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往きは良い良い、帰りは……物語 №66 [文芸美術の森]

往きは良い良い、帰りは……物語  (こふみ通信)
その66    TCCクラブハウスにて
『凩(こがらし)』『葱(ねぎ)』『鱈(たら)』『狩(かり)』
                 コピーライター  多比羅 孝(俳句・こふみ会同人)

◆◆平成30年11月26日◆◆
当番幹事(岩永矢太氏&秋元虚視氏)から案内状が届きました。

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こふみ句会
師走九日(日)十三時 いつものTCCです
兼題は凩と葱
景品 千円くらいで 会費 千五百円
変わらずですが 鰻ですぞ
出欠の返は30日迄 メールで矢太へ!
当番 虚視ト
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これに応じた軒外氏の返信レターはいつものとおり、素敵!

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私・孝多は『常用字解(白川静)』から採って次ぎのように返信しました。

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下の方には、手書きで「当日のための臨時予算は確保しました。」と入れました。忘年鰻(うなぎ)デーです!

★いろいろ連絡し合っているうちに、秋元虚視氏から「銀塩写真展」のお知らせがありました。タイトルは≪LIFE 写真のある生活≫。要約すれば下記のとおりです。素晴らしい!「バウハウス」という名も懐かしい!
 とき=2018年11月21日~2019年2月9日
 ところ=GALLARY BAUHAUS
             千代田区外神田20-19-14
             TEL 03-5294-2566
 展示作品=秋元氏をはじめ、錚々(そうそう)たる顔ぶれ。奈良原一高、石元泰博、       田原圭一、アンセル・アダムス、エドワード・ウエストン、ハリー・キャラハン、ユー    ジン・スミス、ブルース・デヴィッドソン。注目!ですよね。

◆◆さて12月9日、句会の当日のトピックスは……◆◆
その1=こふみ会史上、初ではないでしょうか。兼題・席題、合わせて4題すべて漢字ひと文字だったこと。ですから「凩」は「木枯」や「木枯し」や「木枯らし」ではなく、全員、きちんと「凩」。揃いましたねえ。

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その2=鰻丼(うなどん)の出前。その有りようは、世間、実に様々なのだそうです。幹事さんの説明によれば、先ず、器を、店の人が回収に来るかどうか。つまり食器が、使い捨てか否か。「きもすい」まで付けてくれるか否か。(付ける場合に大きな魔法瓶にアツアツなのが入れてあって、お椀には、きざんだ薬味が、あらかじめ入っていて……と、至れり尽くせり。)
香のものも出前に付けてもらえる?OK?NO? 箸は竹?
今回、幹事さんが選んだ店は、こうした出前で最高の「おもてなし」が味わえる、と確信できた渋谷の「松川」とのこと。配達されて来た鰻丼一式は写真(撮影は軒外氏)のとおり。美味揃い。すっかり堪能させてもらいました。

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その3=競馬あそび。
鬼禿氏が提案して、一同がその指示に従って行なわれたのでしたが、ちょっと変わった遊びでした。
普通の競馬遊びのように、1位、2位、3位に入った人に賞が与えられるというのではなく、賞に入るであろう人物を想定して、それが的中した人にご褒美が出るという正式のやり方で行なわれる「あそび」。
その結果は、〇〇さんとなりましたが、〇〇さんがもらった品は何だったか? サービスとしてご自分が持参した鬼禿氏だけがご存じです。あとで、たずねてみようっと。

その4=たずねそこない
紅螺さんは、私・孝多のすぐ右隣に座って居られたのですが、ついぞ、たずねることができませんでした。紅螺さんは、せっせと鰻の配膳を手伝ったり、皆さんにワインを注いで差しあげたり、句の清書をして下さったり。勿論、ご自分の句を考えたり、お忙しい。ですから、お聞きできませんでした。
★紅螺さんの活躍なさる二紀展は、頂いた案内状によれば、第72回とありますが、いつから始まったのでしょうか? 年1回の開催なのでしょうか。
★「二紀展」の「二紀」とはどういう意味なのですか? その由来は何でしょうか?
★国立新美術館にても、また、銀座の「一枚の繪」の展覧会会場にても、出品する画家の作品の大きさには、何か、規定でもあるのですか?
などなど、おたずねしたいことは、十指に余るほどなのですが……。残念ながら、お聞きするチャンスがありませんでした。句会の席では無理ですよね。
ですから一度、別な場を設けて、ゆっくりお話を承りたいと思います。勿論、ご自身の作品についても、いろいろ、教えてくださいませんか。有志と一席、囲みましょう。

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その5=ぶっちぎり
これまた、史上、初だったかも知れません。虚視氏の快挙。凄い、凄い。本日64点獲得です。天が7点、地が5点、人が3点、5作ある客が各1点ですから、参加者一人(ひとり)が持つ点は20点という勘定です。
今回のように、参加者が11名ですと、会場に於ける総点数は「20×11=220」で、220点という次第。
その220点中の64点が虚視さんに行ってしまったのですから、大変。29,09%にも当たる数字だということに相成ります。
いや~、お見事。いわゆる「ぶっちぎり」「ダントツ(断然トップ)」。
でも、虚視氏は言って居られました。「前回、トータルの人だった時は恥かしいことに、短冊ナシだったんですよ」。しかし、凄いなあ。今回、短冊5枚。
そのうち、3枚が『生命追う 一点となり 狩の森』
おめでとうございました! 圧勝でした。

