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私の中の一期一会 №166 [雑木林の四季]

      「まだ終わった訳じゃない」と言うイチロー。引退の花道は来年3月か?
    ~「試合に出られない寂しさはあると思う。でも僕は野球の研究者でいたい」~

         アナウンサー&キャスター  藤田和弘

 メジャー・リーグのシアトル・マリナーズが5月3日(現地)、「イチロー外野手が球団の“会長付き特別補佐”に就任し、今季の残り試合には出場しないことになった」と電撃発表して日本中のファンに衝撃を与えた。
 イチローはこの日、試合出場の前提となる40人枠からは外れたが、本人の希望通り“引退とはせず”ユニフォーム姿で練習に参加しながら選手にアドバイスなどを行う役割を果たすことになった。
 マリナーズにとって野球殿堂入りが確実とみられるイチローに敬意を払った“特別な契約”を結んだとみることができる。
 その契約は“クラブハウスのロッカーはそのまま使用して構わない”、“ユニフォームを着て練習には参加することが出来る”、“試合中はベンチには入れないが、ビデオルームなどで選手たちにアドバイスする環境を整備する”などとなっていて、メジャーでも前例のないオンリーワンの契約だと言えるだろう。
 マリナーズのJ・ディポトGMは、来期以降のイチローについて「プレーへの扉は閉じていない」と述べ復帰への可能性が残されていることを示唆している。
 イチローは発表のあった3日、緊急の記者会見で「この日が来るとき僕はやめる時だと思っていた。その覚悟はあった。でもこういう(来季復帰の可能性ありという)提案がチームの方からあったので喜んで受け入れる気持ちになった」と心境を語り、生涯契約に至ったマリナーズの誠意ある対応に感謝の気持ちを持っていると語った。
イチローは、3月にマリナーズのユニフォームを着ることが出来てから、これまでの毎日はギフトを贈られたみたいな気分だったそうだ。「この2カ月間は18年間で最もハッピーで、その気持ちをかみしめていた」と笑顔で振り返っていた。
 マリナーズが好きなチームでなかったら、好きなチームメートたちがいなかったら、この決断ができたかどうか分からない。
「試合に出られない寂しさは勿論あるだろうと思う。でも僕は“野球の研究者”でいたい。44歳でアスリートとしてこの先どうなっていくのか?プレーしないで毎日練習していてどうなるのか?・・などに興味を持っている。今のところ喪失感などはない」と語り継ぐのであった。
 “野球の研究者でいたい”とは、いかにもイチローらしい表現だなあと思いながら、私は新聞のコメントを読んだ。
 メディアに“チチロー”と書かれたこともあるイチローの父鈴木宜之さん(75)は、今回の一報を聞いて「来る時がきたなと思う反面、ホッとした気持ちがした」と穏やかに話した。驚くことはなかった。
 そして「ちょっと寂しい気持ちはあるが、これまで十分楽しませてくれました。“もう無理をしなくていいよ”という思いだと語る。
 「異例の生涯契約という形で、トレーニングを続けながらチームをサポートしていくなんて有り難いことで安心した」という。親心には“安心が一番”のプレゼントだ。
 いい選手を育てることで球団に報いることが、息子の新たな挑戦になったのだ。父・鈴木宜之さんにとっても新たな期待が生まれたことになる。
 異例の契約に踏み切ったマリナーズのJ・ディポトGMは「クラブハウスでのイチローは“ダライ・ラマのような存在”だ」と記者団に話した。
 「椅子に座るイチローの周りにゴードンやハニガーが寄ってきて、山の上からの声を待っているように見える。彼は偉大な存在感を持っている」とベタ褒めした。
 来期以降に含みを持たせた事についても「彼が引退すると決める時まで、この形が一番いいだろう」と述べている。イチローに対するフロントの信頼感が想像以上に強いのが分かる。
 元ヤンキースのアレックス・ロドリゲスが2016年シーズンの8月、「この12日を最後にもうプレーしない」という発表が突然行われ、ファンはビックリ仰天した。
 A・ロッドも「引退ではない」ということだったが、結局その後はプレーしなかった。
 松井秀喜は現在ヤンキースの特別アドバイザーを務めているが、12年7月に在籍していたレイズの出場枠から外れ、残りシーズンをFAとして過ごした。
 翌13年7月にヤンキースと1日契約を結んで引退試合を行っている。
 ディポトGMが最近、地元のラジオで「来年、特に東京でイチローがユニフォームを着て試合に出る可能性が高い」と語ったそうだが、実際問題として1年のブランクを乗り越えて必ず復帰できるという自信を、イチローは持てるだろうか?
 イチローは「復帰をイメージ出来ないことはないが、やってみないことには分からない」とコメントするしかないのが現実である。
 来年以降も現役への扉が開かれていることは、これからの大きな目標になることは確かだ。だがそれに応えようとするモチベ―シャンを維持していくことは簡単ではない筈だ。
 イチローが自らに課した新しいチャレンジ「野球の研究者になる」ことを見守っていくしかない。
 マリナーズは12日、デトロイトでタイガーズとのダブルヘッダーを行ったが、イチローがコーチとしてベンチ入りした。
 スコット・サービス監督が長女の卒業式に出席するため不在となり、空いた首脳陣枠にイチローが1日限定でコーチとして起用されたからだ。先発メンバー表に選手名を書く役目だったらしいが、選手交代を全部書くので大変だったと笑う。
 ダブルヘッダー2試合目にタイガーズの監督がボールの判定に抗議して退場になるハプニングがあった。
もしマリナーズの監督代行が退場になったら、1日限定コーチのイチローが代行の代行を務めることになっていたという。イチローは「それだけは勘弁して欲しい」と苦笑いだった。
 来年3月20日、21日にマリナーズはアスレチックスと開幕2連戦を東京ドームで行うことがすでに決まっている。
  メジャーでは海外で行う公式戦はベンチ入り枠が3人増える。通常の25人が28人に拡大されるのだ。 、そこにイチローが選手として登場すれば、満員の東京ドームに大歓声や拍手が響き渡るのは間違いない。
  マリナーズの“功労者イチロー・スズキは、この開幕戦を花道に母国で高らかに「現役引退」を宣言してバットを置く・・そんなシーンが頭に浮かんでいる。
(アメリカのメジャーファンの声)
  イチローは2000年代初頭に、アジア系アメリカ人の子供たちのヒーローとなった数少ない人物の一人だ。そしてオオタニのような選手への道を切り開いた。彼はずっと偉大だった!


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笠井康宏

藤田さん、おはようございます。始まったばかりの今シーズン出場させないと判断したのは、残酷な気がします。どういう意図でイチローを獲得したのか、私には理解出来ません。最初から戦力外だったのでしょう。スッキリしません。
by 笠井康宏 (2018-05-18 05:17) 

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