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私の中の一期一会 №168 [雑木林の四季]

           史上初の米朝首脳会談で朝鮮半島は非核化へ第一歩を踏み出した
      ~安倍首相、唐突に日朝首脳会談に意欲。その背景は秋の総裁選にあり?~

         アナウンサー&キャスター  藤田和弘

 2018年6月12日午前9時過ぎ(日本は10時過ぎ)史上初の“米朝首脳会談”がシンガポールで始まった。
 アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、「ちびのロケットマン」とか「老いぼれ」などと互いに“ののしり合い、戦争一歩手前かと懸念されるほどの”敵対関係を続けてきただけに、米朝首脳の話し合いがどうなるか?世界中がその成り行きに注目していたと思う。
 シンガポールからのテレビ生中継を見る限り、会談は終始和やかなムードで進められたようにみえた。
 両首脳が署名した共同声明には、新たな米朝関係樹立など4項目が謡われている。 
1)米国と北朝鮮は、新たな米朝関係を樹立することを約束する。
2)米朝は、朝鮮半島に持続的で安定した平和体制を構築するため努力する。
3)4月の板門店宣言を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けて努力することを約束する。
4)米朝は、(朝鮮戦争の)身元特定済み遺骨の即時返還を含め、捕虜や行方不明兵の遺骨収集を約束する。
 共同声明には 日米韓が求めてきたCVID 「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」の文言は盛り込まれていない。
 “非核化への道筋”はどうなるのか。すでに“保有している核はどう処理するのか?”など大きな懸案も一切語られていないのだ。
 非核化に向けてIAEA(国際原子力機構)の査察が上手くいくという保証はあるのだろうか。
 日本もアメリカも政権がこのまま続くかどうか分からない。新しい政権になった時にどうなるのだろう。
 派手なだけの「政治ショー」では解決できない課題が双方にいくつも残っているという指摘もあったりして、史上初の米朝会談も評価は様々だ。
 会談終了後、トランプ大統領は記者会見して熱弁を振るったが、金正恩委員長は記者会見しなかった。
 世界は、北朝鮮トップの肉声で“非核化への決意”を聴きたかった筈なのに、何故会見しなかったのだろう。
共同声明では、日本が気にしているミサイル問題の行方にも触れていない。
「拉致問題」だって「ちゃんと提起したよ」という大統領の発言はあったが、金委員長がどういう反応したかは不明確だった。「解決済み」とは言わなかったというのは噂の域を出ない。
 記者会見で、北朝鮮が約束を破った時、“軍事行動をとるか”と聞かれたトランプ大統領は「韓国への甚大な影響を考えると軍事行動は非現実的だ」と答えていた。
 また、北朝鮮が嫌う米韓合同軍事演習についても“対話継続中は中断もあり得る”ことを示唆した。
 新たな米朝関係はスタートしたばかりで、すぐに明確な成果を期待するのは無理なのではないか。
 時間をかけて対話を積み重ねていくしかない。
 北朝鮮の国営メディア・朝鮮中央通信は、首脳会談から一夜明けた13日、首脳会談や共同声明の内容について報道した。
 それによると、朝鮮半島の非核化は段階別、”同時行動の原則”の遵守が重要との認識で一致したと報じている。要するに北朝鮮の“段階的な非核化”にアメリカが同意したことを意味している。
「同時行動の原則」とは、非核化の進展に合わせて制裁を緩和していき、その度に何らかの見返りが北朝鮮にもたらされることを意味している。北朝鮮外交の巧みさに舌を巻く思いだ。
 非核化の費用を日本や韓国が負担させられることも覚悟しなければならないかも知れない。
 横田めぐみさんの母、横田早紀江さん(82)が、トランプ大統領の拉致問題提起を評価して「あとは日本政府がやらなくてはならないところに来た」と新聞に語っているのを読んで心が痛んだ。
 10年ほど前になるだろうか、横田さんご夫妻の講演を聴く機会があった。
