SSブログ

浜田山通信 №228 [雑木林の四季]

ハーフ・ブリード萬歳

                         ジャーナリスト  野村勝美

 最近私にとって最高に愉快だったニュースは沖縄県知事選での玉城デニー氏の当選、それもこれまでで最高得票の394,768票。自民、公明、維新、希望推薦の佐喜真淳氏に8万票の大差をつけた。私もTVの前で陣営といっしょにカチャーシーを踊りたい気分だった。即日開票の夜は日本海を台風24号が北上中で、NHKは台風情報を流しっ放し、翌日の新聞もTVも扱いは比較的に小さかった。辺野古埋め立て反対派が翁長雄志知事と続けて2代選挙に勝ったということは安倍政権にとっても辺野古の埋め立て移転を強行はできないということだ。本土の日本人ヤマトンチュも沖縄県民と同じ行動、意志表示をしなければ民主主義が成り立たない。
 私が何より嬉しかったのは玉城デニー新知事が元米海兵隊員とウチナンチュとの間にできたハーフであること。父親はデニーが三歳のときアメリカに帰国し、母親は働きに出るため伯母に育てられたらしい。この生いたちは一冊の本になりうるもので、まさに戦後の日本、アメリカ、沖縄の象徴的人間像といっていい。私はこの「ハーフ・ブリード」に興味を持っている。身内にもいるし、友人にもいる。混血の人たちが、国境や民族の壁を打破っていくに違いないし、アメリカもまもなく白人より黒人、ヒスパニック、黄色人種が多数派になる。ヨーロッパもいくら排外運動が拡がろうと難民はどんどん増え、血が混ざり合う。人間の長い歴史が、闘争と混血の歴史だったし、そのスピードが21世紀に一層加速されるはずだ。
 大坂なおみを嫌いな日本人はいないだろう。彼女はハイチ人の父親と日本人の母親との間に生まれた。黒人の血が強いのかハーフは黒くなるが、あののびやかな肢体とかわいい表情は私たちをとりこにする。もともとカリブ海一帯がコロンブス以来の典型的なハーフ・ブリード地帯だから、大阪なおみの父親の先祖をたどるとどれほどの血が混ざり合っていることか。日本人は極東の島国で有史以来混血は遅れたが、大和民族といってもこの島国に偶然発生したわけではなく、北方民族と中国、朝鮮半島からと南方からの海洋民族の混血で成立、せいぜい千年しか経っていない。
 前の戦争で中国大陸、インドネシア、フィリピン、南方の島々の女性にどれほどの悪事を軍人たちが働いたかを考えるといちがいには言えない。中南米の混血も同様だが、結果として生まれたクレオール語や文化にはハーフ・ブリードのたくましさ、すごさがある。「サンデー毎日」10月21日号に作詞家なかにし礼さんがフランス人作家と結婚したお嬢さんんの7歳の孫娘のことを嬉しそうに書いている。80歳のじいじの誕生日祝いをくれたが「それがなんと四カ国語である。日本語=パピーおたんじょう日おめでとう、かぜひかないようにね、大すきよ。」以下英語、フランス語、中国語が横文字で書かれている。中国語は学校に友だちがいるからだそうだ。かりに両親が不仲になってもこの子はたくましく生きていくにちがいない。

nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。