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私の中の一期一会 №164 [雑木林の四季]

      エンゼルスの大谷翔平がメジャーでも二刀流で衝撃的デビューを果たした!
      ~3試合連続ホームランは、エンゼルスのルーキー史上初の快挙だった~

          アナウンサー&キャスター  藤田和弘

 エンゼルスの大谷翔平(23)が13日(日本では14日)、敵地でのロイヤルズ戦に今季初めて「7番DH」で出場して2安打を放ち、スタメン出場では7試合連続安打となった。
 ネットに速報された記事によると、大谷はこれまでのスタメン6試合では8番DHだったから、7番を打つのは初めてである。
 0-0で迎えた2回1死走者なしの場面で、カウント2-2から相手先発の右腕ハメルが投じた92マイル(148キロ)のインコースへの直球を捉え、反対方向のレフト線に2塁打を放った。映像で見る限りハメルが投げた球は、決して甘い球ではなかった。
 3-4と1点ビハインドの8回には、1塁にランナーを置いて、大谷はセンター前にヒットを打ってチャンスを広げた。結果的にこの大谷のヒットは逆転勝ちのお膳立てになった。味方の犠牲フライで勝ち越しのホームを踏んだのは大谷であった。
 これでマルチ安打は3試合目だが、打席での大谷は常に落ち着いているように見える。初めて対戦する投手ばかりだろうに、緊張しているようには見えないのだ。私の印象は「いとも簡単にヒットを打つ男」である。
 前日の試合も私はテレビ観戦したが、7回の2死満塁で走者一掃の3塁打を記録したとき、アッという間に3塁ベースまで到達したそのスピードに目を奪われた。驚異的といってもいいそのスピードにビックリしたのである。大谷は投、打,走でファンを魅了したと、新聞記事も大絶賛だった。
 13日現在、エンゼルスは12勝3敗とアメリカンリーグ西地区首位にいるが、メジャールーキーの大谷がチームの快進撃に大きく貢献していることは確かである。
 野球の神様ベーブ・ルース以来、メジャーリーグで二刀流に挑戦する選手は現れなかった。21世紀に入って、日本のプロ野球界からその常識を破ろうとする若者が野球の本場に乗り込んだのだ。
 23歳の大谷翔平は、言葉や文化も違う国で、レベルの高い舞台に身を置きながら夢を実現させようとしている。
 予想外の活躍に喜びながらも、「出来過ぎじゃないの?」と半信半疑な気持ちを胸に秘めるファンが多いかも知れないなと思うことがある。
 何故なら、開幕前の大谷はオープン戦で苦しんでいた。投手として13イニングス投げて19失点。打者として 32打席でヒットはたったの4本、打率1割2分5厘という惨憺たるものだったからだ。
 これじゃ「メジャーはムリだろう」という見方が大半を占めていたのも頷ける。
 しかし、日本から海を渡った若者を身近で見ていた名将・マイク・ソーシア監督は違う考えを持っていたのだ。
開幕2日前の記者会見で「我々は違うレンズで彼を見ている。開幕試合では、オオタニを起用するつもりだ」と発表したからメディアは首を傾げたらしい。
 ソーシア監督は「皆さんは打率や防御率ばかりを見ているが、私は調整のプロセスを重要視している。オオタニは確実に成長している」と自信たっぷりに発言したという。
 大谷翔平をよく知る日本ハムの栗山監督も「ベビーフェイスだが、性格は強烈な負けず嫌いだ」と言う。
 “翔平は宿題が大きければ大きいほど輝く”と述べて「やられたままで終わる男ではない」と断言した。
オープン戦で対戦して打てなかったサイ・ヤング賞投手のコーリー・クルーバーから、シーズンに入って2号2ランを左中間に叩き込んだのは“リベンジだった”とみていいかも知れない。
 試合後「今日も内角にきていた。さすがにレベルの高い投手だなと思った。そういう投手から打ててうれしい」とクールにコメントした。
