
農家の方々とお話できたのもとても良かったです。
ご苦労を聞き、大変な農業を続けて下さっている姿に感謝の気持ちでいっぱいになりました。社会貢献という気持ちがなくては立川で農業を続けるなんて出来ることではないですよね。
立川の農家、少なくはなっているけれど、後継者がいるところが多いし、みなさんいろいろな工夫をし頑張っているというお話を聞いて少し安心しました。」

今回、特筆すべきは職場体験の中学生が参加してくれたということです。
自分の祖父母くらいのおとなに囲まれて十分な意見も言えなかったのではと思いましたが、中には集合前の朝早い時間に植木の剪定作業をしてきたという中学生もいました。
この時期、どこの中学校でも職場体験のカリキュラムが組まれています。市内の様々な業種の中で、農業を選ぶ子供がいるのは都市農業の希望です。後日、農業委員会の現地調査で伺った清水さんの畑では、職場体験の中学生10人が200aの茄子畑の茄子の支柱を建ててくれたということでした。無償の大人のボランティアさんにも恵まれているそうで、地域に根差した農業の形をみる思いがしました。

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