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往きは良い良い、帰りは……物語 №71 [文芸美術の森]

往きは良い良い、帰りは……物語 
その71  TCCクラブハウスにて
「髪洗ふ(髪洗う)」「卯波(うなみ)」「麦笛(麦の笛)」「青葡萄(あおぶどう)」
                      コピーライター  多比羅 孝(俳句・こふみ会同人)

◆◆平成31年4月24日◆◆
当番幹事・岩永矢太・小池茘子ご両名からの案内状が届きました。

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皐月こふみ会御案内
十二日(日)十三時から いつもの表参道・TCCです。
兼題二つは「髪洗ふ」「卯波」
会費1,500円  おいしいお弁当つき お楽しみに。
出欠の返はメールで矢太へ! info@roxcompany.jp
●景品三ツ(計千円以内)を忘れずにね。
●岡田直也さん(誘いました。きっと来てね!)
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これに応える軒外氏の返信レターは、毎回のことながら素晴らしい。
今回は卯波のイラスト。寄せたり返したり。

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孝多は、と申せば「髪」、(これまた毎回)白川静の『常用字解』からの引用です。(出席!)

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この「髪」の字の下のほう(友)が無い、ただの髟は「びょう」と読んで、長い髪の毛がなびくこと、ですって。

◆◆さて当日(令和元年5月12日◆◆
TCCシニア会員の岡田直也氏が、矢太氏の誘いを受けて、試行参加という立場で出席してくれました。嬉しや、なつかしや!
氏のために、私・孝多はちょっと説明したのですが、当会の仮名づかいは新旧混交、各自の自由であり、それを尊重していること。「爽やか」は「サハヤカ」であったり、「笑う」は「ワラフ」であったり……。すると氏は応じました。「≪笑う≫は≪ふふと笑ふ≫ですよね」。ああ、痛快。分かっている人。
そしてまた、記録に残すときは五・七・五を(字あまりなどを含めて)分かち書きにしていること。「古池や 蛙飛びこむ 水の音」と、アケます。邪道であると指摘されることもありますが、承知のうえです。パソコンの画面で、しかも横組みになっている私たちの現状では、どうしても、分かち書きが読みやすいのですよね。是認していただきました。
4句投句、8句選のことや短冊の書き方などについては隣に座った矢太氏が案内していました。OKです。次回から「正会員」として、ぜひ、ご出席のほどを!

◆◆さあて、さてさて、本日の成績発表で~す。◆◆
と、その前に、本日の兼題と席題は、次のとおり~!
とんかつ≪まい泉≫の≪ごちそう海苔弁当≫を食べながら考えました。

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張り出された席題には、あとで話題となる「ムギノフエ」もあります。これを玲滴さんが読み間違えて……というハナシです。とくと、ご覧ください。

さあて、いよいよ成績発表!!
★本日のトータルの天は~46点の舞蹴さ~ん。
代表句は「口笛の 鳴らぬ唇 青葡萄」 パチパチパチッ!

★トータルの地は~45点の虚視さ~ん。
代表句は「朝霧を 水平に切り 麦の笛」 パチパチパチッ!

★トータルの人は~39点の玲滴さ~ん。
代表句は「草原に 吹く人見えず 麦の笛」 パチパチパチッ!

★トータルの次点は~26点の鬼禿さ~ん。
代表句は「髪洗ふ 姉を見ている 昼の月」 パチパチパチッ!

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       (左から人の玲滴さん、天の舞蹴さん、地の虚視さん。撮影=軒外氏。)

皆さん、おめでとうございました。パチパチパチッ!
殊に玲滴さんの「人」は賞賛に値するでしょう。参加3回目にして天・地・人といった高位に選ばれることは滅多にあることではありません。
それが実現しました。
まさに、快挙です。パチパチパチッ!!

そこで翌日、ご当人に直接、「人」の感想をききたいと思って、たずねましたところ、全く謙虚に、はずされてしまいました。返事として、次の文章がFAXで送られて来たのです。人柄ですね。ワカリマシタ。

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今回「人」をいただいたのはまったくもってまぐれです。奇跡みたいなものです。あんなことは二度とおこらないとおもっています。
昨日のこふみ会で一番おもしろく、印象的だったのは「麦の笛」です。
私は「笛」を「苗(なえ)」と見間違って、思わず「麦の苗(なえ)ってなんですか」と、隣にいた多比羅先生に聞いたのでした。
その時のお答えも実はおもしろかったのです。多比羅先生はまじめなお顔で、

「私の育った秩父では麦は米のような苗はつくりません。直か蒔きです。」
ちょっと考えれば当たり前だったのですが、「聞いてみましょう」とおっしゃって、さもご自分が見間違ったかのように幹事さんに尋ねてくださいました。
そしたら「麦の笛(ふえ)です。」
そこで藤村の「千曲川旅情の歌」なんぞも出てきて、ひとしきり麦の笛談義がおこったのでした。同時に秩父では麦一本たりとも粗末にしないという話も……。
そうしたら、壁に張られた席題の字をじっと眺めていた、この日初参加のナオヤさんが、「多比羅先生が間違った理由がわかった」と言って、「田」の字にちょっと線をのばして「由」に直してくれました。
これでなるほどと皆な納得できたのでした。
茘子さんいわく、「わたし、昔から漢字は苦手だったのよね。」
いえいえ、茘子さん、ご自分のエラーとして助け船を出していただいて、ありがとうございました。
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話は替わって、当日の天位に謹呈する絵付き短冊は、下載のとおりです。
今回もカラフルに14枚。