 「開幕前に批判的なコメントをした人たちに言いたいことはあるか?」と記者会見で問われ、「特にない。まだ始まったばかりだし、次の試合から打てなくなるかも知れない。結果に対しての評価は仕方がないことだ」と答えている。
 とにかく、マウンドでも打席でも終始落ち着いていて慌てる素振りは一切ない。
 アスレチックスのメルビン監督は「マウンドと打席の両方で、これだけやれる選手はほとんどいない。とても印象深い選手だ」と褒め称えたという。
 3試合連続本塁打の大谷には、アメリカのメディアも称賛を惜しまない。ヤフースポーツなどは「打者としても投手としても、試合に出る度に二刀流に懐疑的な人々を黙らせてしまう」と報じた。
 『スプリング・トレーニングでオオタニが苦しんだ時、誰もが「はいはい、頑張って!」と言っていた。しかし今や、選べる言葉は「なんてことだ!」しかない』などと手のひらを返す賛辞も目につく有様だ。
 大谷は13日現在、投手として2勝0敗、奪三振18、防御率2.08.
 打者では30打数、11安打、ホームラン3本、打点11、打率367という立派過ぎるものだ。
 だが、この好調を1年間続けられるかというと、“そうは問屋が卸さない”という声も聞こえてくるのだ。
 大魔神としてマリナーズでも活躍した佐々木主浩氏は、「今に“波”が絶対来るだろう。怪我をするかも知れない。不調の時をどう克服していくかは問題だ」と懸念を語る。
 キャンプからずっとやってきて5~6月頃が一番疲れるところで、怪我し易い時期だ。
 夏場の連戦も日本よりは過酷だろう。二刀流経験者が他に誰もいないことも問題になるに違いない。
 メジャーOBだって、“彼がどう調整したらいいか”を的確にアドバイスするのは難しいと言えるのだ。
 弁護士の荘司雅彦氏が『驚くべき快挙でデビューした大谷翔平は「平均値への回帰」という現実を無視できない』とツイートしているのを目にして興味深く読んだ。
 荘司氏の説によれば、出来過ぎの成績はいずれ下降線をたどり“平均値に収斂していく”というものだ。よく我々も“二年目のジンクス”ということを口にするが、それと同じで“出来過ぎの一年目は”やがて平均値に収まっていくのが自然だというのである。
大谷が、プロの世界で“投打で一流”ということは「もともとの平均値がとても高い」と考えてもいいだろう。だから平均値に収まったとしても、“ヒドイ状態にはならない”筈なのだ。
 しかしこの世で、夢のような大活躍が永続することはほとんどない。それは大谷が警戒され、分析されと研究されることを意味する。
 弱点を探られたら大谷だって、そう簡単に勝ち星は手に入らなくなる。連続試合ホームランもなかなか打てなくなってくるだろう。
 アスレチックスのベテラン外野手マット・ジョイスは「オオタニの制球がいい時は、打ち崩すのは難しい。でもメジャー・リーガーは適応に長けている。次の対戦で彼の投球に適応すれば、もうちょっといい試合が出来るだろう」とコメントしている。当然のことだが、分析、研究はすでに始まっているとみていいだろう。
 大事なことは、挫折や失敗があっても、試合を投げずに戦い続けることだと、荘司氏も強調している。
 例え思うようにいかなくても、「平均値への回帰」でいずれ調子が上向いてくる。
 「二刀流なんか無理だ」と言われた大谷は、日本ではそれを成し遂げた。
 「メジャーは無理かも」と言われたが、メジャーで現実に良過ぎる(?)結果も出ている。
 スランプに陥っても「平均値への回帰」によって、必ず復調出来ることを忘れてはならないのだ。
 ロブ・マンフレッド・コミッショナーは、大谷の二刀流デビューを「最大のストーリだ」と称賛した。そして「多くの人々が刺激を受け、同じようにやってみようという選手が出てくるかもしれない。違うことが起こるというのは、どのスポーツにとっても喜ばしいものだ」と語っている。
 大谷効果は、メジャー・リーグに新風を吹き込むことになるかも知れない・・・


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