 あの頃から「国が動いてくれないとどうしようもないんです」と訴えていた横田滋さんも今や85歳。
 いま体調を崩して入院中と聞くとますます胸が痛い。
 拉致被害者の家族の方々の「もう時間がない」という声は心の底からの切実な叫びなのだ。
ソウルの情報関係者が14日明らかにしたところによると、北朝鮮が“日朝首脳会談を行う用意がある”ことをトランプ大統領に示していたことが分かった。
 数カ月以内に首脳会談を開くことを想定して準備を進めているという。
 安倍首相は14日、官邸で拉致被害者の家族会と面会した。
 首相は「拉致問題は日朝の問題、米朝会談を機に北朝鮮と直接向き合いたい」と述べ、日朝会談を実現し拉致問題解決を図る考えを強調したという。
 家族会の飯塚繁雄さん(80)は歴史的な会談で拉致が提起されたことは喜ばしいと期待しながら「日朝間で早く結論を出していただきたい。今までと同じ轍を踏まないように願う。約束が守られ、着実に成果を得る会談をしていただきたい」と強い口調で訴えた。
  安倍首相は“丁寧に説明する”といつも言うが、“説明された”と思う国民はほとんどいない。
 “ウミを出し切る”と言うが、首相自身がウミなのだから、出し切るなら退陣するしかない。
 おまけに“ウソをついてまで、”あったもの“を”ないことに“してきたことを多くの国民は知っている。
 金正恩委員長は、こうした安倍首相の言動を全て知っていると思ったほうがいいだろう。
 家族会・飯塚繁雄さんの「今までずっと騙されてきた・・」というコメントは、北朝鮮にではなく安倍政権に騙されてきたと言いたかったのではないか・・フトそんなことを思った。
 政府は14日夜、安倍首相と金正恩委員長による日朝会談を通じて、拉致問題の解決を目指す動きを本格化させたというニュースが流れた。
 家族会との面会では、「コチラからやりたいと言えば足元を見られる」と漏らし、会談の時期は慎重に見極めると述べたという。
 時期や場所について「機微に触れる」として一切明らかにしなかった。
 「まだ圧力を緩めてはダメだ。中国、韓国も制裁を緩めてはならない」という相変わらずの持論を語ってみせたらしい。
 ところが、その晩には首相サイドが“日朝首脳会談を模索する”動きに転じている。
 唐突に動き出した背景には、「9月の“自民党総裁選”があるからだ」と聞いて私は一気にしらけた。
 拉致問題の解決に向けて突き進む安倍首相の姿は、総裁選で3選を確実にするための”格好のアピール“になる・・だなんて。
 そんなこと知ったら「拉致被害者の家族会はどう思うだろう」と考えないのが“安倍一強政権”なのである。
 金正恩という若き指導者は、祖父や父親が成し得なかった“米国との対話を成し遂げた人物”になった。
 父親のような年齢のアメリカ大統領にも、臆することなく堂々と立ち向かえる度胸の持ち主でもある。
 その外交手腕を侮ることがあってはならないのだ。
 ゴチャゴチャ言い訳はいいから、「早く行動して欲しい」というのが家族会や国民の切なる願いだと思う。
 新聞に「拉致問題解決へ陣容一新だ」という大阪府の男性の投書があった。
「(前略)玉虫色の共同声明についても安倍首相は高く評価。日本政府は拉致問題の進展に期待を寄せているようだが楽観的としか言いようがない。(中略)トランプ大統領の尻馬に乗って「最大限の圧力」を叫んできた安倍政権は、北朝鮮にとってすこぶる印象が悪いだろう。安倍首相は拉致被害者救出の司令塔になると言うだけで、具体的な行動が見られない。(中略)政府は陣容を一度リセットして、行動力のある新しい顔ぶれで拉致問題に取り組んでもらいたい」
 “行動力のある新しい顔ぶれによる日朝会談”・・・私は“いい案だな”と思った。
 


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笠井康宏

藤田さん、おはようございます。トランプ氏も結局、アメリカのことばかりで北朝鮮に上手く言いくるめられてしまいそうな感じがします。日本に負担を押し付けて、そのままズルズル時間が流れて行くと思います。拉致被害者の方はお気の毒ですが、話が進展しないでしょう。
by 笠井康宏 (2018-06-20 10:31) 

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