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「でも、これ、良くないよ、絵に描きにくい句は天に選ばれなくなるよ。」と、誰かが言って、これは冗談。愉快、愉快と、人それぞれに描いて楽しんでいる様子。すっかり定着して、絵付き短冊は、今や、当会の親睦の象徴の一つと言えるでしょう。

ではまた来月。当番幹事は、竹内美留さんと秋元虚視さんのようですね。どうぞよろしく。皆さん、お元気に。
(本日の全句を下載します。)
                                        第71話 完 (孝多)

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第593回 こふみ会・全句
令和元年五月十二日    於TCCクラブハウス

◆兼題=髪洗ふ(髪洗う)   順不同
髪洗ふ H2Oに 愛撫させ        矢太
恋ごころ 鋏(はさみ)で切って 髪洗ふ  茘子
髪洗ふ 君は此処から 僕のもの               直哉
髪洗ふ おんなが天女に 戻る朝               一遅
聖女でも 悪女でもよし 髪洗ふ               軒外
刻々と 過去になっていく 髪洗ふ            紅螺
海草のごと 少女は長き 髪洗ふ             弥生
髪洗ふ 姉を見ている 昼の月                鬼禿
髪洗ふ 後ろ姿に 老ひを見る                  珍椿
泣き止まぬ 髪洗ふ子の手 乳に触れ          美留
髪洗ふ 令和の朝や つつがなく               玲滴
拾ひたる 命と知りて 髪洗う                  舞蹴
美しき 幻影(げんえい)として 髪洗う    孝多
洗い髪の ままでいると 人魚だね             虚視

◆兼題=卯波      順不同
彷徨へば 山は卯の花 海は卯の波             軒外
初島は 千の卯波の 先にあり                  紅螺
卯波来て 私の足跡 消えて行く                孝多
漂泊の 夢消え去りて 卯波立つ                鬼禿
東海の 瀬取りを揺らし 卯波立つ             直哉
放牧の 羊の群れに 卯波立つ                   玲滴
開け放つ 窓いっぱいの 卯波かな              茘子
卯波高く 哀歌知らずや 七里ケ浜              弥生
終の住まい 湘南の海に 卯波立つ              一遅
卯波来て 網(あみ)上(あ)ぐ二の腕 なお太し 美留
泡立つ 卯波と戦う 老漁夫                      珍椿
卯波立つ 息子戻(もど)るぞ 孫嫁つれて  鬼禿
空瓶と なりて卯波に 抱かれたし              虚視
喫水線を 犯して走る 卯波かな                 矢太

◆席題=麦の笛(麦笛)  順不同
肺病みの 叔父低く吹く 麦の笛                 美留
麦笛を 残して町へ いっちゃった              矢太
遠ざかる 機影見上げつ 麦の笛                 紅螺
懐しき  言葉を紡ぐ 麦の笛                        舞蹴
野に遊ぶ あなたのリードで 麦の笛            直哉
あわあわと 幼き思慕や 麦の笛                  弥生
駆け抜ける 少年の夢 麦の笛                     茘子
麦の笛 弥勒菩薩の くすり指                     鬼禿
戦争もあった 麦笛も吹いた 生きて来た       孝多
麦の笛 ひと声鳴いて 陽は西に                  一遅
草原に 吹く人見えず 麦の笛                     玲滴
裸馬 山かけ降りて 麦の笛                        珍椿
ヴィヴァルディの  オーボエ麦の 笛に似て     軒外
朝霧を 水平に切り 麦の笛                        虚視

◆席題=青葡萄     順不同  
緑の朝の 青葡萄硬い 三つ四つ                  軒外
その下に お遍路(へんろ)休む 青葡萄      孝多
子の眼には 美味と映るか 青葡萄               美留
青銅の 皿に一房 青葡萄                          虚視
青葡萄の 丘に軍機の 影走る                     矢太
カフェのテーブルの上の 青葡萄                  珍椿
青葡萄 葉影でしっかり 時を待つ               一遅
青葡萄 軒先の影 日々深く                        茘子
まだ固き 苞のこして 青葡萄                     玲滴
月満ちて 早く吸いたし 青葡萄                  直哉
青葡萄の下 少年兵の 鉄兜(てつかぶと)    鬼禿
ソーダ水 泡のむこうの 青葡萄                  紅螺
他言できぬ こと聞き重し 青葡萄                弥生
口笛の 鳴らぬ唇 青葡萄                           舞蹴

                                   以上14名 計56句

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水野タケシ

孝多先生、五月の句会も楽しく拝読しました!!

岡田直也さん、参加されたんですねえ!!すごい!!

横幕さんも、参加3回目で「人」賞、すばらしい!!

六月も楽しみにしています!!\(^▽^)/ ぉめでとぉ~


by 水野タケシ (2019-06-01 06:07) 

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