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私の中の一期一会 №176 [雑木林の四季]

          阪神17年ぶりの最下位。「超変革」は道半ばで振り出しに戻る?
~金本監督は「巨人は3位でも辞任、僕は最下位ですから」と成績不振の責任をとった~

               アナウンサー&キャスター  藤田和弘

 阪神タイガースの金本知憲監督が11日、「今季限りで辞任する」と正式発表したのを知って落胆した人が多かったのではないだろうか。
 前日までは、「来季も金本続投」という球団方針に変わりはないとされていたから、私はこの「突然の辞任劇」に驚き、「何かあるのではないか」という違和感を覚えた。
 金本監督の辞任会見は、実に質素なものだったというサンケイスポーツの記事を読むと、球団職員の慌てぶりが見えてくる。
 球団事務所内のプレスルームは約50人の記者がごった返したが、ひな壇もマイクも用意されてなかった。
 金本監督は立ったままの対応になった。辞任会見というより、ペン記者による囲み取材みたいだった。
 テレビカメラは1台もないから、テレビ会見もない。写真撮影もNGだったらしい。所要時間もたった10分前後で終了している。
 最高指揮官の辞任会見だというのに、揚塩球団社長はこの場にいなかった。
 社長としては無責任ではないのか、何よりも退任する金本監督に失礼だろう・・
 「今年はイケる!」という思いでスタートした筈の金本阪神は、極度の打撃不振が禍いして17年振りのリーグ最下位に終わった。
 ホームラン30本を打てる右の4番打者として期待されたウイリン・ロサリオは全く機能しなかった。2軍暮らしが多く「最大の誤算はロサリオだった」と言っても過言ではないだろう。
 積極的に起用してきた若手達が予想外に伸び悩んだのも大きく響いた。
 昨季ホームラン20本の中谷将大(25)、2年目のドラフト1位大山悠輔(23)、一昨年のドラフト1位で新人王の高山俊(25)らが、チャンスで凡退を繰り返した。
 投手陣の柱になるべき藤浪晋太郎(24)が、2年越しの絶不調に苦しんだのも監督の足を引っ張った。
 成長しつつあった北条史也(24)は、これから追い込みというとき、大きな怪我をして戦列を離れた。
 今季全試合に出場して結果を残したのは、2年目の糸原健斗(26)唯一人だった。 
 球団事務所で会見に臨んだ金本監督は、辞任の理由を「成績不振です。やり残したことは多々ありますけど結果の世界ですから。何より最下位ですから、そこですよ」と語った。口調はキッパリだったそうだ。
 低迷するチームの再建を託されて、「10年かかるところを5年以内でというのが、僕の中でのぶれない目標でした」と語る金本監督だったが2年を残して、“チーム再建道半ば”で身を引くことになった。
 選手の怪我や伸び悩みがあり「選手一人を育てるのがこれほど大変とは・・でも若手が伸び悩んでいるのは我々の責任ですから」とも語っている。最下位の責任を一身に背負っての辞任ということになる。
 チーム状態がなかな良くならず、風当たりが強くなる中で、10月4日に巨人の高橋監督の辞任が発表されたのも、無視できない事態だった。
 「巨人は3位でも辞任。僕は最下位ですから・・」と苦笑交じりに言ったのは、最下位では“続投は許される訳がない”という覚悟が胸中に芽生えていたとも考えられる。
 8日のヤクルト戦(神宮)に敗れて最下位が確定した時、金本監督には「ちょっとヤバイな」という変化もあったっようだ。
 10日は甲子園での最終戦。ベイスターズに勝利した後、金本監督は、ファンにお詫びと謝罪のスピーチをしたが、このスピーチは「辞める、辞めないの深い意味はなかった。本当に謝罪メインの挨拶だった」ことを会見で明かしている。
  シーズンの終盤は、心無い批判にも晒されたが「いろいろな雑音の中でやっていくのがタイガース監督の宿命だから、もとより覚悟の上だった。特に気にならなかった」と話している。
 シーズン最終戦の前に、“ファンには辞任の意向を伝えておこう”という思いはあったのか?と聞かれて、「それもなかったですね。甲子園で勝たないといけないから、そこまで頭が回らなかった」と答えている。
