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検証 公団居住60年 №26 [雑木林の四季]

 6.大阪府「光明池」団地をめぐる黒い霧

      国立市富士見台団地自治会長  多和田栄治

 日本住宅公団の土地買収に関連しての疑惑は数多い。インターネットで「日本住宅公団」にならべ「田中金脈」「土地疑惑」等を入力すると、関連する国会議事録が容易に検索できる。その議事録から、ごく一部ではあるが、公団の土地取得の典型的な問題事例、不良資産買収の経過と実態をみてみよう。公団の体質なり、もうひとつの役割をうかがわせる。

 1974年11月12日、田中角栄改造内閣の組閣初日に衆院法務委員会では田中金脈問題がとりあげられた。質問に答えて法務省刑事局長安原美穂は、光明池の土地売買に関連して発生した田中彰治事件の検察庁の冒頭陳述にふれ、事件のあらましを説明している(発言を一部省略・書き換えをした。以下同じ)。

 検察当局は、日本電建が昭和38年4月ごろ、大阪府光明池所在の土地約36万坪を日本住宅公団に売ることにしたが、日本電建は当時大蔵大臣の職にあった田中角栄氏が全株式を所有していた関係上、同社から直接公団に売却することは世間の誤解を招くおそれがあるので、まず日本電建から東洋綿花に、さらに興亜建設に転売し、最終的には同年5月下旬、興亜建設が約14億円で同公団に売却したというような事実を調べている。

 この光明池団地をめぐる田中金脈問題は、つづいて11月26日、参院決算委員会でも佐々木静子委員によっても追及された。

[佐々木静子委員]和泉市の山林、原野、農地など30数万坪が農家から所有権が転々譲渡されて住宅公団が買収するにいたった。疑惑は3点ある。譲渡の形が非常に作為的、不自然であり、経過がはなはだ不明朗である。法人による大量の農地取得に合点がいかない。この土地買収をめぐる、当事者のすべてが刑事事件にからんでいる、そういう物件を日本住宅公団が買った。黒い霧どころか黒そのものの事件である。田中角栄が大蔵大臣の権限を利用して住宅公団に不当に不利な条件で買わせたことに大きな怒りをもっている。
 地目が農地の場合、所有権移転には知事の許可が必要であるが、いつのまにか、昭和36年ころに登記官の手によって売買可能な原野に地目変申され、田中のダミー会社の所有となった。田中金脈は法務局にまで魔の手がのび、登記官の動きに黒い疑惑をもたざるをえない。5坪の土地、10坪の農地でも売買するのに農業委員会の許可をもらうなど非常に苦労したこの時期に、田40筆3,593坪、畑12筆3,224坪の土地が一夜にして原野あるいは山林に地目が変わった。これが農地であれば、大蔵大臣に頼まれても、地目変更はできないはずではないか。
[法務省民事局長川島一郎]非常に古いことで、しかと確かめえない。
[佐々木]非常におかしく思うのは、日本電建から東洋綿花、興亜建設へ転々とし、昭和38年5月15日にまた東洋綿花に所有権が移り、同日にさらに興亜建設に移る。そしてわずか2日後の17日に住宅公団に移る。住宅公団にこの土地を売ったのは果たしてだれなのか。
[公団理事播磨雅雄]公団は興亜建設が相手ということで内部手続きを進めてきたが、いざ契約となったら東洋綿花になっていたので、興亜の名義に戻してもらって契約をしたと内部ではいわれている。
[佐々木]この買収にからんで公団大阪支社の用地課長が収賄罪で昭和44年7月12日に有罪判決をうけ確定しているが、理由は何か。
[安原]東洋綿花の委任をうけた不動産ブローカーの2人が、日本電建所有の光明池地区の用地34万坪について住宅公団に買収をもちかけ、用地課長は昭和37年10月から38年2月にかけて計20万円の収賄をした。
[佐々木]公団が買うには不適地だと意見書を出していた用地課長が、1年後の5月13日に適当な土地であると説明し、その間に贈収賄の事実があった。起訴状には東洋綿花ほか1社と記されている。ところがこのとき所有者はまだ東洋綿花ではなく、日本電建であった。なぜ日本電建だけがこのようにかばわれたのか。課長を20万円で犯罪者に仕立てて、そのうしろに20億、30億円ともうけた人間がいる。
 さらに伺いたい。いまは泉北ニュータウン計画が進められている。これは大阪府の企業局が泉北ニュータウンをこの土地に隣接して買う計画があったればこそこの土地が利用できた。計画がなければ、まったくの山の中でどうしようもない、住むことのできない土地である。泉北ニュータウンの計画を公団が知ったのはいつか、それを知って公団は買ったのか。
[播磨]昭和37年5月ごろ、マスタープラン的なものが出されたので公団も検討した。
[佐々木]日本電建がこの土地を取得したのは昭和36年。大阪府企業局の決定待ちの状態で日本電建あるいはファミリー会社のあいだで転々と譲渡をし、その間に地価がつり上がった。大阪府企業局はこの土地をいくらで買収したのか。
[建設省宅地開発課長沢本守幸]昭和39年度から41年度までに公募面積で340万坪(山林原野50%強、田畑46%)の84%、当時坪約4,000円を基準に買収、48年度末までに完了した。単価は坪5,000円強となっている。
[佐々木]38年の買収のことを聞いている。坪2,100円、2,400円、2,700円の3種類となっているのではないか。会計検査院の調査にも同じ数字がでている。時価2,000円ほどのところを倍の価格で買った。日本電建はこの土地を坪400円、安いところは240円で買っている。それが1、2年たたないあいだに17倍の価格、坪4,100円で売買価格がきまった。住宅公団はどのように考えているのか。これでも安いつもりだったのか。
[播磨]最初の買主がいくらで買ったかは承知していない。公団は4、300円と結論を出した。
[佐々木]住宅公団が契約した興亜建設の社長は大橋富重で、詐欺横領事件の被疑者であり、長期の懲役刑の判決をうけた人と聞いている。昭和40年11月20日の新聞には「団地(光明池)汚職進展か、黒いウワサの大橋逮捕」と出ている。住宅公団はなぜそういう人と契約したのか。
[播磨]そのへんはどうも調べていない。
[警察庁刑事局長田村宣明](昭和40年の取り調べにかんしては)当時の記録等がない。
[安原]法務省の保管記録ではないので差し出せない。
[佐々木](法務大臣にたいし)国民があきれはてるような、この汚い政治にたいして、どうしていままで司直の手が伸びなかったのか、非常に遺憾に思う。

『検証 公団居住60年』 東信堂

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