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地球千鳥足 №91 [雑木林の四季]

初体験!羽根帽子で貴賓室から見た東京競馬 ~日本~ 

                                 グローバル教育者・小川地球村塾塾長  小川彩子

 勝った、負けた、のレースには興味はないが、面白い企画を出身高校の同期生が発案、尽力し、4月のある週末、仲良し同期生とその家族20人ほどが格別の笑顔でダービールームに集まった。貴賓室(部屋+バルコニー)だ。「盛装で」というルールも楽しく、部屋付きのバルコニーから競馬観戦をしたのだった。東京、府中市に20年以上住んだが、足元にある東京競馬には出かけたことがなかった。筆者はハリウッド・クラシックの映画の中で競馬観戦の貴婦人が被っているような、目まで覆うネットと羽根付き帽で出かけた。30年前セントルイスで買ったこの帽子、気恥ずかしくて陽の目を浴びさせる機会がなかったが、「チャンス到来!」と。「それを被っても貴婦人には見えないよ!」と言う夫の悪口をものともせず。男子は勿論スーツにネクタイだ。眼下の芝生にお馬さんが騎手を乗せて並んでいる。馬券の買い方の説明があったが筆者は馬券より馬の名前に興味を惹かれた。ギンザノサムライ、アイハヴアドリ-ム、ピカピカシャチョウ、アドマイヤオウジャ、メイショウトビザル、等、思わず微笑んだ。馬を買って命名したくなったが、ウン億円かかるとか、サブチャンの持ち馬キタサンブラック君を応援するぐらいが無難だ。お昼は競馬場内のホテルオークラで食事、午後パドックも見学、入場前の出走馬が順に通り過ぎていく。「貴婦人には見られなくとも結構!」と、結構な1日と優雅な初体験を同期生に感謝した。

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                  部屋付きのバルコニーから観戦した東京競馬

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                        羽根帽子で競馬観戦 

府中市のシンボル、新緑のケヤキ並木と大國魂神社
 府中市には神社、寺院や旧跡が多いが、大化の改新後武蔵国の国府が置かれたことが大きい。悠久の歴史を肌で感じられる地だ。大國魂神社の表参道は馬場大門欅並木と呼ばれ、国の天然記念物だ。「前九年の役平定の帰途、源頼義・義家父子が欅の苗1000本寄進したのに始まり…徳川家康・家光等が主として補植整備…新緑の頃は緑のトンネルとなり府中市のシンボル」(府中市郷土かるた)だ。片町の高安寺には弁慶が硯を洗ったという伝説の井戸が残っている。武蔵府中熊野神社古墳は日本国内に3例しかない上円下方墳で国内最大、最古級という貴重なもの、歴史的価値甚大で2005年7月に国の文化財に指定された(府中市観光協会)。元弘3年、上州で討幕の兵を挙げた新田義貞が府中の分倍河原で北条泰家率いる幕府軍を下し、勢いで鎌倉幕府を滅ぼしたことは歴史上有名だ。JR南武線・京王線には「分倍河原」という名前が残されている。

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                    弁慶が硯を洗ったという伝説の井戸

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                国内最大、最古級という武蔵府中熊野神社古墳

花吹雪の下に佇めば魂を洗われる多磨霊園
 東京都多磨霊園は日本初の公園墓地、与謝野鉄幹・晶子、北原白秋、岡本太郎、等、無数の著名人が眠っている。結婚して上京し住んだ府中市のはずれ多磨霊園に、子供の頃愛読した佐々木邦が眠っていると知った時の驚き。邦は日本2大ユーモア作家の1人で戦前の代表、戦後の代表が源氏鶏太だ。邦の作品はユーモアだけでなくペーソスも詩情も風刺も備えている。邦の墓は一際美しい満開の桜並木の傍らにあった。喧騒を極める東京にこんな夢幻境があることを誰も知らない不思議。少し盛りを過ぎた散り時の花吹雪の下に佇めば魂を洗われる。ここは筆者の心のふる里。音もなく降りしきる雪のような花弁と白い道。さようなら来年まで、私の桜並木。

(アメリカ、Angle Press. Inc.発行、Weekly Jangle第238回、「初体験!羽根帽子で貴賓室から見た東京競馬~日本~」に修正を加えたもの)。


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