 取材したデイリースポーツの記者も、金本監督の人柄を考えると、本当に辞任の気持ちを固めていたとすれば、スピーチの中に“別れの言葉”を込めた筈だと書いている。
 迷いはいくつかあっただろうが、10日の試合終了時点では「辞めようと思っていなかった」と推察しても間違っていないと私は思う。
 デイリースポーツによれば、事態が急転したのはそのスピーチの後からだった。
 試合後、クラブハウスで揚塩球団社長ら複数の球団関係者が金本監督の元に向かうのを記者が目撃していた。
 それから数時間後の深夜、金本監督が「辞めることになってしまった」とコーチ陣に電話を掛けまくっていたことが分かった。
 「金本監督退任は、表面上は辞任を装ったが、「事実上の解任である」という記事を書いたのは、スポニチ大坂本社の編集委員である。
 甲子園での最終戦の後、揚塩健治球団社長が金本監督を呼んで“辞任を迫った”のが真相だという。
 それまで監督本人の意欲は勿論、谷本修球団本部長も“続投前提で来季の組閣作業”を進めていたから相当驚いたに違いない。
 最下位が見えた今月初め頃、甲子園のスタンドから「金本やめろ!」などのヤジが飛び交い、SNSにも批判が溢れた。
 その頃、電鉄本社では「金本解任」に舵を切り、密かに揚塩社長に伝えられていたとみられる。
 「本社のご意向?・・」、ナルホドそういうことかと私は思った。 
 辞任会見と同じ日、坂井信也オーナーが、電鉄本社で会見、「今季限りでオーナー職を交代する意向だ」と語った。
 金本監督の辞任について「私にも責任がある。辛い思いをさせてしまった。監督を支えられず申し訳ない」と話し、監督と面談の上“謝罪”と“申し訳ないという思い”を伝えたいと語っている。
 2015年に監督を招聘してチームの抜本的改革を託したのは酒井オーナーだ。3年契約の道半ばで去らなければならない金本監督は、さぞ無念であったろう。
 私は金本監督の退任を“非情に残念だ”と思う一人である。“怒り”さえ湧いてくる。
 球団内には、「最下位とはいえ、三顧の礼で迎え入れた金本監督を3年であっさり切ってしまっていいのか」という声があるそうだ。
 また「これではお家騒動ばかりだった暗黒時代と同じじゃないか」と嘆く声もあって、チーム内に波紋が広がっているようだ。
 ほんとうは“球団一丸”とならなければいけないのに、このザマではチームの“ぬるま湯体質の払拭”など実現できる訳がない。また振り出しに戻ることになるのが一番問題だと私は思ている。
 13日、ナゴヤドームで最後の指揮をとった金本監督は「阪神は、常に勝ことを要求されるチームだが、そこを思い切って“なるべく補強を避けて若い選手で造っていく方針”だった。その意味では道半ばだ。
 若手には苦しい練習を課してきた。
 しんどい練習を与えたのにみんなついてきてくれた。これは自信にして欲しい。
 失敗しないと覚えないものでもあるから、どんどん失敗してオッケーだ。
 チャレンジ精神で、前のめりになって失敗して欲しい。
 目を掛けてきた選手が来季以降芽を出し、花を咲かせてくれないと僕まで悲しくなる。
 この1年は勝てなかったので一番しんどかったかも知れない」
 最後の指揮をとった金本監督は、子を思う親のような笑みを浮かべてユニフォームを脱いだ」と新聞が伝えている。
 来年、再来年は“しんどくなくなって”、楽しいかも知れないの、解任するなんて・・
 阪神タイガースは”大きな誤りを犯した”。いま私はそう思っている。
 

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笠井康宏

藤田さん、こんばんは。金本監督の辞任は、ファンとの小競り合いが原因のようです。youtubeであわや乱闘のアップがされています。確かに阪神ファンの行き過ぎたところは昔からありました。昭和60年西武球場で阪神ファン以外のファンにゴミを投げつけていました。端から見ていて気持ちの良いものではありません。相変わらずキチガイが騒いでいるわ。と私は冷めた目で見ています。
by 笠井康宏 (2018-10-19 22:19) 

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