その6=テレビはすべて、やらせナリ。
しらじらしいよね、あの演技。「はじめまして」などと言って家のドアを、さっと開けて、ニッコリと、お待ちしてました、のフリをする……。危険をおかして、山道を、くねくねと走って来るクルマの映像。あらかじめ高い所に陣取って、カメラを据えていたスタッフが居るというのに……。
そんなこんなから、ハナシは夏井いつき氏の「リハーサル」や、氏の番組出演の功と罪にまで及びました。
しかし、それは、長くなりますから、また改めて、別な機会に、ご報告申しあげることに致しましょう。今回のトピックスは、これで、おしまい。

◆◆そして、やがて、本日の成績発表!◆◆
得点を示す正の字を数えて、係が声を大にします。
では皆さん、本日の成績発表で~す。

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左から、地の弥生、天の虚視、人の孝多(撮影=軒外) 敬称略

★本日のトータルの天は~64点の虚視さ~ん。
代表句は『生命追う 一点となり 狩の森』 パチパチパチッ。

★トータルの地は~35点の弥生さ~ん。
代表句は『腑分けさるる 鹿のまなこや 狩のあと』 パチパチパチッ。

★トータルの人は~24点の孝多さ~ん。
代表句は『忘れよう もう忘れよう 葱きざむ』 パチパチパチッ。

★トータルの次点は~21点の紅螺さ~ん。
代表句は『凩や 女易者の 細き声』 パチパチパチッ。

パチパチパチッ! 皆さん、おめでとうございました。天位へ謹呈される絵付きの短冊も、一同、張り切ってカラフル!!

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◆◆幹事さんはじめ、全員大奮闘の句会でした。楽しかった! これで今年の締め括り。よく言われるように、≪平成最後の≫こふみ師走句会。めでたく納まったというものです。帰りも良い良い! 皆さん、有難うございました。
新春は、どなたが幹事さんだったかしら。よろしくお願い申しあげます。
これを書いている時点では、「皆さん、どうぞ、良いお年を!」です。お元気に。
                                第66話 完    (孝多)

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第588回  こふみ会・全句
平成30年12月9日    於 TCCクラブハウス
◆兼題=凩      順不同
凩の 一号未だ 床の中                           軒外
凩が 背中を押すや プロポーズ                  舞蹴
凩の ひととき止んで 老猫走る                一遅
凩や 女易者の 細き声                             紅螺
凩や 衿を立てて 三年坂                          珍椿
凩や 今は誰(た)が住む 灯りかな            弥生
凩や ミフネ不敵の 高笑ひ                        美留
凩や 転がる石の その上を                        矢太
凩ぬける 空のペンギン 池袋                 鬼禿
凩や 想い出が散る 去って行く                  孝多
凩を 棙じ伏せ 巨大防波堤                        虚視

◆兼題=葱     順不同
紅さす手 かすかに葱の 匂ひかな                 弥生
葱刻む 芯より白き 君の指                         舞蹴
朝穫れの 葱摘み 朝市へ                            珍椿
葱の自負 緑→白への 漸時的移行                 軒外
葱切るや 迸(ほとばし)る乳の ごときもの   虚視
葱を焼く 焼酎熱し 通夜帰り                       鬼禿
泥葱の 大地の力を いただきます                 美留
あかぎれの 母の手 真っ白な葱切る              一遅
序二段が 足どり軽く 葱持って                    紅螺
忘れよう もう忘れよう 葱きざむ                 孝多
武蔵野の 土より生れて 葱白し                    矢太

◆席題=鱈      順不同
鱈の腹 割って赤子の 流れ出る                     矢太
鱈ちりで一杯 後は一人寝                              軒外
元ドイツ兵 極北の 鱈漁師                           鬼禿
雪魚(ゆきうお)とは やさしき名なり 鱈を食む    弥生
醁(うまざけ)と 鱈を間に 上機嫌                紅螺
移り行く 季節を連れて たらちり鍋                舞蹴
鱈ちりの 湯気立ちのぼる 水入らず                一遅
アメ横の 勢ひ大盛 鱈を買ふ                         美留
吹き荒(すさ)ぶ 色無き浜や 鱈を干す           虚視
グツグツと 煮えたぎる鍋 鱈の夢                   珍椿
鱈大漁 船ふくらんで 戻りけり                      孝多

◆席題=狩       順不同
猪(しし)を待つ 老狩人の 目に仏                 一遅
狩人の 古傷撫る 若い妻                                鬼禿
獲物(えもの)横たえ 狩人(かりうど)黙す 手を合わす  孝多
腑分けさるる 鹿のまなこや 狩のあと               弥生
今も語り草 こふみの狩の キリヌキ                  軒外
父狩りし 熊肉子らに 疎(うと)まるる            美留
生命追う 一点となり 狩の森                           虚視
放鳥の とき御狩場で 誰れ思う                        珍椿
自らの 影も運びて 狩りの道                           舞蹴
狩るは何 極夜の闇に 銃の声                         紅螺
狩人は 山に入って 卵剥く                              矢太

                                          以上11名44句

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水野タケシ

孝多先生、今回も盛りだくさんのこふみ会、

楽しく拝見させていただきました!!

今年もますますのご健吟、そしてご盛会お祈りしています!!

( ゚д゚)ノ ヨロッ
by 水野タケシ (2019-01-01 05:58) 

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